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2010年以降の音楽に心を動かされなくなってしまった元エモキッズが『ソニックフロンティア』のメインテーマと巨神戦の曲が秘めるポスト・ハードコア性に開始1秒目から心を持っていかれた話

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過去シリーズと同じサウンドデザインでは『ソニックフロンティア』には合わない

──プロモーションについては、欧米と日本・アジアでキービジュアルを変えたり、いままでと違う試みをされているとうかがっております。音楽のアプローチもこれまでと異なる部分はありますか?

大谷氏:
 『ソニックフロンティア』はこれまでとゲームの内容が変わっているので、音楽もそこに追従するべきだと考えました。いままでのソニックは最初のステージからノリのいい曲で始まり、次のステージもまた違うノリのいい曲と、「どこを切り取ってもアクションゲームとしての高揚感の感じられる音楽が鳴っている」というのが従来のソニックシリーズのサウンドデザインでした。

 ところが『ソニックフロンティア』にはその方法論は合わないと考えました。いくらソニックのキャラクターがポジティブでも、スターフォール諸島でひとりになったときに明るい軽快な音楽が流れ始めたらおかしい。

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 ソニックのおかれている状況やストーリーに入りこんでもらうためには音楽のアプローチを変える必要があると思いました。そこについてはプロジェクトの原案書に「寂寥感」(せきりょうかん)というキーワードが書かれていたんです。それがすごくわかりやすかった。

 しかしながら、「どこでどう盛り上げるか」という部分については固まるまで時間がかかりました。ゲームのほうもプレイテストを何度も繰り返しながら守護神とのバトルや巨神戦の遊びをおもしろくするために試行錯誤していたので。

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──プレイテストによって生み出された守護神もいるとうかがいました。音楽についてはどのような反響でしたか?

大谷氏:
 最後のプレイテストで特にコメントが多かったのは巨神戦の曲と釣り場の曲でした。

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──その2曲は抜群に印象的でした。巨神戦の戦闘曲は出だしからキャッチーですが、そこも狙いがあるのでしょうか?

大谷氏:
 巨神戦はカオスエメラルドがすべてそろってスーパーソニックになる瞬間でもあるので、曲が鳴り始めるタイミングありきで作っていました。出だしから、その瞬間がドラマチックで印象的な場面となるように

 巨神戦の戦闘曲と釣り場の曲は『ソニックフロンティア』における音楽の演出の中で振り切っている2曲なんです。巨神戦ではとにかく盛り上がってもらいたいし、釣り場ではリラックスしてもらいたい。いつもよりギャップを大きくすることを意識しました。

──たしかにその2曲はギャップがありすぎて同じ人が作ったとは思えないです(笑)。

一同:
 (笑)。

大谷氏:
 釣り場の曲はプロジェクトの初期に作っていた曲でした。もともと僕が好きなローファイ・ヒップホップというジャンルなんですけど、こういった音楽を作りたいと思ってたところにちょうど『ソニックフロンティア』に釣り場があると知って「これだ!」と(笑)。

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──釣りとローファイ・ヒップホップがこんなに合うとは思っていなかったので驚きました。

大谷氏:
 『ソニックフロンティア』での釣り場の役割は「息抜き」だと思うんです。オープンゾーンに出たらいろんな敵とのバトルがありますが、ここではリラックスしながら釣りに没頭し、ついでに冒険に役立つアイテムをゲット出来てしまう。そう考えたときに、ローファイ・ヒップホップが合うと思いました。

 もともと好きな音楽性なのでこういう曲をもっと作りたいと思ったのですが、『ソニックフロンティア』で釣り場の曲ばかりを充実させてもそれは違うので、自分のYouTubeチャンネルでその欲求を満たしていくことにしました(笑)。

──電脳空間もステージごとに曲が違うんですよね?

大谷氏:
 電脳空間もステージの数だけ曲を作りました。ステージごとにレベルデザイン(遊び)が違うからです。オープンゾーンで新しい電脳空間の入口を見つけて入ったときに「つぎはどういうステージでどういう曲が流れるんだろう」というところも楽しみのひとつになってもらえたらいいと思いました。

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 同じように守護神戦も1体1体デザインがユニークで戦い方も違う。そこが異なるのであれば、曲も1体1体オリジナルで作ろうと決めました。

──なるほど。そうしてステージごと、遊びごとに必要な曲を作っていったら、CD6枚組み(150曲)という大ボリュームのサウンドトラックになったわけですね。

大谷氏:
 そうですね(笑)。もうひとつ、サウンドトラックが6枚組みになった理由は曲数だけでなく、ひとつひとつの曲の尺が長いんです。プレイヤーが自由に探索できるオープンゾーンは滞在時間が長くなるので曲も長い。

