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Q.ゲーム作りで生きていくために必要なことは? A.まず今の学業や仕事を無計画に辞めないこと。「ゲームを作って生きていく」ための指南書『インディーゲーム・サバイバルガイド』は、「サステナブルにゲーム制作を継続していく」ことに重きを置いた、非常に現実的かつ実践的な必読書だった

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「そもそもゲームを完成させる」こと自体が難しい!

──今の話とも通じるかと思うんですが、同人ゲームやインディーゲーム界隈ではよく「そもそもゲームが完成しない」という問題も昔からありますよね。

一條氏:
 エターなる【※】ってやつですね(笑)。じつはその問題も見越していて、この本には「完成の極意」という項目があるんです。とはいえ単なる心得みたいなものですので、このインタビューでほぼ言ってしまおうと思います(笑)。

※エターなる
「エターナル」(eternal:永遠の、果てしない)を動詞化させたスラングで、「ゲームが未完に終わる」ことを指す。フリーゲーム界隈、とくにツクール界隈で生まれた言葉で、「エタる」「エタった」とも言う。

 エタらないためにまず大事なのは、ゲームを作る技術的なところで詰まってしまわないようにすることですね。今ではUnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンが公式でしっかりとしたドキュメントや動画を公開してくれているので、まずそこをちゃんと活用しましょう、というのはひとつ言えることだと思います。

 本にも書いていますが、今はもう「わからなかったらググれ」が通用しない時代になっています。アフィリエイト目的に過度なSEO対策をした中身のないブログ、いわゆる「いかがでしたかブログ」の乱立と、強い言葉で人目を引きつける発信者たちの台頭で、質の低い情報が検索上位にヒットしてしまうからです。

──それはすごくよくわかります(笑)。全然参考にならないことが多いですよね……。

一條氏:
 ですので本書では、「ゲームエンジン公式や、技術カンファレンスのログなど、発信者の身元がはっきりしている信頼できるソースを頼ってください」と書いています。

 あともうひとつ言っておきたいのは、技術的な知見が増えると「前に作った部分を作り直したくなる衝動」に駆られると思うんですけど、それは絶対に作り直さないほうがいいです。これはかなりの確率でエターなる原因になります(笑)。
 私自身も、2年くらい前に作ったやつとかを見直すとすごく直したくなりますけど、直し始めるときりがないですからね。

──それもよくわかります(笑)。でも言われてみれば、動いてるのであれば直すよりも完成に向けて足りない部分に時間を使ったほうがいい、というのはまさしくそのとおりですね。

一條氏:
 ですね。パフォーマンスに問題があるとか、ゲームが成り立たないとかでなければ、もう作ったところにはあまり触らずに、増えた知見は次回作に活かしたほうがいいです。

 ゲームを作ってると、そのうち「こういうゲームも作りたいな」という気持ちも湧きがちなんですけど、直さないのと同じ理由でそれもやめたほうがいいですね。次々に新しいプロジェクトにジャンプしていくと何も完成しなくなってしまいますから。
 「最後までやり切ってから次をやろう」というのは、自分にも言い聞かせてます。

──なるほど、「これやりたいな、あれやりたいな」というのは「次回作に取っておく」んですね。

一條氏:
 そうそう、取っておきましょう(笑)。新しい要素を加えるときって、すぐに実装できるならいいんですけど、新たにプログラムコードを大量に書かないと試せないみたいな場合なら、次回作行きにしたほうがベターでしょうね。

 もうひとつ詰まりがちな点としては、自分の得意分野じゃないところですね。苦手な分野に挑戦するのはやっぱり時間がかかるし、限界を感じて開発が止まってしまうということもあります。なので、 苦手なところは他の人や協力者に任せてしまうというのもひとつの手だとしています。

──なるほど、個人制作って「プログラムもグラフィックもBGMも何から何まで自分ひとりでやる」というイメージでしたけど苦手なところは協力者を見つければいいんですね。言われてみれば当たり前の話ですけど、目からウロコでした。
 一條さんも苦手なところを外注していらしたんでしょうか?

