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大ヒット伝染病シミュレーション『Plague Inc.』作者の次回作は、「対テロ戦争」がテーマのリアルタイムストラテジー。アップデートで日本語に対応【レビュー:Rebel Inc.】

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 21世紀の戦争は国家同士の大規模な衝突ではなく、内戦と対テロ戦争へと変わっています。
 中東やアフリカ、中南米では今も多くの紛争が起こっており、ゲリラ戦やテロ活動を展開する反政府軍と、それを掃討する政府軍や国連軍との戦いは、もはや戦争のあり方を変えてしまいました。

 そんな神出鬼没の反政府ゲリラとの戦いを、大ヒット伝染病シミュレーションゲーム『Plague Inc.』の作者がそのシステムを利用して表現した、『Plague Inc.』の派生作ともいえる作品がスマホで公開されました。
 『Rebel Inc.』です。

 ※アップデートで日本語に対応し、アプリ名が『Rebel Inc. -反逆の株式会社-』に変わっています。
 このレビューは英語版しかない時に書いたものですが、内容は日本語化に対応したものに修正しています。

大ヒット伝染病シミュレーション『Plague Inc.』作者の次回作は、「対テロ戦争」がテーマのリアルタイムストラテジー。アップデートで日本語に対応【レビュー:Rebel Inc.】_001

 すでにご存じの方が多いと思いますが、『Plague Inc.』は伝染病を世界中の人々に感染させ、人類を死滅に導く、背徳的なリアルタイム制のシミュレーションゲームです。
 過激なテーマではありますが、防疫と公衆衛生の大切さに気づく内容でもあり、手軽ながら深い戦略性と、勝てそうで勝てないバランスの良さを備えていて、2012年から2013年にかけて世界中で賞賛されました。
 現在でも有料アプリのトップセールスの常連です。

 このゲームはいわば、その『Plague Inc.』で軍事戦争をするゲームなのですが……「病気のゲームからいきなり戦争ってなんだよ?」と思う人もいるかも。
 しかし、各地域に政府支持者と反政府派がいて、時間とともに貯まっていく資金でさまざまな公益事業を実施、それによって支持者が増えていき、徐々にその波が他の地域にも波及していく…… といえば「ああ、なるほど」と思う方もいるでしょう。

 ゲームの要点はゲリラ部隊との戦いです。
 当初は軍隊を持たないため、PKO(国連平和維持活動)に国連軍の派遣を要請して急場をしのぎます。
 その手助けを受けながら、正規軍の準備を進めつつ、政策と広報で国民の支持を獲得していきます。
 配置した部隊は任意に動かすことができ、敵軍を足止めし、包囲・殲滅していく様子には軍事シミュレーションっぽさがありますね。

 この辺りは初期の『Plague Inc.』とは異なりますが、ただ『Plague Inc.』もアップデートでサル軍団が移動していく『猿の惑星』シナリオや、対ゾンビ特殊部隊の拠点を破壊していくゾンビウィルスシナリオが追加されており、今作はその発展系ともいえます。
 よって『Plague Inc.』プレイヤーなら、割としっくり来る内容でしょう。

大ヒット伝染病シミュレーション『Plague Inc.』作者の次回作は、「対テロ戦争」がテーマのリアルタイムストラテジー。アップデートで日本語に対応【レビュー:Rebel Inc.】_002

 問題は、このゲームは(2018/12/13時点で)英語版のみであり、しかも政治と対テロ戦争という社会的なテーマを扱っているため用語が難しめで、英文のイベントも頻発、日本人には取っつきづらいこと。
 そこで今回は、文中の画像と注釈にコマンドの和訳を、文末には主要イベントの和訳を掲載しています。

 ※現在は日本語化されているため、英語が読めなくても問題ありません。

 価格は240円。買い切りゲームなのでスタミナや広告はありません。
 現時点(12/13)ではiOS版のみ公開されています。

 特殊な職業や全マップのアンロック、チートなどが課金コンテンツとして用意されていますが、マップはゲームプレイによって解放していけるし、特殊な職業も(全マップを最高難度でクリアというハードルの高いものではありますが)プレイによって得られます。
 チートはチート(インチキ)ですから、必須なものではないですね。

