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生物の環境適応と生存競争を描いた、「進化論」がテーマのデジタル・ボードゲームがスマホとPCに登場【レビュー:Evolution: The Video Game】

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 「生き残るのは、もっとも強い種ではなく、もっとも賢い種でもなく、もっとも変化に適応できた種である」
 by チャールズ・ダーウィン

 「生物の進化と生存競争」という壮大なテーマを扱ったデジタルボードゲームが、iOS/Android、およびSteamで公開されています。
 『Evolution: The Video Game』です。

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 原作となったカードゲーム(Evolution: The Origin of Species)は2010年にロシアのデザイナーが制作し、日本でも『進化:種の起源』という名前で販売されていました。
 ただ、当時はあまり人気ではなかったようです。

 しかし2014年、アメリカのメーカーがアレンジ版『Evolution: The Beginning』を発売。
 このアレンジ版はコンポーネント(コマやボード)が美しく、見た目の良さで人気になり、それに伴ってゲームシステムも再評価されます。
 2017年にはコンパクト化とバランス調整を行った『Evolution 2nd Edition』も発売されました。

 そして今作は、その『2nd Edition』をコンピューターゲーム化したものです。
 グラフィックや演出、サウンドに優れ、ドイツゲーム系のアプリとしてはクオリティはトップクラス。
 通信対戦やフリープレイはもちろん、ひとり用のキャンペーンモードも用意されています。

 場に出されたエサを食べる草食動物と、その草食動物を襲う肉食動物を操って、エサを食べた量を競うゲームで、カードを使って動物にさまざまな特性を付加する「進化」の使い方が鍵となります。

 iOS/Android版は、アプリ本体は無料。
 ただしそのままでは体験版で、フルバージョンにするにはiOS版は1200円、Android版は880円の課金が必要です。
 ただ、無課金の状態でもキャンペーンを9ステージまでプレイでき、EASYのAIしか選べませんが、フリープレイを行うこともできます。
 よって、まずは遊んでみて、それから課金するか考えても良いでしょう。
 Steam版は1520円で、体験版はありません。

 日本語化されていないため、今回はルール説明を中心とした、プレイガイド的なレビューでお届けいたします。
 また文末には、カードの効果の和訳を掲載しています。

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 このアプリは開始前に色々と準備が必要なので、まずその点について説明しておきます。
 ゲーム内容を先に知りたい方は、この項目は読み飛ばしてください。

 アプリを起動すると、ボードゲーム版をプレイしたことがあるかどうか聞かれます。
 本来なら、未プレイの場合は「Teach me the Game!」でルール説明のチュートリアルに進み、プレイ経験があるなら「I know the rules well!」を選ぶのですが……。
 英語のゲームなので、チュートリアルを見てもわかる人は少ないでしょう。

 基本ルールはこのページで説明しますので、ここは「I know the rules well!」を選んでください。
 こちらを選んだ場合でも操作説明のチュートリアルはありますが、短めの内容で、タップやドラッグをする場所を画面で示してくれるので、迷うことはないでしょう。

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 その後、アカウント登録の画面になり、メールアドレスとパスワードを入力するか、Facebookと連携することを促されます。
 ただ、ウィンドウの右下に小さく「Skip」の文字があり、これを押すと登録をせずに進めることができます。

 もし「Skip」の文字がない場合は、Facebook連携のボタンを押して、すぐにキャンセルしてみてください。
 「Skip」の文字を押せない場合は、一旦アプリを最小化してホーム画面に戻り、再びアプリを立ち上げてみてください。

 登録か「Skip」ができたら、ユーザー名を入力。
 このとき、通信できない状態だと入力が受け付けられないので注意してください。
 また、すでに誰かが登録している名前は使えません。

 入力が終われば、ゲームのメインメニューを表示するか、キャンペーンの続行を行うことができます。
 メインメニューで「LOCAL GAME」を選ぶと、対戦相手を自由に選べる「AI GAME」か、ステージクリア型の「CAMPAIGN」を選択できます。

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 さて、ゲーム内容を説明しましょう。
 プレイヤーは2~4人。
 まずはそれぞれのプレイヤーに4枚のカードが配られます。

 このゲームはフェイズ制で、最初は「エサを供給するカードを選択するフェイズ」になります。
 カードには場に供給されるエサの数が書かれており、手札の中から1枚を場に出します。

