コナミは現在開催中の東京ゲームショウ2022における配信イベントで、『桃太郎電鉄 教育版 日本っておもしろい!』(以下、『教育版』)を発表、本作は教育機関に無償で提供される。また、本作はブラウザ版での配信となり、PCやタブレットなど機種を問わずにプレイが可能だ。
今回のイベントには、KONAMIよりシニアプロデューサー・岡村憲明氏が登壇。ゲストとしてアドバイザーの正頭英和氏、エッセイストである犬山紙子氏、MCにはパックンマックンのふたりが迎えられた。
『教育版』は、2020年11月にリリースされた『桃太郎電鉄』最新作をベースとしており、同作にカリキュラムを想定した学習機能を追加、一部の要素が制限されている。
学習単元ごとにプレイできるよう北海道、関東、九州・沖縄などといった地方ごとのプレイが可能となっているほか、到着した駅の詳細情報を画面右側に表示。ゲームと実際の地理をリンクさせながらプレイすることができる。もちろん、全国でのプレイにも対応している。
マップ上にあるアイコンに虫メガネをあわせることでランドマークや特産品、史跡などの情報を確認することもでき、地域ごとの特色を知ることも可能。また、教師が授業を管理するためのプレイの一時中断や時間、利用人数の管理機能が追加されている。
さらに、『教育版』では第1作以来35年ぶりに貧乏神が封印。攻撃カードの対象はプレイヤーが選択するのではなくランダムに決定され、持ち金(資金)は過度に変更しないよう、ゲームバランスが再調整されているとのことだ。
実際に、福岡の小学校にて『教育版』を使った授業を実施。一度『全国版』をプレイした上で取り組みたい地方を生徒たちに決定してもらい、そのグループごとに地方への提案をまとめるといった授業が展開された。
生徒たちは実際にプレイした中で「学校でプレイできるのは嬉しい」、「目的地に知らない地名があったが、ゲームを通じて知ることができた」などとコメント。岡本氏は実際に今回の試験導入の現場に赴いた際、生徒たちの「本当に楽しそうにプレイしていた」姿を見ることができたという。また、印象深いエピソードとして「不登校の生徒が『桃鉄』の授業だけは来た」というゲームの力を感じたワンシーンを語った。
授業を担当した斉藤淳先生は「実際に校外学習に行ったり人と接する機会が少なくなっている中、ゲームを使うことで子供たちの興味・関心がしっかり出てきた」と生徒たちのモチベーションアップに繋がったことをコメント。本作について「非常に有効な学習の手立てになると感じた」としている。
『教育版』の開発には、アドバイザーとして現役の小学校教諭である正頭英和氏が参加。正頭氏は英語のほかICT、PBL(探究学習)を専門分野とし、ICTを活用して「教科の壁を取り払った」教育の取り組みをしている。また、「教育会のノーベル賞」と呼ばれる「Global Teacher Prize 2019」のトップ10に、唯一の日本人として選出されている。
さらに本イベントでは制作中の「桃太郎電鉄学習帳」もお披露目。ゲーム内の地図が印刷された学習帳となっており、プレイする中で見つけたランドマークなどを書き込める仕様となっている。こちらは実際に試験導入された際、生徒たちがプレイを通して知った地域を勉強しようとしている姿を見て考案されたものとのことだ。なお、一般販売については明言されていないものの、会場で「欲しい人ー!」とパックン氏が客席に尋ねたところ多数の手が挙がったようだ。
『桃太郎電鉄』シリーズ総監督であるさくまあきら氏からのコメントも公開され、『教育版』の展開について「長年の夢が叶った気がします」、「みんなで、地理で満点を取って、先生方を困らせてください」と語った。アドバイザーの正頭氏は「こんな困らせ方なら大歓迎です!」と本作への期待を見せた。
イベント終盤には登壇したゲストも本作についてコメントした。
正頭氏:
教育に新しい風が起こるんじゃないかなという風に思っております。『桃鉄』からたくさん学んで、親子で家の中で「今日こんな勉強してきたよ」なんていう会話がうまれたら日本はもう少し明るくなるんじゃないかなという風に思っております。みなさん、どうぞよろしくお願いいたします。
犬山氏:
私はやっぱりさくま先生のコメントにすごくうるっときたものがありまして、どんな子どもも平等に学ぶ機会をこうやって『桃鉄』を通してもらえる。タブレットはもうすべての小学校でみんな平等に持ってますもんね。
なので、子どもたちに平等に「楽しい」学びの機会を与えるという。ここに本当に素晴らしいなと思いつつ、ぜひたくさんの学校で休み明け「もう明日学校イヤだよ」っていうときの休み明け、月曜とかに取り入れてほしいなと思いました。
岡村氏:
『桃太郎電鉄 教育版』以外にもですね、色んな取り組みを進めようと思ってます。こういった機会があるたびに色々新しいことをお伝えできるのを楽しみにしながら、これからも『桃鉄』がんばって作っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
発表とあわせて、本作のティザーサイトも公開。試験導入の様子や、本作の特徴をチェックできるほか、教育機関からの問い合わせ先も掲載されている。