文化庁メディア芸術祭実行委員会は、3月13日(日)に発表した「第25回文化庁メディア芸術祭」の受賞結果にて、白泉社の顧問を務める鳥嶋和彦氏への功労賞の授与を明らかにした。
なお、功労賞は3DCGアニメの制作を手がけるポリゴン・ピクチュアズ代表取締役社長の塩田周三氏や実験的な演奏の数々で知られるサウンドアーティストの刀根康尚氏、開志専門職大学でアニメ・マンガ学部の教授を務めるマンガ家・イラストレーターのbelne氏にも授与されている。
1997年から毎年開かれている「文化庁メディア芸術祭」はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガにおいて、世界中の応募作から優れた作品を表彰するメディア芸術の総合フェスティバルである。功労賞は委員会の推薦でメディア芸術の分野で大きな業績を挙げた人物に贈られているほか、2020年からは連携する機関や団体の設備・施設における企画展示の案を募集する「フェスティバル・プラットフォーム」部門も新設。受賞作の展示・上映やシンポジウム等の関連イベントを含む展覧会もあわせて実施される。
功労賞を受賞した鳥嶋氏は、集英社の『週刊少年ジャンプ』で鳥山明氏が手がける『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』の編集を担当した人物だ。発表によると、スクウェア・エニックスのプロデューサーで審査委員の時田貴司氏は、日本における代表的なRPG『ドラゴンクエスト』や『クロノ・トリガー』の誕生に関わったエピソードやメディアミックス展開に関する手腕・実績へ触れつつ「マンガ、アニメ、ゲームというかつてのサブカルチャーを確固たる日本文化として、世界に向け認知させたと思う」との選評を述べた。
ゲームを含むエンターテインメント部門では『サイバーパンク2077』が優秀賞を獲得したほか、委員会の推薦作として協力型アクションアドベンチャー『すすめ!じでんしゃナイツ』やダークファンタジー調のアクションRPG『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』などの作品も選定。一方、アート部門では現実の演者を『あつまれ どうぶつの森』風のゲーム画面で操作するメディアパフォーマンス作品『あつまるな!やまひょうと森』が優秀賞に選ばれた。
また、メディアテクノロジーのあり方や人々の行動様式などに変化と影響をもたらした作品へ贈られる「ソーシャル・インパクト賞」については、新宿駅前の新たな街頭ビジョンとして注目を浴びた「新宿東口の猫」がエンターテインメント部門、『PUI PUI モルカー』はアニメ部門でそれぞれ受賞している。
第25回の受賞作品展は、9月16日(金)から東京・お台場にある日本科学未来館などの会場で開催される予定だ。執筆時点で詳細は公開されていないが、興味があれば公式Twitterアカウント(@JMediaArtsFes)からの続報を待っておくとよいだろう。