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問答無用で子どもの命を犠牲にさせられる──。後味最悪の負けイベントからはじまる『戦場のフーガ』、キュートなケモノ×激重ストーリーのギャップのヤバさを今こそ語りたい!

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『.hack//G.U. Last Recode』(PS4)

 『.hack』シリーズや、『NARUTO -ナルト- ナルティメットヒーロー』シリーズ、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』といった様々なゲーム作品を制作したことで知られる会社、サイバーコネクトツー。
 設立から25年を越えるこちらの会社では、設立当初から、“リトルテイルブロンクス” と呼ばれるシリーズを展開しています。

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リトルテイルブロンクス構想(画像は福岡県防災キャラクター まもるくんより)

 この “リトルテイルブロンクス” がどういったものなのか、改めて簡単に説明させていただきますと、これは、サイバーコネクトツーの掲げる世界観構想のこと。

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『テイルコンチェルト』(PS)
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『テイルコンチェルト』(PS)

 その世界観の大きな特徴として、“イヌヒト” と “ネコヒト” と呼ばれる二種類の獣人が住まう広大な浮遊大陸であるということが挙げられ、ゲームを中心にシリーズ作品が制作されています。

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『テイルコンチェルト』(PS)

 そして、『リトルテイルブロンクス』の第一作目であり、サイバーコネクトツーの会社としてのデビュー作でもあるのが、初代PlayStationで発売された『テイルコンチェルト』。

 警察官のイヌヒト、ラッセルを操り、ポリスロボという名のついたロボットに乗り込んで、黒猫盗賊団の団員である子猫たちを捕まえていきながら物語を進行させていく本作では、浮遊群島国家プレーリーや、結晶石の謎、イヌヒトとネコヒトとの関係を描いており、作りこまれた世界観がその特徴です。ちなみにですが、つい先日の4月16日、本作は発売から25周年を迎えました。

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まもるくん(画像はまもるくんより)

 その他にも、家庭用ゲーム機でソフトが発売されているというわけではありませんが、福岡県の防災キャラクター、まもるくんも『リトルテイルブロンクス』の一員。こちらもまた、まもるくんとその周辺キャラクターの設定が非常に丁寧に作り込まれています。

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『Solatorobo~それからCODAへ~』(画像はSolatorobo それからCODAへより)

 次に家庭用ゲーム作品として『リトルテイルブロンクス』が展開されたのは、『テイルコンチェルト』からおよそ12年後。NintendoDS用ソフトとして2010年に発売された『Solatorobo~それからCODAへ~』でした。

 こちらの作品は、ロボットに乗り込んで戦うアクションゲーム。主人公のイヌヒトのレッドを筆頭に、ショコラ、エル、オペラなど、個性的かつ魅力的なキャラクターの多さが印象深い作品です。

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 そして、それから10年、設立から25年という節目を迎えた2021年、サイバーコネクトツーは『戦場のフーガ』を発売しました。こちらの作品は、コミカライズ等にも展開されています。

 以上が、これまでの『リトルテイルブロンクス』の大まかな流れ。 「ちょっと寡作すぎやしないか」と思ってしまうのが正直なところではあるのですが、本シリーズを展開させていく裏に様々な戦いがあったということは、以前、電ファミにて掲載されました、サイバーコネクトツー代表取締役社長、松山洋さんへのインタビューでも語られていたところです。

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『テイルコンチェルト』(PS)

 しかし、寡作ではありながらも、各々の作品、世界観のクオリティは高く、現在でも根強いファンのいるシリーズであるという点は見逃せません。
 先ほどの『テイルコンチェルト』に関しましては、発売25周年を記念して、設定資料集の廉価版やグッズの販売が決定しています。

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『戦場のフーガ2』(画像は『戦場のフーガ2』公式サイト | サイバーコネクトツーより)

 そして、今年5月には、『リトルテイルブロンクス』最新作にして、『戦場のフーガ』の続編となる『戦場のフーガ2』の発売が決定。前作から数えて2年ぶりと、これまでのシリーズのスパンから考えますと、信じられないスピードでの新作発表となりました。

 ……まぁ、元々『戦場のフーガ』は「復讐三部作」という名前がつけられているシリーズの第一作であるため、この続編の速度感も不思議ではないんですが、ひとまず作品のファンとしては一安心といったところです。別会社のお話ではありますが、続編が予告されたにも関わらず結局発売されなかった例もありますからね(小声)。

 それはさておくとしまして、今回は、2の発売を前に、前作『戦場のフーガ』の魅力について改めて振り返らせて頂ければと思います。

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文/DuckHead


強いこだわりが感じられるキャラクターデザイン

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 さて、まず特筆すべき……と言いますか、『リトルテイルブロンクス』を知らなかったとしても、画像を数枚見れば誰にでもすぐに分かる本作の大きな特徴の1つが、やはりそのキャラクターデザインでしょう。

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 『リトルテイルブロンクス』の世界観においては、“イヌヒト”もしくは“ネコヒト”と呼称される彼らは、私たちの世界では俗にケモノと呼ばれるタイプのキャラクターです。