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 プレイヤーは内戦で荒廃した、不安定な小国のリーダーです。
 ゲーム開始時に職業を選択しますが、最初は Civil Servant(公務員)しか選べません。
 ステージをクリアしていくと Economist(経済学者)や General(将官)なども登場します。

 難易度はCasual、Normal、Brutal(日本語版ではHard)の3つから選択でき、難しいゲームなので最初はカジュアルで慣れるのが良いですが、カジュアルはあくまで練習用で、これでクリアしても次のステージはアンロックされません。
 プレイ方法がわかったらノーマルでプレイしましょう。

 ゲームがはじまったら、まずはHQ(本部)を設置します。
 マップには都市、平原、山、川などが描かれていて、いくつかのエリアに区分されています。
 どこからスタートしてもよく、都市部の方が収入が多いということはないのですが、都市を制圧すると評価が大きく上がり、逆に支配されるとダウンするので、やはり大都市からスタートするのがラクですね。

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最初のステージを都市からスタートしてみた図。明るくなっているのは調査済みの範囲、暗くなっているのは未調査地域。
未調査地域は時間とともに解明されていきますが、部隊を送って素早く索敵することもできます。

 スタートしたら、まずは左下の「Operation」(オペレーション)のボタンを押しましょう。
 上部にOverview(概要)、Civilian(民間)、Government(政府)、Military(軍事)の4つのタブがあります。

 最初はOverviewですが、これは単なる情報画面。
 他の3つで関連した政策を実行できます。

 Civilian(民間)のタブをタップすると以下のような画面が現れますが…… 最初はがらーんとしています。

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 政策はツリー形式になっていて、基本の政策から実行していかないと他のものは現れません。
 政策の名前や効果は英語なのでわかりにくいですが……(現在は日本語対応)Civilian(民間)の政策の多くはSupport Level(支援レベル)を上げるものです。
 これは政権支持率で、高いほど中立派や反対派が減り、支持派が増えています。

 よって支持を得るために、ガンガン獲得していきたいところですが…… そうもいきません。
 資金を消費するのはもちろん、政策を実行すると下部にあるインフレ(Inflation)汚職リスク(Corruption Risk)のメーターが上がっていきます。

 インフレが上がると物の値段が高騰、政策の実行費用も上がってしまいます。
 インフレは短期間にまとめてお金を遣うと急激に上がるので、資金があっても急な投資は避けなければなりません。

 そして重要なのは汚職。
 不安定な小国であるためか、お役人はみんな“黄金色のお菓子を求めるお代官さま”のようで、ちょっと公共事業をするだけで汚職リスクがどんどん上昇していきます。
 汚職が上がるとSupport Level(支援レベル)が低下、Reputation(国際的な評価)も徐々に減少し、国民にも国外民にもそっぽを向かれてしまいます。
 汚職はGovernment(政府)のオペレーションで軽減できますが、急な投資で上がりすぎないようにすることも大切です。

