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【今日は何の日?】『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が発売された日(11月21日)。初の「3Dゼルダ」にして「Z注目システム」に代表される3Dアクションゲームの新たな基礎を築いた

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 11月21日は『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(以下、時のオカリナ)が発売された日だ。

 『時のオカリナ』がニンテンドウ64向けに発売されたのは1998年11月21日のこと。本作はタイトルからも伝わるように『ゼルダの伝説』シリーズの一作だが、初代『ゼルダの伝説』『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』でといった従来の作品とは異なり、三人称視点でキャラクターを操作する3Dアクションゲームへと転換している。

 当時の3D作品の課題でもあったカメラワークや操作性における問題の解決策として、敵をはじめとする特定の対象に自動で照準を合わせる「Z注目システム」を採用。当時としては画期的な操作性を実現し、のちの3Dアクションゲームの数々に大きな影響を残したのである。

 またジャンプをはじめとするタイミングが重要なアクションについてはある程度の自動化が行われており、2Dに比べて空間認識が難しい3Dアクションならではのストレスを軽減している。総じて『ゼルダの伝説』シリーズでは初めての3D作品ながら、3Dアクションゲームの基盤という意味でも非常に高い完成度を誇っていた。

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(画像はWii Uバーチャルコンソール『ゼルダの伝説 時のオカリナ』販売ページより)

 そんな本作だが、開発の初期段階では主観視点のゲームになる案もあった。しかし試作段階にて「絵的に面白くない」などの意見が集まったため却下となり、三人称視点へと移行。その際に生まれた問題の数々を解決するべく生まれたのがZ注目システムだった、という流れである。

 『スーパーマリオ64』の開発にも携わっていた小泉歓晃氏によると、そのアイデアは映画などの「殺陣」から着想を得たものだという。殺陣の間では多くの敵にヒーローが囲まれるが、ひとりずつ順番に斬りかかって敗北していく。そのひとりを固定化するためのフラグとして、Z注目を活用したそうだ。

 このあたりの開発秘話は任天堂公式サイトにて公開されている「社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』」がくわしい。京都の「太秦映画村」に開発スタッフが訪れるなど、ユニークなエピソードがいくつもうかがえるので、興味を持たれた方はぜひ一読してみていただきたい。

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(画像はWii Uバーチャルコンソール『ゼルダの伝説 時のオカリナ』販売ページより)

 本作のストーリーは神々の遺産「トライフォース」を我が物にし、世界を混沌へ落とさんとする「盗賊王ガノンドロフ」に、勇者として選ばれた少年「リンク」(デフォルト名)が立ち向かうといった王道のもの。シリーズ公式サイトに記されたハイラルの歴史によれば、『ゼルダの伝説』の物語の中でもひとつの分岐点となっているようだ。

 作中では数々のダンジョンを攻略しながら物語を進めていく。冒険の序盤では幼い少年だったリンクも、とある出来事から7年間の眠りを経て青年へと成長する。『ゼルダの伝説』ではおなじみの「パチンコ」「ブーメラン」などさまざまなアイテムが登場するが、子ども時代と大人時代で使えるアイテムに一部変化がくわわる点も特徴のひとつである。

 ボス戦については対象のダンジョン中で使ったアイテムを活用するパターンが多く見られるが、それぞれ敵の特徴などからひとクセある攻略の手順を見つけ出さなくてはならない。またボス以外の通常エネミーについても、一見手ごわいが特定のアイテムを使えば簡単に倒せたり、Z注目を使わない方が戦いやすかったりと、攻略法を考える楽しみも本作の魅力と言えるだろう。

 タイトルにも登場している「オカリナ」はキーアイテムのひとつで、入手した楽譜に従って曲を奏でることでイベントを発生させたり、ダンジョンの謎を解く場面もある。この作中演出にあやかり、2020年にはストリーマーのRudeism氏が実際のオカリナを使ったコントローラーで本作を攻略するチャレンジに挑んでいた。

 2002年に『ゼルダの伝説 風のタクト』がニンテンドーゲームキューブ向けに発売となった際、同作の予約特典として『時のオカリナ』のニンテンドーゲームキューブ版も配布された。内容はほぼオリジナル版を忠実に再現しているが、高難易度版としていわゆる「裏ゼルダ」が収録されている。

 このほかWiiとWii Uでのバーチャルコンソール版が配信され、Nintendo Switchにおいても「Nintendo Switch Online + 追加パック」の加入者特典としてプレイが可能だ。

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(画像はWii Uバーチャルコンソール『ゼルダの伝説 時のオカリナ』販売ページより)

 また2011年6月16日にはニンテンドー3DSに向け『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』が発売を開始。一新されたグラフィックでハイラルの地は美しく描きなおされ、タッチ操作にも対応した下画面を活用できるようインターフェースにも変更がくわえられた。なお「Z注目」はボタンの変更に伴い「L注目」へと変化している。

 「シーカーストーン」を通じたヒント映像をゲーム内から視聴できるようになり、謎解きに行き詰ったり、倒せない敵が現れた場合のサポートが充実した。熟練のプレイヤーに向けては上述の『ゼルダの伝説 風のタクト』の予約特典として登場したニンテンドーゲームキューブ版の「裏ゼルダ」を、左右反転したバージョンで舞台に収録した。

 ニンテンドー3DSならではの機能としては、内臓のジャイロセンサーを使った視点操作の存在が挙げられる。本体を動かすことでそれにあわせて画面に映る景色が変化し、パチンコや弓の操作もより直感的なものへと発展した。3D映像も相まって、臨場感あふれるアクションを手元で体験できるとされている。

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(画像は『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』公式サイトより)

 世界的に高い評価を獲得してきた『時のオカリナ』だが、近年にあってもその評価は衰えることなく脚光を浴び続けている。代表例としては2022年5月にアメリカのストロング国立演劇博物館が定める「世界のビデオゲームの殿堂」入りを果たしたことが挙げられるだろう。

 こちらは長く人々に愛され、かつビデオゲーム業界や一般的な文化、社会全体にまで影響を与えてきたとされる作品を表彰するもの。初代『スーパーマリオブラザーズ』『テトリス』『マインクラフト』などの先達に続く形で本作も殿堂入りを成し遂げた形である。

 ユーザーコミュニティ的な面でも人気は高く、RTA(リアルタイムアタック)の界隈では目隠ししたまま本作をクリアしたり、『大乱闘スマッシュブラザーズX』に収録された体験版を通じて5分以内にエンディングを呼び出したりと、常人では考えられないプレイが生まれてきている。

 近年まれに見るほどの人気作となった『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、ブレス オブ ザ ワイルド)もふくめ、いわゆる「3Dゼルダ」の原点ともいえる『時のオカリナ』。すでに輝かしい位置に立っている本作は、引き続き多くのファンの間で語り継がれていくタイトルとなるだろう。

 『ゼルダの伝説』シリーズとしては『ブレス オブ ザ ワイルド』の続編として『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』が2023年5月12日(金)に発売となることが記事執筆時点で明らかにされている。『時のオカリナ』から20年以上の月日を経てなお、発展を続けるシリーズの今後にも注目していきたい。

編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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