バトロワFPS『Call of Duty: Warzone』(コール オブ デューティ ウォーゾーン)が、ついにスマートフォンでも遊べるようになる! つい先日、『Call of Duty: Warzone Mobile』の配信日が3月21日(木)に決定した。
2003年の第1作発売以降、多数のシリーズ作が発売され、今や日本を含む、世界中で高い人気を誇るヒット作となったファーストパーソンシューター(FPS)『Call of Duty(コール オブ デューティ)』シリーズ。そんな『コール オブ デューティ』シリーズのバトルロイヤルゲームに特化した新作として2020年、基本プレイ無料タイトルとして配信されたのが『Call of Duty: Warzone』(PlayStation 5、Xbox Series X、Xbox One、PlayStation 4、PC)だ。
現在は後継作の『Warzone 2.0』が展開中である本作は、150人以上ものプレイヤー間での大規模戦闘、異なるプラットフォーム間でのクロスプレイ、2023年発売の『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェアIII』などのシリーズ作と銃火器やオペレーター、そしてバトルパスの進捗を共有できるクロスプログレッションなどを売りとしている。
『コール オブ デューティ』シリーズの定番とも言える、ハイクオリティなグラフィックと物理演算処理採用によるリアルな手触りもまた『コール オブ デューティ ウォーゾーン』では健在だ。
モバイル版『Call of Duty: Warzone Mobile』でも、そのハイクオリティなグラフィックが健在であることに加え、最大120人以上が参加するマルチプレイからクロスプレイ、クロスプログレッションを完備。操作もモバイル向けに最適化され、コンシューマ版、PC版と比べてもそん色のない遊び心地を実現させているという。
あのハイクオリティな『コール オブ デューティ ウォーゾーン』をモバイルプラットフォームで実現させてしまうとか、一体、どのようなマジックを用いたのか?そして、モバイル版の登場で、今後の『コール オブ デューティ ウォーゾーン』を巡る環境はどのように変わっていくのか?
そんなモバイル版『コール オブ デューティ ウォーゾーン』の配信を間近に控えた中、Solid State Studios/Activisionエグゼクティブプロデューサー兼デザインディレクターのTom Hess氏へのメディア合同インタビューが実施された。モバイル版の開発に至る経緯から今後の展開なども含め、様々な質問が飛び出したその模様をお届けしよう。
・Tom Hess/Director of Design(Solid State Studios)
Solid State Studios/Activisionのエグゼクティブ・プロデューサー兼デザイン・ディレクター。
ゲーム業界の傑出したベテランとして、20年以上にわたり世界中の観客を魅了する革新的なゲーム体験の開拓に尽力。 クリエイティビティと最先端技術の融合に深い情熱を注ぎながら、様々なチームを管理し、顧客を喜ばせるだけでなく、卓越したゲームの新たな基準を設定することで、数百万のインストールと数億ドルの収益を牽引する最先端のゲームの開発に貢献。
文/シェループ
20年培った経験と技術の進歩が今回のモバイル版『コール オブ デューティ ウォーゾーン』を実現させた
──モバイル版『コール オブ デューティ』では、別のスタジオさんが開発された『コール オブ デューティ モバイル』があり、そちらにもバトルロイヤルモードが収録されています。そちらとはどのような差別化を図られているのでしょうか。
Tom Hess氏(以下、Tom氏):
『コール オブ デューティ ウォーゾーン モバイル』は、バトルロイヤルに特化した作りを最大の違いとしています。さらに技術の進歩による、クオリティの高いバトルロイヤル体験が楽しめることでも『コール オブ デューティ モバイル』との差別化を図っています。
実は『コール オブ デューティ モバイル』は、まだ『コール オブ デューティ』のゲームエンジンをモバイルに持ってくる技術が無かった当時に作られたものなんですね。現在は技術が進化したことで、コンシューマやPC版の『コール オブ デューティ』のゲームエンジンをそのままモバイルへと持ち込めるようになりました。
なので『コール オブ デューティ ウォーゾーン モバイル』は、コンシューマ・PC版の『コール オブ デューティ ウォーゾーン』に限らず、他の『コール オブ デューティ』シリーズの手触りをそのまま持ってきたような仕上がりになっています。そんなクオリティの高いバトルロイヤルが楽しめるのが、本作ならではの魅力となっています。
──今回のモバイル版『コール オブ デューティ ウォーゾーン』の開発で、”『コール オブ デューティ』らしさ”をモバイルへと落とし込むに当たって重要視された点は何だったのでしょうか。
