『シノアリス』の音楽には“希望や救いのある和音“がまったくない!?コンサートだからこそ表現できる世界とは【ヨコオタロウ×岡部啓一×アオキタクト×白須今 座談会】

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 2018年11月23日〜24日の2日間に渡り、東京都港区にあるニッショーホールにて『SINoALICE -シノアリス-』(以下『シノアリス』【※】)のコンサート「SINoALICE CoNCERT ~ギシンとアンキの愉快な音楽祭〜が開催された。

 なお、24日の昼公演と夜公演はニコニコ生放送でも配信され、多くの『シノアリス』ファンが、音楽世界に酔いしれた。

※『シノアリス』……2017年より配信開始されたiOS/Android用RPG。キャッチコピーは「それは最悪の物語」。キャラクターズと呼ばれる存在が、自身の作者を復活させるため、他のキャラクターたちと殺しあうことになる。スクウェア・エニックスとポケラボが共同開発。ユーザー数は2018年11月の時点で400万人以上。2019年には、ネクソンからグローバル配信される予定。

 『シノアリス』は、アリス、赤ずきん、人魚姫、ピノキオ……など、誰もが知るおとぎ話のキャラクターたちが“ライブラリ”を舞台に、作者復活を目的に戦っていくダークファンタジー。登場人物たちの可愛らしいルックスとは裏腹に、『シノアリス』なモノガタリが、荘厳な音楽とともに展開されるスマホアプリゲームだ。

 ゲームをプレイするにあたり音楽はその世界を広げてくれる存在だが、ソーシャルゲームRPGとなると、楽曲を聴かずにクエストを進めていくプレイヤーも決して少なくないだろう。
 しかし『シノアリス』はログイン時に「ヘッドフォン、もしくは音を出してプレイしていただくと、より『シノアリス』の世界が楽しめます」という文字を出し、音楽とともにプレイすることを推奨しており、運営側が音楽に強いこだわりを持って制作していることが伝わってくる。

 それもそのはず。今作を手掛けているのは、『NieR』シリーズ(以下ニーア【※1】)、『ドラッグオンドラグーン』【※2】などを手掛け、「ゲームを含む映像作品は音の奴隷」といったことをたびたび公言するヨコオタロウ氏。
 音楽を彩っているのは、ヨコオ氏の作品でお馴染み・岡部啓一氏(MONAKA)である。

『シノアリス』のアプリ起動時。下段にヘッドホン使用の推奨が明記されている。

※1 『NieR』シリーズ
『ニーア レプリカント』(NieR RepliCant)および『ニーア ゲシュタルト』(NieR Gestalt)は、2010年に発売されたアクションRPG。『レプリカント』はPS3、『ゲシュタルト』はXbox 360でそれぞれ発売。2017年には続編となる『ニーア オートマタ』(NiをPS4で発売。ディレクターはすべてヨコオタロウ氏。発売元はスクウェア・エニックス。

※2 『ドラッグオンドラグーン』(DRAG-ON DRAGOON)
2003年に発売されたアクションRPG、およびその関連作品から成るシリーズの名称。その悲壮なストーリ展開から、しばしば「鬱ゲー」と称される。TV CMで使われたキャッチコピーは「抗え。最後まで。」。発売元はスクウェア・エニックス。

 『シノアリス』の音楽は、古典的な楽器と造語によるコーラスで物悲しい旋律を描く一方、バトル曲は熱く勇ましい。さらに「現実篇」と呼ばれるシナリオでは、メタリックなエレキギターまでが冴えわたる……シンフォニックでありながらも挑戦的なサウンドが随所に散りばめられている『シノアリス』の音楽のセカイ。
 ゲームとともに音楽も人気を集め、2018年9月19日には、サウンドトラックが『SINoALICE -シノアリス- Original Soundtrack』が発売。さらにファン待望のコンサートを開催されるに至った。

 コンサートは室内管弦楽団+ピアノ+ギター+ハープ+コーラスという編成で、新たにアレンジされた『シノアリス』音楽をお届け。迫力の生演奏をはじめ、オリジナルの映像のほか、リアルタイムでゲームとも連動。

