家で過ごす時間が多くなっている今のご時世。多くの配信者が、さまざまな工夫をして視聴者を楽しませようと奮闘している。電ファミニコゲーマーでは、プロゲーマーである梅原大吾が『Undertale』の配信をしたことを紹介した。他ジャンルのプロが、ゲームの配信を行うと今までに見ることのできなかった姿を見ることができて新鮮だ。
そんなゲーム配信のあり方が盛り上がっている今、レジェンド格ゲーマーから若手格ゲーマーが集まって行われた、雪山人狼こと『Project Winter』の配信が注目を集めている。
『Project Winter』とは、まさに雪山で人狼を行うゲーム。8人のプレイヤーは「サバイバー」と2人の「トレイター(人狼)」に分かれてサバイバルする。「サバイバー」の目的は、設備の復旧を進めながら時間内の雪山の脱出を目指して生き残ることだ。一方「トレイター」は、その脱出を阻止することが目的となっている。
人狼と大きく異なる点は、フィールドでプレイヤー同士が離れると声が遠くなり、聞こえなくなってしまうという仕様だ。これによって「トレイター」は、脱出の協力をすると見せかけて、どこか遠くで「サバイバー」を殺してしまうことができる。そんな、会話の要素が重要となるゲームに参加したのが、以下の格ゲーマーたちだ。
・ウメハラ
・アール
・こくじん
・総師範KSK
・しょうへい
・カワノ
・板橋ザンギエフ
・どぐら
・ナウマン(ルール説明として参加)
古くから知られている、ウメハラやこくじんなどのレジェンドプレイヤーから、若手のカワノ、しょうへい。倍近い年齢差のある幅広いプレイヤーが一堂に集まる、ファンにとっては衝撃的な配信となっている。この記事では、配信の見どころをピックアップしていく。
まずは、このゲームのインストール。ソフトのインストールという意味と、テーブルゲームにおけるルール説明の意味のインストールのふたつからこの配信の面白さは始まっている。プレイヤーのほとんどがこのゲームが初体験で、円滑に進めるためだけにナウマンが登場し、前半はずっと説明をしている。
そもそもSteamのフレンド招待や、PCのマイク設定が分かっていない人たちに1から説明するのは大変で、さらに誰も話をしっかりと聞いていないので、これだけで2時間近くの時間を要している。それでも説明を忍耐強く進める若手格ゲーマーのナウマン。「EVO Japan 2020」の『ストリートファイターV AE』部門で優勝することができたことに納得する。
無事ゲームが始まると、人狼慣れで知られるこくじんが続々と人を疑いまくって会話を進めようとする。
みんな人狼はある程度分かるが『Project Winter』の目的がナウマンの話をちゃんと聞いていないので分からない。
ウメハラは、このゲームでもっとも危険で怪しいとされる単独行動を続け、なんと餓死してしまう。
しかし、みなゲームで賞金を稼ぐ者。ある程度操作し慣れてくれば、駆け引きの面白さにも気が付いてくる。
この回は、板ザンとKSKが「トレイター」で、ふたりはカワノを連れ出して殺そうと計画していた。しかしクマが襲ってきて、板ザンが「まずクマ!(を倒そう)」と、怪しい失言をしてしまう。カワノはそれに気が付き、即座に逃げ出した。若手の勘の良さが発揮されたシーンのうちのひとつだ。
みんながルールを理解すればするほど、この配信は面白くなっていく。この回は自分の役職を言っていこうという話になるのだが、トレイターのこくじんは嘘をつかなくてはいけない場面で「市民だよ!」と、存在しない役職を回答してしまい、すぐに殺されてしまう。
「メタい質問は反則だろ」と不満をつのらせるが、もっとうまく嘘をつけば面白くなるんだと、すぐに反省しこのゲームの魅力に気が付き始める。
早い段階でトレイターをあぶりだすことができたため、サバイバーは雪山の脱出に専念することができた。しかし、このゲームは動物がとても強いという障害に直面する。
続々とプレイヤーが動物に襲われ、最終的に残ったウメハラとしょうへい。すでに死んだみんなでふたりを見守る中、見事にクマに殺されてこの日の配信は終了した。
この日は、一度も脱出を成功させることはできなかったが、どのプレイヤーも非常にこのゲームを気に入り、早速次の日も集まって配信を行っている。格ゲーマーたちが、格ゲー以外で集まってアットホームな会話を展開する機会はほとんどないので、非常に新鮮な配信となった。
外に出れず、家で過ごす機会が増えて退屈をしている人も多いと思うが、この状況だからこそ生まれるコンテンツが多く発生してきている。これからも配信のあり方が進化していく過程を存分に楽しめていければと願っている。
文/tnhr