聞いてるだけでキャラのことが好きになっちゃう「軽妙すぎる会話劇」は今作でももちろん健在! おもしろトークを全身に浴びよう!
本作の個性豊かなキャラクターたちを紹介してきましたが、ここからは彼らが織りなす会話劇の魅力を紹介していきましょう。
『パラノマサイト』シリーズの魅力のひとつに「キャラの掛け合い」があると思っております。
ディレクター/シナリオライターである石山貴也氏の持ち味でもあり、個性的なキャラたちが打ちあう会話のボレーが小気味よい。そんな掛け合いの面白さは、もちろん本作でも健在です。これを待ってた!!
望んでいたものを摂取できる嬉しさが、全身からあふれ出ちゃう……。
オカルトミステリーのはずなのに、シリアスな雰囲気にしれっと混じるコミカルさが楽しくて、さくさく読み進めてしまいます。時に重たい設定も出てくるからこそ、軽いノリに救われるという要素もあるんですよね。
今回も豊富な立ち絵差分が、その会話劇をますます楽しく彩ります!
冒頭シーンのテキストネタバレになってしまうのですが、いくつか紹介させてください。たとえばゲーム開始冒頭、勇佐が海女として「素潜り漁」に挑むシーン。
……船上で親友のアザミに「準備はいいか」と尋ねられた時、真剣な顔でこう答えるのです。
「ああ、万全だよ。今ならサメに襲われても泳いで逃げ切れそうなくらい身体が軽い」
「そう……今のおれは素潜りのために生まれてきた
素潜りの申し子 素茂栗 漁太郎(すもぐり りょうたろう)なのだ……!」

????????
クソ真面目な顔で何いうてんねん??????
物語を読み進めるうち、彼にはある切実な目的があり、そのために素潜りに挑んだことが分かるのですが、だとするとなおさら「このトンチキな言動はなんなんだ!?」と、プレイヤーをさらなる混乱へと叩き込んでくるのが勇佐の恐ろしいところです。
小林元氏の描く画力の高いイラストとの相乗効果で、さらに破壊力を増す味わいになっており、
「あぁ…帰ってきたな、俺たちの『パラノマサイト』が」と胸が熱くなります。
ちなみに、この素っ頓狂な素茂栗 漁太郎に対する、親友アザミの反応はこれ。
「おう。よぉわからへんけど、頼もしいな!」
このいなし方よ。さすが幼馴染ですわ~~~~~~~~!
アザミがいい奴だから勇佐が心置きなくボケをやれるんだろうな~~!
こういうちょっとした受け答えにも互いの関係性が伺えて、心が温かくなります。
その他にも、キャラ紹介で「ヒロイン然とした少女」と評した里ちゃん。
あの楚々とした雰囲気からは考えられない反応を返してくるんですよ。
つかさちゃんから相談を持ち掛けられた里ちゃんは、
胸を張って得意げにこう言い放ちます。
「困りごとなら この《亀島の生ける生き字引》こと
茂野尻 識子(ものしり しきこ)にお任せあれ。」

お前もかーい!!!
天丼で偽名シリーズネタをやられるとは夢にも思わず、ひっくり返ってしまいました。
まさかこの美少女がトンチキギャグを? そういうタイプの子だったの?
いや、思い返せば『パラノマサイト』は大体みんなこうだったかもしれない……。見た目に騙されるな。
そんな里ちゃんの渾身のボケに対して、友人つかさちゃんは
「おお。ようわからんけど、すごそうやな識子ちゃん。」
大体アザミと対応が同じですが、ちゃんと相手のボケに乗ってあげてる優しさもグッド。やっぱノリが似てる友達っていいね!
それにしても、本作はキャラたちの距離感が安心感バツグンで、そこもすごい。友達/仲間同士でも、センシティブな話題にはぐいぐい踏み込まないところが絶妙です。
物語内ではシリアス寄りのはずの主婦も、ふとした瞬間にお茶目な顔をのぞかせます。

「くううんっ!」じゃないんだよ! このギャップがたまりません。こういうとこ見せるから弟子も「やれやれ」(保護者ヅラ)ってなっちゃうんじゃないのぉ?

おうちにかえりたいなぁと駄々をこねる主婦を諫める弟子。
人妻の尻を叩くのも大変そうだなあ。……エッチじゃないですよ。
もちろん、おもしろ会話劇ばかりではなく……カッコいい呪術合戦(?)もあるぞ!

