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『428』イシイジロウ氏が新作「渋谷実写アドベンチャー」発表!大手と組まず“自分たち”で「これが見たかった」という作品目指す。『街』雨宮桂馬役のあらい正和氏と『428』御法川 実役の北上史欧氏が出演、脚本・北島行徳氏

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4月28日、ゲームクリエイターのイシイジロウ氏は、「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」の始動を発表した。『428 ~封鎖された渋谷で~』で知られる同氏が、ふたたび同じフォーマットで挑む実写アドベンチャーゲームの開発企画となっている。

発売時期、プラットフォームなどは未定。大手メーカーとは組まずイシイジロウ氏個人が総監督として企画を発足しており、クラウドファンディングを5月28日より実施予定だという。脚本は『428』『タイムトラベラーズ』でも組んだ北島行徳氏が担当。また、『街』の雨宮桂馬役のあらい正和氏、『428』の御法川 実役の北上史欧氏の出演が発表されている。

自分たちが心から「これが見たかった」と思えるものを作りたい

プレスリリースではイシイジロウ氏による熱い長文メッセージも届いており、「覚悟を決めて、自分たちでやろう。逃げるのはやめよう。ごまかすのはやめよう。それが、このプロジェクトの出発点です」とコメント。「そして、せっかくやるなら自分たちが心から「これが見たかった」と思えるものを作りたい」と訴えている。

イシイジロウ氏の本プロジェクトに関するメッセージは、記事下部のプレスリリースよりう確認できる

『428』イシイジロウ氏が新作を開発へ。「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」発表_001
イシイジロウ(左上)、北島行徳(右上)、あらい正和(左下)、北上史欧(右下)

『428 〜封鎖された渋谷で〜』は、チュンソフトの名作サウンドノベル『街 〜運命の交差点〜』の系譜をつぐ作品として2008年にリリースされた実写アドベンチャーゲーム。さまざまな人物の物語を追う群像劇スタイルが特徴で、選択肢によってダイナミックに展開されていく巧妙なストーリー構造や、一癖も二癖もある人気キャラクターの数々で、いまだに根強い人気を誇る。

イシイジロウ氏は今回の発表に際し、自分が『街』から『428』を作ったように誰かがこの系譜の作品を作ってくれると期待していたものの、世に現れることはなかったとコメント。また、何度か企業と企画が立ち上がったものの折が合わなかったという。だがファンの声に応える形で、『街』や『428』のひとりのファンとしてゲームを開発する決意を固めたと、本気度がうかがえるメッセージを公開している。

新作では『街』『428』のスタイルを継承

今回のプロジェクトでは、群像劇としてのゲームシステムが『街』『428』から継承される予定で、実写イメージを背景にテキストが展開されていくおなじみの見た目になるという。また、シナリオとゲームシステムを最優先する開発姿勢が置かれる。このほか、複数の主人公が互いの物語に影響を与えていく「利他的」なゲームデザインも目標となっている。

イシイジロウ氏の新作に掛ける熱いメッセージや、作品の概要などは以下のプレスリリースをチェックしてみてほしい。

以下、プレスリリースの全文を掲載しています


「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」始動のお知らせ

監督:イシイジロウ × 脚本:北島行徳 × 出演:あらい正和、北上史欧

ゲームデザイナーのイシイジロウは、2025年4月28日より「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」を正式に立ち上げることをお知らせします。本取り組みは、総監督・イシイジロウと脚本家・北島行徳による、渋谷を舞台とした“実写アドベンチャーゲーム”の開発&発売を目指すプロジェクトです。

本プロジェクトの出演者としては、『街 ~運命の交差点~』の「雨宮桂馬」役で知られるあらい正和氏、『428 ~封鎖された渋谷で~』の「御法川 実」役で知られる北上史欧氏の両名も参加。往年の名キャストたちと共に、かつてない熱量で新たなゲーム制作に挑みます。

『428』イシイジロウ氏が新作を開発へ。「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」発表_002

