9月12日(月)に開催された、505 Games Japanのイベント「ROUTE 505」。本イベントでは初解禁のタイトル2作をふくむ13作品が紹介されたほか、パブリッシュタイトルの試遊、プロドライバー・下田沙弥加氏による『Assetto Corsa Comperizione』のデモプレイなどが開催された。
さらに、本稿では『幻想水滸伝』のスタッフが手がける新作RPG『百英雄伝』スタッフへのインタビューも掲載する。
最新映像の紹介で発表されたタイトルは以下のとおり。
・『MARVEL Puzzle Quest』(マーベル パズルクエスト)
・『Rogue Spirit』(ローグスピリット)
・『Serial Cleaners』(シリアルクリーナーズ)
・『Gunfire Reborn』(ガンファイアリボーン)
・『UNHEARD』(アンハード)
・『Stray Blade)(ストレイ ブレイド)
・『Nivalis』(ニバリス)
・『Miasma Chronicles』(ミアズマ クロニクルズ)
・『Re:Legend』(リレジェンド)
・『百英雄伝』
・『Assetto Corsa Comperizione』(アセット コルサ コンペティツィオーネ)
・『Edengate: The Edge of Life』(エデンゲート:エッジ オブ ライフ)
・『Unholy』(アンホーリー)
「聴覚探偵」として事件の解決を目指す『UNHEARD』は、視覚からは最低限の情報を得るミニマルなゲーム画面が特徴。プレイヤーは誰がどの言葉を喋っているのか整理しつつ、事件を解決へと導くことが目標だ。
本作はボイスもふくめて日本語化がされており、作品に没入しながらプレイすることが可能。PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switch向けに2023年にリリース予定となっている。
『エデンゲート:エッジオブライフ』は、科学者として人が消えた「エデンゲート」の謎を解き明かす3Dアドベンチャーゲーム。リアルなグラフィックで描かれる、誰もいない街を照らす光や主人公のミアの豊かな表情が孤独感と恐怖を煽る。
本作は2022年秋、PlayStation 4、Xbox One、PC(Steam)向けに発売予定だ。
さらに本イベントでは『百英雄伝』のスタッフ4名へのインタビューも敢行。
『百英雄伝』は、『幻想水滸伝』のスタッフが制作する新作RPG。2020年7月28日(火)にKickStarterにて開発資金を募り、460万ドル(約4億8千万円)を集めてプロジェクトを成功させた。また、前日譚となる『百英雄伝 Rising』がPlayStation 4、Xbox One、Xbox Series X|S、Nintendo Switch、PC(Steam)向けに販売されている。
本作では多くの価値観、文化を持つ国が集まるオールラーン大陸を舞台に、人や獣人、エルフなどさまざまな種族・100人のキャラクターが登場。「魔導レンズ」の力を捜索する士官「セイ・ケースリング」と、彼と同じ捜索隊に入隊する少年・ノアのふたりを中心にした物語が描かれる。
そんな『百英雄伝』について、ユーザーの反響や100人にも上るキャラクターの描き方などを以下の4名のスタッフに語っていただいた。
ゲームデザイン・メインストーリー
村山吉隆氏(以下、村山氏)キャラクターイラスト
河野純子氏(以下、河野氏)プロデューサー・アートディレクター
村上純一氏(以下、村上氏)プロジェクトディレクター
小牟田修氏
──『百英雄伝』発表に際してのユーザーの意見をどのように受け止めていらっしゃいますか?
村山氏:
非常に大きい反響がありました。従来のJRPGのファンや『幻想水滸伝』のファンからのフィードバックも非常に多かったですし、純粋にゲームとしての新しいファン、当然多くの新しい層が生まれていってるので、そこからの期待みたいな部分も非常に大きな反響としてもらっています。
──海外の反響の違いってあったりしますか?
村山氏:
差はそんなに……。
河野氏:
なかった気がしますね。
小牟田氏:
海外はカンガルー推しがすごかったですね。
一同:
(笑)
河野氏:
あ〜!
