ゾンビFPSの金字塔『L4D』という最高の基盤を受け継いだ『Back 4 Blood』は開発チーム自らが「ゲーマーとして愛せる作品」に。開発者インタビューから見えた作品に対する信頼

 10月12日の発売がいよいよ迫る協力型FPS『Back 4 Blood』(バック・フォー・ブラッド)。協力型ゾンビFPSの金字塔ともいえる、かの『Left 4 Dead』シリーズを開発したTurtle Rock Studios制作の最新作だ。

 初代『Left 4 Dead』は2008年に発売された。襲い来るゾンビの大群に最大4人のプレイヤーで立ち向かう協力プレイと、感染者と人間に分かれて戦う対戦プレイの2種類を主軸としたタイトルだ。これらメインとなるゲームプレイの軸は『Back 4 Blood』にも受け継がれている。
 2009年に発売された続編『Left 4 Dead 2』も高く評価され、2021年現在においてもSteamのアクティブユーザーランキングの上位50位に入るほど。現在も細かなアップデートがくわえられ続けている。

 『Back 4 Blood』は『Left 4 Dead』シリーズを踏襲しつつ、おもにリプレイアビリティの部分に大幅な強化がくわえられた。独自のカードシステムによってプレイするたびに異なる展開がプレイヤーを待ち受ける。さらに「ゲームディレクターシステム」により、プレイヤーのアクションに応じてボスや大群などさまざまな敵を相手取ることになるようだ。

 今回、電ファミニコゲーマーではスタジオの共同創設者で、本作のデザインディレクターを務めるChris Ashton氏にお話を伺うことができた。短い時間ながら『Left 4 Dead』から『Back 4 Blood』にかけて進化したポイントや、本作に注いだ熱い思いを聞くことができたため、ご一読いただければ幸いだ。

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Chris Ashton氏

 なお今回のインタビューでは時間の都合もあり、すでにいくつもの情報が公開されているシステムやゲームプレイの面は割愛。おもにコンセプトやアイデアにフォーカスした質問を通して本作の魅力をお話していただいた。インタビュー文については、通訳の方による翻訳をもとにまとめた文章となっている。

取材・編集/ishigenn
文/久田晴


──日本でも『Left 4 Dead』の制作陣が新たに送り出すタイトルとして注目されていますが、『Back 4 Blood』は開発当初はどのようなアイデアから産まれたのでしょうか。

Chris Ashton(以下、Ashton)氏
 そもそも開発基盤として良い作品ができあがっていましたので、そこからのスタートということになりました。すでに完成した作品を、より現代的に発展させていきたい、との思いから『Back 4 Blood』の制作を進めてきました。
 現代にあわせた進行システムや、銃のアタッチメントによるさまざまなカスタマイズ、また多様な弾薬の選定など、新たな要素を取り入れたのが『Back 4 Blood』です。

 また『Left 4 Dead』の長所として、アクセシビリティの良さが挙げられます。これは何としても継承したいポイントでした。どんな時でも「友達と一緒にプレイしやすいゲーム」にしておきたい、という気持ちがありました。

 もうひとつ、世界に希望を与えていきたい、と思っていました。未来を明るく照らし出すようなゲームにしたいと。ゲームを開始すると、まず「ホープ要塞」と呼ばれる希望の象徴であるキャンプから始まります。生存者である「クリーナー」たちが人間の世界を取り戻すためにゾンビと戦う、希望に向かう物語を描きたいと考えました。

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(画像は『Back 4 Blood 』Steamストアページより)

──ゲームの基盤として良い作品、というと『Left 4 Dead』のことかと思いますが、やはり『Left 4 Dead』でベーシックな部分は完成していたという意味でしょうか。

Ashton氏:
 おっしゃるとおり『Left 4 Dead』の、キャラクターを動かしたり銃を撃ったり、といったアクションに関する感覚や、ゾンビを倒すときの感触などはかなり完成度の高いものだと思います。そのため、『Back 4 Blood』ではそれ以外の部分に注力し、新しい作品を作り上げることが目的となりました。
 我々が目を向けていたのは、シナリオやゲーム中に登場するミッションといった部分です。けっして新しいジャンルや再構築を狙うわけではなく、家庭用ゲーム機やPCともに性能が大きく向上している現代にあわせて、今あるものを次のレベルに発展させることを重視しました。
 『Back 4 Blood』を『Left 4 Dead』よりもさらに多くのプレイヤーに遊んでいただくことを望んでいます。

