新型コロナウイルスの感染拡大により学校教育は大きな影響を受け、世界中で今も遠隔授業を行う学校は少なくない。そんな中で一部の教師たちは、ビデオゲームを使った授業に注目しており、これまで『スーパーマリオ オデッセイ』を授業に使った例や、『Assassin’s Creed Odyssey』を使い修学旅行を実施した学校が話題になった。
ポーランドの古都、ポズナン市にある高校「Szkoła33」はさらに近未来的だ。VRゲーム『Half-Life: Alyx』を使った授業を実施し、象徴的な冒頭のシーンである「実際に書き込めるペンとガラス」を黒板として使ったり、フィールドワークとしてゲームの世界を歩き回ったりした。動画にはVRヘッドマウントディスプレイをつけた教師の様子も同時に表示されており、かなり未来的な風景だ。
海外メディアUpload VRのインタビューによれば、この授業は地元のメディア企業「OFFshot」と学校が協力して実施されたそうだ。VRヘッドセット「HTC VIVE Pro」と3台のカメラが使用されている。わずか30分ほどのトレーニングを経てVR授業は実施されており、ほとんどぶっつけ本番だったそうだ。
ポーランドでは2020年3月11日に新型コロナウイルスの感染拡大により学級閉鎖、3月25日にオンライン授業が義務化された。英語とスペイン語教師のカタジナ・スット氏は、英語のVR授業はかなりうまくいったとUpload VRに語っている。学校の全ての学年の生徒が集合し、Facebookのライブストリーミングを視聴していたという。肯定的なコメントも多く、多くの生徒がこの授業を楽しんだようだ。
この高校の取り組みはポーランドのメディアを通じて国中が知るところとなり、人気の高さにより今後も定期的にVR授業を行うことも視野に入れていることが明かされた。
新型コロナウイルスの感染拡大により世界情勢が大きく変わっているが、適応して変化しているものも多い。働き方や学び方など、今後状況が終息した後でも有用な変化もあるだろう。
学校教育向けのサービスは『マインクラフト』からUnreal Engineなどのゲームエンジンまで、さまざまな企業が力を入れている分野だ。今後、ビデオゲームの技術を応用したオンライン授業向けのサービスに力を入れる企業が出てくるかもしれない。ゲームを使ったVR授業もコロナ以後にも有効活用される変化になりそうだ。
ライター/古嶋誉幸