Tom氏:
本作では、バトルロイヤルゲームである『コール オブ デューティ ウォーゾーン』としての体験を一番大事にしました。『コール オブ デューティ ウォーゾーン』のバトルロイヤルゲームとしての体験はユニークなもので、それを他のモバイルゲームでは味わえない、特別なものとして落とし込むことが開発に当たって重要視したポイントです。
ただモバイルでは、操作性や一度に遊ぶゲームプレイの時間など、さまざまな点でPC・コンシューマ機との違いもあるかと思います。その上で『コール オブ デューティ』らしい体験を維持しつつ、モバイルの画面とタッチスクリーン、そしてプレイ時間に適した設計に調整することが、開発においてはすごく難しかったですね。
──本作はグラフィックにも非常にこだわられていますが、モバイル版でクオリティの高いグラフィックを実現するに当たって工夫された・苦労された部分はございますか。また、PCやコンシューマ機とスペックの面で大きく違うモバイルで、快適に動かすためにされた工夫もあったのでしょうか。
Tom氏:
グラフィックは一言で言いますと、『コール オブ デューティ』シリーズで長年培ってきた技術の進歩により、モバイル上でもクオリティの高いものが実現可能になりました。『コール オブ デューティ』シリーズの技術は常に、現在進行形で向上中なんですね。おかげで既にあるアセットを縮小したものが、モバイル上でも違和感なく、ハイクオリティなまま動作するようになっています。
ただ、これほど早く、それも上手く実現できたのには多少の驚きもありました。おかげで実現以降はずっとフレームレートの改善や、『コール オブ デューティ』特有の流れるような動作の再現のため、最適化と微調整に時間を費やすことができました。
本作にはiOS、Androidそれぞれのデバイスメーカーの方々にも興味を示していただきまして、開発にあたってさまざまなご協力をいただきました。ですので、このグラフィックを実現することを難しくは感じませんでしたし、開発チーム全体にとってもとても良い経験になりました。
現在では本当に素晴らしいものになりましたので、皆さまに早く届けたいと思っています。すでに触っていただいた方々からも「これほどのゲームがモバイルで動くのか!」と、よいリアクションをいただけていますので、ユーザーの皆さまに遊んでいただけるその時がとても楽しみです。
──『コール オブ デューティ』のモバイルプラットフォームへの移植の時点で、大変な意欲作であると感じていますが、市場にある他のモバイル向けバトルロイヤルゲームとは異なる、本作ならではの強みとは何であると考えているのでしょうか。
Tom氏:
一番の強みは、『コール オブ デューティ』シリーズが過去20年に渡り培ってきた素晴らしいコンテンツの数々です。FPSとしてのリアリティ、武器の豊富さ、ゲームプレイの素晴らしさなどは、業界最高峰といっても過言ではないと我々は思っています。
また、武器に関しても過去20年に渡る経験から、非常にユニークな調整ができているとの自負がございます。そのような『コール オブ デューティ』ならではの特徴から、『コール オブ デューティ ウォーゾーン』のPC、コンシューマ版のいい所をすべてを詰め込んで凝縮し、今まで通りの感覚で楽しめるように設計しています。
それをファンの皆様から、今回初めて『コール オブ デューティ ウォーゾーン』に触れる方々にも体験いただけるのが本作の強みとなっています。
PC、コンシューマ版をベースにしつつ、モバイル版ならではの展開も予定
──既にPC、コンシューマ版を遊ばれているユーザーさんの中には、モバイル版の操作性を気にされている方もいらっしゃるかと思われます。操作性に関してはどのように工夫されたのでしょうか?
Tom氏:
モバイル特有の視点から見た仕様が大事と考えていまして、モバイル端末での操作性に特化した専用オプション、設定メニューを導入しています。また、設定のロードアウト機能も用意しています。『コール オブ デューティ』シリーズにおける武器のロードアウトと似た感じの機能ですね。なので、自分の好きなように細かく設定できますし、友達が遊んでいた設定を試してみるようなことも可能としています。
また、オプションにはオートメーション、自動化設定も用意しています。もし「この操作、難しい!」と感じましたらオート設定にして任せられますので、FPSは初めてな初心者の方にも易しい作りになっていると自負しております。
さらに本作はBluetoothコントローラによる操作にも対応しています。「『コール オブ デューティ』はコントローラで遊びたい!」と思うユーザーの方は、こちらもぜひお試しいただければと思います。
──本作はオーストラリアなど、一部地域でソフトローンチが行われています。そこでのユーザーからのリアクションを受けて、グローバル版で調整を加える箇所などはあったのでしょうか?