 Civilian(民間)とGovernment(政府)のコマンドは以下のようになっています。

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Civilian(民間行政)のツリー。それほど高価ではありませんが、インフレ(Inflation)し過ぎないよう取得すること。
「公共」はすべてサポートレベルを上げるもので、支持派の増加率が上がり、反対派は減っていきます。学校関連はそれに加えて開発も早くなります。
「産業」は公共よりも大きく支持者を増やしますが、汚職(Corruption)も増加しやすいので注意。
工業と商業は都市部(Urban)、農業は農村部(Rural)で効果が高く、開拓は遠隔地(Remote)への拡張を早めます。
「インフラ」の道路系は拡張速度を上げるもので、各地域がどの道路で繋がっているかは地域名の左にあるアイコンで確認可能。さらに戦闘にもボーナスがあります。
電力も支持率アップとともに拡張を早め、通信は安定している都市部の支持率を大きく向上させます。
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政府(Government)のツリー。まずは汚職(Corruption)の抑制が大事。賄賂が横行する国に未来はありません。
取引監視(効率的な調達)は汚職の上昇量を減らし、汚職の抑制(汚職行為防止)は月ごとに汚職度が減少、摘発はその場で汚職度が減りますが取得したときのみ。
自警団(地域の民兵)や警察(地域警察雇用)はテロや奇襲のイベントを抑止しますが、民兵は支持率が減少します。警察にすれば上がります。
代表と地域調査は未確認エリアの調査が早くなり、福祉活動(支援オフィス)は該当地域の工事(安定度上昇)がアップ。
広報(広報活動とメディアオフィス)は他の活動による支援レベルの上昇を倍増させるもので、実施済みのものにも適用。
右上の4つはちょっと特殊で、イベントに関わるもの。
民主化と国際正義はその場で国際評価が上がりますが、その後に関連したイベントが起こったり、一部の選択肢の効果が変わったりします。
NGO(国際支援)もイベントが発生し、受け入れると地域安定に貢献しますが、インフレと汚職が増加。
外交オフィス(国際関係オフィス)は他国が関わるイベントで選択肢が増えます。

 そして、しばらく時間が経つと…… バリバリバリ! という機銃の音とともに反政府ゲリラの皆さんが登場します。
 どこに現れるかは毎回異なりますが、その頃にはこちらも軍隊を作れるはず。
 すぐにMilitary(軍事)コマンドの Deploy Coalition Soldiers 1(連合軍兵士配備1)を実行し、準備ができたらドラッグでエリアに配置しましょう。
 反政府軍の拡大を塞ぐような場所に置くのが基本です。

 ただ、最初に置くのはあくまで国連軍(Coalition Soldiers)です。
 借り物であって、いつか返さないといけません。

 自国の正規軍(National Soldiers)の編成を急ぐ必要がありますが、設立にはかなり時間がかかります。
 ゲリラの皆さんは完成を待ってくれないので、当面はすぐに派兵される国連軍で急場をしのがなければなりません。
 もちろん民政も平行して行う必要があるので、戦闘だけに夢中にならないように。

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戦闘中の様子。青は国連軍、緑は正規軍。
待機中の部隊は近くの戦闘中の部隊の支援を行え、サポートラインが繋がります。
砦のマークは駐屯地で、これも支援効果を発生させますが、駐屯地(Garrison)の政策の実施と、建設提案が来なければ作れません。
正規軍(自国軍)は最初は弱いので、当面は攻勢に出るなら国連軍を使うこと。
なお、川は橋がないと両軍とも渡れません。
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軍事(Military)のツリー。代表者が軍人でない場合、しばらく時間が経たないと取得できません。
輸送や武装の強化はすべて正規軍を強化するもので、輸送戦略は移動も速くなります。
「駐屯地」は、取得することで駐屯地の建設提案が来るようになります。取らないと来ません。
検問は敵の支配を抑止、民間支援は支持率上昇、援軍(戦闘増援部隊)は戦闘の支援力がアップしますが、どれも駐屯地がある場所のみ。
「通訳とガイド」から続くツリーは、軍隊の配置に伴う地元民の反発を減らすもので、国連軍は特に反発が大きめ。
「ドローン」と「空爆」は一定時間ごとに発生し、未確認地域を偵察したり、敵を倒してくれます。
ドローンの戦闘用センサーは偵察中の地域での戦闘が有利になります。
爆撃は強力ですが、たまに誤爆が発生して市民から文句を言われます……。
重爆撃(強力な装備)があると威力が増しますが、誤爆率はさらにアップ。誘導爆弾(精密兵器)があれば誤爆率は下がります。

 最初のうちは対ゲリラ戦闘も、そこまで苦戦しないでしょう。
 うまく相手の移動先を塞げば、敵勢力の拡大は容易に阻止できます。

 しかし、開戦から少し経ってからが問題です。
 まず直面するのは国連軍の帰宅時間。
 前述したように国連軍は借り物なので、一定期間が経ったら任務終了、帰国することになります。

