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誕生10周年にしてアプリが消滅して5年、またスマホに帰って来たブラックでポップなデスゲーム『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 Anniversary Edition』レビュー

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 超高校級の特技を持つ個性的な生徒たちが、絶望的なコロシアイと犯人捜しの学級裁判を行う学園生活デスゲーム『ダンガンロンパ』
 アニメや小説、舞台にまでなった10周年を迎えるこの人気作が、装いも新たにiOS/Androidに再登場しています。
 『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 Anniversary Edition』です。

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 PSPで2010年に発売され、2012年にはiOS/Android版も公開された作品。
 初期のスマホ版は操作性やインターフェイス、安定性に難があり、完璧な移植とは言えませんでしたが、魅力のあるゲーム内容はそのままで、かなりの話題作になりました。
 しかし2015年にiPhone版が新OSで動作しなくなり、Android版も含めて非公開になっています。

 今回公開されたAnniversary Editionはその初期版とは異なり、PS Vitaの『ダンガンロンパ1・2 Reload』に同梱されていたもの、及び近年発売されたPS4/Steam版がベースのようです。

 本編の内容は同じですが、高画質化され、クリア後のおまけモード「スクールモード」が追加
 さらにギャラリーにはグッズや広告で使われていたイラストが多数加えられ、タッチパネルに合わせてインターフェイスも改修、スキルの効果も一部変更されています。

 価格はiOS/Android版、共に1960円。最初から全章買い切り。

 ただし旧機種や低スペック機では不具合が出やすいようで、「落ちる」「一部が表示されなくなる」といったコメントが少なくありません。
 当方でiPad Pro(2017)で試した限りでは、最後までほぼ問題なく遊べましたが、長時間のプレイ時に表示の一部が欠ける症状が起きたのは確認しました。
 メモリ不足に起因していると思われるので、問題が起こっている人は「本体の再起動」を行ってみてください。

※アプリの再起動ではありません。デバイスの再起動です。
iOS機器の場合、スリープ(電源)ボタンを長押しするか(iPhone8以前)、スリープボタンと音量調整ボタンを両方長押しして(iPhone X以降)、表示される「電源オフ」のスイッチをスライドして下さい。電源が切れた後、スリープボタンを長押しすれば再起動されます。
強制再起動はデータ破損を伴う場合があるので、フリーズ時以外は推奨しません。
なお、オートセーブが搭載されているため、もし落ちても直前から復帰できます。

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 学園に閉じ込められた15人の生徒達が、かわいくも不気味な「モノクマ」と呼ばれる謎のマスコットから、以下のルールのデスゲームを強要されます。

 ・外に出るには「殺人」を犯さなければならない。
 ・死体が発見されると一定時間後に「学級裁判」が起こる。
 ・学級裁判で犯人が正しく指摘されると、犯人が「おしおき」される。
 ・学級裁判で犯人が指摘されなかった場合、犯人以外の全員が「おしおき」され、犯人は「卒業」となる。

 おしおきは「処刑」です。
 ユニークだけど残酷、ポップだけどダークな処刑ムービーが流れ、対象者は死亡。
 デスゲームのご多分に漏れず、徐々に参加者が減っていくサバイバルな展開となります。

 こう言うと重苦しい内容に思えますが、登場人物は「超高校級」の才能と個性を持つ、奇想天外なやつばかり。
 笑える会話とリアクションが連発されるので、全体の雰囲気は不穏ながらも、むしろ喜劇的。
 悪役のモノクマも大山のぶ代さんが演じており、以前の「ドラえもん」のまんまの声なので、パロディー感が強いです。

 ひとつの章は、まず捜索と交流のシーンがあり、その後に殺人事件が発生、捜査のシーンを経て、学級裁判へと向かいます。
 その流れは『逆転裁判』に似ていますが、学園内は3Dグラフィックで表現されており、自由に歩き回ることが可能。
 学級裁判にもアクション性のあるミニゲームが盛り込まれており、差別化が図られています。

 初期のスマホ版は移動シーンの操作に問題がありましたが、今作は完璧。
 刷新されたインターフェイスにより快適な移動を行え、手軽にマップを確認でき、好きな場所に瞬間移動できる機能もあって、人やイベントの位置もチェックできます。
 他の生徒との交流や事件の捜査はサクサク行えるでしょう。