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(画像は『Left 4 Dead』Steamストアページより)

──昨今、オンライン協力プレイを行えるタイトルがいくつも登場しています。『Phasmophobia』や『Aliens: Fireteam Elite』、『World War Z』に『モンスターハンター』など色々なタイトルが人気を博していますが、『Back 4 Blood』を作る上で上記のようなタイトルを意識されたかと思います。こういった協力プレイ型のゲームの面白さの核はどんな部分にあるとお考えでしょうか。

Ashton氏:
 良い質問をいただきました。我々開発者の視点から言えば、我々自身が協力プレイ型のゲームで育ってきたゲーマーであり、またマルチプレイシューターや非対称型対戦ゲームなどさまざまなタイトルを手掛けた経緯もあり、チームの中で最高のものを作り出すのが何よりも重要だと考えています。そのため、過度に他社の作品を意識することはありません。

 もちろん、開発を進めるうえで他社作品との競合を考えるとき、どのような点が強みになるのかというのは重要なことかと思われます。しかし、我々の最大のミッションはゲーマーの皆さんに愛される作品を作ることであり、機能単体でどう、という形で他社との比較は行いません。我々開発チームがひとりのゲーマーとして愛せる作品を作ることで、それを世界中のプレイヤーに共感していただけたら何よりも嬉しいことだと思います。

──それでは、プレイヤーに共感してほしい体験というのは本作においてどういった部分になるのでしょうか。キーワードのような形でシンプルに教えていただけると幸いです。

Ashton氏:
 何よりも、ご友人たちと楽しんでいただくことが、本作の魅力を象徴してくれると思います。とても楽しく、遊びやすいゲームでありながらプレイの中には奥行き、深さといった面もあります。

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(画像は『Back 4 Blood 』Steamストアページより)

──Turtle Rock Studios開発のタイトル『Left 4 Dead』や『Evolve』などでは、協力プレイの人数はいつも「4人」だったように思われます。この「4」という数字について何か特別な意味はあるのでしょうか。

Ashton氏:
 「4」はマジックナンバーです。我々にもなぜそうなるのかは分かりませんが、色々と試していくうちに4人の協力プレイが最適であるとの結論に至りました。8人でのプレイが可能なミッションも制作したことがありますが、混沌とした状況になってしまいました。
 また5人協力プレイとなると、戦闘しながらほかに4人のプレイヤーを意識しなければならず、少し難しすぎると考えました。これが3人での協力プレイになってしまうと、ゲームプレイの幅が狭められ、短時間で終わってしまいます。このようにさまざまな実験の結果、4人がもっとも適した人数であるということになりました。

──それでは最後に日本のファン、特に『Left 4 Dead』のファンに向けたメッセージをお願いします。

Ashton氏:
 ファンの皆様には、この場を借りてお礼を申し上げます。長らくお待たせしましたが、私たちも今回『Back 4 Blood』をリリースできることで、期待に胸を膨らませています。私たち自身も、オンラインで友人とゲームを遊ぶことをとても楽しみにしています。現在はこのような状況下で人と対面で会うことも叶わず、非常に苦しいときだとは思いますが、こうしたエンターテイメントを通して、この時代をともに乗り越えていければと思っています。(了)

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(画像は『Back 4 Blood 』Steamストアページより)

 インタビューからは、開発チームであるTurtle Rock Studiosの『Left 4 Dead』、そして『Back 4 Blood』への信頼のようなものが強く感じられた。開発者としてだけでなく、プレイヤーとしても愛せる作品を産み出したことの、自負にも近い感情なのではないだろうか。
 自ら手がけた作品を語るAshton氏の表情はとても柔らかく、日本の『Left 4 Dead』ファンへのコメントを求めた際には爽やかな笑顔も見られた。まさに氏自身も、友人と遊べる日を待ちわびているひとりのゲーマーのような印象を受けた。 

 『Back 4 Blood』は10月12日に発売予定。対応プラットフォームはPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games Store、Microsoft Store)となる。
 『Left 4 Dead』から受け継いだ協力プレイタイトルの真髄と、Turtle Rock Studiosの愛が存分に詰め込まれた本作を、ぜひ誰かと一緒にプレイしていただきたいと思う。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。
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