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──ループの間隔がそもそも長いということですね。「ゲーム音楽はループできるところがいい」というのを聞いたことがあるのですが、滞在時間が長いとループするにしても1曲の尺を長く取らないといけないと。

大谷氏:
 そうです。電脳空間は1ステージ平均90秒から120秒くらいの遊びで、収集物を取ったとしても2分半くらいでゴールにたどり着く想定なので、だいたい1ループ、1分半くらいを目安にしています。ところがオープンゾーンとなると滞在時間は人それぞれなので、そこは工夫が必要だと思っていました。

 そのためオープンゾーンでの曲は、1曲あたり5分から6分くらいになっています。さらにカオスエメラルドを集めていくことでストーリーも進んでいくので、カオスエメラルドの取得タイミングで曲もつぎの段階へと変わる。なので、ひとつの島に7段階くらいの曲を用意しました。それもサウンドトラックのボリュームが大きくなった理由のひとつですね。

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 サウンドディレクターとしてそれでいいのかは別として、じつは『ソニックフロンティア』では全体で何曲作っているかを管理しているリストを作ってなかったんです(笑)。

──ええっ(笑)。

大谷氏:
 ですが、カテゴリーごとにはちゃんと管理しています。島、電脳空間、守護神戦、劇伴、ボーカル曲のように。でも、すべて合わせたら何曲になるかは開発中に数えても意味がないと思って数えませんでした(笑)。

 いよいよサウンドトラックを作るとなったとき、レーベルの担当から「何枚組になりそうですか?」と聞かれて答えられないと困るので、終盤になってからようやく数えたという感じです。

──それはすごく豪華な作りですね。

大谷氏:
 そうですね。制作期間の中でなにか制約を受けることなく、仕様に対してとことんこだわれる環境だったと思います。

音楽の演出のために用意した「映画的」なシーンがある

──大谷さんが『ソニックフロンティア』で特に思い入れのある曲はどちらですか?

大谷氏:
 メインテーマや巨神戦の戦闘曲は重要な曲なのでもちろん思い入れはあるんですけど、もうひとつ発売前のプロモーション期間では語れなかったのが、ストーリーの部分で流れる曲です。セージというキャラクターの心の移り変わりを音楽でどう表現していくかに注力していました。

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 セージはソニックとほぼ同等の主人公のような扱いで彼女を軸にストーリーが進んでいるといっても過言ではないくらい。岸本ディレクターもものすごくセージというキャラクターに思い入れを持っていて、どう演出していくかが重要なポイントでした。そこで流れる曲はみなさんの印象に残ってほしいと思っています。

──どのような曲なのでしょう?

大谷氏:
 岸本ディレクターから「音楽を使った印象的な演出をやりたい」という提案がありました。僕らとしてもそういう演出ができるのであれば、ぜひやりたい。

 とはいえ、そういった演出をするのであればある程度「音楽を合わせることありきのシーン」が必要になってくるという話をしました。これまでのソニックシリーズにはカットシーンで音楽ありきの演出をするような場面は作ったことがないんですけど、『ソニックフロンティア』では音楽のために追加してもらったシーンが1つあります。セージというキャラクターを追っていくとそのシーンはすごく重要なので……。

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 その曲は劇伴を担当している江口貴勅さん【※】に作ってもらっています。こちらの要求のハードルも高く、何度もリテイクをしてもらいましたが、江口さんも納得いくまで取り組んでくれたおかげで僕も岸本ディレクターも「いい」と思える曲になりました。

※江口貴勅氏
作編曲家。2006年に発売した『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の「My Destiny」の編曲およびエリスとソニックが登場するカットシーンの劇伴制作にて初参加。以降、ソニックシリーズの楽曲制作に携わる。

──映画的な演出に近い感じですか?

大谷氏:
 じつは「映画的な音楽の演出を目指そう」という話は開発中にはまったく出てこなかったんです。ただ、メディアの取材が始まると飯塚さんが音楽について説明するときに「映画的」と表現するようになっていました(笑)。

一同:
 (笑)。

大谷氏:
 でも分かりやすい言葉の選択だなと思いました。音楽で緊張と緩和のメリハリを作る演出が「映画的」という言葉になったのかなと。最初から「映画的なものを目指しましょう」とやっていたわけではないのですが、結果的にそうなりました。

プロジェクト初期にあった「島の音楽を無音にする」という可能性

──そもそも「ゲーム音楽の作り方」はどのような流れなのでしょうか? バンドで曲を作るときとゲームで曲を作るときに違いはありますか?

大谷氏:
 純粋な「音楽の作り方」という意味では同じです。まずコンピューターを使ってデモを作り、それを生の楽器演奏に置き換えることもあれば、シンセサイザーやサンプリング音など、プログラムされたサウンドで仕上げることもある。そのあたりは同じ。

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 大きく違う点はひとつだけで、ゲームはプレイヤーによってインタラクティブに進行していくため「ゲームの進行に応じて変化に対応できるような曲の構成にしておかなければいけない」という点です。

──「変化に対応できる構成」というと……?