小牟田氏:
獣人推しすごいですよね、海外の人。「ガルー!ガルー!」って。
河野氏:
すごかったね。
小牟田氏:
(笑)。
──意外な反応でしたか?それとも狙い通りでした?
小牟田氏:
そうですね、「ガルー出たら、海外の人は喜ぶよね」とある程度狙ってはいました(笑)。
村上氏:
そんな雑な言い方してないよ(笑)。
河野氏:
「『ライジング』好きな人が喜ぶよね」とは言ったけど(笑)。日本向けには割とこれもあざとく狙ったというか、やっぱり『幻想水滸伝』好きな方々にアピールする点が多かったというのはありましたね。
小牟田氏:
いや、一騎打ちでだいぶ(笑)。
河野氏:
そう、一騎打ちね(笑)。
小牟田氏:
反応大きかったなあ。
村上氏:
「gamescomで初めてこのタイトルを知った」という反応がかなり多かったですね。このプロジェクトを応援してくださっている方々以外の興味ってどうなのかな?と不安ではあったんですけど。
──いい感じでバランスがとれてるんですね。『幻想水滸伝』好きな方はそうですし、まったく知らなくて興味を持っていただいた方もいますし。
村上氏:
嬉しかったです。gamescomで初めて映像を見て、「『幻想水滸伝』みたい」という。「これは違うの?」って方もいましたね(笑)
──『幻想水滸伝』は女性ファンが多い印象だったんですけど、男女層のバランス的な感じはどうですか?
村山氏:
『幻想水滸伝』のときもそうだったんですけれども、ファンとして活動している方に女性は多いですね。
ゲーム一般で言えば多い方だと思いますけれども、実数としては男性ファンの方のほうが多くを占めます。フィードバックでいうと、海外からは「ハードモード」をつけてくれという声がかなり多いですね。「歯応えのあるゲームをクリアしたい!」と、スパルタな感じの(笑)。
一同:
(笑)。
村山氏:
なので、ストーリーよりもシステム重視の反応が多かったように思います。
小牟田氏:
海外だとシステム重視の方が多いですよね。
村山氏:
ありますね。
小牟田氏:
「このシステムはどうなってるんだ」という質問がけっこうありました。
──キャラクターよりもシステムに興味がある方が多いんですか。
小牟田氏:
システム寄りの質問が多いかなという印象はありますね。
──「若い子に仲間が100人いるゲームがあってね」と話したら、「そんなにガチャで集めるんですか!」みたいなツイートがバズったりしていましたけど、時代性って変わるものとか、作る側として時代をどういう風に見て反映させるのでしょうか。
『幻想水滸伝』は「100人のキャラクターが登場する」というところがすごく大きな要素を占めていたと思うんですけれども。
村山氏:
昔は「キャラクターが複数いる」ということ自体が非常に珍しいことでそれがヒキになったんですけどね。いまや「すっごい大量のキャラクターが出る」という形はソーシャルゲームでもう当たり前になってしまって。
とはいえ、僕らとしては「キャラクターはゲームシステムと融合していてほしい」という気持ちが非常に大きいんですよ。
たとえば単純に戦闘で使えるだけではなくて、たとえば便利な施設があってそこでも有効に使えるキャラクターであるとか、このミニゲームにこのキャラクターがいると有利になる、というふうに。
今回のストーリーでは「戦争」を描くんですけど、そこにはまず戦争を表現する大規模なバトルのシステムがあって。一方で、個々のそれぞれのキャラクターにも、システムとしての非常に大きな役割をもたせているんです。
だからこそ、単なるキャラクターというだけではなくて、キャラクターがちゃんとゲームの中で「活きてくる」というか。
──多数のキャラクターを創出するというところでは、『幻想水滸伝』もそうでしたけど、すんなりと出てくるものなんでしょうか? 100人みたいな規模ですと、生みの辛さも相当だろうなと。
村山氏:
そうですね、それだけの人数になってくると、いろんな作り方をしています。
当然、「ストーリー的にこういうキャラクターがいます」というのもあるんだけれども、河野のほうでデザイン優先で作られているキャラもいれば、ゲームシステムから逆算して作られるキャラもいます。