一條氏:
 『Back in 1995』では、3DCGの背景素材などは別のデザイナーさんに協力していただいたほか、当時まだ学生だった知人のゲームプランナーさんにステージギミックの案を作ってもらいました。パズルギミックが欲しかったんですけど、私はパズルの仕組みを考えるのがすごく苦手なので……(笑)。もちろん費用をお支払いして、スタッフロールにも載っています。

『インディーゲーム・サバイバルガイド』インタビュー:非常に現実的かつ実践的な必読書_010

 そういう協力者や仲間の探し方についてもこの本に書いています。「ゲーム開発者の知り合いを作って、そのつてで探しましょう」身もふたもない話でなんですが(笑)。
 でもこれは、いろいろなゲーム作家さんにヒアリングしてたどり着いた答えでもあるんです。人から紹介してもらうのは、責任が生じますし、身元の保証になりますからね。

 募集サイトSNSで見つけるみたいなやり方もあるんですけど、トラブルのもとになってしまうことも多くて。依頼したものが期待したクオリティじゃなかったりとか、そもそも音信不通になってしまうとか。

 ほかの完成の極意としては、これも月並みですけど「毎日やりましょう」ということですすね(笑)。
 もちろん作れない日もあると思うんですけど、ゲームを作ってて間が空いてしまうと、自分で書いたコードがまったく分からなくなってしまうんです。「何を考えてるんだコイツは、俺が書いたんだけど」みたいな感じで怒りすら湧いてきますよ(笑)。

──(笑)。「自分が書いたコードなのに読めない」という話はたしかによく聞きますね。

一條氏:
 毎日は言い過ぎかもしれないですけども、やはり継続的にやっていくのは大切ですね。

「ゲームを売るための活動」はゲームを完成させる前から始まっている

──ゲームが完成した後に「いざ売ろう」としたときこそ、この本が最も役立つときですよね。『インディーゲーム・サバイバルガイド』の主軸になる話だと思いますが、詳しくお聞きしてもいいですか。

一條氏:
 じつは「売るための活動」というのはゲームを完成させる前から始まるんですね。いきなり完成版を売る前に、プロトタイプの段階で展示会に出したり、東京ゲームショウデジゲー博のようなところで体験版を出展するフェーズがあります。
 つまり、「人に見せられる段階のもの」を作った瞬間から「売るための活動」は始まっているわけですね。公式サイトやSNSアカウント、Steamに登録してストアページを作ったり、PVやプレスキットを作ったりという感じですね。

『インディーゲーム・サバイバルガイド』インタビュー:非常に現実的かつ実践的な必読書_011
(画像はHOME | TOKYO GAME SHOW 2021 – 東京ゲームショウ2021より)

 ゲームができた後でも、「継続的に展示会に出る」というのはけっこう大きいと思っています。ちょっとしたアップデートでも、展示会に出ることでやっぱり露出が増えますから。

──本ではプレスリリースの書き方なんかもすごく具体的に指南されていましたよね。メディアにいる身としても、「何か発表した1週間後や1ヶ月後に送ってもまず掲載されるのは難しい」というのはほんとにそのとおりなので。

一條氏:
 そうですね。今回の本のプレスリリースについての章は、ゲームライターである一筆社の秦亮彦さんに監修してもらっています。
 プレスリリースの内容自体もそうですけども、送るタイミングも大事ですよね。やっぱり重要なのは「ゲームが発売する前」、そして「ゲームが予約できるようになったタイミング」「Steamの”近日登場”に載ったタイミング」の3つ。
 あとはなるべくライターさんに読んでいただくように、ライターさんがなるべく忙しくないタイミングに送る(笑)。

──そうですね(笑)。せっかくなのでメディアの立場で言うと、木曜・金曜、特に木曜にリリースを送るのはやめたほうがいいかもしれません。木曜はゲーム業界の慣習的に発売日や発表が重なることが多いんですよ。

一條氏:
 週末に近づいていくにつれてピックアップ率が下がっていきますよね。あとは、ゲームの展示会やイベントが忙しくて、ライターさんがあんまり空いてなさそう、みたいなタイミングを避けると目に留まる確率は上がるかもしれません。
 東京ゲームショウ当日に送っても、忙しくて見てもらえない可能性があります(笑)。