 国連軍を3つまとめて招聘して、それで敵を抑え込んだはいいけど、3つまとめて帰ると言い出して自国軍の配備も進んでおらず涙目、というのは初心者の頃に良くある話。

 「ちょっと待って、行かないで!」と引き留めることもできますが、画面右下に表示されている Reputation(国際評価)のバーグラフが減少。
 評価はいわばライフであって、ゼロになったら信用を失った政府は瓦解、ゲームオーバーになります。

 加えて近隣のライバル国が反政府ゲリラに支援を行っていて、これに関するイベントが発生します。
 「ふざけんな! その悪行を告発してやる!」みたいな選択をすると、激怒した相手国が反政府ゲリラへの支援を強化、戦闘力が上がって抑えきれなくなります。
 それでなくてもゲリラ側はキャンプから続々と兵士を生み出すので、倒してもキリがありません。

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国連軍の帰宅イベント。残業をお願いしたら世間から白い目で見られる中間管理職状態。
とはいえ「いなくなったら突破される」という状況では迷ってもいられない。
まずは正規軍の設立を急ぎ、無理そうなら新部隊の派遣を申請して入れ替えましょう。

 抑え込めずに後退すると、負けたことと地域を取られたことで評価が減少。
 さらに反政府軍の支配地域が大きいと、不利とみなされて継続的に評価が下がり続けます。
 焦って軍事関係の強化を行っても、急すぎるとインフレするし汚職天国に。

 ドローン空爆といった国連軍の最新兵器の支援も受けられますが、空爆は市民の被害も割と頻発します。
 繰り返されていると支持率はやっぱり低下。

 そして軍事を優先しすぎたり、誤爆や汚職で支持率が低下すると、「いつまで経っても情勢が安定していない」と国際社会から見られ、ますます評価は減少、ゲームオーバーに一直線です。
 地域が安定しておらず、治安が悪い状態だと、いきなり後方に反対派が沸いて急襲されたりもします。

 ただ、それがゲームの面白さでもあります。
 あちらを優先するとこちらが立たない、そのうち追い上げられる、というのが『Plague Inc.』から続く難しさで、それを戦略の最適化で打開していくのが楽しさといえますね。

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右下のReputationバー(評価グラフ)をタップすると詳細画面が表示されます。
ここにある「Major Causes of Reputation Loss」(評価減少の主な原因)が評価の減少要因で、Lack of Stability(不安定)は安定度が低いままの状態であること、Insurgent Activity(反政府活動)は反政府勢力の拡大で増加、Coalition Soldier Deployment(国連軍の展開)は国連軍に対する地域住民の反感です。
これらが高いと、評価はみるみる低下していきます。
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ドローンが敵の姿を捉え、爆撃機が誘導爆弾を落とす現代の戦い。
ドローンで敵キャンプを発見し、空爆でそれを破壊するコンボが強力ですが、どちらも採用には相応の費用が必要。
もし市民に被害が出た場合、空爆してるのは国連だけど、謝るのは政府。うーむ、これが政治か。

 うまく地域が安定し、反政府軍の動きも封じ込めることができれば…… 敵のリーダーと対話できるかもしれません。
 これは「Unofficial contact with Insurgent leaders」(反政府リーダーとの非公式接触)というイベントからはじまり、会見の成功率は戦局によって変わります。
 有利なら高い確率で対話に持ち込めるはず。

 接触に成功すると、和平交渉のプロセスがスタートします。
 画面右上に新たに和平交渉バーが現れ、時間とともに伸びていきます。
 そして進展に応じて、何度も交渉のイベントが発生。

 武装解除、反政府勢力の政治参加、国連軍の扱い、犠牲者への謝罪など、さまざまな議題が現れます。
 といっても「要求を呑む、妥協案、譲歩しない」の3つの返答しかなく、結果はどの議題でも似たようなもの。
 要求を呑めば和平プロセスは早く進行しますが、国際評価は低下。
 譲歩しないなら交渉はなかなか進みませんが、国際評価は上がります。

