手裏剣のごとくリアルタイムに次々とカードを切れ。爽快感抜群の国産カードアクションゲーム『Overdungeon』Steamで発売開始

 POCKET PAIR, Inc.は、リアルタイムで進行するカードアクションゲーム『Overdungeon』の配信をSteamにて開始した。価格は1520円。

 開発中のゲームを発売するSteam早期アクセスを通じて販売されており、完成までには少なくとも1年以上が必要だとされている。また、フルバージョンはより多くのコンテンツが搭載されるため、価格が改定される予定だという。

本作では影響を受けたゲームとして『Slay the Spire』や『クラッシュ・ロワイヤル』が挙げられる。前者をプレイした人は同作のリアルタイム版、後者をプレイした人はローグライグ要素を含むRPG版と考えればわかりやすいかもしれない。

 本作はカードゲームによくあるマルチプレイ対戦がメインの作品ではなく、ひとりでAIの敵と戦いダンジョンのクリアを目指すシングルプレイ専用のゲームだ。敵やショップ、休憩所のマスがランダムに配置されたステージを進み、自身のカードデッキを強化しつつ、最奥にいるボスを倒すことが最終的な目的となる。

 ゲーム中、プレイヤーは敵のマスで戦闘に勝利するか、あるいはショップのマスでコインと交換することで、新たなカードを入手しデッキに追加することができる。また、宝箱のマスなどからは、レリックと呼ばれる特殊効果のあるアイテムを取得可能。こうやってダンジョンを進みつつボスに打ち勝てるデッキや準備を用意していくのが、本作の大まかな流れとなる。

 なお、ダンジョン内では引き返すことはできず次のマスへと進むことしかできないため、一定箇所をぐるぐると周回してデッキを強くしてから先に進むといったプレイは不可能だ。

ステージを進んでいくと最奥にボスが。初期ダンジョンは3ステージで構成されており、合計3体のボスが存在する。

 しかし、カードやコインを入手するために敵と戦闘した際には、もちろん攻撃を受ければ体力が減少する。そのダメージは戦闘終了後も自然に回復することは基本的になく、休憩所のマスで休んだりしなければならない。ゼロになればゲームオーバーとなり、今まで構築してきたカードとデッキはすべて破棄。また振り出しに戻され、ステージ最初からの攻略となってしまう。

 本作の目的は「死なずに最奥のボスにたどり着き倒すこと」だが、同時に「限られたマス数で敵と戦ったりしてデッキも強くしなければならない」というジレンマがある。その緊張感と連続した選択のなかで、強力なキーカードを引き、上手くデッキを構築できた際の喜びは格別だ。戦闘中に戦略どおりに組まれたデッキのカードが次々と“回っていく状況”は、いわゆる脳汁があふれるような快感へと繋がっていく。

 この辺りのゲームデザインは、同作が影響を受けたと考えられる『Slay the Spire』と非常によく似ている。

休憩所のマスにしても、休んで体力を回復するかカードを強化するかという選択がある。

 そんな本作において肝心な戦闘パートだが、『クラッシュ・ロワイヤル』風のリアルタイムのゲームデザインを採用している。戦闘時には自身が選択したキャラクターと敵のキャラクターがそれぞれ位置しており、相手の体力を先にゼロにした方が勝ちとなる。プレイヤーが召喚したミニオンや砲台は、カードのドロー中でもリアルタイムに行動する。

 すべてのルールを細かに説明すると煩雑になるため控えておくが、本作ではリアルタイムに施設やミニオンが動くなか、互いにカードをドローし場に配置するというターン(約10秒ほど)も併用されたようなシステムとなっている。ターンごとには次のターンにおける敵のターゲット攻撃やミニオンの召喚が予告表示されており、これをいかに回避するかが本作の肝となる。

 本作の目指す魅力のひとつはここにある。つまり、リアルタイムのなかどのカードを使って敵の攻撃を防ぐのか、また攻勢が緩んだのであればどう反撃するのかを短い時間で考えるという、スピード感あふれる思考戦である。限られた手札のなかで、次にどのカードを使うのかという知の緊迫感が、速度感を持ってプレイヤーに迫ってくるというわけだ。
 前述のように体力がゼロになれば振り出しに戻されるため、一瞬の判断ミスが簡単に敗北へと繋がってしまうことも少なくない。

本作は近年のカードゲームで流行のマナコスト制ではなく、基本的に手札のカードが2枚になるまで使い切れるというルールを採用している。つまり手札が4枚であれば2枚、5枚であれば3枚のカードが場に使えるというわけだ。

 プレイし始めのころは敵に蹂躙され、わけもわからず倒されてしまうだろうが、カードの知識や基本ルールがわかれば、その場その場で手裏剣のごとく次々と必要なカードを切っていくプレイスタイルはやみつきになるだろう(有利な状況の場合はターン制限ギリギリまで“待つ”という戦略もある)。強力なデッキが回った際には、敵を封殺するような環境を築いて、手も足も出させずに倒すことができる。そんな物量で溢れかえった戦闘は、美麗なグラフィックや壮大なBGMで迫力満点に描かれる。

 一方で、現時点では早期アクセス版ということもあってか、一部のキーカードやレリックが単体のみで非常に強力なほか、序盤から高レアのカードが手に入りやすいという環境となっており、爽快感はあるのだがやや大味にも感じられるかもしれない。ゆえに参考元となった『Slay the Spire』や『クラッシュ・ロワイヤル』が長年掛けて築いてきた緻密な戦略性を求めると、少し肩透かしを食らうだろう。

チュートリアルが現在存在しないためルールが覚えづらい問題も。プレイする場合には「手札は2枚まで使える」、「挑発属性を持ったミニオンや施設、あるいはバリアを貼れば敵のターゲット攻撃を回避できる」という2点をまず最初に覚えておこう。

 ただし、爽快感のあるカードゲームという特異なゲームデザインと、迫力あるビジュアルとサウンドの骨子はすばらしいものを感じさせるところで、ルールさえ理解すればこの手のジャンルが初めてでも楽しく遊ぶことができるレベルに至っていると感じる。今後1年かそれ以上の開発を経て、現在の問題点やバランスはさらにうまく調整されていくことだろう。

文/ishigenn

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ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn
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