夏休みでさらに盛り上がりを見せた『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は大きな反響を呼び、2023年の公開作品において国内での興行収入がついに1位となりました(2023年8月執筆時点)。
筆者は本稿の執筆時点で29回ほど劇場で鑑賞していますが、劇中には膨大な数の「小ネタ」が仕込まれているため、劇場へ足を運ぶたびに「まだまだ新しい発見があるに違いない」と期待してしまいます。
そんな、いまもなお記録を伸ばし続けている大傑作映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の国内盤サウンドトラックCDが8月23日に発売されました。
躍動感のあるアクションシーンや感動のラストシーン、そして原作ゲームの名曲アレンジなどさまざまなシーンをこのサウンドトラックで思い返すことができてしまいます!
サウンドトラックには劇中で流れなかった部分も多く収録されているため、すでに映画を知り尽くしている方でもきっと新しい発見があるはず。筆者は4月に発売されたデジタル版を毎日聴き続けた結果、いまでは脳内でマリオ映画を上映できるくらいまで覚えてしまいました。
そこで本稿ではそんな筆者がサウンドトラックに収録されている全36曲をレビューさせていただきます!
※本稿は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の状況やストーリーについても言及しております。
※ゲーム画面はすべて本稿の著者・ロジーが撮影したものとなります。
「Press Start」
1曲目はスタッフロールで流れる愉快な曲。
映画でのマリオブラザーズのテーマ曲を中心に、原作ゲーム『スーパーマリオブラザーズ』の「無敵BGM」のアレンジなどが流れます。
ファイアボールを投げたときのサウンドや『スーパーマリオ64』のクッパのボイスなど、原作ゲームの効果音で彩られている点にも注目。
曲の最後には映画では流れなかった『スーパーマリオブラザーズ』のミスサウンドも流れます。
「King of the Koopas」
映画が始まるとすぐに聴くことになる、クッパ軍進軍するときの曲。
劇中でペンギン王がクッパ軍に対抗する形で登場するシーンでは布袋寅泰さんの「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が流れますが、サントラではクッパらしいワイルドな曲を聴くことができます。
クッパがスターを見つけるシーンは『スーパーマリオブラザーズ』でお馴染み「無敵BGM」のアレンジ!
「Plumbin’ Ain’t Easy」
ピザ屋「パンチアウト」でマリオとルイージがスパイクと会話しているときに流れる曲。
スパイクとの口論のシーンは恐ろしい曲調、そして仕事が見つかったシーンではパーっと明るい曲調に変化します。映画でのマリオブラザーズのテーマ曲がさっそく流れるのも特徴。
「It’s a Dog Eat Plumber World」
仕事のために依頼人の家を訪れたマリオとルイージが階段を上がるシーンや依頼人夫妻の飼い犬・フランシスとのやりとりで流れる曲。
最初こそ楽しい内容で『スーパーマリオブラザーズ3』の「アスレチックBGM」が流れていますが、フランシスとのバトルが始まるとまるでサメに追いかけられているような、恐怖を感じさせる曲に一変します。
そして劇中で「アニタ~メゾ・ソプラノ・オペラ・アリア」が流れるところは、サウンドトラックでしか聴けないオリジナルのコーラスとなっています。
「Saving Brooklyn」
夜のブルックリンで流れる曲。
希望を見出し、勇敢に事件に立ち向かおうとするマリオの心境や、緊迫感のあるアクションシーンが表現されています。
「The Warp Pipe」
ブルックリンの地下で流れる曲。
最初は暗い地下らしく不気味な雰囲気ですが、途中からワープ土管の勢いのある曲へと変化します。
じつは『スーパーマリオブラザーズ』の「地下BGM」のフレーズがところどころで流れており、なかでもワープ土管に吸い込まれる直前に流れる低いピアノの演奏は、注意深く聴いていないと映画館では気付きにくいかもしれません。
「A Strange New World」
マリオがキノコ王国に飛ばされたときに流れる曲。
『スーパーマリオブラザーズ』の「地上BGM」が優雅にアレンジされており、「ついにマリオたちの世界にやってきたんだ!」と実感させてくれます。
またキノピオが登場するシーンでは『進め!キノピオ隊長』でお馴染みの「旅立ちのひっこ抜き峠」が流れています。
そしてピーチ城が見えるシーンでは『スーパーマリオ64』の「ピーチ城」BGMも!
