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『Layers of Fear 2』の13分に及ぶゲームプレイ映像が公開。映画俳優の狂気の果てに待っているのは「吸血鬼」?

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 Bloober Teamが開発している『Layers of Fear 2』の13分にも及ぶデモプレイ映像が公開された。同作のプラットフォームは現在のところ不明、2019年内の発売を予定している。

 本作の主人公はハリウッド黄金時代のスター俳優。舞台は大西洋横断クルーズをしている豪華客船で、その船内ではある偏狭な映画監督の指揮のもと映画撮影が進められている。また映画史をモチーフにしており、『Layers of Fear 2』というタイトルが明かされる前は「プロジェクト・メリエス」と名乗っていた。これは初の物語映画『月世界旅行』で知られる映画製作者ジョルジュ・メリエスから取られている。

 『Layers of Fear 2』のデモプレイ映像を観ると、前作『Layers of Fear』が画家の狂気に侵されていたように、本作もまた映画監督から叱責され、ろくに睡眠を取れないスター俳優が役に没頭するあまり狂気に陥り、妄執を見ている。素直に受け止めるとそうなるだろう。

 だが、前作『Layers of Fear』が巧妙だったのは、画家の精神世界を描いていたモダン・ホラーのように見せかけて、娘の視点から描いたDLC『Layers of Fear: Inheritance』ではまったく違う結末を用意していたことだ。それはエドガー・アラン・ポーの短編小説『アッシャー家の崩壊』を想起させるゴシック・ホラー的な真相だった。本作にも同様の仕掛けがあるのかもしれない。

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(画像は「Layers of Fear 2 Gameplay Demo」より)

 特に目につくのが、デモプレイ映像に登場するいかにも吸血鬼が入っていそうな棺桶だ。実はホラー映画だけでなく、吸血鬼と船舶というのはブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』で重要なモチーフである。ルーマニアのトランシルヴァニアに古城を構えるドラキュラ伯爵は、大量の棺桶を貨物船に積み、また自身も棺桶に入ってブリテン島に渡り、ロンドンに災厄を振り撒く。

 また『Layers of Fear 2』でモチーフになっている映画監督ジョルジュ・メリエスは、『月世界旅行』など、ファンタジックな作品がよく知られているが、『The House of the Devil』というホラー映画も撮っている。これは世界は初めての吸血鬼映画といわれている。

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『吸血鬼ドラキュラ』が書かれた背景となった外国恐怖症については、本書が詳しい。
(画像は東京大学出版会 | 『ドラキュラの世紀末―ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究』より)

 『吸血鬼ドラキュラ』における船舶とは、コレラのような文明を滅ぼすほどの災厄が外国からイギリスに運ばれてくるメタファーだった。だが、本作の時代設定はハリウッド黄金時代なので病原菌のメタファーは通用しない。映像の終盤に出てくる血まみれの人形たちは、大量殺戮の象徴のようにも見えるが、はたして。

 いずれにしろ前作と同様に謎に満ちた作品となっている『Layers of Fear 2』。具体的な発売日やさらなる情報など、今後の続報に期待したい。

ライター/福山幸司

ライター
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福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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