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 「絶対に王道になる!」と、制作陣の熱い思いの乗ったキャラクターたちではありますが、ケモノは一般的には敬遠されるタイプのデザインであるとも言われています。
 幼少期からディズニー短編アニメや『かいけつゾロリ』に親しみ、特に何も思うところなく受け入れられた身としては、敬遠されているという事実にすら割とマジであまりピンときていないところがあるのですが、同時に、周囲には「ケモノはちょっとな……」と言っている人がそこそこいたような印象があるのも確か。

 実際、松山さんが以前インタビューで語られていますように、『リトルテイルブロンクス』の一作である『Solatorobo』では、「ケモノをメインにしたゲームは売れない」という販売元のバンナムの判断により、主人公のイヌヒト、レッド・サハランが、ストーリーの途中で人間になる描写を入れることが販売の条件になったんだとか。

 こうしてなんとか発売に至った『Solatorobo』でしたが、結果的に、その人間化するという展開の部分が界隈で物議を醸す……ということにもなってしまいました。
 好きを突き詰め過ぎてしまうと振り落とされる人が増えてしまいますが、逆に少し引いてしまうと、それはそれでコアな層からは物言いがついてしまうという、創作のジレンマを感じる話です。

 ……ケモノが苦手な方はパッケージがケモノな時点で購入に踏み切らないでしょうから、そもそもストーリーの途中で人間化したとて、という気がしてしまうのは私だけでしょうか。

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 さて、少々話が逸れてしまいましたが、作中で人間化することのないケモノキャラクターを中心に据えている『戦場のフーガ』。さらに状況を悪化させている……もとい、他の作品では見られないような独自性を見せているのが、物語の主人公となるのが子供たちだということ。

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主人公のマルトとメイ(とソックス)

 ゲーム開始時のメンバーでは、主人公のマルトと幼馴染のハンナが最も年上で12歳。最も年下であるメイは、なんと4歳です。そのため、必然的にキャラクターデザインは可愛らしいものとなっており、そこもまた、本作の魅力であると言えるでしょう。

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 加えて、今回是非とも触れておきたいのが、子供たちが戦うことになる敵キャラクターたちのデザインです。本作について語る場合、主人公側の子供たちにフォーカスされることが多いような気がするのですが、敵となる大人たちのデザインもかなりのもの。

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 いい悪役のいる作品は名作が多い。これは悪役好きの私の勝手な持論ですが、ゲームに限らず、悪役が魅力的であればあるほど、作品としての魅力は高まるように感じます。

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 個性豊か……と括ってしまうには少々アクが強すぎる、クセがスゴいとも言うべき悪役たちですが、中でも特に強烈だったのが、自身もネコヒトであるにも関わらずネコヒトを見下し、異様とも言える装具を身につけて自身がイヌヒトであるかのように振る舞う、歪みに歪み切った歪すぎるマッドサイエンティスト、ブルットヴルスト。

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 イヌヒトとネコヒトが住まう“リトルテイルブロンクス” の世界観設定を存分に活かしたこちらのキャラクター、マッドサイエンティストらしく、作中でとんでもない研究に手を染めています。本作をプレイした方の中で、彼が好きだと言う人はあまりいないのではないでしょうか。
 しかしながら、中途半端よりは振り切っている方がいいというのもまた事実。彼はある種、様々な方向性に振り切った本作を象徴するかのようなキャラクターと言えるでしょう。

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 ちなみに、話は変わりますが、本作のキャラクター面において、癖(へき)がスゴいと感じたシーンがこちら。これがどういったシーンであるのかについての言及は差し控えさせていただきますが、頬を赤らめさせたらそれはもうアウト。現行犯です。そういうとこだぞ。

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モブ兵士

 ……ちなみに、ここまで駆け足で色々なキャラを紹介してきましたが、私がデザインとして一番好きなのは、実は名もなきモブ兵士だったりします(小声)。

陰鬱なストーリーと、覚悟を求められるソウルキャノン

 さて、ここまでキャラクターの可愛らしさ、カッコよさについて言及してきましたが、そんな彼らが織りなすのは、戦争の物語。

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 ストーリーの始まりは、“自由の地ガスコ” の辺境にある平凡な田舎町、プチ・モナ村。

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 見た目通りの牧歌的な雰囲気の中で人々が平和に暮らすこの村で、主人公のマルトも家族や友人と共に楽しく日々を過ごしていました。

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 しかし、そんな平穏な日々は、ある日突然終わりの時を迎えます。何もない村であるはずのプチ・モナに対し、突如ベルマン帝国の軍隊が攻め入ったのです。彼らは村の家々を焼き払うと、村人たちをほぼ全て生け捕りにし、どこかへと連れて行ってしまいました。