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学園内は3Dグラフィック。ボタンひとつでマップを出せるので迷子にはなりません。
また、電子生徒手帳(メニュー)で表示するマップを通して他の場所にワープできます。
人やイベントの位置も生徒手帳のマップで確認します。
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部屋の捜索シーン。観察ボタンを押せば反応する場所を示してくれるので、やみくもにタップする必要はありません。
室内も3Dで描かれており、少し視点を動かせます。
部屋に入ったときには構成パーツが落ちてきて、徐々に組み立てられていく演出が。
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これが生徒に死の推理ゲームを強要する悪役「モノクマ」。
ドラえもんを降板した大山のぶ代さんが5年間の休養を経て、復帰最初に演じたのがこともあろうかコレ。
ドラえもんを彷彿とさせるセリフが多数出てきます。

 学級裁判は「ノンストップ議論」というシーンで、他の発言者の矛盾を突くのがメインとなります。
 『逆転裁判』と同じく、問題がある発言に証拠を突き付けて「論破」するのですが、「ノンストップ」というぐらいですから会話は自動で進行
 ニコニコ動画のようにセリフは横からどんどん流れてきます。

 自身の発言は「弾丸」になっており、目標の発言にタップで撃ち出すのですが、外れてしまうとやり直し。
 しかもゲームが進むと「ノイズ」と呼ばれる邪魔な雑談が出てきて、避けるか指で払うかしなければなりません。
 もちろん突き付けた証拠が間違いでもペナルティを受けます。

 アクション性があることには賛否ありますが、多人数での討論であり、各人が自由に発言している様子が表現されていて、独自の雰囲気と面白さがあります。
 メニューボタンを押せば討論中でも一時停止して証拠の確認と熟考ができるので、焦ってプレイする必要はありません。

 ただ、途中に入ってくるミニゲームについては批判も目立ちます。
 「閃きアナグラム」、「マシンガントークバトル」、「クライマックス推理」の三つがあるのですが、問題なのがマシンガントーク。

 音ゲーのようにリズムに合わせて画面をタップし、相手の発言をターゲット、その後に爆破ボタンで破壊するのですが、リズムとBGMが微妙に合ってなくてテンポを取りづらい。
 にも関わらず途中でテンポが頻繁に変わる。
 おまけにプレイ方法がわかり辛いので初見は意味不明なままミスりまくる。
 初期のスマホ版のときから妙に難しかったのですが、改修版になっても相変わらずです。(PSPでは難しくない)

 勘違いしやすいのですが、このシーンだけはセリフを直接タップする必要はありません。
 画面のどこをタップしてもターゲットできるので、リズムゲージだけに集中して下さい。
 あとは「二回タップ→爆破ボタン」をリズムに合わせて繰り返していればクリアできるはずですが…… それでも音ゲーにあるまじきリズムの取りづらさなので、慣れは必要です。

 ただ、ミニゲームで失敗したり、発言を間違ってライフが尽きても、少し前からリトライ可能なので、繰り返していればいずれはクリアできるでしょう。
 よくわからないミニゲームでミスりまくっていると気分が悪くなりますが。

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「ノンストップ議論」のシーン。発言を選ぶだけでなく、それを撃ち出して目標のセリフに当てなければなりません。
わからないときは電子生徒手帳を開いて、弾丸(証拠)の解説をじっくり読みながら考えましょう。
1対1ではなく討論形式、しかも参加者の中に犯人がいるため、裁判というより人狼系の雰囲気です。
なお、ゲーム開始時に難易度を選べますが、「シンセツ」や「ユルヤカ」にすると選択肢やノイズが減ったり、ヒントが詳しくなったりします。
ただ、最高難度の「イジワル」にしてもそこまで難しくはなく、イジワルが本来の難易度のようです。また、捜査シーンに難易度は無関係です。
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「閃きアナグラム」と「クライマックス推理」。
閃きアナグラムは飛んでくる文字を撃ち落としてキーワードをそろえるのですが、1発では落ちません。連打して下さい。
わからなくても文字から連想することができるはず。
クライマックス推理は事件の真相が描かれたデジタルコミックを完成させていくもので、どういうことだったのか解りやすく知ることができる、盛り上がるシーン。
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これが大問題の「マシンガントークバトル」。言い争いになったときに発生。
普通の音ゲーのように曲に合わせようとするとダメなので、集中して目押しするしかありません。
ゲーム後半になると最後に選択肢が出てきますが、制限時間が短く、どんな選択があるのか眺めているだけでタイムアウトになってしまい、相手が回復してしまうという非道っぷり。
あわてるとリズムを取れなくなるので、落ち着いてプレイしましょう。

