いま読まれている記事

“シュレーディンガーの猫”をテーマにした日本発のカードゲーム『キャット・イン・ザ・ボックス』が世界最大のボードゲーム情報サイトによるユーザー投票アワードでダブル受賞を達成

article-thumbnail-230510c

 世界最大のボードゲーム情報サイトである「ボードゲームギーク(BoardGameGeek)」は日本時間5月9日(火)、ユーザー投票で優れた作品を選ぶ「2022年 第17回ゴールデン ギーク賞」の受賞作品を発表した。結果のなかで、ホビージャパンが販売中のトリックテイキングゲーム【※】『キャット・イン・ザ・ボックス』「軽量級ゲーム・オブ・ザ・イヤー部門」と「イノベーティブ部門」の大賞をダブル受賞したことが明らかとなっている。

【※】トリックテイキングゲーム:「数字の大きさ」や「特定の記号」などの要素で勝敗の決まるミニゲームを繰り返し、ほかの人よりポイント(勝利数)の多いプレイヤーが試合全体の勝者となるゲーム。わかりやすいゲームの類似例としてトランプの「大富豪」が挙げられるものの、大富豪の勝利条件は「手札をすべて使いきる」こと(ボードゲーム愛好者の間で“ゴーアウト”と呼ばれる別のルール)であるため、厳密には少し異なる

『キャット・イン・ザ・ボックス』がBoardGameGeekのユーザー投票アワードでダブル受賞を達成_001
(画像はキャット・イン・ザ・ボックス | ANALOG GAME INDEXより)

 2006年からスタートした「ゴールデン ギーク賞」は、12万5000タイトル以上のアナログゲームに関するフォーラムやレビュー・画像などを所蔵するボードゲームギークが全世界からの利用ユーザーによる投票で決定している国際的なアナログゲーム賞のひとつである。本アワードについてはルールの難しさやプレイ時間を含む複数の要素でサイト独自に定義された「重量」の概念をもとに、“重量級”とされるゲームが大賞を受賞する傾向にあった。しかし、2020年の受賞作品からは大賞が“軽量級”と“中量級”、“重量級”で3部門に分割され、より多くの作品にスポットライトが当たるものとなっている。

 日本発の作品としてダブル受賞を果たした『キャット・イン・ザ・ボックス』は、同人ボードゲーム制作サークル「操られ人形館」が2020年に発表し、のちにホビージャパンから新装版として発売された作品だ。本作は有名な思考実験である“シュレーディンガーの猫”をテーマにしており、最初のプレイヤーが出した猫のカードの色にあわせて次のカードを出していく。ただし、本作のカードには数字しか書かれておらず、プレイヤーがカードを出す際に宣言することで猫の色が確定する

『キャット・イン・ザ・ボックス』がBoardGameGeekのユーザー投票アワードでダブル受賞を達成_002
(画像はキャット・イン・ザ・ボックス | ANALOG GAME INDEXより)
『キャット・イン・ザ・ボックス』がBoardGameGeekのユーザー投票アワードでダブル受賞を達成_003
(画像はキャット・イン・ザ・ボックス | ANALOG GAME INDEXより)

 4つの色に対して各数字のカードは5枚入っているため、カードを出す順番や使用する色をうまく考えなければ存在しないものとなる「パラドックス」が発生。得点にペナルティーを受けてしまう。上記のほか、本作には勝利数の予想や色を決めるボード上での陣取りによるボーナス得点の要素も含まれており、13歳以上のふたりから5人でプレイ時間を「約30分」としつつも奥深い駆け引きを楽しめる作品だ。

 なお、今回の「ゴールデン ギーク賞」では、モータースポーツのレースを再現したゲームヒート(原題:Heat: Pedal to the Metal)』が「中量級ゲーム・オブ・ザ・イヤー」の大賞を受賞した。また、「重量級ゲーム・オブ・ザ・イヤー」の大賞には、“鉄鋼王”としてアメリカに名を残した実業家のアンドリュー・カーネギー氏に影響された経済発展ゲーム『カーネギー』が選ばれている。

