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斜に構えることをやめたら、VRChatで友達ができた──3年で学んだ「やさしいインターネット」の話

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私は今、『VRChat』というゲームの中にいる。誰でも入ることのできる集会所ワールド「FUJIYAMA」の片隅で、この原稿を書いているのである。

周りを見渡すと、多くの人々がそれぞれの話題に花を咲かせている様子が伺える。
互いのアバターを褒めあう人、VRChatで行われる各種イベントがまとめられたカレンダーを見ながら今日の予定を話し合う人、フレンドの恋バナについて噂話をする人、そして私のように黙々と一人で作業をしている人など……様々な人間が身を寄せ合い、思い思いに過ごしている。

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私はこれまでの人生で、バーベキューに誘われたことが1度もない。

職場の飲み会には渋々顔を出すが、2次会に声がかかったことはない。
「また今度飲もう」と言われ続けて、気づけば3年が経っていた。
会話についても自覚がある。自分が話し始めると、なぜか場が静まり返る。

要するに私は、コミュ障である。

他人とのコミュニケーション自体は、一応できる。ただそれは表面上のことに過ぎず、深い関係を築くことができない。
なぜだかはわからない。幼い頃は普通に友達がいたのに、いつの間にかこうなっていた。

そんな私が今、毎日会えるフレンドがいて、毎日顔を出す場所があって、親友と呼べる存在がいる。

その答えは、このゲームを遊ぶ人たちの持つ「やさしさ」にある。今日はその話をしようと思う。

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文/植田亮平
編集/kawasaki

※この記事はVRChatの魅力を知ってもらいたい、VRChat×ピクシブと電ファミ編集部のタイアップ企画です。なお、作中の体験や見解はライター個人のものに基づいています


その前に、VRChatについて軽く紹介しよう。かなり有名な作品なので、知っている人はこの段落を飛ばしてもいい。

『VRChat』とは、PCやスタンドアロン式のVRゴーグルで遊ぶことのできるVRゲームだ。

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ゲーム自体に特に目的は無く、ユーザーはVR空間の中で自分の好きなことを自由に楽しむことが出来る。また、VRChat内のコンテンツをほとんど全て「自作」することが可能であり、ユーザーが過ごすためのワールドを作ったり、アバターや着せ替えのための衣装を作成することだってできる。

ゲーム内にはユーザーが作成したワールドが多数用意されており、プレイヤーは好きなワールドの中で、好きなアバターを着て、このメタバース空間で生きている。
「メタバース」と聞くと随分大層な響きだが、実態としては『セカンドライフ』やMMORPGなどの多人数でコミュニケーションが可能なインターネット空間だと考えればいいだろう。

見知らぬプレイヤーに「初心者ですか?」と聞かれた

改めて本題に入ろう。この記事では「やさしさ」の正体について、私の経験に沿いながらお伝えしたいと思う。

VRChatをPCにインストールして、おそらくほとんどのユーザーがまず最初にたどり着く場所は、初心者向けのチュートリアル用ワールド「[JP]Tutorial world」、通称「JPT」だろう。
ここはVRChatでの操作方法や各種設定項目などを解説するためのパブリック(誰でも入れる)ワールドであり、初心者は何よりもまずこのワールドに行くことが推奨されている。

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それはなぜか。このワールドにはメンターがいるからだ。

メンター、つまり助言やアドバイスをくれる先輩ユーザーである。
このワールドに入ると、恐らくあなたはその辺を歩いているプレイヤーにこう声をかけられるに違いない。「初心者さんですか?」と。
ここが初心者がVRChatを始めてまず衝撃を受ける部分だろう。

彼らは公式が雇った案内役NPCというわけではなく、純粋に初心者の案内を目的とした一般プレイヤーたちである。もちろんこの「JPT」も公式ワールドではなく、日本のユーザーが作成した有志のワールドという位置づけになっている。

そして面白いのが、このワールド、2018年10月から開発が始まり、当時はVRChatのUIが日本語に対応していなかったという事情から生まれたものだが、実際にはチュートリアルというよりも、これから形成されていく人間関係のきっかけ作りのために利用されている。

