ビデオゲームの世界にはさまざまな実績やトロフィーがあり、ときにはプレイヤーのスキルではどうにもできない奇妙なものも存在する。2020年3月にValveからリリースされVR専用のFPSとして高評価を得た『Half-Life: Alyx』では、新たな実績「ノーム・アローン」が追加された。
この実績は現実世界のイベントと連動しており、11月20日にロケットを打ち上げるミッション「Return To Sender」の成功が実績解除の鍵となる。ロケットにはゲームに登場する置物「ノーム・チョムスキー」のレプリカが搭載されており、このノームが見事宇宙にたどり着けば実績解除というわけだ。
そもそも、なぜ『Half-Life: Alyx』に登場する人形がロケットで打ち上げられようとしているのか。それはこのミッションを遂行するRocket Labにゲームを開発したValveのゲイブ・ニューウェル氏が協力しているからだ。
ニューウェル氏はこの打ち上げを視聴した人ひとりに対し、1ドルをニュージーランドのスターシップ小児病院の小児集中治療室に寄付するとしている(参考リンク)。また、3Dプリンターを使って作られたノーム人形も、将来の宇宙船部品に使用できる新しい3Dプリント技術をテストする目的で作られた真面目なものだ。
なおロケットでノームを打ち上げるという行為にも元ネタがある。『Half-Life 2 Episode 2』には「小さなロケットマン」という実績がある。これはゲームに登場するロケットにどこかに落ちているノームを乗せて発射すると解除される実績だ。そのため今回は、『Half-Life 2 Episode 2』にも「ノーム・アローン」の実績が追加されている。
ちなみにミッションが成功しても彼は再突入の際に燃え尽きてしまう予定で、その偉業はゲームの実績としてずっと残ることになる。はたしてノーム人形は宇宙にたどり着くことができるだろうか。
Rocket Labのエレクトロンロケットは、11月20日(金)10時15分頃から打ち上げに入る。様子は生中継され、視聴すれば小児病院に1ドル寄付も送られる。興味がある方は是非打ち上げのライブストリーミングに参加して欲しい。
ライター/古嶋誉幸