一般社団法人RTA in Japanが12月25日(水)15時から31日(火)まで開催しているチャリティイベント「RTA in Japan Winter 2024」にて、ゲームキューブ用ソフト『スターフォックスアドベンチャー』のRTAがオープニングタイトルとして披露された。
本イベントは東京・ベルサール飯田橋ファーストのリアル会場とオンラインを兼ねたハイブリッド形式で開催中。進行中のイベントの様子は公式Twitchチャンネルから視聴できる。
「RTA in Japan」は、“走者”と呼ばれるプレイヤーたちが“できるだけ早い時間でゲームをクリアする”遊び方「RTA(リアルタイムアタック)」を披露し、Twitchチャンネルの収益やグッズ売上を国境なき医師団へ寄付しているチャリティイベントである。
今回、2002年発売の『スターフォックスアドベンチャー』ゲームキューブ版で「Any%」【※】のRTAを披露したのは、RTA走者のけつもも氏。世界中のプレイヤーによる記録を集めたデータベースサイト「Speedrun.com」上にて、Wii版で世界2位の記録を生み出したプレイヤーだ。
【※】Any%:収集アイテムやエンディングなどの達成率に関する要素や、グリッチ(バグ技)の有無にかかわらず“とにかく早く”ゲームをクリアするレギュレーション。ただし、一部グリッチについては別のレギュレーションの枠組みとなる場合もある
今回のRTAでは“バイクフラググリッチ”と呼ばれる技を駆使して、第1の場所「アイスマウンテン」の洞窟上部から不法侵入し、ムービー後に発生するバイクレースのフラグを書き換えてからセーブ・リセットさすることで、主人公「フォックス・マクラウド」がバイクに乗ったあとのイベントが再発生しなくなる。
そのまま洞窟内のアイテム「燃料セル」を取るとカメラが暴走し、体力も大きく減少するが、フラグの書き換えや体力の減少はセットアップのために必要なものだという。
「燃料セル」を取得後、強制的にバイクから降ろされた状態のフォックスが杖を構えた状態で崖沿いに進んでいくと、カメラの暴走や2度の自由落下を経て水面と思わしき場所へと到着。高さの座標を合わせつつ“無を泳いでいく”ことで、作中の最終盤で訪れる試練の館へと移動できる。
長時間の遊泳を経てたどり着いた“試練の館”はオモチャのようなけばけばしい色合いとなっていた。けつもも氏によるとこの時点ではまだマップは正常に読み込まれていないため、チェックポイントの通過と落下死によるリスポーンを経てマップを再ロードしなければならない。
しかし、ゲーム内部でのフォックスには“バイクフラググリッチ”を使用した後の「バイクに乗っている状態」のフラグが上書きされている。そのままチェックポイントを通過してリスポーンしてもチェックポイントの通過判定はバイクそのものに発生するため、フォックスは試練の館で復活できない。そこで活躍するのが、作中序盤で手に入れた魔法のひとつ「ヒートブラスト」だ。
けつもも氏によると、ヒートブラストをチェックポイントに向かって連射したのち落下死することで通称“無の取得”とも呼ばれるテクニック「SRM(Stale Reference Manipulation)」が発動し、疑似的にヒートブラストの弾を“バイク”として扱うことができるという。
映像では全景を収めて一度読み込み不全の状態でロードした試練の館を一度アンロードし、バイクのフラグをヒートブラストに上書きした状態で上記の技を実行。見事に一発で成功させ、作中における重要アイテム「クラゾアスピリット」の5つ目を取得するための試練にたどり着いた。
本作では5つ目のクラゾアスピリットを取得することで強制的に「2個目から4個目のクラゾアスピリットも取得したことになる」ため、上記の一連の動作を含めたテクニックは海外コミュニティで“Krazoa Five Early(K5E)”と呼ばれているという。さらに、作中で“K5E”を成功させたあともRTAには難所が続く。
グリッチを利用して5つ目の試練を突破したフォックスが通常の攻略チャートに沿って進んでいくと、「助けていないキャラクターとの別れ」のイベントが発生し進行不能となるため、試練の館を出たあとはわずかな目印を頼りに“無を歩いて”チェックポイントと落下死の判定を通過してイベントをスキップしなければならない。
けつもも氏によると“セーブ用のチェックポイント”と“リスポーン用のチェックポイント”は別の判定となっているため、イベントをスキップしたフォックスは最後の“セーブ用のチェックポイント”を通過したアイスマウンテンで復活するという。
5つ目のクラゾアスピリットを取得したのちもけつもも氏はいくつかの精密なショートカットやイベントスキップを経て最終ステージ「クラゾア宮殿」を攻略していった。
ラスボスの撃破をもって「59分2秒」のタイムで終えたプレイのなかでは、キャラクターやBGMの制作に強いこだわりを持つ開発元・レア社による「ふさふさの毛並み」も紹介されており、作品名がX上でトレンドワード入りした。
また、『スターフォックス』の主要キャラクターの“生みの親”である今村孝矢氏も「当時リアルタイムのファーエフェクト(モフモフ)は画期的だったのだ!」と当時を振り返りながらコメントを寄せたようだ。
「スターフォックス・アドベンチャー」がトレンド入り!当時リアルタイムのファーエフェクト(モフモフ)は画期的だったのだ! https://t.co/RItbZjpVed
— 今村孝矢 / Takaya Imamura (@ima_1966) December 25, 2024
一般社団法人RTA in Japanが開催しているチャリティイベント「RTA in Japan Winter 2024」は12月31日(火)まで開催中だ。
28日(土)夜から29日(日)にかけては“公開デバッグ”として話題になっている『アクアリウムは踊らない』のRTAや、レース形式の『街へいこうよどうぶつの森』“金のあみ”獲得RTAも披露されるため、興味があればチェックしておくとよいだろう。