Take-Two Interactiveは、Rockstar Gamesのマルチプレイクライムアクションゲーム『Grand Theft Auto Online』のチートツール「Elusive」を販売していた、フロリダに住むジョニー・ペレス氏を起訴。被告の欠席裁判の結果、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は損害賠償金15万ドルと弁護士費用の7万ドルを合わせ、22万ドル(約2400万円)の支払いを命じた。海外メディアTorrent Freakが報じている。
連邦地方裁判所は金銭面での罰則だけでなく、今後も一切の侵害行為の継続を禁じる永久差止命令も合わせて決定した。
15万ドルという金額は、知的財産の侵害といった被害額の算出が難しい損害に対する法的な救済措置として定められた、故意による侵害行為に対する法定損害賠償の最大額となっている。意図的かつ直接的な著作権侵害、ならびにTake-Twoのユーザー契約における違反が認められた。2018年に15万ドルの損害賠償を求めて始まったこの訴訟は、Take-Twoの完全勝訴という形で決着がついた形だ。
この判決に対しキャステル判事は「Take-Twoはペレス氏の侵害行為によって取り返しのつかない害を受けており、訴えられない限り被害は続くだろう。ゲームを意図しない方法で改変し、慎重に行われるゲームバランスの調整を破綻させ、ユーザーを落胆させる。また、チート行為による無制限のゲーム内通貨の増殖は、Take-Twoによる正当な仮想通貨の価格設定と販売を損なった。」としている。
2016年には海外メディアGamespotが『Grand Theft Auto Online』のマイクロトランザクションが5億ドルもの収入を得ていることを報じている。マイクロトランザクションは少額課金とも訳されるが、そこからの収入はけっしてマイクロなものではない。今回のチートツール販売による訴訟金額は収入に比べれば微々たるものだが、現在と将来的に大きな損害をもたらす要因として決して無視できないものだ。
チートツール販売による訴訟と高額な損害賠償は度々メディアを賑わせている。2017年にBlizzard Entertainmentは、チートツール販売元から850万ドルの損害賠償を勝ち取っている。また、訴訟のリスクはチートツールを販売する業者、個人だけが背負っているわけではない。2017年に『Fortnite Battle Royale』がチート行為を行っていた14歳の未成年が、Epic Gamesから起訴されている。最終的には和解という形に落ち着いたが、未成年でチート利用者側という立場であっても訴訟のリスクは免れない。
ゲームを楽しむすべての開発者並びにプレイヤーとチーターとの戦いはまだ終わらないが、いつの日かそういった行為が消え去る日が来ることを願ってやまない。
ライター/古嶋誉幸