■本プロジェクトへの思い

なぜ僕が今、「渋谷実写アドベンチャープロジェクト」を立ち上げようと思ったのか。
なぜ大手のゲームメーカーと組まず、個人としてやることを選んだのか。

理由はいくつかあります。

まず、僕は『428 〜封鎖された渋谷で〜』を作ったあと、『タイムトラベラーズ』という3DCGによる群像劇アドベンチャーゲームを手がけました。
おかげさまで評判も良く、自分としては「群像劇型のアドベンチャーゲームは一区切りかな」と感じていました。

僕が『428』を作ったときには、すでに『街』という偉大な先駆者がありました。
当時の自分&制作チームにとって、その続編的作品を任されたのは、とても大きな挑戦でしたし、同時にとても光栄なことでもありました。

どうすれば『街』を超えられるのか――。
その思いが、『428』のクオリティに繋がったのは間違いありません。

複数のキャラクターたちの視点を行き来する、まるでパズルのような物語体験。
群像劇アドベンチャーゲームは、まさにゲームだからこそ実現可能な、革新的な物語手法です。

自分が『街』からたくさんのものを受け継いで作品を作ったように、きっと誰かが『428』のエッセンスを受け継いで、次の新しい作品を作ってくれるに違いない。

そう思ったからこそ。
もし『428』を超えるような作品が出るならば、それは僕じゃない誰かがやるべきだと思っていたし、そんな“後継者”がいつか現れるだろうと、本気で信じていました。

でも――
あれから20年近く経った今でも、そういう作品は現れなかった。
噂すら聞こえてこない。

むしろ、ずっと僕の耳に届いていたのは

「『街』や『428』のような作品を待っています」

というファンの皆さんの声でした。

「もう一度、『428』みたいな作品を作ってくれませんか?」

実際、いくつかのゲーム会社さんと、プロジェクトの立ち上げについて真剣に話し合ったこともありました。
でも、いざ話を進めていくと、必ず言われるのは

「もっと売れるものを。もっと“新しい”ものを」
「出演者には、有名な●●さんを起用してほしい」

というものでした。
その考え方は、ビジネスとしてはとても理解できます。

でも、あなたの言っている売れるもの、新しいものは、本当に“良いもの”なんでしょうか?
みんなが待ち望んでいるものなんでしょうか?

本質的なところ──「なぜ作品が愛されたのか、なぜ心に残ったのか」は、まったく理解されていないんじゃないか? ゲームの本質を置き去りにして、外側ばかり整えても、良い作品にはならないのではないか?

そう思い悩んだことは、一度や二度ではありません。
どうしても、心の中の疑問がぬぐえなかった。

「ゲームですか?」と眉をひそめるような俳優に出演を依頼する流れには、いつも納得できないものを感じていました。

結局、そうしたプロジェクトはすべて途中で頓挫しました。

振り返ってみれば、実写ゲームを“俳優の人気”だけで成功させた例なんてほとんどないわけですから、当然といえば当然です。

もうそんな企画には関わりたくないーーそう思って、アドベンチャーゲームの制作から距離を置いた時期さえもありました。

誰かが作ってくれれば、僕たちも肩の荷を下ろせる……。
そう思いながら、ずっと待っていました。

でも、やっぱり誰も作らない。

だったら……

覚悟を決めて、自分たちでやろう。
逃げるのはやめよう。
ごまかすのはやめよう。

それが、このプロジェクトの出発点です。

そして、せっかくやるなら自分たちが心から「これが見たかった」と思えるものを作りたい。

だから、最初に声をかけたのが、あらい正和さん北上史欧さんでした。

二人は、『街』と『428』を象徴する存在です。
この二人が並ぶ姿を、自分は見てみたい。
彼らを主演にした作品なんて、僕たちにしか思いつかないし、誰にも作れません。

