※この記事にはVer.3.3のネタバレを含みます。閲覧にご注意ください。
「こんな最後ってないよ……」という悲痛な叫び。
そして「絶対にぶち殺してやる!」という怒りに満ちた咆哮。
2026年5月23日、オープンワールドアクションRPG『鳴潮』は、サービス開始から2周年という記念すべき節目を迎えた。
しかし、このタイミングで実装された「Ver.3.3」は、単なる祝祭にとどまるものではなかった。過酷な物語の展開はプレイヤーのみならず、マイクの前に立つ役者たちの心をも激しく揺さぶり、ただならぬ熱量をその演技に吹き込ませたのだ。
君と巡る星々の瞬き!
— 鳴潮 (Wuthering Waves) 公式 (@WW_JP_Official) May 23, 2026
漂泊者、二周年おめでとうございますಣ#鳴潮 #WuWa2Years #めいちょう2周年 pic.twitter.com/Osnkz4tPSm
その熱演を見せた声優のひとりが、作中に新たに登場した少女・ダーニャを演じた伊藤美来さんだ。
小悪魔的な振る舞いで漂泊者(プレイヤー)を翻弄し、親友の少女と心を通わせながらも、過酷な宿命を背負った少女、ダーニャ。彼女は作中でどんな想いを抱え、いかなる悲劇的な結末を迎えたのか。
伊藤さんは台本でダーニャの辿る結末を知った際、「えっ、これってまさか……」と絶句したという。
覚悟を決めているように見えて、本当はもっと人間として生きたかったという彼女の未練に直面し、クライマックスシーンでは「なんで!?」「こんな最後ってないよ……」と心の中で叫びながらマイクの前に立ったというのだ。

そしてもうひとりが、『鳴潮』の主人公である男漂泊者役の増田俊樹さんである。
リリース初期から本作に携わる彼は、自身がこれほど熱中できていることを「奇跡のような巡り合わせ」と語る。そして『鳴潮』を自身の「ライフワーク」だと言い切るほどの熱狂的な「いちプレイヤー」でもある。
それゆえ、今回の物語で描かれた巨大な敵との戦いでは、ついつい演技に熱が入りすぎてしまったと明かす。
結果、マイクの前で「絶対にぶち殺してやる!」と声を荒らげ、ディレクターから「ちょっとやりすぎです」とストップをかけられてしまったというから驚きだ。

……と、ここまでのエピソードだけでも、今回の「Ver.3.3」が並々ならぬ熱意で描かれていることが窺えるのではないだろうか。
悲痛な想いを抱えた伊藤さんと、怒りを剥き出しにした増田さん。両極端とも言える感情を引き出されたふたりは、物語の結末を前にして、マイクに向かい何を感じていたのだろうか。『鳴潮』2周年の節目に、ふたりの声優が抱いた胸の内に迫る。
※この記事は『鳴潮』の魅力をもっと知ってもらいたいKURO GAMESさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
「なんで!?」「こんな最後ってないよ……」。心の中で叫んでいたクライマックスの収録
──2周年を迎えた『鳴潮』ですが、そんな節目に実装されたVer.3.3のクライマックスは多くのプレイヤーの心を揺さぶりました。本日はおふたりの言葉から、物語の裏側を紐解いていければと思います。まずは、伊藤さんが演じていくなかで、とくに気持ちが入った場面からお聞かせください。
伊藤さん:
一番心がギュッとなったのは、クライマックスの手前ですね。
ダーニャの中にある鳴式の力(Ver.3の舞台のラハイロイのボスであるアレフ1の力)の暴走により、みんなを傷つけてしまったあとに、自分の本当の気持ちをすべて吐き出すシーンです。
もうすぐ自分が消えちゃうってわかっている状態で、みんなに別れの挨拶をしに行ったり、漂泊者さんと行動したりして。そういう場面では、「なんで!?」「こんな最後ってないよ……」と心の中で叫びながらマイク前に立っていました。

