CD Projekt REDは10月28日(水)、自社が開発するオープンワールドRPG『Cyberpunk 2077』(サイバーパンク2077)の3度目となる発売延期を発表した。マスターアップ宣言後の再延期となり、新たな発売日は12月10日の木曜日(参考記事)に設定されている。
英語圏へ向けた本家の公式Twitterアカウントによる延期を告げるツイートは10万回以上のリツイートで拡散され、2.6万件ものリプライでさまざまな反応が送られた。延期を悲しむ声や怒りの声だけでなく、開発陣によりよい作品を作ってもらいたいと応援する反応も見られる。
しかし一方で年末の期待の大作だったこともあってか、同社へは過激なメッセージも届いているようだ。同社のシニアゲームデザイナーであるアンジェイ・ザヴァツキ氏は自身のTwitterアカウントで、「延期の怒りや失望は理解していますが、開発者への殺害予告は絶対に受け入れられませんし、間違っています。私たちはあなたと同じ人間なのです」とツイート。今回の発表に対して殺害予告が寄せられていることを示唆した。
I want to address one thing in regards of the @CyberpunkGame delay.
— Andrzej Zawadzki (@ZawAndy) October 27, 2020
I understand you're feeling angry, disappointed and want to voice your opinion about it.
However, sending death threats to the developers is absolutely unacceptable and just wrong. We are people, just like you.
2012年にその存在が発表され、初めてのティザートレイラーが2013年に公開された『Cyberpunk 2077』。それから月日は流れ、『The Witcher 3: Wild Hunt』が発売されてから開発が少しずつ本格化。2020年4月に発売すると当初は発表されたものの、のちに9月に延期になり、11月に延期になり、そして今回12月へと延期になった。
そういった背景もあってか失望の声は多いが、なかでも延期発表の前日である10月27日に起きたTwitter上のやり取りが注目を集めている。「11月19日に仕事を休もうと思うんですが、その日にゲームが発売されるのは確実ですか?」というファンのPenguino氏の質問に対して「完全に間違いありません!」と公式Twitterアカウントが答えたというものだ。
このツイートをした氏にCD Projekt REDはなにかしらのギフトを贈っているという(参考ツイート)。
一方でPenguino氏は、そのギフトと同額の寄付を地元の慈善団体へ贈ることを明かしている(参考ツイート)。また、『Cyberpunk 2077』のTwitter管理者を責めたりせず、お互い親切でいてくださいとコメントし、あくまで紳士的な態度を取るよう呼びかけた。
Full confirmation!
— Cyberpunk 2077 (@CyberpunkGame) October 26, 2020
『Cyberpunk 2077』の公式Twitterアカウントや延期発表のツイートには、「延期しても良いので従業員の健康を守って欲しい」といった旨のコメントも散見される。9月末には『Cyberpunk 2077』のローンチに向け開発に従事するスタッフが週6日の労働を指示されたとのブルームバーグの報道があり、スタジオの代表が「チームの大半は理解してくれている」と事実を認める一幕があった(参考ツイート)。
海外メディアのYouTube番組「Game Informer Show」では「ゲームを延期するか、残業するか」という問いに従業員の大多数が残業することを選び、週6日間の労働に従事していたことが明かされている。ただし、ポーランドとアメリカの労働文化は異なり、いわゆるクランチとはまったく異なるという。
その一方で、企業の労働環境について取材を続けるジャーナリストのジェイソン・シュライアー氏は「クランチではない」という発言に異を唱え、6人の従業員にインタビューを行ったところ、延期か残業かを選択するようなミーティングは行われなかった証言を得たことを明かしている(参考ツイート)。
『サイバーパンク2077』の延期発表へはさまざまな反応が見られるが、いずれも本作への高い関心を示す規模のものとなっている。『サイバーパンク2077』は12月10日(木)にリリース予定だ。
ライター/古嶋誉幸