 エサの供給数は、全員が出したカードの数値の合計となります。
 ただし、この時点では供給されず、どんなカードが出されたのかもわかりません。

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まずはエサにするカードの提出。池の中に手札をドラッグします。
とりあえず、必要ない特性のカードを提出しましょう。

 そして順番に「プレイカードフェイズ」がはじまります。
 自分の番になった人は、手札を使って動物を増やしたり、進化させることができます。

 最初から一種類の動物がセットされていて、そこにはふたつの数字と、3つのカードスロットがあります。
 カードにはエサを多く取れる「Foraging(採餌)」や、エサを無条件でひとつ得られる「Long Neck(長い首)」、肉食動物の攻撃をかわす「Climbing(木登り)」などさまざまなものがあり、スロットにセットすることで、動物にその特性を与えることができます。

 ふたつの数字の左側は個体数(Population)で、これが多いほどたくさんのエサを取れます。
 このゲームはエサを取った数が勝利点になるので、個体数が多いほど得点を得やすくなります。
 ただし十分なエサを確保できなかった場合、足りなかった分だけ餓死してしまうので、増やしすぎには注意しなければなりません。

 右側の青い数字は動物のサイズで、これが大きいほど肉食動物に襲われにくくなります。
 個体数とサイズは、手札を1枚消費することでひとつ増やすことができます。

 動物の左右にある「+」の枠にカードをドラッグすると、新しい種類の動物を生み出すことができます。
 種類を増やせばさらに多くのエサを取れますし、ラウンド開始時に配られるカードの枚数は「3+動物の種類の数」なので、より多くの手札を得ることができます。

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カードは長押しで詳細を確認でき、ドラッグで使用。
特性は3つ、個体数とサイズは6が最大です。
カードを全部使うか、右下にある「END TURN」を押すと、次の人へ。

 全員がカードの使用を終えたら「食事フェイズ」になります。
 まず、エサの供給数の選択フェイズに選ばれた分だけ、中央の水場にエサが補充されます。

 そして自分の番になったプレイヤーは、動物をひとつ水場にドラッグして、エサをムシャムシャ食べさせます。
 これを順番に繰り返し、エサがすべてなくなったら終わり。
 もしすべての動物が満腹になるまでエサを食べられる場合は、「Auto Feed」と表示され自動で食事が進行します。

 最後に「集計フェイズ」
 エサを食べられなかった動物は、その分だけ個体数が減り、0になると「絶滅」します。
 その動物はボードから取り除かれますが、持っていた特性カードの数だけ手札が補充されます。
 そして食べたエサは勝利点となって回収され、次のラウンドになります。

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水辺に入ってお食事中。エサが潤沢にあって、こわい動物もいないうちは、みんな仲良しフレンズなのですが……。
なお、エサが多いと周囲の風景も緑でいっぱいになります。

 基本は以上ですが、重要なのが「肉食動物」の存在。
 プレイカードフェイズに「Carnivore(肉食動物)」のカードをセットすると、その動物は凶悪な顔つきの肉食獣に変身。
 以後、水場からエサを得られなくなる代わりに、食事フェイズに他の動物を襲えるようになります。
 ただし襲うには、相手よりもサイズが大きくなければなりません。

 襲撃が行われると、襲われた動物の個体数がひとつ減り、襲った動物は相手のサイズ分の食料を得られます。
 これは他のプレイヤーへの直接攻撃であり、肉食動物を持つ人が現れたら、防御手段を用意しないと蹂躙されることになります。

 ただ、防御手段は豊富に用意されています。
 相手よりサイズを大きくしても良いし、「Climbing(木登り)」や「Hard Shell(甲羅)」の特性で身を守ることもできます。
 カードの組合わせで守るのも有効で、隣の仲間を守る「Warning Call(警告の鳴き声)」を持つ動物が、満腹だと巣に引き籠もる「Burrowing(巣穴)」を持っていて、さらに食事フェイズにすぐエサを得られる「Long Neck(長い首)」も持っていると、もう鉄壁です。

 もちろん肉食動物も攻撃用の特性を持つことができ、警告の鳴き声を無効にする「Ambush(奇襲攻撃)」や、個体数をサイズに追加できる「Pack Hunting(集団での狩り)」といったものを利用できます。
 ただ、肉食動物は相手が守りを固めていて襲える動物がいなくなると、もう餓死するしかありません。
 準備に多くのカードが必要になるため、絶滅するとダメージも大きく、扱いは難しめです。