──そうですね(笑)。逆に言えば、イベントの数日前にリリースがあるとメディア側としては事前に仕込んでおくことができるので、ありがたいということでもあります。
 この前の「INDIE Live Expo」というイベントでも、せっかく面白そうなゲームが発表されたのに、詳細情報が作者のTwitterアカウントしかない……という場合がけっこうありまして。それだと記事を書こうとしても情報が足りなすぎて書けないですからね。
 それでいうと、記事に使える画像や動画、情報がまとめてある「プレスキット」も重要ですよね。それがzipなんかでまとめてあるだけで、ライターはかなり対応しやすくなりますね。

一條氏:

 本書もプレスキットについてはバッチリ載せてます(笑)。プレスリリースやプレスキットについても、ここ3年ぐらいで開発者さん同士の間でけっこう情報共有が進んでいまして、最近ではかなり一般的になってきた部分だと思います。

──広まってるんですね!それはよかった。

一條氏:
 私の観測範囲内での話にはなるんですが、広まっている感触はしっかりありますね。ただ、さきほどのプレスリリースを出すタイミングや「メールマナーはちゃんとしましょうね」みたいな話はまだ少ないかなと思ったので少し書きました。特にこの本は学生さんもご覧になると思うので。

SNSをうまく活用する3つのパターン。バズは狙って起こすものではない!

──宣伝の話に続いて、SNSの運用についても聞いていきたいです。SNSは現代の手軽な宣伝手段としても重要ですよね。

一條氏:
 SNSを運用するにあたっては、フォローしてくれる人やゲームを伝えたい人に対して「どういう情報発信をするか」、そして「SNSをどんな目的に使うか」はしっかりさせておきたいですね。
 「とりあえず何でもいいのでゲームをダウンロードしてもらう」のか、「ゲームのファンになってもらってしっかりゲームの世界に入り込んでほしい」のか、といったところから考えていくとよいと思います。

 本書のファン向け活動とSNS活用の部分については、私というよりも『Strange Telephone』yutaさんに原案を作っていただき、私のほうでリライトした形になっています。yutaさんの作品はSNS上でのファン活動が活発で、ハッシュタグをつけたファンイラスト活動などもあり、経験が私より広かったのでお願いしました。

『インディーゲーム・サバイバルガイド』インタビュー:非常に現実的かつ実践的な必読書_012
(画像はStrange Telephone ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)より)

 この本で挙げているのは、「開発者個人としての色を出しつつファンと交流する」「公式アカウントと割り切って淡々とやっていく」「ゲーム側にどんどん入り込んでいくようなかたちでプレイヤーと交流する」という3パターンになります。
 後者になればなるほど、運用のカロリーが高いです。リプライをもらったらそれに対して逐一反応するような運用になってくるので。

 とはいえ、SNSの運用方法はかなりゲームのジャンルや属性によって変わってくると思います。たとえば、ユーザージェネレイテッドコンテンツ型(プレイヤーがステージを作ってシェア出来るなどのゲーム)の場合は、SNS上でゲームを遊んでくれる人とモリモリやりとりした方がいいですし、逆にノベルゲームや物語没入型なら、もうちょっと引いた視点から、ゲームプレイに関与しないスタイルでもいいと思っています。SNSの中の人の色を出しすぎてしまうと、ゲームの世界観に干渉しちゃうんですよね。

 私自身の考えとしては、ゲームファンがSNSでゲームの情報を集めている時間もゲームが提供するエンターテインメントだと思っているんです。だから、自分としてはプレイヤーにどういう情報を見せれば、一番楽しく見てくれるかというところを大切にしていますね。

──なるほど。実際、いざSNSを運用してみようとしたらなにを書いていこうかすごく迷うんですよ。

一條氏:
 何を書くかで言うと、一番ベタなのは開発の進捗ですね。今こういうゲームを作っていて、こういう要素までできて、今日はこういう機能を作りました、みたいな進捗を少しずつ出していく。

