個人ゲーム開発者のYO FUJII氏とパブリッシャーのFlyhigh Worksは6月14日、インディーゲーム開発者が主人公のアドベンチャーゲーム『GOODBYE WORLD』の体験版をSteamにて公開した。
ゲームは日本語のほか、英語、簡体中文、繁体中文に対応する。Steamストアページによると2022年内に正式版を配信予定だ。
本作は働きながらインディーゲームを開発するプログラマーの蟹井(かにい)とグラフィッカーの熊手(くまで)を主人公に「インディーゲーム開発の苦悩」の物語を描く作品だ。
ジャンルはナラティブアドベンチャーとされ、13章からなる物語のパートと、主人公の蟹井(かにい)が劇中でプレイするゲームを実際に操作する「ゲーム内ゲーム」パートのふたつで構成される。体験版では13章の物語のうち、3章までプレイ可能だ。
6月9日には作者による体験版の告知が行われており、1万リツイートを超えるほど注目を集めた。告知の内容は作品のスクリーンショットを主体とするシンプルな内容であったが、開発現場の苦悩が伺えるテキストやドット絵の美しさが話題を呼んだ。
この度実際に体験版が配信されたため、実際にプレイした本作の内容を紹介しよう。
#ド直球に言いますがフォローしてください
— YO FUJII (@onsen023) June 9, 2022
会社辞めて早1年。やっと体験版が出ます。6/14です。ニートなのでこのゲームが売れなければ死ですが、リリースできれば死んでもいいです。 pic.twitter.com/4UzNzLMgQM
蟹井は劇中でセピア色の液晶と荒めのドット、長方形の本体を携えた「ゲームボーイ」風のハードでゲームをプレイしており、ソフトは『BLOCKS』と題された横スクロールのアクションゲームとなっている。
ゲームは戦闘ではなく謎解きを主体としており、主人公がもつブロックを破壊し、破壊したブロックをステージ上に再配置できる能力を使ってマップを踏破することが目的だ。
マップを攻略するにはステージ上のどこかに配置された鍵を獲得し、マップの末尾にある扉で使用すればクリアとなるシステムとなっている。なかでも視界が不明瞭なステージ3は特に遊びごたえのある難易度となっている。
いっぽうのドラマパートは、ゲーム開発に息詰まる蟹井と熊手の陰鬱な生活が描かれる。
体験版では専門学校時代にふたりが出会う場面から始まるが、後のエピソードではアルバイトをしながらゲームを開発する困難さや、生活の苦悩、ゲーム開発そのものの困難さに直面する姿にフォーカスした物語が描かれている。
なお、本作を手がけるYO FUJII氏は2年間ゲーム会社で働いたのちに一年以上の間ゲーム開発を主体とした生活を送っており、物語の主人公であるふたりの描写は作者の体験を反映したリアリティを持って描かれていると推測される。
物語のパートは「ただ解像度を落としたもの」でないこだわりのドット絵で描写され、彩度控えめで暖かい色調とアナログ風のポストエフェクトにより物質感を演出したビジュアルとなっている。作者のTwitterによると『Eastward』のアートワークに影響を受けているという。
また、コントラストがはっきりとしたミニマルな「ゲーム内ゲーム」パートとの描き分けがサウンドデザインと共に明瞭に成されており、ゲームと現実の体験のギャップが秀逸だ。
興味がある読者は、Steamストアページより体験版をプレイし、YO FUJII氏のTwitterをフォローして発売を待とう。