 コンサート中にゲームのナビゲーターである“ギシンとアンキ” 【※】が大暴走を巻き起こし、ユーザー全員に“クソ武器”なるプレゼントが配られたり、「ギシンとアンキが暴走している事象について」の不具合のお知らせを出すといった「ソーシャルゲームのコンサート」の革命ともいえるような斬新な演出で観客を喜ばせた。

 

※ギシンとアンキ
『シノアリス』に登場する案内役の少女型のマリオネット(ギシン)と、少年型のマリオネット(アンキ)。物語の冒頭の他、ガチャ、ローディング画面でもおなじみ。奇妙な小話やリアクションを繰り広げる。

 しかし、この“愉快な音楽祭”にたどり着くまで、ステージ裏では一筋縄ではいかない“最悪の物語”が繰り広げられていたようだ……。

 本番2日前。都内某所で行われていたリハーサル前に、ヨコオタロウ氏岡部啓一氏、シノアリスの映像ディレクターのアオキタクト氏、コンサートマスター・アレンジャーの白須 今氏に話をうかがい、あらためて『シノアリス』コンサートについて、そして本作の音楽性について掘り下げていった。

左から:ヨコオタロウ氏、アオキタクト氏、岡部啓一氏、白須 今氏

文/逆井マリ
構成/かなぺん


「それは最悪の物語」……コンサート開催のプロローグ

──「SINoALICE CoNCERT」は、9月17日に横浜で開催された「NieROrchestraConcert」【※1】から間髪入れず……というタイミングですが、どういった経緯でコンサートが開かれることになったのでしょうか?

ヨコオ氏:
 それはですね。2018年、岡部啓一音楽祭のトリを飾るにふさわしいコンサートを、と。

岡部氏:
 いやいやいや……(笑)。違いますよ! 

一同:
 (笑)

「SINoALICE CoNCERT ~ギシンとアンキの愉快な音楽祭」のホールに設置されていたキャラクターパネル。

岡部氏:
 プロデューサーの藤本さん(藤本善也氏【※2】)とは、以前から「いつか『シノアリス』のコンサートができるといいですね」と話していたんです。でもモバイルゲームでコンサートというのは……なかなか難しいかなと思っていて。最初は曲数も少なかったので、サウンドトラックを出すことすら難しいかなと。当時は冗談半分って感じでした。
 でも運営が継続されていくなかで、曲数が追加されて増えていって、サントラを出すことができて。よかったー! と思っていたら「イベントもぜひやりましょう」というお話をいただいて「じゃあぜひ」と。

※1 「NieROrchestraConcert」
『NieR』シリーズのオーケストラコンサート“NieR Orchestra Concert”を2018年9月17日、パシフィコ横浜 国立大ホールにて開催された。通称、ニアコン。指揮は大井剛史氏、演奏は神奈川フィルハーモニー管弦楽団が担当。

※2 藤本善也
スクウェア・エニックス所属。『シノアリス』プロデューサー。

──岡部さんとしては、ふたつ返事だったわけですね。

岡部氏:
 そうですねえ。嬉しかったので。ただ、ぶっちゃけてしまうと……まあ、ちょっと……色々あったんです。

ヨコオ氏:
 いやー。最初、僕は「やらなくていいんじゃない?」ってずっと言ってました。

アオキ氏:
 コンサート直前になっても、言ってましたけどね!

──ええ!? 揉めていたというお話は事前の予告でも少しお話されていましたが……改めてその理由をうかがってもいいでしょうか?

※コンサート直前のヨコオ氏と岡部氏による予告映像。“揉めた”原因の一部始終を暴露している。

岡部氏:
 「ニアコン(NieROrchestra Concert)」はかなり前から決まっていたんですが、そのあとに『シノアリス』のコンサートが決まったこともあってバタバタで。普通のイベントから考えると、開催までかなり近い状態だったんです。白須さんのところに話がいったのもギリギリだったはず。

ヨコオ氏:
 そもそもね、「ニアコン」の後すぐに『シノアリス』のコンサートをやるって、ちょっと意味がわからないなと思って。お客さんもそこまでコンサートを欲してないんじゃないかな、と。
 だから「やらなくてもいいんじゃないんですか?」とずいぶん言ったんですけど、藤本Pが「どうしてもやりたい」ってことで無理やり……クライアントさんだから逆らえなくて、やらざるをえなかったというか……。

岡部氏:
 藤本Pのイメージ悪くなるわ!