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 すると、やはりそのゲームを楽しみにしてくれる人というのは見てくれますし、それが好みの要素であったら拡散してくれるかもしれないですね。私はよく「文字より画像、画像より動画」と言ってますね。

──今の時代、動画の役割はかなり大きいですよね。電ファミでもバズるゲームはやっぱり動画のインパクトが大きいものが多いと感じます。

一條氏:
 私が運営を手伝っている「iGi indie Game incubator」というインディーの支援プログラムがあるのですが、その1期生が作っている『Relash』というパズルアクションゲームがあります。それの開発中のバグ動画がえらいバズったことがあって。

https://twitter.com/asobimohyaku/status/1449023674271481859?s=20

 本人はバズろうと思って出したわけではなくて「時間をかけて作ったゲームのトレイラームービーは全然リツイートされないから悲しい」と言ってました。まあ本当にバズるかどうかということは、予測できないんですよね。

──それはそうですねえ。

一條氏:
 バグ動画はバズ狙いというよりも、「ファンに楽しんでもらえるコンテンツ」だと思っています。このようなかたちで「ゲーム開発中の面白い映像」というのもSNSに出すのもひとつの手かなと思っています。

 もし一定のファンベースがあれば、ハッシュタグをつけてスクリーンショットやファンイラストのコンテストやるみたいな手もありますね。この辺は本書での『グノーシア』『ALTER EGO』の開発者さんの対談で少し触れてたところです。

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(画像はグノーシア ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)より)

 最後に「SNSで死んだアカウントにしない」ということも言っておきます。要は1ヶ月アップデートありませんみたいなことはよろしくないですね。まあ私も忙しいとたまに放置しちゃうんですけど……(笑)。

開発中の新作では「動画実況を前提としたゲームシステム」に挑戦中

──一條さんがいま開発中の『デモリッション ロボッツ K.K.』についてのお話も聞いてみたいです。けっこう珍しい機能がついていると聞いているのですが。

一條氏:
 このゲームは、「ロボットが街をぶち壊していくので、その壊す数を競っていきましょう」というちょっと変わった対戦ゲームなのですが、一番の売りは「動画実況を前提としたゲームシステム」を積極的に取り込んでいるところですね。

 簡単に言うと、ゲームの配信動画を見ている人が、プレイヤーに対して少しちょっかいを出せるようになっています。『ボンバーマン』でいうところの「みそボン」みたいな感じですね。

──なるほど。これはどういった技術を使ってらっしゃるんでしょうか?

一條氏:
 技術的には「Genvid(ジェンビッド)」という名前のSDKを使って実現しています。Twitchで動画を配信するときに、その動画の上に視聴者専用のUIが重なって表示されるシステムです。クラウドゲームではなく、動画はブロードキャストされています。動画の上に操作可能なUIが視聴者に提供されていてゲームに干渉できる、という仕組みですね。

──この技術って日本ではまだあまり見ないですけど、世界的にはどうなんでしょうか?

一條氏:
 インタラクションのある配信動画を「インタラクティブ・ストリーミング」と呼ぶのですが、世界的にはまずeスポーツの分野で活用されており、『CS:GO』の大型大会「ECS」で使用されています。

 この場合はゲーム内容に干渉はせず、動画の上から試合のリアルタイム情報を重ねて表示させています。視聴者専用のミニマップや、選手のキルレ―トなど大会を楽しむための情報が表示できます。

 他にもGenvidの使用事例ではありませんが、Gearboxの『ボーダーランズ3』では配信者の現在の装備を動画視聴者がいつでも確認できたり、次に出現する敵を操作できる仕組みや、ユービーアイソフトの『ハイパースケープ』でも、次のステージを動画視聴者の投票で決まる、みたいな仕組みが採用されてたりしますね。

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(画像は『ハイパースケープ』Twitch拡張機能「Crowncast」で出来る3つのこと – UBIBLOGより)

 また、YouTubeのコメント欄を使ってゲームに参加できるシステムを採用したゲーム開発会社もありますが、あくまでコメントによる非同期で一方向的な干渉になるので、コメント欄が操作用のコマンドで埋まっちゃうんですよ。一昔前に流行った「Twitch Plays Pokemon」みたいな感じですね。

