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話題沸騰の『ドラゴンクエスト』の位置情報ゲーム。その内容とは?【レビュー:ドラゴンクエストウォーク】

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 世界的なムーブメントを巻き起こした『ポケモンGO』に続かんとする位置情報ゲーム
 おなじみのスクエニが、位置ゲーの分野ではナイアンティックよりも老舗のコロプラとタッグを組んで送り出す、国民的RPG『ドラゴンクエスト』をテーマにしたスマホアプリがいよいよ始動しました。
 『ドラゴンクエストウォーク』です。

 巷では「ドラクエGO」とか言われていましたが、内容はポケモンGOとはかなり異なります。
 「目的地を目指して移動する」という点は位置ゲーとしては珍しくありませんが、目的地を自分で決められるのが特徴。

 どんなにド田舎でも「目的地の候補が近くにない」という問題は起こらず、『ポケモンGO』『イングレス』で見られた地域格差はありません。
 地図を塗りつぶしていた『テクテクテクテク』ほど独創的ではありませんが、ちゃんと田舎者にも人権がある位置ゲーです。

 また、移動中や目的地到着時にバトルが発生しますが、これがしっかり”ドラクエ”しています。
 位置ゲーでスマホゲーだから簡易的になっている、なんてことはなく、ちゃんとドラクエらしいターン制のコマンドバトルが繰り広げられ、先に進むためにはレベル上げも必要。

 この点については賛否あり、「経験値稼ぎがめんどくさい」、「位置ゲーとしてはバトルが長くて複雑」といった意見もあるのですが、しかしドラクエらしさを維持しているのは長所でもあるでしょう。

 もちろん、ずっと道ばたで画面をポチポチ押しながら、バトルを続けなければならないわけではありません。
 「WALKモード」と呼ばれる自動進行モードがあり、歩いているだけでバトルと回復を繰り返してくれるようになっています。
 つまり、歩きスマホ対策も備わっています。

 ソーシャルゲームですから、アプリ本体は無料ですが、課金やガチャがあります。
 装備は主にガチャで手に入れる必要があり、「“星のドラゴンクエスト”の位置ゲー版」と言われたりするほどガチャ依存のゲームで、この点も課金圧力が低かった他の位置情報ゲームとは異なります。

 ゲームとして”健全”かどうかは疑問ですが、ただ収益の手段がしっかり考えられていて、その点が不十分で短命に終わってしまったテクテクテクテクのようなことにはならなさそうです。
 一応、ゲームの進行でも課金通貨やガチャチケットは結構もらえるので、無課金でも相応にガチャは可能です。

 今作は位置情報ゲームには珍しくメインストーリーがあり、目的地に到着することで進行します。
 「クエスト」のボタンを押すと周辺の地図が表示され、そこに10ヶ所ほどの候補地が出現。
 150m~400mほど離れた場所が選ばれており、お店や公園が多いですが、それらがなくても単なる道ばたが候補地になっていたりします。歩いて10分~20分ほどの距離。
 イングレスやポケモンGOのように「田舎だと荒野しかなかった」みたいなことはありません。

 移動中、プレイヤーの周囲にはモンスターが現れ、タップすると戦闘になります。
 通常、向こうから襲いかかってくることはありませんが、自動進行の「WALKモード」にしている場合、モンスターの方から襲いかかってきて、戦闘はオートで行われます。

 バトルで減ったHPやMPは戦闘後もそのままですが、道に沿って点々と「回復の壷」が置かれていて、これを取ることで回復できます。
 WALKモードの場合、この壷の回収も自動で行われます。
 前述した通り、WALKモードなら画面を頻繁に確認する必要はありません。

 ただし、移動速度が30km/hを超えていると、敵が現れず、壷も回収しなくなります。
 車だと信号停車中や渋滞中に戦ってくれますが、走行中は反応せず、電車だと駅しかダメ。
 よって車やバス、電車での移動中は、WALKモードでもあまり経験値は稼げません。
 徒歩や自転車での移動がもっとも効率的になるように作られています。

 目的地に着いたら会話によってストーリーが進行しますが、手強いボスや連続バトルが待ち受けていることも。
 ボスに勝てないときはレベル上げや装備の強化が必要です。
 ただ、負けても特にデメリットはありません。HPが1になりますが、王様に怒られたりお金が半分になったりすることはなく、壷や道具で回復すれば良いだけです。

 なお、目的地は任意に設定することも可能で、遠く離れた場所を目的地にすることもできます。
 ただし任意の目的地設定(どこでも目的地)を無条件で行えるのは1日1回で、それ以上は「導きのつばさ」というアイテムが必要。

