Pandora Gamesは、5000年前の古代エジプトで遊ばれていたボードゲーム『メヘン』(Mehen)を現代に復刻するため、Kickstarterで支援者を募集し始めた。149ドル以上の支援で、堅木で作られたふたりプレイ用のセットがリワードとして手に入る。また、395ドル以上の支援で最大6人までプレイできる『メヘン』と、『メン』(Men)と呼ばれるもうひとつの古代エジプトのボードゲームが手に入る。
目標額は3000ドル。すでにゲームの開発とデザインは完了しており、あとは製造材料の確保と生産を残すのみとなっている。
『メヘン』は、古代エジプトの蛇の神であり、太陽神ラーの冥界の旅を守護したと言われる「蛇神メヘン」の名前が与えられたボードゲームだ。紀元前3000年頃のエジプト第1王朝の時代から、第6王朝の時代頃の墓で発見されている。紀元前3500年頃に誕生したと言われるボードゲーム『セネト』より500年ほどあとに登場したゲームだ。
古代エジプトで遊ばれていたボードゲームとしては、『セネト』の盤面が直線的な配置になっていたのとは対象的に、『メヘン』のボードはとぐろを巻いた蛇の姿になっている。現在では、いくつかの墓所から10種類の『メヘン』のセットが発見されており、ボードのマスの数はそれぞれ異なっている。ライオンの形状で作られていることが多い大きなコマと、小さなコマ、そして棒型のダイスが用いられていたようだ。
そしてほかの古代のボードゲームと同様、『メヘン』のルールが記されているような資料や壁画は現在発見されていない。現存するゲームのセットから、いわゆるすごろく型のボードゲームで、尻尾の先から中央の蛇の頭に向かって進むか、あるいはその逆に外に向かうゲームだとは考えられている。
Pandora Gamesは、『メヘン』の複雑で特異な盤面と、太陽神の冥界の旅を守護した蛇を模したデザインという宗教的な側面から、単純なルールのゲームではないと予想。それらの点をゲームデザイナーのザック・ホートン博士が念頭に置き、今回復活させる現代版『メヘン』のルールを設計した。
その現代版『メヘン』では、各プレイヤーは6つのポーン(小さなコマ)とひとつのライオンを持つ。各プレイヤーはターンごとに4つの棒ダイスを使ってポーンとライオンのうち2つのコマを動かす。ポーンは蛇のしっぽから頭へ、ライオンはそれを阻止するために頭から尻尾へと進む。ライオンの妨害をかわしながら、先に3つのポーンをゴールさせたプレイヤーが勝利となる。
なお395ドル以上の支援で貰える『メン』は、四角いコマを使った16ラインの非対称型のボードゲームだと言われている。エジプト第3王朝の医師ヘシ・ラの墓所で発見された絵に『セネト』と『メヘン』と共に描かれていたようだ。ゲームの完全なボードやコマのセットは見つかっておらず、ルールも不明。こちらもPandora Gamesがルールを新たにデザインしている。
古代のエジプト人が遊んでいたロマンあふれるボードゲームに現代的なルールの解釈を試みた『メヘン』。興味がある方はKickstarterでゲームを支援してほしい。
ライター/古嶋誉幸