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『グランド・セフト・オート』シリーズが24周年を迎える。犯罪的なミッションに挑む見下ろし型のドライブゲームから、オープンワールドの代表的な作品へと進化してきた

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 2022年5月1日(日)、『グランド・セフト・オート』シリーズが24周年を迎える。 

 シリーズの始まりは1998年5月1日に発売された『グランド・セフト・オート』(英名 Grand Theft Auto)。紹介文にて「何十種類ものマシンに乗って、アメリカで最も過酷な3つの街を駆け抜けろ!」とされているように、見下ろし型のドライブゲームとしての趣が強い。

 ただし、ゲームの内容はストリートギャングが犯罪的なミッションを遂行していくといった暴力的なもので、拳銃や火炎放射器、ロケットランチャーといった豊富な武器が登場。ゲーム内のステージは「リバティーシティ」「サンアンドレアス」「バイスシティ」で構成されているなど、のちのシリーズ作品の根幹となる部分が見られる。
 
 その後、拡張パックとして「グランド・セフト・オート・ロンドン1969」「グランド・セフト・オート・ロンドン1961」が展開。1960年代後半の実際のロンドンの都市を舞台とし、当時の欧州車が登場した。

グランド・セフト・オート

 第2作となるのは、1999年10月27日に発売された『グランド・セフト・オート 2』。前作に引き続き見下ろし視点で3つのステージが用意され、グラフィックなどの面で向上が見られた。

 プレイヤーは、7つのギャングが熾烈な権力争いを繰り広げる中で犯罪的な仕事をこなし、自らの名を上げていく。各ギャングに信頼度が用意されており、敵対しているギャングのテリトリーでは激しい攻撃にさらされる場合もある。

グランド・セフト・オート 2

 2001年10月22日には、日本でもその名を大きくとどろかすことになった『グランド・セフト・オートIII』がリリース。従来の見下ろし視点から三人称視点へと変化し、高い没入感を実現した。

 プレイヤーは銀行強盗の最中に仲間に裏切られてしまった主人公「クロード」となり、復讐のためにさまざまな組織のもとで悪事をこなしていく。本編のミッションのほかに、タクシーの運転手になって客を目的地まで送り届ける、救急車で患者を拾って時間内に搬送する、などのサブミッションで資金を稼ぐことができた。

 舞台となる「リバティーシティ」全体をオープンワールドで表現しており、プレイヤーは街の中を自由に行動可能。『グランド・セフト・オート』の名を一躍とどろかせると同時に、その暴力描写や犯罪思想が問題視された面も持ち、神奈川県では県の青少年保護育成条例に基づき、有害図書に指定された事例もある。

グランド・セフト・オートIII

 続いて2002年10月27日に発売されたのが、『グランド・セフト・オート バイスシティ』だ。タイトルの通り、舞台となるのはフロリダ州のマイアミをモデルにしたと言われる「バイスシティ」。プレイヤーは刑期を終えて出所してきたマフィアのひとり「トミー・ベルセッティ」となり、誘惑と堕落にあふれた街で成り上がっていく。

 基本的なゲームプレイは『グランド・セフト・オートIII』に近いものだが、新たに「洋服店」にて着替えることが可能に。警察からの指名手配度を下げる効果があり、またミッションの中には服装の変更が求められるものもある。くわえて、乗り物の面でもバイクやヘリコプターが自ら操作できるようになり、街中で乗り回す楽しみも増えた。

グランド・セフト・オート バイスシティ

 約2年の時を経た、2004年10月26日には『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』。本作の舞台となるサンアンドレアスは、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスといった3つの都市を合わせたような州となっている。

 主人公は元ギャングの「カール・ジョンソン」(通称はCJ)。本作の特徴はプレイヤーの能力や外見に関する自由度の高さにある。前作で実装された服装の変更はよりバリエーションが豊富になり、床屋で髪型を変更したり、体にタトゥーを彫ることも可能になった。また、食事や運動の頻度によってCJの能力や体格も変わっていく

 乗り物にも自転車やキッズカート、タンクローリー、ブルドーザー、戦闘機などユニークなものが多数登場。特定の改造ショップでは色やパーツを改造でき、車両の性能にも変化をくわえることが可能だ。

 武器、乗り物ともにスキルシステムが採用され、プレイを積み重ねていくうちに操作性や命中精度などが向上していく。一部の武器については、シリーズ初の両手に銃を持つ「二丁持ち」も行えるようになった。

グランド・セフト・オート サンアンドレアス

 2005年10月25日、『グランド・セフト・オートIII』に直接つながる作品である『グランド・セフト・オート リバティーシティ ストーリーズ』が発売。海外でのみ発売となった『グランド・セフト・オート アドバンス』に登場した「トニー・シプリアーニ」が主人公となっている。

 その設定ゆえに『グランド・セフト・オートIII』と共通するロケーションが多数登場。時系列順では本作の方が過去になることから、一部の橋や地下トンネルが建設中であるなど、時間を感じさせる演出が用いられた。そのほか、車のデザインが変更されていたり、バイクに乗れるようになっていたりと、細かな変更も行われている。