 99%まで進展し、最後のイベントで「Agree peace deal」(和平合意)を選べば、内戦は終結。
 このゲームの目的は画面上部に表示されている「国の安定度」を100%にすることですが、内戦が終わると安定度は急速に増えていき、程なくして100%に到達します。
 よって和平合意は、すなわち勝利。
 ただし、テログループとの和平は国際社会からの評価は得られません。

 和平しなくても安定度を100%まで高めれば、テロに妥協しない勝利を得られます。
 ただ、相手は安定度が80%を超えて追い詰められると、急に活性化して各地で襲撃を起こします。
 それをしらみ潰しにしていく対テロ戦争らしい戦いになってしまい、うまくいかずに勢いを盛り返されると、もし和平プロセスが進んでいても交渉が止まってしまいます。

 相手を壊滅寸前にしても「窮鼠猫を噛む」的にテロ活動に走るので、そこそこの状態で包囲して追い詰めすぎないのも勝利のコツになります。

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和平交渉はこのイベントからスタートします。でも対話しようとして失敗すると国際評価が激減するため、実行は慎重に。
「Try to talk」の下部に「失敗確率」が書かれているので、高いときはDelay(延期)かThreaten(威嚇)を選んで交渉を回避しましょう。
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ステージ選択画面。難易度ノーマル以上でクリアしないと、上位ステージをアンロックできないのを忘れずに。
各ステージにクリアで選択可能になる職業がついていて、将軍なら軍事系の、経済学者や銀行員なら資金系の固有コマンドを持っています。

 現時点(2018/12)ではステージは5つだけ。
 コツがわかると(ノーマルなら)どれも似たような戦略でクリアでき、ちょっとボリューム不足な感はあります。
 ただ、『Plague Inc.』未経験者には難しいゲームで、ステージ1でも苦戦が続くことでしょう。

 また、難易度ブルータル(ハード)は本当にブルータル(凶悪)で、序盤から急襲を受けるうえに評価も下がりやすく、手強い戦いになります。
 勝つには何度もリトライを繰り返す必要があります。

 最初は「このシステムで軍事戦略ゲームというのはどうか」と思っていたのですが、今はむしろ現代の対テロ戦闘を描くには、このシステムがベストなのだろうと思っています。
 今の戦いこそ「戦争は別の手段による政治と外交の継続」ですからね。

 ともあれゲーム自体は相変わらず、短い時間で手軽に遊べて、それでいて手強い内容です。
 しかもこれで240円と、かなり安い。
 さすがに「疫病で人類を死滅させる」というほどのインパクトはありませんが、秀作だと思います。

 
【ちょこっと攻略】

 以下はゲーム中に発生するイベントの和訳です。
 すべてのイベントを網羅できているわけではありませんが、主要なものがわかれば、他のイベントもおよそ理解できるはずです。
 プレイの参考にしていただければと思います。

 ※現在は日本語化されているため、和訳リストは必要ありませんが、どんなイベントがあるかの参考としてそのまま表記しておきます。

=ほぼ必ず発生するイベント=

・Coalition soldier tour of duty over
 国連軍の任期が終了。
 ・Send Home:その部隊が撤収する。反政府軍は士気が上がる。
 ・Short extension:もう少し居てもらう。国際評価が減少する。
 ・Long extension:もっと長く居てもらう。国際評価が大きく下がる。

・Foreign rival Supporting Insurgents
 ライバル国が「人道支援」という名目で反政府勢力を援助している。
 ・Counter-strike:資産凍結で対抗する。資金が必要、外交関係が悪化。成功すれば反政府勢力への援助が減る。
 ・Subtle pressure:外交圧力をかける。成功すれば反政府勢力への援助が減る。
 ・Publicly Accuse:相手の行為を国際社会に告発する。低確率で援助が大きく減るが、大抵は相手が怒って援助激増。