とはいえ、やっぱり大変であることは間違いないですが(笑)。
──プロデューサーとしてもチェックする量が尋常じゃないですよね(笑)。
村上氏:
そうですね、そのうえ何度も追加仕様がやってくるんで(笑)。
とくに今回大変なのが、キャラクターグラフィックですね。いま、もうドット絵を上手に作れる人がなかなかいないんですよ。人づてをたどって集めたり、社内で育てたりと苦戦しています。
小牟田氏:
ドット絵自体の解像度も上がってますからね。
昔は32×64ピクセルとかで良かったのに(笑)。
村上氏:
そうですね(笑)。ドットを打つ面積が広くなってくると作業量も……。
──じゃあ、この記事を読んで「我こそは」というドッターの方はぜひ(笑)。
村上氏:
募集は常にかけてるんですけど、なかなか・・・やはりドット技術を持った方は自分も含めて高齢者が多いんですよね(笑)。
一同:
(笑)。
村上氏:
ドッターって職人なんですよね。昔KONAMIさんにいたとき、優秀なドッターは「先生」とか「神」とか言われてましたね。
小牟田氏:
先に決めたシステムで書いてもらわなきゃいけないので、バトルの攻撃方法や攻撃回数とかは、なるべく先に決めとかないと。やり直しになったらものすごいお怒りを……(笑)
村上氏:
そんなに怒ってないです(笑)。でも、ドット作成はとても手間がかかるので作り上げたあとには簡単に変更はきかないですからね。
──仕様も含めて固まってから描いてもらうと。
小牟田氏:
「このキャラは槍を使って二回攻撃するキャラです」みたいな感じですね。
村山氏:
そういうバトル設定もやっぱりキャラクター性の一部ではあるので、たとえば「こいつとこいつは相性がいいよね」みたいな話から、ゲームに反映されていくみたいな形をとりたいなというのはあって。そこはかなりケアしてもらってますね。
小牟田氏:
だから村山と最初に「このキャラ、こういう性能でいこうと思うんだけど」と先に相談するんです。それで、「いや、そこはこうしたい」とまたフィードバック受けて、それでやっとドットが描けるんですよ。
河野氏:
そこまでやると、バトル中に「こいつとこいつがこういう関係性だから、こういう連携ができるんだ」というのが、体感ですべてわかるようになるんですよ。最終的にアウトプットにはなってるんですけど、そこに至るまでがなかなか長かったですね(笑)。
小牟田氏:
その前に、まず河野が絵を描いとかないと(笑)。
──最後に、発売を楽しみにしているユーザーにメッセージをお願いします。
河野氏:
最初に皆様にご支援いただいて、ここから始めます!と言ってからけっこう時間がたってしまったんですけど、順調に進んでいっているんじゃないかなと思うので、もうちょっとだけお待ちください!よろしくお願いします。
小牟田氏:
今回のgamescom、 TGSと、お待たせしたかれこれ1年、去年のE3でちょっとお見せしたくらいですよね。1年以上新しい画面を見せられてなかったのを、ようやくお披露目することができました。今、これだけ進んでおります。楽しみにお待ちください。
村上氏:
みなさんの声は常に励みになっているのと同時に、いい意味でプレッシャーももらえていると思っています。それだけに、期待に応えられないものを出したくないみたいなところもあって。それで時間が掛かっているというところもあります。
お待たせした分、期待に応えられるものになる様に精一杯頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします。
村山氏:
一時期は元気がなかったJRPGですけれども、「いろんなコンテンツがひとつのゲームの中に内包されていて、いろんな楽しみ方ができる」というその形式が、JRPGが支持を受けた要因だと思っています。『百英雄伝』ではまさしくそういった感じのものを再現しようと思っていて。
『百英雄伝』はそんなJRPGの豊潤さを楽しんでもらえるようなゲームデザインを目指して開発をがんばっていますので、ぜひご期待ください。