 Anniversary Editionの特徴のひとつは、クリア後に「スクールモード」を遊べること。
 『ダンガンロンパ1・2 Reload』以降に加えられたもので、正式名は「とっきめき だんがんハイスクール ~叶えて、虹色のPure Heart~」。

 メンバーのスケジュールを組んで素材を集め、指示される制作品を作るミニ開発シミュレーションで、レベルアップによる成長もあり、ちゃんとゲームとして楽しめるものになっています。
 また、このモードでは登場人物と親交を深められる「自由時間」が連日用意されています。

 親交を重ねることで「シンミツイベント」が発生し、学級裁判で利用できる「スキル」も獲得できるのですが、本編だと自由時間が少ないうえにメンバーがどんどん減り、イベントが進まないタイミングもあって、ほとんど親密にはなれませんでした。
 スクールモードではそのイベントを一気に進められ、各キャラの人となりをより詳しく知ることができます。スキルはクリア後に増えてもあまり意味ありませんが。
 一緒にお出かけして、親密度とは別の好感度を高めていく要素もあり。

 また、今回のスマホ版はギャラリーが拡張されており、シンミツイベントのギャラリー化、設定資料やラフ画の追加、店舗特典イラストなどが加えられています。
 ただしネタバレな画像も多いため、その多くはクリア後でないと利用できません。

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おまけモードはまさかのシミュレーション。ドットキャラがかわいい。
採集効率を上げる「ツール」が後半必須なので、お題をこなしながらツール作成に必要な材料も集めましょう。
実は全キャラのシンミツイベントを進め、「通信簿」の各キャラの名前に星マークを付けないとクリアにならないので、1周目はそれを目標にしましょう。一緒にお出かけして好感度を高めるのはそれから。
キャラ別のクリアイベントを見るには周回が必須です。キャラのステータスは次の周に引き継げます。
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やり込み要素に近かった「スキル」もスクールモードなら一気にそろいます。
十神君の3つ目のシンミツイベントで得られる「羨望の発言力」はライフが最大になるため、本編で得ておくと攻略がラクになります。
黄金銃やコーヒー、オーパーツをプレゼントしてみましょう。
スマホ版はタッチパネルであるため、カーソルがなくなっています。そのためカーソルの速度を変えたり、ブレを抑えるスキルは、別の効果に変更されています。
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気付きにくいのですが、EXTRAのメニューは上下にスクロールします。
親密ギャラリーや特典ギャラリーは下部にあり、スクロールさせないと出てこないので注意。
ちなみに「ゼロ」はゲームではなく小説(ダンガンロンパ/ゼロ)です。

 ポップでブラックな独特の世界観、二転三転する事件と推理、伏線も各所に散りばめられている、ミステリーとして大変面白いアドベンチャーゲーム。
 まだプレイ経験のない方には強く勧めたい作品で、すでにプレイ済みの方も初期版しかやったことがないのなら、スクールモードでさらに側面を楽しめるのでお勧めです。
 私もストーリーをかなり忘れていたので、改めて楽しむことができました。

 シリーズの最初の作品であり、今後出るであろう続編のことを考えても、遊んでおきたいゲームでしょう。

ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 Anniversary Edition

殺人と学級裁判のデスゲーム『ダンガンロンパ』の改修版

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(画像はダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 Anniversary Edition – AppStoreより)

・アドベンチャー
・スパイク・チュンソフト(日本)
・iOS/Android版1960円

文/カムライターオ

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著者
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『Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。

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