 しかしゲームが進み、動物の数が増えてくると、エサが不足してくるため、草食動物も餓死する危険があります。
 肉食動物は場のエサの数に左右されないため、特に終盤で強さを発揮します。

 また、エサの補充数はプレイヤーが出したカードで決まりますが、肉食動物をメインにする人や、上位の足を引っ張りたい人、特技によるエサの確保が可能な人は、場のエサを減らそうとするでしょう。
 そうした駆け引きにより、エサが全然供給されないこともあるため、肉食動物の方が有利になるケースもあります。

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野生の王国は弱肉強食! 「食べないでくださーい」とか言っても無駄!
ただ、肉食動物も狩れる相手がいなくなると、あっさり滅んでしまいます。場合によってはエサにする動物を自分で配置する必要も……。
各プレイヤーがどんな特性カードをセットしたかは「プレイカードフェイズ」が終わるまで明かされませんが、サイズを増やしはじめた人がいたら肉食動物にした可能性があるので、警戒した方が良いでしょう。
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襲ってきた肉食動物にもダメージを与える「Horns(角)」の特性は、唯一の反撃カード。
わざと襲われる状態の動物に角を付けておくと、他に襲える動物がいない場合、肉食動物は嫌でもそれを襲うしかなくなって被害を受けることに。
襲撃後にエサを得られる「Scavenger(死肉漁り)」の特性があれば、なお良し。

 ゲームはデッキ(山札)のカードが尽きたラウンドで終了。
 展開によって最終ラウンドは変わりますが、だいたい7ラウンド前後で終わります。
 最後のラウンドに必要なカードは捨て札がシャッフルされて配られるので、「最後は得られるカードが少ない」ということはありません。

 ゲームが終わると、動物にセットしている特性がひとつ1点となり、さらに動物の個体数の合計も得点になります。
 これらをエサを食べて稼いだ勝利点に加えて、もっとも多かった人が勝利となります。

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結果発表画面。白は特性、茶色は個体数、赤は肉食、緑は草食による得点。
デッキの残り枚数は長押しで確認可能。
プレイヤーが3~4人だと129枚ですが、ふたりだと約半分の69枚が使われます。
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キャンペーンモードのステージマップ。
AIの種類は課金するだけでは増えず、キャンペーンを進めなければなりません。
ステージごとに、食料が少ないとか、強いAIと1対1とか、異なる戦いが待ち受けています。

 エサの数の駆け引き、他プレイヤーの行動を見てのカード選択、特性の組合わせ、草食と肉食のどちらをメインにするかなど、さまざまな戦略要素のあるゲームで、テーマも壮大かつ知性的。
 それでいてスッキリまとまっており、アメリカのボードゲームにありがちな繁雑さはありません。

 なによりステージクリア型のキャンペーンモードがあり、目標を持って楽しめるのが良いですね。
 AIも草食型や肉食型など、性格の異なる六種類が用意されていて、それぞれにイージーからエキスパートまでの4段階の強さがあり、ハード以上は十分な強さです。

 1000円近くするため、ドイツゲーム系のアプリとしては高めですが、それに見合った内容だと思います。
 無課金でも相応のボリュームがあるので、まずは試してみるのがおすすめ。
 ボードゲームフリークなら必携の作品でしょう。


【 ちょこっと攻略 】

 以下にカードの効果の和訳を掲載しておくので、プレイされる方は参考にしてください。

 なお、以下の解説は『Evolution: The Video Game』、及び『Evolution 2nd Edition』のものです。
 他のバージョンとは一部異なります。

=エサ系カード=

Cooperation:協力
 エサを得ると、右隣の動物もエサをひとつ得られる。
 草食/肉食を問わないが、草のエサは肉食動物は得られない。
 長い首や死肉漁りなど、特技によってエサを得た際にも発動する。
 また、協力でエサを得た動物が協力を持っている場合、さらにその右隣もエサを得られる。
 水辺からエサを取る場合、隣に与えられるエサも水辺から取る。
 もしそれが足りない場合は、隣の動物には与えられない。