一同:
 (笑)。

ヨコオ氏:
 しかも日程的な問題だけじゃなくて、アレンジや方向性、どういう編成でやるかも、俺と岡部さんがずっと揉めていたんです。でもね、あれは岡部さんが悪いです。岡部さんが悪いんですよ……!

──力強く二度言う(笑)。

岡部氏:
 いや、そんなことないんです! 少し長くなるんですが、順を追って説明すると……最初にコンサートのご提案をいただいたときに、すでに会場が決まっていたんです。つまり、ステージの大きさもキャパも当然決まっているわけなんです。
 そこまで大きなステージではないので、会場に合わせて小さめな編成を組んでもらったんです。と言っても、弦楽が8人構成で、ピアノ、ハープ、ギターという形で「それだけの人数がいればバリエーションを作れるし大丈夫です」と。

 ただ、激しい曲に関しては音圧を出すのが難しいなと思っていて。今回のコンサート用に曲をアレンジしていただいて、しっとり聴かせる方向性でいければいいかな、と。そういうお話をヨコオさんにしたところ「いや、ないよね」って。激しい曲は激しく聴きたい、と。

コンサートは東京のニッショーホールで開催された。
(画像は日本消防会館(ニッショーホール)より)

ヨコオ氏:
 『シノアリス』のコンサートは初めてなので、お客様は変化球を求めてないんじゃないかなと。『ニーア』のときもそうだったんですけど、変化球(アレンジされた曲)って、メインでおなか一杯になったあとに聴きたくなるものだと思うので、まずは曲のコンセプトにあったドカッとした音を聴かせてほしいなと思ったんです。だから岡部さんに「そんなのテープで流せばいいじゃない」と言ったんですよ。

岡部氏:
「生楽器と、すでに録音された音源と同期をとって流せばいい」と。いわゆるプログラミングというか。

──打ち込みの音を生演奏と同時に鳴らすという方法ですね。ヨコオさんとしては、生演奏以外の音を入れて、より迫力を出したいと。

ヨコオ氏:
 『ニーア』の序盤もそういう方法でやっていたんですよ。ところが岡部さん、ビッグになってとうとうそれを断りはじめて……。

岡部氏:
 違うって!!! 話を聞いてよ!(笑) 

一同:
 (笑)

岡部氏:
 ボーカリストがいる場合は、バックの音に録音された音やプログラミングされたものが入っていてもライブ感を出せると思うんです。
 でも『シノアリス』の場合は、基本的には楽器で構成されている音楽ですし、正直そんなに安いチケットでもないですし……録音された音より生演奏を聴きたいだろうなという考えが自分の中にあったんです。そこは譲れねぇなと。だから「この構成でやるなら、生演奏で聴かせるべきだ!」と。

ヨコオ氏:
 今までのコンサートのなかでいちばん揉めたよね。それはもう、岡部さんがビッグになったからだけど。

岡部氏:
 だから違うって!

一同:
 (笑)。

──少し話がそれてしまいますが、ヨコオさんと岡部さんがタッグを組んだ最初のコンサートは2012年の『ピアノコレクションズ ニーアゲシュタルト & レプリカント』【※1】になるのでしょうか?