 一方で、この『デモリッション ロボッツ K.K.』、そしてGenvidを使っている場合は、まず専用のUIを表示するのでコメント欄はコメントのままです。そして、ゲーム側から動画視聴者のブラウザにデータを送信することもできるんです。
 具体的に言うと『デモリッション ロボッツ K.K.』の場合は、サーバーからプレイヤーの位置座標を、動画と同期したデータとして送っているので、ブラウザの上でプレイヤーをクリックしてロックオンできます。だから、「動画視聴者がゲーム内の特定のプレイヤーを選んで、その人に爆弾を落とす」みたいなことができる。

『インディーゲーム・サバイバルガイド』インタビュー:非常に現実的かつ実践的な必読書_016
(画像はDRKK – mediaより)

──なるほど、かなりできることの幅は広そうですね。この機能を入れようと思ったきっかけみたいなものはあるんでしょうか。

一條氏:
 ゲーム実況の文化ってめちゃめちゃ盛り上がっていて私も推しの配信を観るんですけども、やっぱりゲーム開発者さんに還元されてない、という問題があると思っているからです。
 特にインディーゲームの場合、配信者をマーケティングとして活用していくやり方は予算的な限界があります。ゲーム実況や配信ってゲームを知ってもらうきっかけにはなると思うんですけども、動画を見る人は配信者さんを見に来ているのでゲームを買いたいわけではないんですよね。ですので、実際にゲームを買ってくれる方はその視聴者のうち100分の1や1000分の1だと思うんです。

 だからといって、「配信の権利を有料にします」では誰も配信しなくなるじゃないですか。

──それはそうですね。

一條氏:
 なので私としては、ゲームを実況動画で楽しんでいる人も、ある意味そのコンテンツのユーザーのひとりと考えて、その人にプレミアムなコンテンツを提供すれば、気持ちよく対価を得られるのではないか?と考えたんです。

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 つまり、「動画視聴者さんをもっと楽しませることができて、かつゲーム実況そのものを開発者がマネタイズできる手段にする」ということが『デモリッション ロボッツ K.K.』のひとつの狙いです。

──なるほど。それがうまく成立して広まったら、かなりWin-Winな作り方になりそうですね。

一條氏:
 そうなんです。ゲームプレイヤー、動画配信者、動画視聴者、開発者の「四方よし」を目指しています。
 もうひとつの理由としては、私自身が開発者としてつねに新しいことに挑戦していきたい、というのもあって。前作の『Back in 1995』もレトロポリゴンという表現が発表当時(2015年)は全く新しい物でした。あの表現も、今ではだいぶ一般化したじゃないですか。

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(画像はゲームソフト | Back in 1995 | プレイステーションより)

──意図的にレトロなグラフィックで再現することを指す「ディメイク」という言葉も定着しはじめましたもんね。

一條氏:
 はい、今の状況を見るととても嬉しいですし、「5年前の自分の感覚は間違ってなかった」と思えてよかったです(笑)。
 たぶん、私がきっかけでディメイクが出てきたわけではないのですが、純粋にこの表現が好きな人が増えて嬉しい。ただ、もうレトロポリゴンのゲームはあまり作らないと思います。そのときどきの新しい表現をやっていきたい、というのはやはり開発者としての原動力みたいなところがありますから。

 だから、『デモリッション ロボッツ K.K.』の次のゲームのアイデアはなくはないですけども、何を作るか、どんなプラットフォームになるかまったく分からないです。スマートフォンゲームになるかもしれないし、VRになるかもしれない。そのアイディアに合ったプラットフォームで作っていきたいなというふうに思ってますね。

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ライター
『プリパラ』、『妖怪ウォッチ』ありがとう。黙々とゲームに没頭する日々。こっそりと同人ゲーム、同人誌を作っています。ネオ昭和ビジュアルノベル『ふりかけ☆スペイシー』よろしくお願いします。
Twitter:@zombie_haruchan
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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