Fat Tissue:脂肪
 サイズの分だけ、エサを余分に保持できる。
 保持したエサは、食事フェイズの開始時に、食べたエサに変換される。
 この変換では協力や採餌などの効果は発動しない。
 脂肪分のエサは最終ターン以外、スコアには加算されない。
 肉食動物の場合、個体数ぶんのエサをすでに得ているなら、脂肪が空でも襲撃を中断することができる。
 肉食動物の襲撃を受けて絶滅した場合、脂肪分のエサはスコアに加算される。

Foraging:採餌
 自力で草食のエサを得るときに、ひとつ余分に取ることができる。
 長い首や知性でエサを得た際にも発動する。
 ただし水辺からエサを取る場合、そこにふたつ以上のエサがない時は発動しない。
 肉食動物だと効果なし。

Long Neck:長い首
 食事フェイズの開始前、草食のエサをストック(水辺ではない)からひとつ得る。
 肉食動物だと効果なし。

Scavenger:死肉漁り
 肉食動物の襲撃発生後、エサをひとつ得る。
 どの動物が襲われても、ボード上のScavengerを持つすべての動物がエサを得られる。
 襲った動物、襲われた動物も含まれる。

=肉食動物カード=

Carnivore:肉食動物
 このカードをセットした動物は肉食動物となる。
 水辺からエサを得られなくなるが、自分よりサイズの小さな動物を襲撃して、相手のサイズ分の食料を得られる。
 満腹でなく(個体数ぶんのエサを得ていない)、襲える動物がいる場合、必ず襲撃を行わなければならない。
 他の肉食動物や、自プレイヤーが持つ他の動物も襲うことができる。
 襲撃された動物は個体数がひとつ減る。
 襲われた動物が満腹の場合、すでに食べていた分のエサは(襲われた人の)スコアに加算される。
 上書きで消した場合は草食動物に戻る。

Ambush:奇襲攻撃
 襲撃時、Warning Call(警告の鳴き声)の効果を無視できる。
 草食動物だと効果なし。

Pack Hunting:集団での狩り
 襲撃時、サイズが「個体数+サイズ」で判定される。
 草食動物だと効果なし。

=防御カード=

Burrowing:巣穴
 満腹の状態なら肉食動物に襲われない。

Climbing:木登り
 この特技を持つ動物は肉食動物に襲われない。
 ただし肉食動物がこの特技を持っている場合は無効化される。

Defensive Herding:群による防衛
 自身より個体数が同数以下の肉食動物には襲われない。

Hard Shell:甲羅
 肉食動物の襲撃に対する防御時、この動物はサイズ+4の扱いとなる。
 襲われるかどうかの判定のみに関係し、襲われた後の食料の量には関係しない。

Horns:角
 肉食動物に襲われた際、相手の個体数にも1のダメージを与える。
 常に「相打ち」であり、相手の個体数が1で、反撃で倒しても、自身もダメージは受ける。

Symbiosis:共生
 右にいる動物が自身より大きいサイズの場合、肉食動物から襲われない。
 共生関係にある動物は相互に襲えない。

Warning Call:警告の鳴き声
 両隣の動物は肉食動物の襲撃を受けない。ただし自身には効果がない。
 相手がAmbush(奇襲攻撃)を持っている場合も効果がない。

=その他のカード=

Fertile:繁殖力
 食事フェイズの開始時(エサの補充前)、水辺にエサが残っているなら個体数がひとつ増える。
 判定は水辺のエサだが、肉食動物にも効果がある。

Intelligence:知性
 草食動物の場合、食事フェイズに手札を捨てることで、1枚あたり草食のエサをふたつ得られる。
 肉食動物の場合、襲撃時に手札を1枚捨てることで、相手プレイヤーの特性を一種類、無効化できる。
 どちらも活用するには、プレイカードフェイズに手札を残しておく必要がある。

Evolution: The Video Game

「進化論」がテーマの弱肉強食サバイバルボードゲーム

生物の環境適応と生存競争を描いた、「進化論」がテーマのデジタル・ボードゲームがスマホとPCに登場【レビュー:Evolution: The Video Game】_013
(画像はEvolution: The Video Game – AppStoreより)

・ドイツゲーム / デジタルボードゲーム
・North Star Games(アメリカ)
・本体無料、フルバージョン化はiOS1200円、Android880円
・Steamは無料版なしで1520円

文/カムライターオ

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著者
生物の環境適応と生存競争を描いた、「進化論」がテーマのデジタル・ボードゲームがスマホとPCに登場【レビュー:Evolution: The Video Game】_014
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。

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