岡部氏:
 そうです。そのときの購入特典で小さいピアノコンサートを開いたんです。あのときはピアノだけだったので比較的カジュアルなコンサートで。
 『ニーア』に関しては色々なバージョンが存在しているので【※2】、静かな曲をアレンジしてもヨコオさんは何も言わなかったんです。ピアノアレンジアルバムに関しては、最初からアレンジされていることが前提でしたしね。だから今回もピアノアレンジで大丈夫かなと……。 

(画像はAmazon | ピアノコレクションズ ニーアゲシュタルト&レプリカント | ゲーム・ミュージック | ゲーム | 音楽より)

※1 『ピアノコレクションズ ニーアゲシュタルト&レプリカント』
2012年3月21日に発売。RPG『ニーア ゲシュタルト』『ニーア レプリカント』のピアノのみでアレンジした音楽作品集。岡部氏率いるMONACAプロデュースにより、全曲新規録音源のみを収録。CD発売に先駆けて2012年3月20日に200人を無料招待し、新宿アイランドホールでコンサートが開かれた。

※2 『ニーア』に関しては色々なバージョンが存在している
『ニーア レプリカント』『ニーア ゲジュタルト』『ニーア オートマタ』、それぞれオリジナルサウンドトラックの他、前述の『ピアノコレクションズ』など趣の異なるアレンジアルバムが発表されている。

ヨコオ氏:
 いやそりゃさ、『シノアリス』でピアノアレンジアルバムが出たらそれでいいけど、違うでしょ。

岡部氏:
 いや、でもさぁ〜……。

アオキ氏:
 あぁぁぁ〜もうっ!!!!!!!!   もういいじゃない、終わったことなんだから! もうあれだけひと悶着したじゃない(笑)。

ヨコオ氏&岡部氏:
 …………(笑)。

ヨコオ氏:
 ……と、こんな感じで岡部さんと僕が揉めているときに、イルカ(株式会社イルカ【※】)の偉い方が「もうしょうがねぇな」と、今のアオキさんみたいに仲裁に入ったんですよ。

※株式会社イルカ(ILCA)
映画・TV・アニメ・ゲームなどの映像制作会社。アオキ氏が所属。『シノアリス』の映像協力の他、『ドラッグオンドラグーン3』『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』などで知られている。

岡部氏:
 そう。それで予算を増やしてくれて、編成を増やせることになったんです。ただ会場は決まってるから、ステージギリギリに人を詰め込む形になって。でも、みんな納得できる形になりました。

──人数を増やしたことで“音の迫力”問題は解決されたんでしょうか?

岡部氏:
 はい。迫力はしっかり出ると思います。もちろんフル編成のオーケストラではないですが、室内管弦楽ならではの良さが出るんじゃないかなと。

──ヨコオさんと揉めてまで岡部さんが主張した “生の音”へのこだわりをもう少し聞かせてください。岡部さんは生音の良さにどんな魅力を感じられているのでしょうか。

岡部氏:
 演奏の完成度で言うと、レコーディングした音源のほうが良いんです。何回もやり直して録音したものなので。でも、コンサートは、同じ空間にお客さんがいる。お客さんの存在があるおかげで演奏する側も意識を高めていけるし、ノッていけるんです。

 コンサートだからこそできるパフォーマンスがあると思うし、そういう演奏だからこそ感じられる楽しさがあるんじゃないかなと。それがコンサートやライブの醍醐味だと思うので、今回も感じてもらいたいなというこだわりがありました。

ヨコオ氏:
 ……と、それが僕らが今回のコンサートについてやったことのすべてです。これ以上、岡部さんと俺は話すことはないのであとは現場のおふたりに……。

──えっ、そうなんですか?

ヨコオ氏:
 はい。コンサートの内容にかんしては、『シノアリス』の映像をお願いしていたアオキさんに、「コンサートの構成とか興味ない?」って聞いて、返事を待たずにお願いしました。

一同:
 (笑)。

ヨコオ氏:
 返事を聞いていないので、アオキさんがコンサートに興味あるのかは今でもわかってないです。

アオキ氏:
 確かにその問いに返事した記憶はないですね(笑)。

岡部氏:
 「相談」という名の「命令」ですよね(笑)。

アオキ氏:
 そうですね、はい(笑)。圧がかかりました。

岡部氏:
 ただ僕も(ヨコオ氏と)近いところがあって。『ニーア』のコンサートと日程が近かったので、手を動かすことが難しいとは最初に伝えていたんです。それで白須さんにアレンジや音楽面のサポートをガッツリやっていただくことになって……。