 今のところ、導きのつばさは課金で買うことはできず、戦闘や歩数で溜まっていく「マイレージ」というポイントでの引き替えでないと手に入りません。
 ただ、マイレージはガチャチケットと交換することもできるので……。
 要するに、任意の目的地設定には制限があります。

 「意地でも”歩いて”欲しい」、「このゲームで散歩して欲しい」というのが伝わって来ますが、私的には窮屈に思えるのも本音です。

 戦闘はドラクエらしいコマンド選択型。
 オートにすることも可能で、その時は「ガンガンいこうぜ」や「いのちだいじに」などの「さくせん」に沿った行動を行います。

 使えるコマンドはキャラクターの職業とレベルに応じていますが、さらに装備にも影響されます。
 「はがねのつるぎ」なら「かえん斬り」、「はがねのブーメラン」なら「かまいたち」といったスキルが備わっていて、装備することで使用可能に。
 高レアリティの装備は強化することで複数の強力な技を使えるようになるので、大きく戦力が上がります。

 ただ、強力な武器を得るには言うまでもなく……ガチャが必要。
 装備依存の技や魔法が多いうえに、鎧、兜、盾、具足といった防具もガチャが主な入手源なので、それに左右されるゲームであることは否めません。

 しかしドラクエらしい「転職」を利用した育成も用意されています。
 ある程度ゲームが進むとキャラクターはいつでも職業を変更可能。
 転職してもステータスやスキルを引き継ぐことはできないのですが、Lv20とLv50で「永続スキル」を修得でき、これは転職後も残ります。
 それほど強くはないのですが……転職を繰り返して永続スキルを集めることも可能。

 また、ガチャで「戦士用装備ばかり出た」といった偏りが生じても、それに合わせてパーティー構成を変えられます。
 まだ職業は多くなく、戦士・武闘家・僧侶・魔法使い・盗賊の5つですが、盗賊は転職しないと使えません。
 以前の職業のレベルは保持され、いつでも戻れるため、転職は気軽に行えます。

 敵はなかなか手強く、2章の後半、レベル15辺りから、特にボスは一筋縄ではいかなくなります。
 しかしだからこそ、育成やスキルの使い方で攻略していく楽しさがあり、そこはドラクエらしいところ。
 戦闘後にたまに手に入る「モンスターのこころ」という装備もステータスに大きく影響し、収集要素にもなっています。

 『ドラクエ』は『ファイナルファンタジー』や『ポケモン』と違い、海外では人気がないため、『ポケモンGO』のような世界的なアプリにはならないと思いますが、国内での知名度は圧倒的。
 ポケモンGOの継続プレイヤーには高齢者も多いためか、今作はバトルのBGMが『ドラクエIII』、城のBGMが『ドラクエI』、夜間の曲もアレフガルドのテーマで、昔のドラクエプレイヤーを対象にした演出が見られます。

 ドラクエの方が幅広い世代に人気ですから、日本の位置情報ゲームのシェアを奪うことになるかもしれません。
 少なくとも日本での売上げはこちらの方が上がりそう。……ガチャゲーなので。

 ボス戦がオリジナルのドラクエのボス戦と同じぐらいの長さがあり、それは外でプレイする位置ゲーとしてどうなのかというところもありますが、目的地に到着してすぐ戦闘になるわけではなく、任意のタイミングで始められ、ボスの出るクエストは事前にわかるので、対応は可能です。

 ストーリーに関しては、序盤(1章~2章)をプレイした限りでは、面白味に欠けます。
 「女神様に選ばれて冒険が始まりました」というだけで掴みが弱く、その後もお使いクエストの繰り返しで、ストーリーの先を見たくてゲームを続けるといった類いのものではありません。
 「物語のある位置ゲー」というのは今作の特徴なので、中盤から盛り上がっていくことを期待したいですね。

 制限があるとはいえ、目的地を自由に設定できるので、家と学校や職場の往復でもクエストは進められます。
 そして移動中にWALKモードで自動的に経験値稼ぎができるので、ちょっと変わった放置系ゲームとしても楽しめます。

 お散歩しても良いし、日常の移動でノンビリ進めても良い。それでいてバトルはしっかり本格派というのは、ドラクエの位置ゲーとしては理想なのではないかと思います。

ドラゴンクエストウォーク

「ドラゴンクエスト」の派生作となる位置情報ゲーム

話題沸騰の『ドラゴンクエスト』の位置情報ゲーム。その内容とは?【レビュー:ドラゴンクエストウォーク】_013
(画像はドラゴンクエストウォーク – AppStoreより)

・位置情報ゲーム+RPG
・スクウェア・エニックス、コロプラ(日本)
・本体無料、課金・ガチャあり

文/カムライターオ

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著者
話題沸騰の『ドラゴンクエスト』の位置情報ゲーム。その内容とは?【レビュー:ドラゴンクエストウォーク】_014
『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。

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