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Valve、脳とコンピューターを脳波や電気信号でつなぐ「ブレイン・コンピューター・インターフェイス」を研究中。ゲームへの活用も視野に

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 Steamや『Half-Life』シリーズなどで知られるValveのゲイブ・ニューウェル氏が、ニュージーランドのメディア1 Newsのインタビュー「ブレイン・コンピューター・インターフェイス」(BCI)について語った。

 BCIとは簡単に言えば、脳とコンピューターを脳波や電気信号を通じて繋ぐインターフェイスのこと。氏はインタビューの中で、BCIを使えば脳波でゲームを操作するだけでなく、ゲームから出力される情報を脳に直接伝えることもできるだろうと、まるでSF作品に出てきそうな未来の構想を伝えている。

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(画像は1 Newsより)

 ニューウェル氏によれば、現在ValveはオープンソースのBCIソフトウェアプロジェクトに取り組んでおり、改造VRヘッドセットのようなハードウェアから人々の脳の信号を読み取って開発者が解析しているという。

 また同社は、脳電気活動(EEG)、筋活動(EMG)、心拍数(ECG)、体の動きなどを読み取るための安価なハードウェア・ソフトウェアを研究するグループ「OpenBCI」とパートナーシップも結んでいる。同グループはValveの「Valve Index」などVRヘッドマウントディスプレイに連携できるように設計されたヘッドセットのデザインを2020年11月に発表している。

 BCI分野での研究を進めている氏は、「2022年までにテストラボにこういった設備をもっていないソフトウェア開発者は、馬鹿げた間違いを犯している」と、将来的にソフトウェア開発者なら誰もがBCIに関わることになるだろうと語る。

 BCIが具体的にビデオゲームでどう活用されるのか。氏はBCIでプレイヤーの脳波から感情を読み取り、退屈に感じていれば何らかの刺激を与えたり、ゲームの難易度を少し上げたりするといった利用を想定しているという。

 プレイヤーの感情をゲーム開発に反映する方針は、古くは『Half-Life 2』でも採用されるなど、Valveの開発の根幹に関わるものだ。同社とTurtle Rock StudiosはかつてゾンビFPS『Left 4 Dead』にて、プレイヤーの行動からゲームのイベントや難度を調整する「AI Director」を開発。ゾンビの登場の緩急をプレイヤーの行動から算出し、プレイヤーを飽きさせない工夫を行っている。

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(画像はOpenBCI公式サイトより)

 またニューウェル氏は、BCIを通じて自分自身を“編集することができる”ようになると未来を見据える。BCIを使えば、人々の感情をアプリを使うのと同じくらい簡単にデジタルで編集できるようになると考えているようだ。

 たとえば、どれだけレム睡眠が必要かを読み取り、脳に働きかけて睡眠を改善する。治療のために脳から不適切な感情を低減、あるいは完全に削除することも期待されている。
 もう少し身近な例として、VRヘッドセットによる3D酔いの低減も挙げられている。BCIは現在、3D酔いを人為的に抑制できるほどに進んでいるとニューウェル氏は言う。

 一方でニューウェル氏はBCI研究の暗部についても自覚的だ。BCIが肉体的な痛みを引き起こすことに使われる可能性を指摘している。ツールを使って「体が傷ついている」という信号を送れば、脳はそうだと受け取り痛みを感じる。一方で、ゲームならばその機能を使ってダメージを表現できるかもしれないとも考察している。

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(画像はOpenBCI公式サイトより)

 あまりにも未来的な発想で理解が追いつかないところもあるだろう。ただしニューウェル氏は技術自体には慎重な姿勢で、これまで研究した技術を使った製品を一般消費者向けに出荷することには躊躇しているという。

 視覚や音声情報などでプレイヤーの感情に訴えかけるこれまでのビデオゲームの常識を打ち破り、脳に直接感情を注ぐような技術は、それだけ危険もはらんでいるということだろう。

 なお2021年に入り、Valveは心理学者を対象にした求人を行っている。Valveが運営するゲーム配信プラットフォームSteamの顧客体験を向上させるほか、「将来のValveタイトルのための魅力的なゲームプレイ体験を作成」する業務に携わることになるという。 

ライター/古嶋誉幸

ライター
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一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros

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