アオキ氏:
 ひと悶着が起きている間“やらないかもしれないコンサート”の進行表を書いていて、白須さんはアレンジを進めていて。白須さんと「開催されないかもしれないけど頑張ろう」と(笑)。

白須氏:
 そうそう。そもそもコンサートがあるかわからない状態だったので「どうなるんだろう?」と。僕の場合は、岡部さんとヨコオさんと一緒にじっくりと話すのは今日が初めてくらいの勢いなんです。ヨコオさんと岡部さんは雲の上の人なので……。

ヨコオ氏:
 雲の上だって、岡部さん。

岡部氏:
 だからもう~! 違うってぇ〜。

一同:
 (笑)。

『ニーア オートマタ』の仕事が運の尽き? 4人の出会いを振り返る

──白須さんは、ヨコオさんと岡部さんと膝を突き合わせたのは初めてとのことでしたが、ここで改めて皆様の関係性を伺いたいです。

ヨコオ氏:
 岡部さんと僕のつながりは、この間「SOULCALIBUR VI」の生放送【※】で、話したんですが……神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科の一期生(ヨコオ氏)、二期生(岡部氏)として入学。大学卒業後、株式会社ナムコに同期入社しています。

 アオキさんと僕の関係は……最近僕がお仕事を受けすぎて大変になったときに、映像のプランニングをできる人が欲しいなと思って。そしたら近場にたまたまいたアオキさんにお願いしたらできちゃって。それで今、ありとあらゆることをお願いしています。……つまり、癒着してます(笑)。

アオキ氏:
 僕はイルカに入社して7、8年経つんですけど、当時斜め向かいの席にいたのがヨコオさんだったんですよ。そのときは、『ドラッグオンドラグーン3』を作るか作らないか……という時期で。すっげぇピリピリしているなって印象でした(笑)。

 僕はゲーム業界にどっぷりいた人ではないから、ヨコオさんのすごさを正直知らなかったんです。この業界にいたら「やっと、あのヨコオタロウに会えた!」という感覚が普通だと思うんですが……初めてお会いして「ヨコオといいます。ゲーム作ってます」って言われたときも「あ、そうなんすねー、ふーん」って感じで(笑)。大変失礼ながら、僕からしたら斜め向かいの席にいる普通のおじさんだったんです。それで、たまに一緒に飲みに行ったりするだけの関係をダラダラ続けて……って感じですよね?

ヨコオ氏:
 そうです。アオキさんはもともと3DCGを中心としたお仕事をしていて。その映像を作るのに疲れたって言っていたから、「じゃあゲームをやってみたらどうですか」と甘い餌で釣ったんです。

アオキ氏:
 それで、たまたま手が空いていたときに、『NieR:Automata』(以下、『ニーア オートマタ』)の話がきて。

ヨコオ氏:
 それがアオキさんの運の尽きでしたね。

──運の尽き(笑)。そこから仕事上での密なお付き合いがはじまっていくわけですね。

アオキ氏:
 本当に運の尽きでした(笑)。最初は「間に合わないから手伝って!」くらいの軽い感じで、『ニーア オートマタ』のトレーラーやゲーム内の小さな映像を作るところからはじまったんですが、まあ、結果的にはありがたい事に、気に入っていただけたわけですよね。それで続けて『シノアリス』も関わるようになって。

ヨコオ氏:
 最近は『シノアリス』のキャラクターのストーリーを書きはじめていて。

──え!? そうなんですか!?

アオキ氏:
 ちょっとちょっと!!! それ表に出していっていい話しなんですか?

ヨコオ氏:
 えっ、大丈夫でしょ。というか、言ってなかったの?

