genDESIGNは12月6日(月)、PS2用ソフト『ICO』の発売20周年を記念し、同作の開発中の映像を公開した。
なお電ファミニコゲーマーでは、看板連載「ゲームの企画書」の年末企画として、『ICO』をはじめ『ワンダの巨像』、『人喰いの大鷲トリコ』といった作品のゲームデザイナーを務めた、上田文人氏の対談企画を準備中だ。
『ICO』は2001年の12月6日に発売されたアクションアドベンチャーゲーム。生贄にされるはずだった主人公の少年「イコ」と、謎めいた囚われの少女の冒険を描く作品となる。
その印象派の絵画を思わせる美しいビジュアルや、世界を彩る幻想的な音楽、そして切なく繊細なストーリーが国内外から高い評価を受けた。
ゲーム中では巨大な城を舞台に、イコの優れた身体能力を活用してパズルを解き、まとわりつく敵を退け、先へと進んでいく。時には少女の力を借りなければ通れない道もあり、イコのように機敏に動けない彼女をうまく誘導するプレイングが求められる。
今回公開された映像は『ICO』の開発初期、1998年ごろに制作されたもの。まだ開発スタッフの中でも明確なビジョンが思い描かれていなかった折に、チームにとってブレイクスルーとなった映像であるとのことだ。
そのため、登場するキャラクターのイメージや造形が製品版とは異なるほか、ノイズやデバッグ表示なども見受けられる、貴重な資料となっている。
動画概要欄には、映像にまつわる当時のエピソードや、音楽へのこだわりなどが書き込まれている。
当時としては、ゲームに対して既存の楽曲を使用するという試み自体が珍しいものだった。その際、ディレクションとゲームデザインを務める上田文人氏のデスク上にあったCDから楽曲を選び、ゲーム制作に取り入れていったという。
ターニングポイントとなった楽曲として、こちらの映像で使用されている『Summer Holiday 1999』(Momus)、そして『スカボロ・フェアー』(サイモン&ガーファンクル)が紹介されている。
また製品版での、大島ミチル氏が担当した多くの名曲についても触れられており、とくに『ICO-You were there』については「『ICO』を形作ってくれたかけがえのない楽曲」と記されている。
『ICO』の発売から20周年の節目を迎えるにあたり、ゲーム中のすべての楽曲を収録したサウンドトラックのリリースをはじめ、各所から祝福の声が数多く上がっていることが見て取れる。発売から20年を経てなお、心を動かされたプレイヤーたちに語り継がれる、それだけの力を持った作品であると、改めて実感させられた。
電ファミニコゲーマー誌上における上田文人氏の対談企画は、年内に掲載される予定となっている。こちらにもぜひ、ご期待いただきたい。