・Site in ○○ for □□ Garrison
 ○○部隊はこの場所が駐屯地の設営に相応しいと考えている。駐屯地を取得しているときのみ発生。
 ・Build Garrison:その場所に駐屯地を設営する。資金が必要。
 ・Reject location:その場所には設営しない。

=状況に応じて、もしくはランダムで発生するイベント=(ABC順)

・Airstrike hits civilians in ○○
 国連軍の空爆が民間人にも死傷者を出した。どう対応すべきか?
 ・Apologise:謝罪と賠償を行う。少しの費用がかかり、支持率が若干下がる。
 ・Cover Up:責任を否定する。低確率で問題化する。
 ・Downplay:嘘でごまかす。若干の費用がかかる。高い確率で汚職が増加し、低い確率で嘘がばれて国際社会が激怒。

・Aphid infestation affecting crop yields
 アブラムシの被害が拡大し農場に深刻な損害が出ている。
 ・Advice:専門的アドバイスを行う。少しの費用がかかる。一定確率で地域の農場が崩壊する。
 ・Pesticides:農薬を供給する。多めの費用がかかり、支持率が上がる。低確率で農場が崩壊する。
 ・Do nothing:何もしない。支持率が下がる。一定確率で地域の農場が崩壊する。

・Charities prepared to help
 いくつかのNGO団体から地域安定のための協力を打診された。NGOを取得しているときのみ発生。
 ・Full access:すべて受け入れる。無償協力を得られるが、インフレと汚職も大きく上がる。
 ・Limited Access:確認作業を行いながら限定的に受け入れる。費用がかかり、少しの協力とインフレ&汚職。
 ・Funding only:国内に入ることを拒否し、資金援助のみ受け入れる。

・Coalition stop and search causing anger
 地域の男性が国連軍による女性への身体検査に文句を言っている。兵士は問題のある行為を否定しているが、どうするか?
 ・Back soldiers:地元民の苦情を無視する。何が起こるかはわからない。
 ・Back villagers:国連軍兵士に女性の身体検査をやめるよう指示する。何が起こるかはわからない。
 ・Investigate further:調査団を送って捜査を続行する。何が起こるかはわからない。

・Coalition to withdraw soldiers
 他国の紛争が緊急の事態となり、国連が部隊の一部撤収を求めている。
 ・Prevent:断る。国際評価は大きく下がる。
 ・Allow:承諾する。国連軍がひとつ消える。しばらく後に戻ってくる。
 ・Negotiate:交渉する。資金援助か、早急な復帰か、怒るか、それぞれが一定確率で発生する。

・Drought devastates ○○
 ○○地区で干ばつが発生し、農村の住民たちが飢えている。
 ・Basic aid:基本的な支援。費用がかかり、地域の支持率が上がる。一定確率で汚職も少し上がる。
 ・Extensive aid:大きな支援。費用が多め。地域の支持率が大きく上がる。一定確率で汚職も大きく上がる。
 ・No aid:支援しない。地域の支持率が低下。高確率で反政府軍に募兵ボーナス。

・Foreign Journalist kidnapped
 ジャーナリストが武装組織に拘束され、身代金を要求されている。
 ・Innore:無視。ジャーナリストは低確率で解放されるが、解放されないと続きのイベントが起こる。
 ・Pay ransom:身代金を払う。資金が必要。ジャーナリストは解放されるが反政府軍が強くなる。
 ・Rescue Raid:救出作戦を実行。そのエリアに味方の部隊が侵入していないと選択できない。

・How should we prepare for democratic elections?
 民主選挙の実施にはテロに対するセキュリティが必要だが、どうすべきか?
 ・Plan elections:3年の選挙計画を立てる。費用がかかり、国際評価が少し上昇。
 ・Prioritise elections:1年での選挙を実施。費用が大きくかかり、国際評価が上昇。
 ・Postpone elections:今の時点では計画を立てない。国際評価が減少。