アオキ氏:
 いやあ、一応肩書きはシノアリスの映像ディレクターって事になってるから、なんとなく言ってませんでした。
 えーっと……『シノアリス』の映像だけではなく、ゲームのプランニングやシナリオ、世界観の設定にも携わらせてもらっています。なし崩し的に(笑)

ヨコオ氏:
 「アオキさん、やればできるじゃん!」なんて言ってね(笑)。

アオキ氏:
 そして、ヨコオさんというグラスからこぼれたタスクが、その下にあるアオキのグラスにドバドバ注がれるという、タスクのシャンパンタワーの完成ですよ(笑)

──(笑)。では岡部さんと白須さんは……。

岡部氏:
 実際に面識はないときも漠然とした繋がりがあったんです。もともとアオキさんの所属しているイルカの社長の岩崎(岩崎拓矢【※】)っていうのが、僕とヨコオの同期なんです。で、岩崎と白須さんが同郷で、ご近所さんだったらしくて。

※岩崎拓矢氏
神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科二期生。ヨコオ氏、岡部氏らとともに大学卒業後に株式会社ナムコに入社。『リッジレーサー』シリーズ、『エースコンバット』シリーズのゲームデザイン、ディレクターを担当する。現在は株式会社イルカ、株式会社オルカの代表取締役。

白須氏:
 岩崎さんとは、小学校が同じくらい近所なんですよ。

岡部氏:
 イベントのときに岩崎を介してお会いして、白須さんに「どこかでご一緒できたらいいですね」というお話はしていました。

 あと、直接お会いする前ではあるのですが……『ドラッグオンドラグーン3』のときに、主題歌を藍井エイルさん【※】に歌っていただいたんです。僕が曲を作ったのですが、白須さんはエイルさんのライブのサポートメンバーとしても活躍されていました。

白須氏:
 そう。だからライブのときに岡部さんの「クロイウタ」を弾いてるんですよね。「この曲めちゃくちゃいい!」と当時も思っていたんです。

※藍井エイル
北海道札幌市出身の女性シンガー。『ドラッグオンドラグーン』のファンであることを公言している。『ドラッグオンドラグーン3』では、テーマソング「クロイウタ」を歌った。「クロイウタ」の作詞は菊地はな氏、作曲は岡部氏が務めている。

ヨコオ氏:
 ……そんなに持ち上げなくていいですよ。ところで白須さんは、『音楽劇ヨルハ Ver1.2』【以下『ヨルハ』【※1】でも暗躍されていたんですよね。

岡部氏:
 2018年の頭にあった『ヨルハ』は、コンセプトが“音楽劇”だったので生演奏を入れたんです。女性のキャストさん中心の舞台だったので、演奏者もできるだけ女性にしたかったのですが……ギターの後藤くん(後藤貴徳氏【※2】)はバンマス(バンドマスター)【※3】なので、そこは大目に見てという感じで(笑)。そのかわり、バイオリンは華のある女性がいいよねと思っていて。そのときに白須さんにご相談して「誰か紹介してもらえませんか?」と。

白須氏:
 それで、今回の『シノアリス』コンサートにも出演している島田光理さん【※4】にオファーをしたんです。……そのときは紹介のみだったので、今回のコンサートでやっと一緒にお仕事できることになって嬉しかったです。

(画像は舞台ヨルハ公式より)

1『音楽劇ヨルハ Ver1.2』
『ニーア オートマタ』の世界観に基づいた舞台。ヨコオ氏が脚本を、岡部氏が音楽を手掛けている。男性キャストで描かれた新作舞台『少年ヨルハ』と女性キャストのみで演じられる『音楽劇 ヨルハVer1.2』が、2018年1月~2月、それぞれ別の会場で公開。後者は再再演ではあるが“音楽劇”として今年新たに生まれ変わった。

※2 後藤貴徳
ギタリスト。アニメ/ゲームを中心にさまざまなレコーディング、ライブ活動を行っている。『シノアリス』『ニーア』シリーズの他、『IDOLM@STER』『アイカツ!』シリーズなど。

※3 バンドマスター
演奏をまとめるリーダー役のこと。

※4 島田光理氏
1992年生まれのバイオリニスト。桐朋女子高等学校音楽科を経て、2010年桐朋学園大学音楽学部入学。メタル、クラブミュージックにも造詣が深い。

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