大谷氏:
 たとえば『ソニックフロンティア』でいうと、守護神戦の曲は敵とエンカウントしたら戦闘曲が流れ始めます。ある程度のダメージを与えるまで第一形態のフェーズがあり、敵の体力が減ってくるとより攻撃が凶暴になる第二形態のフェーズがある。

 第二形態は攻撃がヒートアップするので曲も盛り上がる構成にしたいんです。でも、どこで第二形態に移行するかはプレイヤーによって違う。そのため、プレイヤーが第二形態に移行したタイミングで曲が切り替わるように「ブロック再生」という仕組みを使って曲を遷移させます。

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 さらには倒すタイミングもプレイヤーによって違うため、最後の一撃を与えると、音楽も綺麗に「ジャーン」と終わるようにバラせる構成の曲になっています。イントロから始まって終わるという一本道の曲ではなく「ある部分でループしてダメージを与え切ったらつぎのフェーズに入る」みたいな。

 ゲーム音楽はそういうことを考えて作曲する必要がある場合もあります。そこだけが大きく違う点かと。

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──いちばん最初の音楽はどのように作り始めるのでしょうか? 『ソニックフロンティア』ではどの部分から作り始めましたか?

大谷氏:
 いちばん最初は第1島のクロノス島の曲から作り始めました。プロトタイプのテスト島があって、その島を実際にソニックが走れるようになっているんです。そこで走り回りながら作りました。

──なにもない島を走って「ここにこういうBGMがあったらいいな」みたいな?

大谷氏:
 そうですね。テスト島は草原といくつかの建造物があるくらいの状態で、天候はちょっと曇り空。それくらいの島を走り回ったりしながら曲を作りました。最初はもっと牧歌的な曲も作っていたりしたのですが、「もう少し暗い方がよい」というリクエストもあり。でも悲しすぎるのは違う。「寂寥感」というキーワードがあったので、ほどよいところを探しました。

 そういえばプロジェクトの初期は「音楽を無音にする」という可能性もあったんです。同じくオープンなフィールドを舞台にした『デス・ストランディング』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』もBGMが鳴り続けるわけではなく、効果的なタイミングでフレーズや楽曲が入ってくる演出になっていますし、『ワンダと巨像』などもフィールドは基本は環境音だけなので。最初はそういう可能性も検討していました。

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──無音に対して大谷さんはどのようなご意見なんですか?

大谷氏:
 僕の好きなゲームにもフィールドに音楽がないゲームはたくさんあります。ですが、今作では音楽があることで伝えられる情報を優先しました。なによりソニックシリーズは音楽も重要な要素なので、新しいアプローチの音楽にトライできると思いました。

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 グラフィックが向上したことによりフォトリアルになったので、効果音や環境音も丁寧に仕込みたい。
 川に近づけば水の音がするし、鳥も鳴くし、風も吹く。足音もどの属性の足場を歩いているかで変わります。そういう細かな表現にも耳を傾けて没入感を高めてもらいたいと思ったときに、ノリのいい音楽でサウンドを埋めてしまうと空気感がなくなってしまうので、島は静かな音楽にしました。

 音量設定でBGMを完全に消すこともできることもできるんですけど、その状態で島を探索してもらうといろんな環境音も発見できると思います。

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──BGMのないフィールドをプレイして合う音楽を探していくとのことですが、プレイしていると大谷さんの頭の中で音楽が流れ出してくるような感じなのでしょうか?

大谷氏:
 そんな感じですね。島のBGMはすぐにイメージ湧いたんですけど、迷ったのは巨神戦の曲なんです。最初はいまほどメタルコアやポスト・ハードコア寄りではなく、もうちょっとロック系のドラマチックな感じで作っていました。でも、スーパーソニックになって巨神と対峙することへの期待や緊張に音楽が応えられていない気がして

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 このゲームのもっともエキサイティングな場面を演出するためのアグレッシブさが足りていない。ゲームのほうも遊びの部分については巨神戦はすごく試行錯誤していました。そのため、音楽もすぐに固まらなかったですね。

──なるほど。そもそも合わせるはずのゲームの遊び自体が固まっていなかったから、難しかったわけですね。

大谷氏:
 そうですね。島の静かなところだけいくら雰囲気がよくても、対極にある部分がきちんと表現されないと『ソニックフロンティア』のサウンドデザインとしても、ソニックシリーズのサウンドトラックとしても成立しないと考えていました。

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 ソニックシリーズにおいてボーカル曲は重要なピースのひとつなんですが、それを「どこで効果的に使うか」というのも毎回試行錯誤しています。前作の『ソニックフォース』はバディとの友情がテーマだったので、タッグのアクションを組むときにメインテーマが流れる。その作品の主題となる部分で流れるようになっていて。

 今回の『ソニックフロンティア』ではボーカル曲をどのように使うか考えたとき、いちばん盛り上がるスーパーソニックでの巨神戦の曲だと思いました。演出のための武器の1つのようなものなので、より効果的な場面で使うことを重要視しています。

メタルコアやポスト・ハードコアの要素に日本人のエッセンスが入っている

──大谷さんは音楽ジャンルでいうとどのあたりがお好きなんですか?