Tom氏:
ソフトローンチ中も毎月、ゲームの改善は続けておりまして、すでに何千ものバグの修正が完了しています。おかげでグローバル版は完成度の高い体験が楽しめるものを提供できる準備が整いました。ソフトローンチでのユーザーの皆さまの反応も非常によく、グローバル版のローンチで、世界中のユーザーの皆さんがどんな反応をしていただけるのかをとても楽しみにしています。
また、グローバル版のローンチ日にはライブオプス向けの新しいコンテンツも提供されるほか、それ以降にも色々なコンテンツの提供を予定しています。武器の調整も狙った通りのバランスを実現できていますので、市場に出るその時が楽しみですね。
──武器バランスは現在も『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェアIII』、『コール オブ デューティ ウォーゾーン』でバランスの異なる武器があるのですが、モバイル版にも性能が違う武器、モバイル版ならではのバランス調整をした武器が出てくる可能性はあるのでしょうか?
Tom氏:
今の時点ではPC、コンシューマ版の方針に沿ったチューニングをしていきたいと思っています。モバイル版の調整はPC版を元にしているのですが、プレイ傾向の違いは視野に入れていくつもりでして、必要とあればモバイル専用のチューニングも検討しています。ただ、今の時点ではPC、コンシューマ版で武器の多様化が上手くいっていると認識していますので、それそのままモバイルユーザーの皆さまに持ってくることを大事にしたいと考えています。この武器の調整こそが『コール オブ デューティ』と他のゲームとの違いだと思っていますので。
ユーザーの皆さまも「このクラスにはこの武器だよね?」といった遊び方をされているでしょうから、そのデータを持ってきています。それでモバイルのユーザーさんの行動が「ちょっと違うな?」となった時は、あらためてモバイル専用の調整を実施したいと考えている感じですね。
──武器、マップのアップデートはその都度実施されるのでしょうか?もしくは数ヶ月に1回、大型の調整が入る感じでしょうか。
Tom氏:
PC、コンシューマ版と同じ頻度になる見込みです。新しい武器が出ましたら、シーズンの最初にバランス調整を行い、その後、ゲームを監視し続けてバランスに問題ないことを皆様のプレイを通して確認し、必要性があった時に限り調整をする感じですね。
基本的にどの武器も強すぎてはいけないと思っています。やはり公平性がありませんと、プレイヤーの皆様が自分の好きなように遊べないでしょうから。なので、新しいシーズンで新しい武器が追加された時もそのための調整は実施します。
──基本的にはPC、コンシューマ版と同じ体験を楽しめるというのが本作の持ち味かと思いますが、今後、モバイル版ならではの新要素、コンテンツを追加する可能性はあるのでしょうか?
Tom氏:
はい、モバイル専用のコンテンツは考えています。やはりモバイル版はPC、コンシューマ版よりも一度のプレイ時間が短いですからね。その特徴を活かせる、既存の『コール オブ デューティ ウォーゾーン』にはない新しいモバイル専用のゲームモードは前向きに検討しています。
また、PC版とコンシューマ版にない仕様もいくつか試しています。モバイルで遊ぶプレイヤーさんには、PC版、コンシューマ版で遊ぶプレイヤーさんとは異なるゲーム体験への希望がありますからね。
なので、自分の望む通りのコントロールができるよう、色々な設定も用意しています。また、ゲーム体験の違いを明確にするためにも、新しい仕様ができましたら、まずはモバイル版先行で試すことにしています。そして、モバイル版でその新しい仕様が上手くいきましたら、それをPC版、コンシューマ版の方にも反映することも今後はあるかもしれません。
目指したのは、いつでもどこでも遊べる『コール オブ デューティ』
──本作では『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェアIII』、『コール オブ デューティ ウォーゾーン』と進行状況の共有が可能とのことですが、その仕様を実現しようとしたきっかけは何だったのでしょうか。また、実現の上で大変だったことはありましたか。
Tom氏:
進行状況の共有は開発当初から検討していました。まさに「いつでもどこでも『コール オブ デューティ』を遊べる」ようにしたかったんですね。なので、モバイル版で新しい武器を使えるようにすれば、PCとコンシューマ版でもその武器を扱え、レベルもモバイル版で上げたものがそのまま引き継がれます。やむなくPCの前を離れることになったとしても、引き続き『コール オブ デューティ』を遊べるんですね。
