「かくして
またひとつ
悲劇がこの地に刻まれた
血は流され
肉は切られ
骨は砕かれて
凍土へと還された」
「我が名はヴァルメイヤ
傷つき磨かれた魂を
ことほぐもの
巡礼者たちよ
その魂の傷のさま
いまだ『館』に入るには足りぬ
いまひとたびの巡礼を
いまひとたびの巡礼を
いまひとたびの巡礼を……」
「もしもしTwitter民?
ちょっと黒幕っぽいの
発見したんですけど
晒し上げてもらっていいです?
あっ通報とかはご勘弁で!
#ギ・クロニクル
送信……っと、
あれ? 電波悪いな……」
「……
おまえ
なにもの」
「え、こっちが聞きたさ
ありますけど。
なに? 神?
『シンクロ』の世界って
そういう神的な存在
いる設定でした?
どーでしたっけ──!
松永プロデューサー!」
「おい
ちょっと
なんか
やめろ」
「おっといかん、
こんなエクストリーム漫談を
楽しんでる暇はないのでした。
巡礼者も『プレイヤー』各位も
待ってますからね。
さあ、『ギ・クロニクル』。
いかがでした?
いかがもタコもない、
凄絶かつ残虐な展開で──」
「いや
あの
まって
無視をするな
さびしい」
「おーおーおー、
あんだけロコツな黒幕ムーブで
コーナー入りしといて
後から萌え要素チラ見せとか
策士ですか?
そうは問屋がオロチ丸!
かわいいのはわたしと
ぷにるちゃんだけで十分です!」
「おまえは
いったい
さっきから
なにをいっているのだ
え
我がおかしいのか」
「ん、あれ、待てよ……?
諸悪の根源なればこそ、
万事を把握してるハズ。
それ、解説役として
最適なのでは……?
あのー、
フレイグ氏たちの騒動、
こっから見てましたよね?
さっきの口ぶりだと」
「だから無視をするな
しかと見てたけれども」
「ザッツナイス!
それじゃ急きょ、
解説は対談形式で
やることにいたしましょう!
さっそくですが
??????さん、」
「まて
解説ってなんだ
いやそれよりも
??????ってなんだ
ヴァルメイヤだっつってんだろ」
「解説[かい・せつ]とは
ものごとの意味やしくみなどを
わかりやすく言って
ご理解いただくことですね!
名前表示は、いきなり情報量が
増えると『プレイヤー』各位が
混乱するとみて
漫才第1回は伏せてみました。
謎めいてる我々も
素敵だと思います!」
「漫才ってなんだ
プレイヤーってなんだ
こんな伏せ字連発のほうが
負担でかいだろ
だれが
だれが
だれが
言葉の意味を言えと あ
あ あ あ
あああああああああああああ」
「あっ壊れた。
失礼失礼、ちょっと初回から
ハードにやりすぎましたね。
あと確かに、伏せ字のほうが
ご負担がキツイかも……?
仕方ないな~、
じゃ、開けちゃいますか!」
「おお 名前が
また違っている
違っているぞ
なぜだ
なぜだ
なぜだあ」
「我々については置いといて!
いいかげん今回の『巡礼』で
思ったことや感じたこと、
つらつら語り合おうじゃ
ありませんか!」
「……
今回の巡礼の流れだが
フレイグが最初に『犠』となり
『狼』は一度 なりをひそめた
しかし不穏ぬぐえぬ2日目に
クマが来襲
ゴニヤが瀕死の重傷を負うも
やがて不自然に回復する
疑念うず巻く中『儀』が行われ
綱渡りのような指名により
誰も『犠』とならない形になり
ヨーズはビョルカを救った」
「その夜ヨはビョを訪れるが
ビョへの想いはすれ違う
悲しいことに 翌朝にゴが
死体となって発見される
行軍にも行き詰った残り3人は
『儀』を行う
ビョと仲間のつもりだったヨが
まさかの裏切りで『犠』に決定
ビョへの友情を失ったヨは
なにもできず『犠』となり
やがてビョも倒れたが
その今わの際の枕元には
謎の巨大怪物が……」
「待ったァ!!
なんですか謎の巨大怪物って!
いくらファンタジーだからって
軽く出てきていいもんじゃない
でしょ謎の巨大怪物って!
っていうか!
さほどでかくないし!
しかも明らかにウルヴル氏だと
示唆されててそっちんが重要!」
「おまえ
だいじょうぶか
血管さけるぞ」
「精霊に血管があるかァ──!!
え、あるんですかね。
教えて松永プロデューサー!!
ぜえぜえ。
まあ実際、何なんですか。
突然あんなバケモノになった
ウルヴル氏という存在は。
……いちおう『狼』を
自称してるっぽいですが……」
「うむ
『おまえらの言う狼』だな
姿かたちは重要ではない
『狼』の本質は
過去であり
呪いであり
魂なのだ
といってもわからんだろう
百度ほど『巡礼』を見守れば
おぼろげにわかるはずだ」
「そんな悠長な……
まあ、『狼』が言葉よりも
ずっと難解な概念らしいことは
分かったんでいいですけど」
「それより分からんのだが
最後にウルヴルは
『プレイヤー』とやらどもに
語りかけてなかったか
結局なんなのだ
『プレイヤー』とは
というかウルヴルが
理解しとるっぽいのは
若干ゆるしがたいぞ
というかあいつ
おまえも認識してなかったか
アオイトリ
おまえ もしや
『巡礼』に介入してるのか」
「ぎくぎくぎく!
さ、さあ、ウルヴル氏の
口から出まかせでは!?
バケモノになって口と気まで
でっかくなっちゃた的な!!」
「そうか
そうかもな
うむ けしからん
奴を『巡礼』に加え続けるのは
はたして得策なのか……」
「ごまかせた……
なんか重要そうな独り言は
今はそっとしときましょう……」
「……もういいだろう
つかれた
我
はやく『次』に進みたい」
「あの、さっきから何度か『次』
と仰いますが、また別の人らを
よせ集めて死の雪原に放つ気な
んです?
かーッ!
イカれてますねー旦那ァ!
電柱にアタマぶつけて
死んじゃえばいいのに」
「別の人らをよせ集める?
なぜそんな必要がある
わたしはヴァルメイヤ
死を選ぶもの
わたしのめにかなわぬ死など
やりなおせばよい
あと おまえ
なんだ おまえ
なんでいきなり
死ねばいいとか
泣くぞ」
「かわいこぶりは無駄ですが……
決着した死を『やりなおす』?
ループもの、みたいな話?
回数を重ねると何か分かる?
疑問しかないですもんね、今」
「だから
だから
だから
お ま え の 話 は
わ か ら ん
おまえも死んでやりなおすか
くらえ
ヴァルメイヤ・キック
とおう」
「をわ──ー!? 刃物ッ!?
さくっとウソついて刃物!?
ガチなら受けて立ちますよ!!
正義の晒し上げRTをくらえ!」
「ぬぬ
なんだか不気味だな
ここは引き下がっておくか
こほん
あらためて
『次』の巡礼をはじめる……」