イギリスのゲームパブリッシャーMode 7は、Ground Shatterの開発する『Fights in Tight Spaces』の配信をPC(Steam、GOG.com、Epic Games Store)とXbox One、Xbox Series X|S(Microsoft Store)向けにスタートした。
本作は昔のアクション映画のように華麗な技を放つスーツ姿の主人公が、室内などの狭い空間で多数の敵と戦う、インファイトをテーマとしたゲームだ。『Slay the Spire』に代表されるような、「デッキビルディング」と「ターンベースストラテジー」をミックスさせた内容となっている。
プレイヤーはマス目で区切られた戦闘フィールド上で、ターン毎にドローしたさまざまなカードを使用していく。敵の次のターンの行動はつねに表示されているので、それを考慮してどのカードを使うのか決めなければならない。ゲームを進めていくうちに新しいカードを手に入れてデッキを強化していくことができるが、敗北した場合はスタート地点に戻りまた一からプレイし直すことになる。
カードには大まかに分けて「移動」、「攻撃」、「ブロック」、「そのほか」の4種類の能力が設定されている。離れた敵に近づいて攻撃したり、攻撃した敵を動かしたり、敵の攻撃を防御して反撃するカウンターなど、4種の能力が複合されたものもある。
これらの手札を上手く使えばいろいろなコンボを狙うことが可能で、たとえば四方を敵に囲まれていた場合、「シフト」カードを使って相手の背中に回り、「プッシュ」カードで自分が居た場所に敵を移動させると、ターン終了時にその敵はほかの3人の攻撃を受けることになる。逆に移動カードが1枚もなく主人公がタコ殴りにされるなど、カードの引きによっては窮地に陥ることもあるので注意されたい。
また本作で面白いのが、早期アクセス版で追加されたリプレイ機能だ。プレイ中は戦略を練りカードを選ぶのでどうしてもゲームの進行は遅くなるが、リプレイはその手順を省いてアクション映画のような戦闘シーンを再生する機能となっている。ゲームのグラフィックはシンプルでかっこいいので、戦闘シーンはかなり映える。
このリプレイ機能のおかげで、いわゆる「魅せるプレイ」を追求する楽しみも出てくる。ただジャブで敵を倒すのではなく、豪快な回し蹴りで倒したり、攻撃を誘ってまるでピタゴラスイッチのように敵が自滅するように仕掛けたりと、「戦闘に勝つ」以上のことがしたくなる。
ゲームを進めるとバックドロップやサマーソルトキックのような大技のカードも登場するので、能力以上にかっこよさを追い求めるデッキ構築も面白いだろう。
『Fights in Tight Spaces』の言語は英語にのみ対応しているが、基本的に技の内容を説明する短文が分かれば、ゲームをプレイするのに支障ないだろう。攻撃範囲などはユーザーインターフェースにもグラフィカルに表示されるため、長文の読解能力はほぼ不要だ。もし内容が気になるなら、PCとXboxで無料のプロローグ版もプレイできる。
ローグライクデッキビルダーゲームの中では、ベースとなるデッキに入ったカードが使える物が多く、このジャンルの中では難度が低めになっているのも初心者に優しいといえる。内容はかなり面白いので、興味がある方はまずはプロローグ版を試して、気に入ったら早期アクセス版に挑戦してみて欲しい。
ライター/古嶋誉幸