『Destiny』シリーズの開発を手がけるBungieは11日、8年にわたってパブリッシャーとして提携してきたActivision Blizzardとのパートナー契約を終了する意向を明らかにした。『Destiny』シリーズの販売権はActivisionからBungieへ移行する予定で、同社は再び独立スタジオとして『Destiny 2』の開発を続けていく。
Bungieは、マイクロソフトの『Halo』シリーズを生んだアメリカのゲームスタジオ。2007年にマイクロソフトから独立し、長きにわたって制作してきた同シリーズと決別。その後、2010年にActivisionとパブリッシング契約を締結した。2014年9月に発売された『Destiny』は、初日から5億ドルを超えるセールスを記録するほどの大成功を収めた。
一方で、2013年にヴィヴェンディ・ゲームズから独立して以降、近年影響力を増すActivisionとは以前から『Destiny』シリーズの運営方針をめぐって軋轢が生じていることがささやかれていた。業界メディアKotakuは、両社が袂を分かつことになった主な原因の一つは、毎年秋季に新コンテンツのリリースを義務付けたActivisionの経営方針だったと指摘する。
Activisionは更新頻度の高いコンテンツモデルを投資家に約束しており、新規のカジュアルユーザーを可能な限り多く引き込むことに専念してきた。こうした背景から、2017年に発売された『Destiny 2』は熱狂的なすべての前作ファンを満足させるには至らなかった。結果、Bungieは数ヶ月後にコンテンツの大幅な作り直しに追われることになる。昨年9月に拡張コンテンツ『Destiny 2: Forsaken』がリリースされた際には、従来のハードコアユーザーの御眼鏡には適ったものの、Activisionが要求する販売基準には満たなかったことが、同社の収支報告から明らかになっている。
今回の声明でBungieは、Activisionと提携した2010年は業界の事情が現在と大きく異なっており、独立スタジオとして新たなIPを立ち上げるためには、大手パブリッシャーの影響力が必要不可欠であったと、当時を振り返っている。この8年間で成功を収められたのはパートナーとして共に『Destiny』を世に送り出したActivionのおかげであるとした上で、『Destiny』というコミュニティをBungieのみで発展させていくための時は満ちたと、今後の展望を述べた。
Activision側も契約終了に合意する共同声明を出しており、今後は自社のIPにより一層注力していくとしている。なお、PC版『Destiny 2』については、Activision BlizzardのプラットフォームBattle.netが引き続きサポートしていくことが明言されている。
ライター/Ritsuko Kawai