・Insurgents targeting ancient sites in ○○
 テロリストが世界遺産の大仏像を爆破して映像を公開した。
 ・Publicly shame:映像をメディアに流して反政府側の恥をさらす。国際評価が少し上がる。
 ・Deploy Military:軍事展開を実施。そのエリアに味方の部隊が侵入していないと選択できない。
 ・Negotiate:ユネスコに文化遺産の破壊をしないよう交渉を依頼。賄賂が必要。一定確率で破壊が止まる。

・National airforce ‘inadequate’
 現在の航空支援は国連軍がすべて管理しているが、正規軍も輸送と医療のための航空支援を欲しがっている。
 ・New airforce:航空支援部隊を設立する。正規軍が強くなる。相応の資金が必要。
 ・Shared airforce:国連軍の航空支援を少し回してもらう。正規軍が少し強くなり、国連軍が少し弱くなる。
 ・No airforce:提案を拒否。一定確率で正規軍の士気が低下。

・New ○○ proposed
 発電所や大学、公園や博物館などの建設提案。
 ・Approve project:承認する。支持率が大きく上がる。一定確率で汚職も大きく上がり、余分な費用もかかる。
 ・Approve with oversight:承認するが監視を強化。資金が多く必要だが、汚職と余分な費用の確率は減少する。
 ・Reject project:提案を却下。

・New ○○ league proposed
 サッカーやレスリングのプロリーグの設立提案。
 ・Significant funding:資金を提供。支配地の支持率が大アップ。高確率で余分に費用がかかり、若干の確率で汚職も発生。
 ・Limited funding:1チームのみの資金を提供。支配地の支持率アップ。高確率で余分の費用、若干の確率で汚職も発生。
 ・Reject project:提案を却下。

・Prison reforms considered
 国連から刑務所の囚人に対する国際基準を満たすよう要求され、政策が提案された。
 ・Full reform:刑務所フルリフォーム。資金はかかるが国際評価が上昇。
 ・No reform:提案を却下。一定確率で国際社会が怒る。
 ・Limited reform:提案を却下するが、限定的に改善する。若干の費用がかかる。

・Rumours of Insurgent gun smugglers in ○○
 近隣の部族が反政府勢力の武器調達のために働いている。どう対応すべきか?
 ・Launch raid:包囲作戦を実行して武器庫を破壊。近隣部族が敵に回る場合がある。
 ・Dismiss concerns:静観する。部族は引き続き反政府勢力のために働く場合がある。
 ・Pay off:部族と交渉して金銭で解決する。一定確率で汚職が上昇する。

・Update Rules of Engagement for Airstrikes
 民間人にも被害を与えまくる国連軍の空爆の交戦規則には問題がある。規制を要望するか?
 ・Tighten rules:規則を強くする。民間人の被害発生率が38%以上の場合、空爆を取りやめる。
 ・Keep rules unchanged:規則を変更しない。民間人の被害発生率が50%以上の場合、空爆を取りやめる。
 ・Relax rules:むしろ規制緩和。民間人の被害発生率が100%以上でない限り空爆を実行。

・Warlord offers support in ○○
 ○○地区の将軍が「サポート」(袖の下)と引き替えに支援を約束している。
 ・Pay them:賄賂を渡す。資金が必要。低確率で汚職が上がる。
 ・Arrest them:逮捕する。汚職が減って評価が上がるが、約半分の確率で将軍が逃亡する。
 ・Ignore Them:無視する。その地区の支持率が下がり、低確率で少し汚職が上がり、将軍が何かの行動を起こす場合がある。

・Women’s rights laws proposed
 国連から女性の権利に関する国際基準を満たすよう要求され、政策が提案された。
 ・No reform:提案を拒否する。一定確率で国際社会が怒る。
 ・Gradual reform:ゆっくり慎重な改善を実施。都市部の支持率が向上。若干の確率で国際社会が怒る。
 ・Full reform:提案を受け入れて迅速に実施する。国際評価が上がり、都市部の支持が上昇。低確率で保守派からの反発を受ける。また実施後に抗議が起こる場合がある。

