SeaDadsは野戦病院で働く医師が主役のゲーム『FTD Fixin’ To Die』をリリースした。0ドルから好きな金額を支援できる。
本作は規定時間内でゲームを作り上げるゲームジャム「Ludum Dare 43」向けの作品として開発された。このゲームジャムでは、毎回ゲーム制作のためのテーマが設定される。今回のテーマは「Sacrifices must be made」で、日本語に訳するなら“必要な犠牲”といったところだろうか。
『FTD Fixin’ To Die』は野戦病院にやってくる兵士を助ける医師が主役のゲームだ。ジャンルはアドベンチャーゲームと言えるだろう。簡単な手術道具と自分ひとりしかいないこの野戦病院では、すべての兵士を救うことは出来ない。怪我の具合によって治療の優先順位を決めるトリアージではなく、必要であれば見殺しにする決断をしなければならない。
兵士には確率が表示されており、これは体力ではなく治療の成功確率だ。高いほど手術は成功しやすいが、手術が失敗するたびに徐々に成功確率は減っていく。
毎日10人前後の患者がやってくるが、ベッドはふたつしか用意されていない。ベッドに寝ている兵士の治療が遅れれば遅れるほど、治療を待つ兵士たちの長蛇の列ができる。治療を待つ兵士たちは、徐々に手術の成功確率は減っていく。できるだけ早期に治療を行わなければならない。
ゲームでは野戦病院での4日間が描かれる。毎日事前に設定された人数の傷病兵がやって来て、クリアするには指定された割合の兵士を助ける必要がある。逆に言えば、指定された割合さえ救えれば、それ以外は見捨てても良いことになる。
上記のスクリーンショットでは10人の中の70%、7人を救えば良い計算だ。3人は見捨てても良い。
治療を断念した兵士は、院内右上のゴミ箱のような容器に捨てられることになる。しかし、見捨てられた兵士は最後にひとつ輸血パックを作り出す。この輸血パックはほかの兵士に使うことで、治療の成功確率を約50%上昇させることができる。今回のテーマ「Sacrifices must be made」はここに掛かっている。
4日間を無事に終えると、エンディングやスタッフロールのかわりに死亡した兵士の名前と死因が順番に表示される。
一発ネタのようにも見えるゲームだが、上記の輸血パックや、手を洗うことで手術の成功率を上げる洗面台はゲームが進むごとにひとつずつ追加されていく。徐々にゲームの難度と複雑さが上がっていくこともあり、丁寧に作られていることを感じる。
BGMやボイスも収録されており、治療するときは「少し痛むぞ」、見捨てるときは「今は眠れ兵士。お前はきっと誰かを救う」などいくつかの台詞が用意されている。欲を言えば4日と言わず、もっと長い期間兵士の治療を行いたいと思うほど、小粒ながらも面白いゲームだ。
Itch.ioページには総勢1200ものタイトルが登録されたLudum Dare 43。今月いっぱいは優秀なゲームへの投票期間となる。来年はじめには優秀作品が選出、発表される予定だ。
文/古嶋誉幸