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ヨコオタロウ氏によるTwitterのアンケート機能を使ったゲームブックを展開。「コロナ大魔王」に立ち向かうドラクエ風残酷奇譚

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 『NieR:Automata』を代表作にもつゲームクリエイターのヨコオタロウ氏は、Twitterのアンケートと連続投稿の機能を活用したゲームブックを4月12日(日)から展開している。これはストーリーとともに、次の展開を書いた選択肢をアンケートで提示するというもので、投票結果によってストーリーが分岐する趣向が凝らされている。

 そのあらすじは「“コロナ大魔王”に支配されてしまった世界で、主人公が大魔王に立ち向かっていく」という『ドラゴンクエスト』シリーズなどの王道の物語を彷彿とさせるもの。しかしそこはヨコオ氏が手がけるストーリーであり、一筋縄ではいかない選択肢が提示され、残酷で世にも奇妙なストーリーが展開される事態となっている。

 それなりにボリュームのある内容なので、どのようなストーリーなのか要約してみよう。

 母親と村で暮らしていた少年(=君)は、ある朝、母親から「ショートカットしたい時はこの選択肢を選びなさい」と言われ、その選択肢を選んだ君は、気付けばダンジョンの中にいた。しかも周囲には4人の美少女戦士たちの遺体が。そこに突然「仲間を殺し、冒険した12年間の記憶も消してやったぞ!?」と重たい声とともに、世界を支配するコロナ大魔王が現れる。

 唇をかみ締めた君は、マンガ『BLEACH』でおなじみの「卍解」とつぶやき、特殊能力「カツオの叩き」を解放。大魔王に傷を負わせ、そこに九条ネギと濃硫酸で作ったポン酢を流し込んだ。トドメを刺そうしたそのとき、君の背後には、なぜか甲冑を身にまとった母親が現れる。

 「私、母親としての自分じゃなく、女としての自分を選んだの」と殺気を放つ母親に君は反撃するが、母親には通じない。それどころか左腕が切り落とされ、絶体絶命の窮地に陥る。そこで君は床に転がった自分の腕に向けて、ザオリクを詠唱。だが、その腕の切断面からは肉が盛り上がりはじめ、最終的には「もう一人の君」となった。

 腕から生まれた君は、母親の首をへし折り、「君だったもの」が出血死することを見届ける。続けてコロナ大魔王を壁に串刺しに。だが、コロナ大魔王も諦めない。君に唾を吐きかけ「ウイルスに感染させてやったぞ!」と反撃。だが君は「その時間を使ってどんな拷問が出来るか想像してみろ」と言い放ち、拷問を試みようとする。しかし、そこにヌイグルミを抱えた幼児が現れ、大魔王は「その子に手を出すなッ!」と狼狽。はたして君がそこでとった行動とは……。

 選ばれなかった途中の選択肢には「展開が意味不明なのでリセットする」「母親の眼をエグる」「ゾンビ化した母親」といった展開があり、仮にこちらが選ばれいたらどのようなストーリーになっていたのか気になるところだ。なお、序盤では選択肢に限らず、主人公が美食家という奇抜な設定が登場し、「卍解」の選択肢が食に関するものという謎の展開も見せている。

ヨコオタロウ氏によるTwitterのアンケート機能を使ったゲームブックを展開。「コロナ大魔王」に立ち向かうドラクエ風残酷奇譚_001
(画像はプラチナゲームズ公式ブログ「『NieR:Automata』ディレクター、ヨコオタロウさんに学ぶシナリオ制作術 徹底レポート!」より)
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(画像はプラチナゲームズ公式ブログ「『NieR:Automata』ディレクター、ヨコオタロウさんに学ぶシナリオ制作術 徹底レポート!」より)
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(画像はプラチナゲームズ公式ブログ「『NieR:Automata』ディレクター、ヨコオタロウさんに学ぶシナリオ制作術 徹底レポート!」より)

 特に衝撃的なのが、主人公が途中で死んで入れ替わっている点だろう。Twitter上で、このようなゲームブックを展開するのはヨコオ氏らしい遊び心に溢れた興味深い試みといえるだろう。そして残虐性に溢れたストーリーは、ひとまず終局を経て「ハッピーエンド」を迎えた(?)。だが、そこはヨコオ氏、ストーリーはさらなる複雑な局面に入りはじめている。

 なおヨコオ氏はかつてプラチナゲームズにて、シナリオ制作術を披露して、その模様はプラチナゲームズ公式サイトに掲載されている。今回のゲームブック風の連続投稿と合わせて、参照してみてもいいかもしれない。

ライター/福山幸司

ライター
ヨコオタロウ氏によるTwitterのアンケート機能を使ったゲームブックを展開。「コロナ大魔王」に立ち向かうドラクエ風残酷奇譚_004
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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