グランド・セフト・オート リバティーシティ ストーリーズ

 続いて、2006年10月31日に『グランド・セフト・オート バイスシティ ストーリーズ』が発売された。『グランド・セフト・オート バイスシティ』に登場した主要キャラクターのひとり「ランス・ヴァンス」の兄である「ヴィクター・ヴァンス」が主人公となる。

 ほかのギャングが所有する物件を襲撃して奪い取り、事業を乗っ取って行う「物件経営」ミッションを採用。自分の物件に投資し、敵対ギャングから守りつつ、ミッションをこなして活動資金を稼いでいく。

 乗り物の面ではシリーズで初めてジェットスキーが登場し、水陸両用の車両や消化用ヘリ、ドクターヘリなどが新たに追加されている。アクション面は水泳が可能であったり、格闘システムも複雑なアクションが行えたりと、『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』からの影響が大きい。

グランド・セフト・オート バイスシティ ストーリーズ

 そして2008年4月28日、『グランド・セフト・オート IV』がリリース。『グランド・セフト・オートIII』を主軸とするシリーズからは独立しており、舞台となるのは一新された「リバティーシティー」。4つの地域に分割され、これまでのシリーズ作品以上にモデルとなったニューヨーク市を忠実に再現した街並みとなっている。

 プレイヤーはアメリカンドリームを求めてリバティーシティーを訪れた「ニコ・ベリック」となり、裏社会に引きずり込まれながらチャンスを求めてさまざまなミッションに挑んでいく。

 「携帯電話」からミッションを受注したり、ゲーム内に架空のインターネットが存在していたりと、現代的な要素が数多く取り入れられた。システム面においても、銃撃戦におけるカバーアクションの採用や指名手配システムの変更、シリーズ初のマルチエンディングなど、数多くの新たな試みが取り入れられている。

 街を歩く一般人の挙動はより多彩になり、グラフィックが向上したことでプレイヤーの行動に対するリアクションも表情の変化で表現されるようになった。居並ぶ店にはロードを挟まずドアを開けるだけで入店が可能、タクシーに客として乗れるなど、街歩きの没入感を高める進化が数多くみられることも特徴のひとつだ。

 のちにダウンロードコンテンツとして「グランド・セフト・オートIV ザ・ロスト・アンド・ダムド」「グランド・セフト・オート ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」の2作品が展開されている。

グランド・セフト・オート IV

 2009年3月17日には、『グランド・セフト・オート チャイナタウンウォーズ』が発売されている。こちらはニンテンドーDSやPSPといった携帯ゲーム機向けの作品であり、初期作品に近い見下ろし型の視点が採用されている。『グランド・セフト・オートIV』版のリバティーシティーが、デフォルメされた姿で描かれた。

 資金稼ぎの手段として「ブツ」の取引が追加されており、安値の時に仕入れ、高値になれば売るといった手法で大金を得ることが可能。もちろん警察に見つかれば狙われ、時には取引するはずだった売人が逃げ出してしまう場合もあり、アンダーグラウンドな雰囲気を醸し出すゲーム性となっている。

グランド・セフト・オート チャイナタウンウォーズ

 リマスター作品などを除く記事執筆時点での最新作『グランド・セフト・オートV』が発売されたのは2013年10月10日。発売3日間で売上は10億ドルを突破するという爆発的な人気を博した。2022年2月時点で累計出荷数は1億6000万本を突破しており、『マインクラフト』に次ぐ世界で2番目に売れたゲームソフトとなっている。

 世界設定を『グランド・セフト・オートIV』と共有し、舞台となるのはロサンゼルスをモデルとした「ロスサントス」。シリーズで初めて3人の主人公が同時に登場するという形式を取り、ゲーム中では操作を切り替えながら各ミッションを進めていく。

グランド・セフト・オートV

 そして本作にセットで収録されていたのが『グランド・セフト・オート オンライン』だ。自分だけのキャラクターを作成し、ほかのプレイヤーとさまざまなミッションやアクティビティを『グランド・セフト・オートV』本編と同様のマップで楽しむことができる。

 PS3やXbox 360版のオンラインサービスは2021年をもって停止されているが、2022年3月15日にはPS5やXbox Series X|Sといった新世代機に向けてリリース。PS4、Xbox Oneからの進行状況の移行にも対応している。

 1998年から続く『グランド・セフト・オート』シリーズだが、『グランド・セフト・オートV』の発売からもすでに8年以上が経過しているため、続編の発売を望む声も大きい。さいわい、2022年2月5日にはRockstar Gamesより、シリーズの最新作が開発中であることが明らかにされた。

 記事執筆時点ではゲームプレイの詳細や映像などは公開されていないが、『グランド・セフト・オートV』の大成功からして、大いに注目を集める作品となることは間違いないだろう。24周年を迎えたシリーズの最新作の姿に、今から興味が止まらない。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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