また、モバイルユーザーの皆さまに『コール オブ デューティ』の素晴らしさを知っていただきたかったのもきっかけのひとつです。なので、モバイル版しか遊ばれない新規の方にも素晴らしい『コール オブ デューティ』ならではの体験ができます。新しく遊ぶ人から、PCとコンシューマ版を遊ばれている人双方に楽しんでもらえるようにするのは最も大事にしたことであり、大変なことでもありましたね。
──『コール オブ デューティ ウォーゾーン モバイル』ではオリジナルの「ヴェルダンスク」「リバースアイランド」のマップで遊べるとのことですが、オリジナルでは戦闘以外にもマップ内を探索して隠されたイベント、イースターエッグを探す遊びも楽しめました。『コール オブ デューティ ウォーゾーン モバイル』の「ヴェルダンスク」「リバースアイランド」では、本作ならではのイースターエッグ、隠しイベントがあるのでしょうか?また、モバイル版でしか手に入らない報酬アイテムもあるのでしょうか。
Tom氏:
現時点では、モバイル版専用のイースターエッグなどは用意していません。ただ、ライブオプス関連ではユーザーの皆さまが楽しめるコンテンツを今後、何かしら追加するかもしれません。
──運営タイトルを遊ぶユーザーの楽しみ方のひとつとして、コラボレーションがありますが、本作でもそのような施策は予定されているのでしょうか。御社のタイトルでは『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェアIII』と『ウォーキング・デッド』がコラボしたり、直近では『オーバーウォッチ2』と『カウボーイビバップ』のコラボレーションが盛り上がりを見せていますが。
Tom氏:
もちろん、コラボは積極的にやっていきます!実は他の『コール オブ デューティ』フランチャイズのコラボ、ソフトローンチ中の段階では『ウォーキング・デッド』のコンテンツが遊べるようになっているんです。
モバイル専用のコラボコンテンツは用意したいと思っていますし、各シーズン、新しいパートナーシップを作っていくのが楽しみですね。グローバルローンチ時にも大きめのコラボを用意していますので、それを皆さまにお披露目できることを楽しみにしています。
個人的にもモバイルゲームを遊ぶ時、人気アニメのキャラクターを使ったりしますので、そういうコラボも楽しみにしています(笑)。
──最後に本作のローンチを心待ちにしている日本のファンの方々へのメッセージをいただければと思います。
Tom氏:
本当に本作の開発は愛に溢れていたと言いますか、そのようなよいムードの中での制作になりました。これを日本のファンの皆さんに遊んでいただくことをとても楽しみにしていますし、自分も遊べるようになる時を凄くワクワクしながら待っています。
また、ライブオプスで企画している色々なことを日本のファンの皆さんに楽しんでいただければと思っています。特に日本では「ゴールデンウィーク」がすごく重要な時期であると耳にしていまして、その辺りにちょっとしたサプライズを準備しています。他のコンテンツもヒットする可能性を秘めていて、日本の皆さんがどのように遊ばれるかもに楽しみにしていますので、よろしくお願いします!(了)
20年以上に渡って続き、世界でも絶大な人気を誇る作品は強い。
それもゲームプレイのみならず、技術面の高さにも定評がある『コール オブ デューティ』シリーズのことを思えば、今作のようなモバイルプラットフォーム上における挑戦の実現も、ある意味「できなくもないこと」と思えてしまうほど、Tom Hess氏のコメントには作品に対する自信の大きさが感じ取れた。
実際、本作には20年に渡って『コール オブ デューティ』シリーズで培ってきた企業秘密な技術も投入されていると、インタビュー(Q&A)セッション前にもTom Hess氏より紹介があった。さらにソフトローンチが実施されているオーストラリアなどの一部地域での反応も上々なこともあり、日本を含む世界中でのローンチをいかに楽しみにしているのかという期待の大きさも感じられた。
「いつでもどこでも遊べる『コール オブ デューティ』」──それもPC、コンシューマ版となんら変わりない『コール オブ デューティ』をスマートフォンで遊べてしまうなど、本当に技術の進歩を実感させられる出来事だ。
それも武器バランスなどもPC、コンシューマ版をベースにしているだけあって、本当にそのまんまな『コール オブ デューティ』を遊べそうな雰囲気がある。それらのバランス調整に対するコメントにも、20年の年月をかけて向き合ってきたことへの自信、培った経験の豊富さに裏打ちされたものを実感させられる。
モバイル版『コール オブ デューティ ウォーゾーン』の日本を含むグローバルローンチは3月21日。モバイル版独自の展開なども今後、検討されていくとのことで、さらなる進化と発展を続けていく本作および『コール オブ デューティ』シリーズから目が離せない。