増田さん:
あのシーンはね、いちプレイヤーの視点で見ても、胸が締め付けられる展開になっていると思います。
でも、そういう「予想を裏切って、想像以上の感情の揺さぶり」みたいなものを毎度しっかり味わわせてくれるのが、『鳴潮』という作品の魅力でもあると思うんですよね。
伊藤さん:
わかります。だからなんでしょうね……演じている私自身も感情移入しちゃって。
ダーニャにとっては、漂泊者さんやシグリカちゃんたちと過ごした時間があったからこそ、少しだけ人間らしくいられたという「救い」があったのかなって思うんです。
でも、プレイしてくださる漂泊者のみなさんのことを考えると、「この感情の行き場はどうなってしまうんだろう……」と心配になっちゃいますね。
──Ver.3.3では、シグリカ、ダーニャ、そしてニヴォラの「仲良し3人娘」な描写も公式から押し出されていましたよね。

増田さん&伊藤さん:
ニヴォラは……ねぇ……?
──そういう反応になっちゃいますよね……。
増田さん:
ニヴォラに関してはもう……なんとも言えないというか、正直なにも言いたくない(笑)。現在、プレイヤーからのヘイトを一身に集めている張本人のひとりですからね。
いちプレイヤーとしてはもう頭にきているので、「絶対にボコボコにしてやる」と思ってますよ。どこかで勝手に野垂れ死んでてほしいし、なんならその死に様すら描かれないくらいでいい、という気持ちです。
伊藤さん:
(笑)。私も「本当になんてことをしてくれるんだ……!」と、プレイしている漂泊者のみなさんと恐らく同じ気持ちになっています。
ダーニャとは特殊な関係ですよね。演じながら「どうして逆らえないのか……」と、どうしても考えてしまいました。

ダーニャにとってシグリカは、自分に光を見せてくれた存在だった
──俯瞰して見ると、敵側の陣営であるふたりと騙されているシグリカという構図になっているわけですが、やはり後ろめたさのようなものを感じながら演じられたのでしょうか。
伊藤さん:
ダーニャにとってシグリカちゃんは、ただの友達じゃなくて、自分に光を見せてくれた存在なんです。彼女と一緒にいたからこそ、人間らしい感情を手に入れることができた。そこには特別な想いや感謝の気持ちがあると思います。
だからこそ、物語が途中からは後ろめたいというか……。「少しでも気づかれたくない」「普通の女の子だったらよかったな……」という葛藤がありました。
一緒に楽しい日々を過ごせば過ごすほど、その想いがどんどん募っていく感覚がありました。
──それほどまでに、シグリカへの想いは大きいものだったのですね。
伊藤さん:
はい。ダーニャは本当にシグリカちゃんのことが大好きで、「とにかくシグリカちゃんには幸せになってほしい」と、心から願っているんだと思います。
増田さん:
ダーニャとラハイロイの人たちとの関係性って、あまりにもシグリカという存在が起点になりすぎていたような気がするんですよね。
ダーニャって、自分の出自や本来の立場をわかったうえで、シグリカや先生たちと接していたわけじゃないですか。
最初は打算で近づいたはずなのに、立場を超えてほだされてしまい、素が出てしまった自分を認めたくなかった。けれど最後は、そのごまかしきれない感情に、しっかりと自分自身で決着をつけた。それが今回の、彼女の物語なのだと思います。