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 そんなベルマン軍の魔の手から逃げる子供たちが転がり込んだのは、村のはずれにある、昔から入ることを禁じられていた洞窟。
 そして、その洞窟の中で彼らが目にしたのは、“タラニス” という名のついた非常に巨大な戦車。彼らはこれを操縦してベルマン軍に連れ去られた大人たちを助け出すことを思いつき、車内のラジオから流れる謎の女性の声に導かれつつ、軍相手に単機で戦いを挑みます。

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 ……これが、本編開始のわずか12時間前のお話。その前まで戦争も何も知らずに平和な暮らしをしていた彼らにとって、これはまさに青天の霹靂。戦争の心づもりなどしているはずもなく、戦いの中で彼らは少しずつ疲弊していきます。

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 ゲームをプレイしている中で、非常にインパクトが大きかったのは、道中で出会った強敵を排除するために、タラニス車内に流れる謎のラジオ音声から “覚悟” を求められたこと。

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 この “覚悟” という言葉、字面だけで見ると、「ボクがみんなを守るんだ」とか「敵を絶対に倒すんだ」とか、そんな感じで気持ちを固めればいいのかなぁという程度のものに思えてしまうのですが、本作における “覚悟” は、そんな生易しいものではありません

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ソウルキャノン

 本作における “覚悟” とは、戦車タラニスに対して命を捧げること
 これによって、タラニスは1人分の生命エネルギーを取り込み、破壊兵器 “ソウルキャノン” を起動することができるようになるのです。

 かなり衝撃的なこちらのシーン、ゲームのクライマックス……ではなく、ゲーム開始からわずか10分足らず。ストーリー開始早々、いわゆるチュートリアルの段階でこの展開。キャラクターの設定はおろか、名前すらもしっかり覚えきれていない状態であるにも関わらず、ソウルキャノンの犠牲者を選ばされるという、プレイヤーにもかなりの覚悟が求められる、本作の抱える闇が色濃く出ているシーンでもあると思います。

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 その後、悩みに悩んで1人のキャラクターを選択。選んだキャラクターがタラニスへと取り込まれるまでの様子が描かれると、ソウルキャノンが起動します。

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 こうして放たれる一撃は非常に強力。どんな強敵であっても吹き飛ばしてしまうような絶大な威力を持っており、子供たちは敵機の殲滅に成功することができました。

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 しかし、大切な友人が1人喪われてしまったという、あまりにも辛く悲しい事実に子供たちの心は耐えきることができず、彼らは完全に戦意喪失。後からやってきた敵の援軍に戦車ごと殲滅されてしまいます。

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 望まぬ選択をさせられたプレイヤーとしても、ただただモヤモヤが鬱々と残り続け悶々とする中、これまで子供たちを導いていたラジオの声による後悔の念と懺悔を聞かされると……

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 なんと、子供たちが強敵に出会う前に時が巻き戻ります。
 やってくれたな!どんな負けイベントだよ!最初からこんな後味の悪いことさせるんじゃねーよ!
 ラジオに対し怒りと嫌悪感を感じつつ物語を進めていくと、どうやら、子供たちは時が巻き戻ったという事実を知らないとのこと。それはせめてもの救いですね。この時を巻き戻すという不思議な力の正体は全く分かりませんが、そんなことはお構いなし。何事もなかったかのように、ストーリーとタラニスはどんどんと戦場を突き進んでいきます。

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ソウルキャノンの使用を奨励してくるラジオ

 さて、これは戦闘システムにも関わる話になりますが、この一件以降、戦闘中に条件を満たすと、タラニスの判断によってソウルキャノンへの扉が開かれます。
 とんでもないリスクを背負わされるソウルキャノンですから、当然、実際に使用するかどうかはプレイヤーの判断に委ねられることとなります。しかしながら本作の恐ろしいところが、タラニスがソウルキャノンの使用許可を出すまでのハードルが低すぎること。戦力的にはまだまだまだまだ余裕があったとしても、ある程度体力が減るとすぐに「もう……ソウルキャノンを使うしか……」みたいなことをラジオが喋りだしやがります。

 プレイしている側には、負けイベントの暗く重苦しい記憶がありますから、「うるせぇ黙ってろ、まだ全然ピンチじゃねーわ」と、絶対にソウルキャノンを使わないぞという覚悟で、戦闘に臨むこととなります。最初の負けイベがずっと強く尾を引き続けるゲームも、中々に珍しいように思いますね。

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 『戦場のフーガ』シリーズに対し、“復讐三部作” という名が冠されているというところや、ここまでの話で既にお分かり頂けているかとは思いますが、本作のストーリーは非常に陰鬱。登場する主人公側のキャラクターに反して、その中身にはポップさはほぼ感じられず、重苦しい展開のオンパレードとなっています。

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 そんなストーリーの清涼剤となってくれるのが、章をクリアすることで解放されるエンドカード。長く苦しい戦いを描いた本作において、束の間と言えど、心安らぐようなシーンを見ることができるというのは嬉しいところです。

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 これらのエンドカードイラストは、章によってイラストレーターさんが変わるため、次はどういうイラストが出るんだろうという楽しみを持ちつつ、ゲームを進めていけるのはいいですね。

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