大谷氏:
 昔から雑多すぎてひとつのジャンルに絞れないです。でも自分がいちばん多感な時期に影響を受けた音楽は、40代後半になっても音楽の原体験としていつまでも好きだと思います。僕はそれが、パンク・ロックです。

 パンク・ロックから入り、それからミクスチャー・ロックも好きになり、そこからルーツ・ミュージックや、ヒップホップ等のダンスミュージックに傾倒していきました。ロックの系譜でいうと2000年代はLinkin Parkあたり。

 よくパンクが好きな人とメタルが好きな人で議論をしたりしますよね(笑)。構築美を好むメタル派の人からするとパンク・ロックのルーズさが許せないみたいで。このテーマで話し合っても平行線を辿るだけなんですけど(笑)。

一同:
 (笑)。

大谷氏:
 僕はパンク・ロックもメタルもどちらのよいところもわかるので必要に応じて使い分けたいと思っていて、今作のサウンドデザインや曲の役割を考えてメタル色を強めた感じです。

 メインテーマの「I’m Here」も、洋楽的なメタルコアやポスト・ハードコアの要素がありつつも、メロディアスでドラマチックになっているのは日本人のエッセンスが入っているからかもしれません。エモを日本的に強化している感じ。そのためか、海外の人からは「アニメのオープニング曲みたい」と言われることもあります。

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──そこは日本人の血筋みたいなところでしょうか。

大谷氏:
 「I’m Here」は、ドラマチックなメロディ面からもハードなサウンド面からも入り口がある曲だと思っています。公開後、社内でも別な職種の同期社員から「すごくいい」とメッセージが飛んできました。いままで20年くらいやってきて、新しい曲を出したときにわざわざ感想を伝えてくれることはなかったのに(笑)。

一同:
 (笑)。

──「I’m Here」は最初の30秒くらい静かな曲調が続きますが、イントロを静かにすることに対して不安はありませんでしたか?

大谷氏:
 正直なところ不安はありました。イントロから勢いがある方が掴みやすいと思います。
 ソニックファンのみなさんもきっと「盛り上がる曲をください!」と思っているはず。そう考えると静かなピアノのイントロから始めるのはけっこう勇気がいる。でも『ソニックフロンティア』を表現するには必要な導入部だと考えました。このアプローチに確かな手応えを感じられたのはボーカルが入って完成したときでした。

 メインテーマの「I’m Here」はいままでソニックシリーズにアンテナを張っていなかった人たちに対しても「音楽でどこまでリーチできるか」という挑戦でもあるので、たくさんの方に聴いていただけたらうれしいです。

──それでは最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

大谷氏:
 『ソニックフロンティア』はボリュームのあるゲームですが、始まりから終わりまですべてのサウンドトラックにこだわりを持って作りました。ぜひ最後までプレイして真のエンディング曲「One Way Dream」を聴いてもらいたいです。そこにソニックチームとしてのメッセージも込められていますので。

 もし、そのエンディングまでたどり着けなかったら、12月7日に発売を予定しているサウンドトラックで聴いてください(笑)。

一同:
 (笑)。

──ありがとうございました。(了)

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 多くの場合は、ゲームのプレイ体験とともにゲーム音楽を好きになるのではないだろうか。一聴しただけで、これほど心を動かされるゲーム音楽に筆者は出会ったことがない。「I’m Here」はメインテーマとしての役割をさっそく満たしているように思う。

 ソニックシリーズのボーカル曲は、バンドで活動しているアーティストのシンガーだけを起用するイレギュラーな作り方をしている。しかしながらそれは開発のいちばん近くにいるサウンドディレクターがゲームタイトルに合う曲を理解したうえで曲を制作・提供し、シンガーを起用するというそれぞれのポテンシャルを最大限に引き出す方法だった。

 そうすることで、これまでソニックシリーズにアンテナを張っていなかった層にも音楽面から届けることができる。まさに今回の筆者のように。更新が止まっていた筆者の iPod Classic は『ソニックフロンティア』のサウンドトラックが発売されたら10年以上の時を経て更新されるだろう。

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編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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