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例えば、ここであなたに声をかけてきた先輩プレイヤーからの呼びかけに何らかの反応を示せば(実際に声を出して喋っても良いしテキストチャットで「Yes」と返すだけでもいい)、彼らは恐らく一通りの説明や案内を行った後、あなたが次に行くべき場所を教えてくれるか、あるいはそのままあなたにフレンド申請を送ってくることもあるだろう。

親切には、理由がない

フレンド申請は「あなたと親友になりたい」というよりも、「次に行くべき場所へ誘導するための便宜」だ。つまり彼らは、これから数珠繋ぎで形成されるフレンドリストの「始点」である。

要するにこのゲームは、「人が人を繋ぐ」し、「ユーザーが全てを動かしている」。JPTはその縮図だ。

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恐らくほとんどのユーザーが、始めは上記のやり取りに似た経験をしているはずだ。
私がVRChatを始めたときもまさしく上のようなやり取りがなされた。あの時のメンターとはもう直接話すことはほとんどないが、今でもフレンドリストの片隅に登録されている。
思えば彼から繋がって今の人間関係へとたどり着いているので、彼には感謝してもしきれない。

そして驚くべきは、彼のようなメンターを務める人間のモチベーションの在り方である。当然のことだが、見ず知らずの初心者のメンターになることに、ゲーム内ではこれといったインセンティブは存在しない。

あるとすれば多少の尊敬を得られることと、自分の中の「やさしさ」が満たされるというだけだ。にも関わらず、今日もメンターは自主的に、そして親切に初心者を次の場所へ、初心者が喜ぶような場所へと導き続けている。

この「やさしさ」のエネルギーこそが、これから説明するVRChatの全ての活動の基礎となっている。それでは、この「やさしさ」に導かれた初心者が次にどこへ向かうのか──私の経験に沿って話していこう。

好みで、かわいい人と交流したい──だからまず、音楽へ

私がVRChatを始めて最初に思い描いたやってみたいことは、可愛い美少女とイチャイチャすること──それだった(自分でも分かりやすい人間だ)。

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私と同じ考えの方がいるなら、それは意外とすぐに実現できるかもしれない。この世界は魅力的なアバターで溢れているし、実際に可愛い声の女の子と甘いコミュニケーションを取れる、有志が主催するイベントも存在する。

だけどコミュ障の私にとって、それらのイベント参加することはあまりにもハードルが高い。なので私はまず、もっとライトな活動から欲望を実現することにした。
あまり会話でのコミュニケーションを要さない、音楽やスポーツなどの活動へと目を向けたのである。

私がまず訪れたのは、VRChatの音楽コミュニティだ。現実と同じようなクラブを再現したワールドがあり、毎晩DJが音楽を流している。
フロアで踊る人、バーカウンターで見知らぬ誰かと話す人──会話が苦手な私でも、音楽があれば場所にいるだけで自然と溶け込めた。しかもDJも主催者も全員ユーザーで、入場は無料ときている。

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次はスポーツだ。私が所属しているダンス系のグループは、毎週初心者向けにダンスのレッスンを行ったり、皆でお手本の動画を見ながら軽い振り付けを練習したりといった活動が、継続して行われている。

重要なのは、それが経験者だけでなく、初心者も対象としていること。ちなみに私のフレンドはVRChatで初めてダンスを始めたが、今では現実でのレッスンにも通うようになった。

音楽やスポーツの他にも、VRChat内には驚くほど多様なイベントやコミュニティが存在する。
舞台での演劇やお笑い、学術系の勉強会、季節に合わせた海水浴や餅つき、男女のマッチングイベントまで──とにかく、自分のやりたいことや出会いたい人にピンポイントでアクセスできるのだ。

やりたいことが見つからない? それなら「やりたいことがない人が集まる集会」に行けばいい。多分VRChatのどこかにある。

共通の趣味を持つ人間が集まる場所には、見ず知らずの他人に対してもごく自然に親切にできる、あの「やさしさ」がある。しかし私の当初の願望は、まだ叶えられていなかった。

好みで、かわいい人と交流すること──その目標を叶えるべく、いよいよ私は勇気を出して「接客系イベント」へと赴くことに決めた。

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ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。

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