Steamでの先行アクセスを終え、遂にNintendo Switchでも発売された「GetsuFumaDen: Undying Moon」(以下、GetsuFumaDen)。
ファミコンの名作ゲーム「月風魔伝」の名を冠する令和の最新ゲームは、自動生成されるマップを探索して武器やアイテムを集めながらボスの居所を探す「ローグライク」と「探索型アクション(メトロイドヴァニア)」の要素が一緒になったステージクリア型のアクションゲームになっています。
「ローグライク」の要素として、ステージ中で体力を全て失ってゲームオーバーになってしまうと、所持金や武器、アイテムを失って初めのステージからのやり直しになってしまうシビアなゲーム性となっていることにくわえ、攻略には全てのステージを安定して進行できるプレイヤースキルが求められるためアクションゲームとしての難度は高めです。
一方で、ステージ中で収集できる素材アイテムを消費して永続的にプレイキャラクターを強化できる要素があり、周回を繰り返して強化を重ねることで、始めたころには突破できなかったステージも攻略を進めやすくなっていきます。
後少し、体力を増やせれば、武器を強化できれば、次のステージにも挑戦を行えるかもしれない……!と思うと、つい素材集めの周回と、次のステージへの挑戦を行なってしまう。
筆者は、やめ時を失うほどこのゲームにのめり込んでしまいました。
本記事では、2月10日に正式リリースされたSwitch版をプレイした筆者から、『GetsuFumaDen』の魅力をお伝えしたいと思います。
名作の名を冠するものの、新しく進化した新作ゲーム
『GetsuFumaDen』は、ジャンルを「浮世絵風ローグライク剣戟アクション」といい、自動生成される浮世絵風の和風な雰囲気のマップを探索して武器やアイテムを集めながらステージボスに挑む流れのステージクリア型アクションゲームです。
一方「月風魔伝」は、1987年にKONAMIよりリリースされたファミリーコンピュータ向けのアクションRPGゲームです。
RPGのようなトップビュー方式の平面マップを移動し、鳥居のオブジェクトをくぐると横スクロールのアクションステージへ移行。
主人公の成長要素もあり、シンプルな横スクロールアクションゲームにはないゲーム性を備えた個性的なアクションRPGゲームとなっていました。
ファミコンソフトなので馴染みのない読者の方もいるかもしれませんが、主人公の「月風魔」や、最終ボスの「龍骨鬼」などは「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム」や「モンスター列伝 オレカバトル」のカードにもなっているため、名前を聞いたことのある方はいるのではないでしょうか。
『GetsuFumaDen』は、「月氏一族」が主人公になっているなど「月風魔伝」と共通した世界観の続編としてシナリオが展開しますが、ゲームシステムは大幅に異なる完全新作となっています。
シナリオも前作の1,000年後が舞台となっており、前作を知らなくても楽しむことができますので、今作から入っても全く問題ない作りです。
繰り返しの挑戦によって、成長する月風魔とプレイヤー
本作は「ローグライク」+「探索型アクションゲーム」といったゲームシステムになっています。
残機制ではないためミスをすると「月氏の館」という拠点に戻され、拾った武器やアイテムをほぼ失った初期状態で一番最初のステージからやり直しになるので、プレイヤーは「なるべくダメージを受けずにステージを攻略していく」必要があります。
アクションゲームは好き、でも腕前は伴っていない……という筆者は、何度進んでも最終面まで辿り着くことができず、一番難易度の低い「修練者」モードでのクリアさえも諦めそうになりました。
しかしこのゲームにはプレイヤー自身のスキルだけでなく、プレイキャラクターの強化で補うことができるシステムがあったので、諦めずにゲームを進行することができました。
『GetsuFumaDen』には「鍛錬」と「秘伝」という2つの強化要素があり、これらのシステムで強化したプレイキャラクターの強化値は、ミスして拠点に戻された際も引き継がれる永続的な強化となります。
これらの強化要素はプレイヤーが任意に行うことができるため、アクションゲームの腕前に自信がある方は一切強化を行わず、限られた体力と回復薬でギリギリの戦いを挑むこともできます。
筆者のようにアクションゲームの腕前に自信がなくても、余裕を持ってクリアできるステージを周回して強化アイテムを集め、強化を繰り返すことで先のステージへ進行しやすくなりました。
さらに「吸魂」システムという、その周回限りの強化システムもあり、こちらはミスをしたり一度「月氏の館」に帰還すると強化状態がリセットされてしまうのですが、効果は強力で攻略の助けとなります。