ファンの皆さんと一緒に、もう一度あの熱量を、あの空気を体験したい。
そのためには、この二人が先頭に立ってくれることが欠かせない。そう思いました。

加えて、このお二人をキャスティングするということは、

「ゲームとシナリオの面白さで真っ向勝負をする!」

という、自分自身の覚悟の象徴でもあります。

だから脚本は、北島行徳さんに声をかけました。

ゲームの形式は、あえてクラシックなサウンドノベル。
実写の静止画の上に文字が重なるスタイルです。
小説のようなボリュームのテキストを楽しみながら、
群像劇としてのマルチサイト構造で、“物語というパズル”を味わっていただきたい。

北島さんとは『428』『タイムトラベラーズ』を共に作ってきた、僕が最も信頼する脚本家です。
彼の脚本なら、僕はそれを信じて、監督として全力で形にすることができる。

今回のプロジェクトは、そういう思いで動き出しました。

先日、ある方に言われました。

「イシイさんは、この作品を“作り手”としてじゃなく、
 “ファン”として作ろうとしてるんですね」と。

たぶん、その通りだと思います。

僕は『街』や『428』のファンの一人として、
もう一度あの興奮を、あの衝撃を味わいたいのです。

そんな気持ちが、このプロジェクトを立ち上げさせたのかもしれません。


最後に。

群像劇アドベンチャーゲームの本質は「利他」性にある、と僕は考えています。

どういうことか?

本来、ゲームというのは「利己」を追求するものだと、自分は感じています。勝利を目指したり、得点を稼いだりーーほとんどのゲームは、“自分のために何かをする”ことがルールだからです。

だけど、『街』や『428』のゲームシステムは違います。
物語を進めるためには、他のキャラクター達が先に進めるように、障害物を排除したり、誰かを引き合わせたり、時には自分が犠牲になったりと、“利他的な行動”をする必要があるのです。

誰かのために何かをすることで、光明が開けていく。
ゲームという利己的なシステムの中で、利他性が機能している面白さ。
僕が群像劇ゲームに魅入られている理由は、そんなところにあるのかもしれません。

でも。
これって、現実世界でも真実だと、僕は信じています。

だから、この思いを共有できるファンの皆さま。

ぜひ、皆さんのお力をお貸しください。

そして、皆さんも僕と一緒に“共犯者”になってください。

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■本プロジェクトの特徴

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1. “群像劇”としてのゲームシステムの継承
“複数の主人公がシンクロし合う物語”という群像劇システムを、あらためて実写で実現。静止画×テキストによるクラシカルな演出の中で、キャラクター視点が切り替わるマルチサイト構造を再び味わっていただけます。

2. シナリオとゲームシステムを最優先する開発姿勢
過去の実写アドベンチャー成功の鍵は、**「面白いシナリオとゲームシステムを第一義にすること」**にあるとイシイジロウは語っています。本作でも同様の姿勢を貫き、キャスティングやプロモーションは“その後”に位置づけ、作品の根幹であるシナリオやシステムを最大限に活かす開発を行います。

3. “利他的”なゲームデザイン
一般的にゲームは「いかに勝利するか」を目指す利己的な構造になりがちですが、過去の偉大な群像劇アドベンチャーは“利他的”な仕組みをはらんでいるのが特徴です。複数の主人公が互いのストーリーに影響を与えあうことで、世界観に奥深いリアリティと楽しさをもたらします。

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■クラウドファンディングについて

サイトURL::https://ubgoe.com/projects/923

本プロジェクトは、ファンの皆さまと一緒に作品を作り上げるため、上記サイトにてクラウドファンディングを実施予定です。皆さまからのご支援・ご声援をお待ちしております。

■プロジェクト概要

対応プラットフォーム:未定
ジャンル:渋谷実写アドベンチャー

監督:イシイジロウ
脚本:北島行徳
シナリオ協力:????
音楽:????
監修:????

出演:北上史欧
   あらい正和
   ????
   ????

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イシイジロウ(左上)、北島行徳(右上)、あらい正和(左下)、北上史欧(右下)
編集者
ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

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