でも選択肢はちょっと面白い。まあこれも「戦いの駆け引き」なので!
要所で光るギミックの数々。素潜り漁ミニゲームで君もマーメイド(海女)になれ!!
ついついキャラの掛け合いにキャッキャしてしまいましたが、この調子だと無限に語ってしまいそうなので、今回の新要素を紹介しましょう!
前作では基本的に2Dイラストでの表現が主でしたが、今作では随所に3D表現がはさまれています。
一番分かりやすいのは海のシーンで、ビジュアルの進化を如実に感じて驚きました。
船で沖に乗り出す時にも、リアルタイムにさざ波の立つマップは「海に来た」という臨場感がありわくわくします。
謎解きギミックもボリュームアップし、シナリオの要所に出現します。ネタバレになるのですべては見せられませんが、ちょっとだけご紹介すると……。
アイテムを活用し、360°パノラマMAPに隠された謎を解き明かせ!
これも『パラノマサイト』の醍醐味ですね。
そして白眉は、冒頭から遊べるミニゲーム「素潜り漁」です。作中では勇佐を操作して、海中に棲むさまざまな生物を捕まえていくのですが、これがシンプルながら妙に面白いんです。
捕まえた獲物に応じてポイントを獲得し、「海女ランク」が上昇。それにともなった成長要素や、獲物のサイズによる収集要素などがゲーマー心をくすぐるのか、ついつい時間を忘れて取り組んでしまう魅力があります。
軽く流れをご紹介すると……まずは海面から「潜る」ボタンを押して、素潜り漁開始!
画面の「!」マークに獲物となる貝がいるので、それを採っていきます。
画面下部にある水色のバーが「酸素ゲージ」。これがなくなる前にボートへ戻るべし。
がはは! いきなり溺れ死んだわ!!(さくっとリトライできます)
少しコツをつかめばぐんぐんと海女ランクを上げることができます!
稼いだ海女ランクポイントを使って、各ゲージを強化していけば、あなたも立派な「素茂栗 漁太郎」になれるってワケ。目指せ次代のマーメイド。
これがなかなか楽しくて……。サバイバルゲーム好きなせいか、つい無心で潜ってしまう。
章の間の息抜きにもいい。今日はアワビが大漁だー!!
(※このゲームは青春群像伝奇ミステリーADVです)
ステキなガイドとともに、観光気分で巡る“伊勢志摩”バーチャルツアー
おっと、パノラマビューで臨場感が溢れるのはギミックやミニゲームばかりではありません!ここからは、本作の観光大使ことアヴィ&キルケと巡る、美しい伊勢志摩の景色を一部ご紹介しましょう。
まずはなんといっても伊勢の海。青く広がる大海原に、キルケちゃんも「最高だね」とご満悦です。
ほかにも朝熊山(あさまやま)の展望台からの絶景を満喫したり……
ちょっとニッチなところでは、後の市町村合併で津市と合併することになる安濃町(あのうちょう)の様子を楽しんだり……

とにかく、昭和後期の伊勢を満喫できます。
背景の海景色も波が動いたりして実に美しく、プレイ中は観光旅行気分に浸ってガッツリと楽しませてもらいました。パノラマビューでぐるぐる周囲を見渡せるのも旅行っぽい。
風光明媚な地を眺めつつ、なじみ深い童話や史実の話を聞いて「えっ、それも手がかりになるの?!」と驚いたりするのもオツですよね。ばらばらの手掛かりがチェーンのようにつながるこの感覚、前作でも感じたやつだ!
もちろん、伝承や資料はしっかりゲーム内でフォローしてもらえるので、安心して物語に没入できます。あと、伊勢志摩地方の現地情報がてんこ盛りだったので、聖地巡礼がはかどりそうでもあります。
普段は出不精オタクながら「ゲームの舞台になった場所を見てみたい」という気持ちが湧いてきました。
……さて、「なるべくストーリーのネタバレなしで」というスタンスで、『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
筆者としては、とにかく“ネタバレなし”というのが歯がゆかったです! 「ここが最高なんだよなあ~~」という所を事細かく紹介できないのがもどかしい!
つまり「本作の魅力はこんなもんじゃないので、ぜひ実際に遊んで欲しい」というオチにするしか……ないッ!!!!
『パラノマサイト』シリーズ独特の、オカルトとミステリとユーモアを混ぜて煮込んだ熱い人間ドラマを、ぜひ味わってください!!!(いちファンの叫び)
ということで、筆者はこのあたりで筆を置かせてもらって、まだ見つけていない「なめどりシール」を探してこようと思います。
(今作にもあるぞ、探索中の収集アイテム! 面白要素が増えているのでお楽しみに!)
人魚伝説を巡り伊勢志摩で展開される謎を追う群像劇ミステリーアドベンチャーゲーム『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』は2月19日よりNintendo Switch 向けに発売中。2月20日からはPC(Steam)にて発売される予定ですので、ぜひ皆さんもプレイして、夏と海と青春を心ゆくまで浴びてください!
