「主武器」や「生命力」など一定のステータスを強化することができるのですが、たとえば吸魂を生命力強化に7回かけると、未強化状態の4倍ほどに体力が増えたりします。
また強化を行えるのはプレイキャラクターだけではありません。
プレイキャラクターの振るう武器にも、強化のシステムが用意されています。
武器は前述の通り「月氏の館」へ帰還すると失われてしまうのですが、武器にも「技能解放」「活性化」という永続的な強化を施せるシステムが存在します。
これらのシステムで武器を強化すると、次の周回で同じ武器を拾った際、その強化効果が引き継がれます。つまり、周回するほど強い武器を手に入れられるようになっているわけです。
武器毎に用意されている「技能」を集めた素材で解放し、「魂の記憶」というアイテムを消費して「活性化」を行うことで「技能」の効果が発揮されます。一度解放した技能は永続的に解放状態になるため、周回のため武器を失っても、同じ武器を手に入れた際にすぐ「活性化」を行なって強化することができます。
このように強化システムが多数用意されているため、ただ闇雲に進行するのではなく、安定して攻略できるステージを周回することでだんだんと武器やステータスが強化されていき、ゲームの攻略難度が少しずつ緩和されていく仕組みになっています。
また、強化素材を集めるにはステージ中の敵を一体でも多く倒した方が周回の効率が良くなるので、対処が難しくできれば相手にしたくない敵も強化のために積極的に倒したくなるため、始めた頃には苦手だった敵への対処にも慣れていき、プレイヤースキルの上昇にもつながるうまいシステムになっていると言えるでしょう。
システムによってプレイキャラクターを強化し、強化のための周回でプレイヤースキルも成長していく。
上達と強化の末に難所を突破できた時の喜びは、筆者にアクションゲームの面白さを思い出させてくれました。
個性豊かなボス敵たち。「月風魔伝」プレイヤーには驚きの敵も。
筆者は家にあったファミコンで「月風魔伝」をプレイしたことがあったため、『GetsuFumaDen』の最初のステージ「辺獄の忌地」を遊んで驚きました。
なんと、最初に戦うステージボスが「龍骨鬼」!!
じつはこの龍骨鬼、「月風魔伝」最終ボスの最終形態の姿です。
初めに戦うボスなのでアクションゲームが苦手な筆者も初見撃破はできたのですが、登場の演出で「龍骨鬼」と名前が表示された時は驚きました。
「辺獄の忌地」以外のステージボスは今作オリジナルとなっているようですが、ボスステージと敵の攻撃パターンはとても個性的で、安定した攻略パターンを構築するにはやはり周回による練習が必要と感じました。
筆者が面白いと感じたボスは「雲霞の双峰」ステージの「双天鬼」。
風神雷神図がモチーフと思われるボスキャラクターで、なんと2体のキャラクターを同時に相手取る戦闘が始まります。
それぞれ違う攻撃パターンを持っているため、苦手な攻撃を行ってくる方を集中的に攻撃して撃破することが攻略の鍵になるはずです。
難易度調整によって、段階的にゲームに慣れていくことができる丁寧な調整
『GetsuFumaDen』は難度が高めのアクションゲームですが、今作は難易度を選ぶことができる仕様となっており、ゲーム開始時には「修練者」「凡人」という二つの難易度を選択することができます。
「修練者」モードがイージーモードにあたり、ノーマルモードの「凡人」よりも難易度が低くなるよう調整されています。
具体的なモードの違いとしては、「修練者」ではステージに登場する敵の種類が限定され、ドロップする通貨の量が3倍になり、もう1人のプレイアブルキャラクター「月蓮華」の解放に必要な「乱入」ステージが発生しなくなり、挑戦できるステージの数が少なくなります。
強化に使用するアイテムのドロップ率は「凡人」と変わらないため、ゲームが苦手な人がゲームに慣れ、キャラクターの強化を楽に進めるための難易度のようです。
筆者は難易度「修練者」で始めたため、最終ボスの手前で終了してしまったのですが、練習と育成を進めて「凡人」モードにも挑戦してみました。
驚いたのは、初めのステージに「修練者」モードでは3面あたりから登場するようになる強い敵キャラクターが配置されていたこと。
始まったばかりで強力な武器も持っていない状態で強敵と対峙することになるため、いきなり難易度調整の洗礼を受ける結果になりました……。
「修練者」モードで更に強化を重ねることも検討したのですが、ここまで攻略を続けて自信がついた筆者は「凡人」モードの攻略を続けてみることにしました。
筆者の挑戦は、まだ続いています……!
高い難度で心を折られそうになっても、育成と周回のシステムのおかげで攻略を続けることができる。
『GetsuFumaDen』は、アクションゲームの上級者から初心者まで楽しむことができる間口の広い良作アクションゲームでした。
次に遊んでみるゲームとして、候補に挙げてみてはいかがでしょうか。