第四の分岐
Twitter人狼ADV #ギ・クロニクル
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) July 29, 2022
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第四の分岐:混迷
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なぜか、まだ『狼』は生きてる気がする。
そんな心配中、ゴニヤが致命傷から不自然に息を吹き返した。
水面下で、思惑が、疑念が渦巻いてる。
今日もきっと『儀』はやるだろう。
私は誰を指さすべき?
選択肢:ゴニヤ
が選択されました!退場(b)に分岐します。
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日が落ちようとしてる。
その後は特に何事もなく、
ただ重苦しいだけだった行軍が
終わろうとしてる。
ビョルカが足を止めた。
「お分かりですね」の顔。
しかめっ面のウルヴルも、
怯えた表情のゴニヤも、
異論は挟まない。
『儀』が始まる。
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「……今日は誰も死んでいない。
『誰も犠としない』の選択を
増やしてもいいか、と……
思いましたが、
どうやら不要のようですね。
では、ゆきます」
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「『ヴァルメイヤ、
我らを導く死体の乙女よ。
信心と結束をいま示します。
ご照覧あれ……』
血と肉と骨にかけて──
みっつ。
ふたつ。
ひとつ──」
4つの指が静かに動いて、
それぞれの相手を指し示した。
……やっぱりだ。
ウルヴルは、ビョルカを。
ビョルカは、ゴニヤを。
ゴニヤは……ビョルカを。
それぞれ指さした。
ゴニヤが私でなくビョルカを
選んだ理由は、分からない。
でも、態度から読めた通り。
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「ワシがビョルカを選んだのは、」
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「聞きたくありません」
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「……選んだのは!
小僧は『狼』ではなかったと、
思い直したからじゃ。
あやつが『狼』じゃったら、
死に方なぞ選ばんでもええ。
じゃあ『狼』は誰か。
気付けばいかにも恐ろしい。
ワシらを思い通りにするなら、
巫女を乗っ取るのが
いちばん確実じゃと!」
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「なにしろ、フレイグの小僧は、
巫女の言には絶対服従。
ワシらもまずは疑わん!
最初の『儀』で
ワシを指名したのも!
信仰の道から外れても
『理』をとったワシが、
邪魔じゃったからじゃな!
何とか言え、ビョルカ!」
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「……ふう……
自分に言い訳を積み重ねて、
それで納得できましたか?
フレイグを誤って殺し、
次も誤って殺すかもしれない。
怯えていますね、ウルヴル。
あなたも本当は
疑っているのでしょう?
ゴニヤが怪しいのでは、と」
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「……
むりもないわ。
ゴニヤだって、あやしいと
おもってるもの。
でもゴニヤはまちがいなく、
レイズルをころしたりなんて
してないし……
わからない、けれど……
あえてひとりえらぶなら、
ゴニヤをこわいめでみてくる、
ビョルカかしら……って……」
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「……ヨーズは、どうじゃ。
もう結果は出ておるが、
思うところは言えばええ」
確かに、そうだ。
3人の指さした先。
私の指さした先。
全部合わせて、
結果は……出てしまった。
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「……ヨーズよ。
おまえがゴニヤを
指さしたのも、
怪我の一件のせいか」
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「他に何かある?
『理』がどうのって言うなら、
おかしい。
この『理に反したもの』を
放置するのは。
色々考えてるけど、
結局はゴニヤかわいさで
かばってるだけ。
そう言われて反論できる?
ウルヴル」
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「きさま……!」
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「傷つけて調べるには、
『儀』が要る。
とりあえず、撃たせろ。
死ななきゃ死なないで考える」
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「ヨーズ、こわいわ……」
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「待ちなさい!
ヴァリン・ホルンは未だ
成っていません!
ゴニヤを2人、私を2人。
決選の儀が必要です!
ゴニヤと私を除く2人で
再び指名を行ってもらいます。
決選に失敗すれば、
ヴァルメイヤは誰も、
『犠』とはしません。
すべきことをしましょう」
みんな、返事も反応もしない。
結果が読めたからだ。
仕方なく、
受け入れると決めたんだ。
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「『ヴァルメイヤよ、
改めて、ご照覧あれ!』
みっつ!
ふたつ!
ひとつ!」
私が、ゴニヤを。
ウルヴルが、ビョルカを。
結果は何一つ変わらないまま、
今日の『儀』は終わった。
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【誰も犠とされなかった】
【2日目の日没を迎えた】
【生存】
ヨーズ、ウルヴル、ゴニヤ、ビョルカ
【死亡】
フレイグ、レイズル
獣殺し
朝、誰も死ななかった。
夜、誰も『犠』にしなかった。
なのに、気まずい。
やたらと。
めんどくさいな。
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「……それでは、
今夜もこれで別れましょう。
皆さんの無事を祈っています」
そっけなく言って去る。
なんていうか、すごい。
殺されそうになって
さすがのビョルカも、キレた?
殺されそうになっても
礼儀正しいビョルカ、やばい?
無理。私なら、
ウルヴルけとばして
ゴニヤ泣かすよ。
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「……参ったの。
何もなく終わったんじゃ。
『儀』のことは水に流して……
いや、違うな。
これは、ワシのせいじゃ」
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「ウルじい……?
どうして?
あぶないのは、
ビョルカなのでしょう?
だったら、
ビョルカのせいだわ」
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「……ゴニヤ。ええか。
『村』の生き方では、
世のしくみや、
物事のなりたち、始末──
なぜそうなったか。
どうすれば、そうならないか。
つまり、『理』。
これをあえて考えずにおく。
『理』は『死体の乙女』に
預け、ただ掟に従い、
禁忌を避け、生きる」
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「そうだった。
でも、もう『村』はないわ。
だからウルじいも、
やり方をかえて、
『理』を選んだのでしょう?」
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「ああ……じゃがの、ゴニヤ。
『理』とは即ち、
見たもの、聞いたもの、
既に決められたこと、
あらゆるものを疑うこと。
つまりは『疑』でもある。
『疑』は不仲をよぶ。
同胞のいさかいをよぶ。
じゃから『村』では許されん。
ワシらも今、そうなっとる」
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「……では、どうするの。
やめてしまうの。
『理』を」
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「……既に打ち始めた鉄は、
放り出せば割れるだけじゃ。
『狼』がいなくなるまで、
徹底的に『理』を尽くす。
その後あらためて、
謝るべきもんは謝るわい。
ヨーズも、それでええかの」
まあ。別に何でも。
とか適当に答えて、
バラけていく2人を見送った。
ありがたい建前とかに、
興味ない。
知りたいのは、真意。
ホントは何が言いたい?
昨日いろいろ話したし、
ウルヴルに聞く意味は、
もうないと思う。
と、いうことは……