──ダーニャとシグリカのやりとりで、とくに好きなシーンはありますか?
伊藤さん:
最後のお別れであることを隠して、シグリカちゃんに会いに行こうとした場面ですね。漂泊者さんと一緒に「(ダーニャの)誕生日なんだからケーキを用意しよう」と話すシーンです。
そこでダーニャが、ごく当たり前のように「オレンジのケーキにしましょう。シグリカちゃんはオレンジが好きですからね」と言うんです。
──そのひと言に、ダーニャという子のすべてが詰まっているような気がします。
伊藤さん:
自分の誕生日なんだから自分の好きなものを選べばいいのに、どうしてこんな時にまでシグリカちゃんの好みにあわせるのか……。そう思うと、切なさと尊さで胸がいっぱいになりました。
「なんてシーンを作ってくれたんだ。こんなの誰が見ても泣いちゃうじゃないか!」と、思いながら演じていましたね。
──シグリカ側も、ダーニャがなにかを抱えていることに、薄々気づいているように見える描写もありましたよね。その点はいかがでしょうか。
伊藤さん:
ずっと一緒にいて、人と人としてちゃんと向き合ってくれていたからこそ、ダーニャが被っている仮面の下まで見透かされちゃうんだなって。
なにか明確な証拠があったわけじゃなくて、一緒に過ごした時間の長さと深さで感づいたっていう描写だったので、ふたりの間にすごく強い友情を感じました。
でも、シグリカちゃんは感づいているけれど、最後まで口には出さず「また一緒にケーキ食べようね」と言ってくれるんです。何かあるのだろうとは思っていても、まさかあんな結末になるとは想像していなかったでしょうから……。
私自身も、どうかこの続きを読ませてほしいと願うような気持ちでいっぱいになりましたね。
「ちょっとやりすぎです」とストップがかかった、エクソストライダーとアレフ1の決戦シーンの収録
──主人公の漂泊者を演じる増田さんとしては、今回のストーリー(Ver.3.3)を振り返ってとくに印象に残っている出来事はありましたか?
増田さん:
収録のなかで、珍しく感情が入りすぎてしまって……エクソストライダーとアレフ1の決戦シーンで「ちょっとやりすぎです」とストップがかかってしまったんです。
──やりすぎ、ですか。どのような感情の変化があったのでしょうか?
増田さん:
これについては、Ver.3.1の収録まで少し話をさかのぼることになるのですが……。
今回のVer.3.3は、ダーニャのエピソードが描かれるのはもちろんですが、Ver.3.1から続いてきたエイメス関連のストーリーが着地する物語でもあるんです。
──なるほど。そのVer.3.1での出来事が、今回の感情の起点になっていると。
増田さん:
ええ。じつはVer.3.1の収録段階で、ディレクターから「親として」「父親らしく」「子供に接するように」というディレクション(演技の方向性のやりとり)を受けていました。
ただ、過去の漂泊者は彼女に娘のように接していたとはいえ、現在の漂泊者には記憶がありません。展開としても、ふたりの距離感が徐々に紐解かれていく最中だったので、僕としてはフラットな距離感で演技をプランニングしていたんです。
そこに対して「もっと感情を出してほしい」と。珍しく踏み込んだディレクションでしたね。

──もともとの演技プランとディレクションの狭間で、演じるうえでの葛藤もあったのではないでしょうか。
増田さん:
そうですね。Ver.3.1からストーリーが急展開していくこともあり、「ここはどこまで感情を出すのが正解なのかな」と悩みながら収録していました。
でも、そのあと実際にゲームをプレイして、Ver.3.1からVer.3.3にかけてエイメスやエクソストライダーを取り巻く展開を追っていくうちに、自分の中でしっかりと感情が作れるようになっていったんです。
プレイヤーのみなさんから「親子関係」のように言われることもありますが、そういった枠組みは関係なく、エイメスというひとりの人間が大切に思えてきたんですよね。
──そうしたプレイヤーとしての体験を経て、今回のVer.3.3の収録に臨まれたわけですね。
増田さん:
そうなんですよ。Ver.3.3の収録までに、Ver.3.1の幕間やVer.3.2の物語もありましたからね。頭の片隅にはエイメスへの想いや、エクソストライダー、アレフ1といった問題に対する不安を抱えていました。
そのため、今回は「気もそぞろ」というか、余裕のない状態の漂泊者を計画的に演じていったんです。それが、Ver.3.3でのエイメス関連の話の決着において、自分の中でひとつのカタルシスに繋がったのだと感じています。
そんな状況だったので、「アレフ1、絶対にぶち殺してやる!」くらいの強い気持ちで声を荒らげたところ、「ちょっとやりすぎです」と止められてしまって。「そうかなぁ?」とは思ったんですけどね(笑)。


