ビル・ゲイツ氏は5月8日(木)、今後20年間で自身の財産のほぼすべてを寄付すると自身のウェブサイトを通じて発表した。
寄付は自身の財団・ゲイツ財団を通じて行われ、世界中の人々の命を救い、生活を向上させるために約30兆円(2000億ドル)以上が提供される。財団は2045年12月31日に解体予定。
No mother or child should die from a preventable cause. No generation should live in fear of deadly infectious diseases. And no one should be denied the chance to thrive because of where they were born. https://t.co/JI88PJC4yW
— Bill Gates (@BillGates) May 8, 2025
ゲイツ財団は、マイクロソフト元会長のビル・ゲイツ氏および妻であるメリンダ氏が2000年に設立した慈善団体。「すべての生命は等しい価値を持つ」という信念のもと、世界中の人々が健康で生産的な生活を送れるよう支援を続けている。感染症などの予防と治療、農業開発、貧困層への金融サービス、水・衛生設備への支援など、これまで1000億ドル以上もの寄付をしてきた。
ゲイツ氏は自身のウェブサイトにて、自分の財産をどのように寄付するかを考え始めた時に、『富の福音』というアンドリュー・カーネギー氏が1889年に書いたエッセイに書かれている一節について多く時間を費やしたという。
エッセイには「富裕層は自らの資産を社会に還元する責任がある」という主張および「このように裕福なまま死ぬ者は、恥辱を受けて死ぬ」という言葉が綴られている。ゲイツ氏は、「人々を助けるために使えるはずの資源を持ち続けるには、解決すべき緊急の問題が多すぎる」と言及しており、あわせて「彼は裕福なまま死んだ」と言われるようなことはしないとも語っている。

ゲイツ氏によると、今回の寄付の計画は当初予定していたものから変更となったようだ。財団を設立した際に定めた「私たちの死後数十年で財団は終焉を迎える」という考え方を見直し、主要な投資を倍増することでより短期間で財団の目標を達成できると考えているという。
寄付の具体的な金額は市場やインフレ率にも左右されるとのことではあるが、2045年までに2000億ドル以上を支出すると予想しているようだ。なおこの金額には、基金残高とゲイツ氏の将来の寄付が含まれている。
また、2025年は財団設立25周年、ゲイツ氏の父が100歳になるはずだった歳、マイクロソフトが50周年を迎える年、そしてゲイツ氏自身が70歳を迎える年など多くのメモリアルな年となっている。同氏はこの節目の年に大きな決断を下したようだ。