=和平交渉=

・Unofficial contact with Insurgent leaders
 反政府軍のリーダーと非公式に接触できる。
 ・Try to talk:話し合いをする。和平交渉のスタート。表示されている確率で断られてしまい、国際評価が大きく下がる。末尾が「No chance of Insurgents refusing talks.」なら会談が断られることはない。
 ・Delay:延期。なにもしない。
 ・Threaten:この機会を利用しテロには屈しない姿勢をアピール。国際評価が上がるが、反政府軍が少し強くなる。

・Peace: Political Participation
 反政府軍は和平後、政治にどのように参加するか?
 ・Insurgents to govern:反政府側に統治権を与える。弱腰であり国際評価は大きく減少。和平交渉は大きく加速。
 ・Insurgents set up party:反政府側が政党を設立。妥協案であり国際評価は減少する。
 ・Insurgents banned:政治に参加させない。国際評価が上がる。反政府側は抵抗する。

・Peace: Future Coalition Presence
 和平後に国連軍はどうすべきか?
 ・All International presence withdrawn:すべてのPKOを拒否。国際評価は大きく減少。和平交渉は大きく加速。
 ・Most International forces withdrawn:ほとんどの国連軍は撤退する。妥協案であり国際評価は減少する。
 ・International forces remain indefinitely:国連軍の無期限駐留。国際評価が上がる。反政府側は抵抗する。

・Peace: Decommissioning
 和平後に反政府軍は武器をどうするか?
 ・Insurgents keep all weapons:反政府軍は武装を維持する。国際評価は大きく減少。和平交渉は大きく加速。
 ・Insurgents hand in heavy weapons:反政府軍は大半の武器を手放す。妥協案であり国際評価は減少する。
 ・Insurgents hand in all weapons:反政府軍を武装放棄させる。国際評価が上がる。反政府側は抵抗する。

・Peace: Victim Reparations
 犠牲者への謝罪をどうするか?
 ・Government apologises:政府が謝罪する。弱腰であり国際評価は大きく減少。和平交渉は大きく加速。
 ・Both sides apologise:両者が謝罪する。妥協案であり国際評価は減少する。
 ・Insurgents apologise:反政府軍が謝罪する。国際評価が上がる。反政府側は抵抗する。

・Peace: Transitional Justice
 反政府勢力に対する恩赦はどうするか?
 ・Full Insurgent amnesty:反政府勢力の罪を問わない。国際評価は大きく減少。和平交渉は大きく加速。
 ・Imprison some Insurgent leaders:何人かのリーダーを投獄する。妥協案であり国際評価は減少する。
 ・Imprison all Insurgent leaders:反政府軍のリーダーは全員投獄。国際評価が上がる。反政府側は抵抗する。

・Peace negotiations complete
 和平協定の発表準備が整った。(和平プロセス99%達成時)
 ・Agree peace deal:和平合意に署名。国家は急速に安定する。反対派の数や反政府軍の支配地域に応じて国際評価が減少する。
 ・Demand concessions:より良い条件のために交渉を再開。国際評価が上がるが反政府軍は抵抗する。
 ・Reject deal:白紙に戻す。交渉は最初から。国際評価は大きく上がるが反政府軍は激怒し、戦力が大きく上がる。

Rebel Inc.

反政府ゲリラとの戦いを繰り広げるPlague Inc.の派生作

大ヒット伝染病シミュレーション『Plague Inc.』作者の次回作は、「対テロ戦争」がテーマのリアルタイムストラテジー。アップデートで日本語に対応【レビュー:Rebel Inc.】_015

・リアルタイム運営ストラテジー
・Ndemic Creations(イギリス)
・240円

文/カムライターオ

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著者
大ヒット伝染病シミュレーション『Plague Inc.』作者の次回作は、「対テロ戦争」がテーマのリアルタイムストラテジー。アップデートで日本語に対応【レビュー:Rebel Inc.】_016
カムライターオ
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
 iPhone アプリのレビューサイトを経て電ファミニコゲーマーのお世話に。 
 シューティングとシミュレーションが特に好き。

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