『キャット・イン・ザ・ボックス』がBoardGameGeekのユーザー投票アワードでダブル受賞を達成_004
(画像はヒート | ANALOG GAME INDEXより)
『キャット・イン・ザ・ボックス』がBoardGameGeekのユーザー投票アワードでダブル受賞を達成_005
(画像は「カーネギー」製品紹介: 数寄ゲームズより)

 上記を含む各部門での大賞および優秀賞は以下のとおりだ。

ふたり用ゲーム部門(2-Player Game)

大賞:『宝石の煌き:デュエル』
優秀賞:『ウイングスパン 東洋の翼』
優秀賞:『Undaunted: Stalingrad(アンドーンテッド:スターリングラード)』

アートワーク・プレゼンテーション部門(Artwork Presentation)

大賞:『フレイムクラフト』
優秀賞:『エバーデール:コンプリートコレクション』
優秀賞:『Wonderland’s War』

協力型ゲーム部門(Cooperative Game)

大賞:『Return to Dark Tower』
優秀賞:『Oathsworn: Into the Deepwood』
優秀賞:『ISS Vanguard』

拡張セット部門(Expansion)

大賞:『デューン 砂の惑星:インペリウム拡張 イックスの新興』
優秀賞:『ウイングスパン 東洋の翼』
優秀賞:『Dune: Imperium – Immortality(デューン 砂の惑星:インペリウム拡張 イモータリティ)』

イノベーティブ部門(Innovative)

大賞:『キャット・イン・ザ・ボックス』
優秀賞:『チューリングマシン』
優秀賞:『ヒート』

軽量級ゲーム・オブ・ザ・イヤー(Light GOTY)

大賞:『キャット・イン・ザ・ボックス』
優秀賞:『宝石の煌き:デュエル』
優秀賞:『Long Shot: The Dice Game』

中量級ゲーム・オブ・ザ・イヤー(Medium GOTY)

大賞:『ヒート』
優秀賞:『Wonderland’s War』
優秀賞:『フレイムクラフト』

重量級ゲーム・オブ・ザ・イヤー(Heavy GOTY)

大賞:『カーネギー』
優秀賞:『Endless Winter: Paleoamericans(エンドレスウィンター)』
優秀賞:『John Company: Second Edition(ジョン・カンパニー 第2版)』

パーティーゲーム部門(Party Game)

大賞:『Ready Set Bet』
優秀賞:『Long Shot: The Dice Game』
優秀賞:『Blood on the Clocktower』

プリント&プレイ部門(Print Play)

大賞: 『Aquamarine』
優秀賞:『Woodcraft: Roll and Write』
優秀賞:『A Wayfarer’s Tale』

ソロゲーム部門(Solo Game)

大賞:『チューリングマシン』
優秀賞:『Resist!』
優秀賞:『ネモの戦い ~海底二万マイルを超えて~』

テーマ部門(Thematic Game)

大賞:『ヒート』
優秀賞:『Wonderland’s War』
優秀賞:『John Company: Second Edition(ジョン・カンパニー 第2版)』

戦略ゲーム部門(Wargame)

大賞:『Undaunted: Stalingrad(アンドーンテッド:スターリングラード)』
優秀賞:『Resist!』
優秀賞:『Votes for Women』

ポッドキャスト部門(Best Podcast)

大賞:「This Game Is Broken」
優秀賞:「Beyond Solitaire」
優秀賞:「One Stop Co-Op Shop」

ボードゲームアプリ部門(Best Board Game App)

大賞:『エバーデール』
優秀賞:『Hero Realms』
優秀賞:『ロールプレイヤー – ボードゲーム』

ライター
2019年11月に電ファミへ加入。小学生の時に『ラグナロクオンライン』に出会ったことがきっかけでオンラインゲームにのめり込む。コミュニケーション手段としてのゲームを追い続けている。好きなゲームは『アクトレイザー』『新・世界樹の迷宮2』『GTFO』など。
Twitter:@fuyunoyozakura

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