「The Darklands」
ルイージがダークランドを歩いているシーンの曲。
くら~い雰囲気や緊迫感が襲い掛かります。
『ルイージマンション』ファンの方はぜひ0:26〜0:29あたりを聴いてみてください。おどろおどろしい曲の中に、こっそり『ルイージマンション』のメインテーマのBGMが流れています。
「Welcome To The Mushroom Kingdom」
キノコ王国の城下町のシーンで流れる曲。
マリオファンにはたまらないであろう、原作ゲームのBGMアレンジラッシュとなっています! せっかくなので、筆者が発見した限りで流れていた曲を順番に並べてみました。みなさんはいくつ気がつきましたでしょうか?
0:00『スーパーマリオ オデッセイ』「マリオ、世界の旅へ 〜オデッセイ号 初離陸〜」
0:16『スーパーマリオブラザーズ3』「キノピオのいえ」
0:28『スーパーマリオブラザーズ3』「スロット面BGM」
0:37『スーパーマリオブラザーズ』「地上BGM」(こっそり水中BGMのフレーズが隠れている)
1:09『スーパーマリオブラザーズ』「地下BGM」
1:12『スーパーマリオワールド』「地上BGM」(こっそり『New スーパーマリオブラザーズWii』のタイトル画面のフレーズが隠れている)
1:35『New スーパーマリオブラザーズ』「Pスイッチ」
1:43『スーパーマリオギャラクシー』「大王星の決戦」
「Peaches」
あのクッパが「ピーチピーチピーチピチピーチ」と、ピーチへの愛を情熱的に歌う“あの曲”。
衝撃的な内容ゆえに耳に残った方も多いのではないでしょうか。サウンドトラックがあればジャック・ブラックさんの美声をいつでも何回でも楽しめます!
「2 Player Game」
サウンドトラックでしか聴けない劇中未使用曲。
スタッフロールのようにマリオブラザーズのテーマ、ピーチのテーマ、クッパのテーマと流れるようなメドレー曲になっています。
個人的には映画全体を表現しているような印象を受けたので、ついつい再生してしまう一曲です。
「The Mushroom Council」
ピーチ城に侵入しようとするシーンやピーチが初登場するシーンで流れる曲。
マリオたちのシーンはちょっと怪しい雰囲気が表現されている一方で、ピーチが登場するシーンは勇ましいテーマ曲が流れます。
0:25からのキノピオの料理シーンの曲は『スーパーマリオ オデッセイ』から「ペロンツァ広場」がアレンジされています。
「The Plumber and the Peach 」
ピーチとマリオが初めて出会うシーンで流れる曲。
マリオがスローになるあのシーンも含まれているので、映画を観た人は「プリンセ〜〜ス!」という声が聞こえてくるかも。
「Platforming Princess」
マリオがピーチとトレーニングに向かうシーンで流れる曲。
映画でのピーチのテーマ曲を最もしっかり聴くことができます。最後には『スーパーマリオブラザーズ』の「コースクリアファンファーレ」のアレンジも。
「World 1-1」
マリオのトレーニングシーンで流れる曲。
全体的に映画でのマリオブラザーズのテーマ曲が流れており、ところどころで『スーパーマリオブラザーズ』の「地上BGM」も流れてきます。
劇中でボニー・タイラーさんの「Holding Out for a Hero」が流れる部分はサウンドトラックでしか聴けないオリジナルのものになっています。個人的には “映画でのマリオ” を最もストレートに表現している曲だと感じました。
「The Adventure Begins」
マリオとピーチの旅立ち、そしてキノピオを加えた冒険シーンで流れる曲。
いよいよ「冒険に出るぞー!」と感じさせてくれる内容です。
最初のシーン(0:00~)は『スーパーマリオブラザーズ』の「コースクリア ファンファーレ」、そしてヨッシーが登場するシーン(1:36~)では『スーパーマリオワールド』の「地上BGM」が流れています。そして最後(2:05~)は、劇中で旅立ち前に流れていたルイージの回想シーンが挿入されています。
筆者はこのシーンの切ない空気が大好きなので鬼リピしております。
「Lost and Crowned」
ファイアフラワーのお花畑で流れる曲。
ピーチの過去が描かれるシーンなので、ピーチのテーマ曲が優雅にアレンジされています。こちらもちょっと切ない雰囲気が印象的で、筆者イチオシの曲。
最後には劇中でキノピオが吹いていたあの笛の音も流れます。
「Imprisoned」
クッパの元にルイージが連行されるシーンや牢獄でルマリーなどと出会うシーンで流れる曲。
クッパ城の怪しい空気や重い空気が表現されています。
「おうちだよ」
「Courting the Kongs」
ジャングル王国に到着するシーンやクランキーコングが登場するシーンで流れる曲。
いよいよ「ジャングル王国にやってきた!」と実感させてくれる曲です。じつは最初(0:04~)に『スーパードンキーコング』の「JUNGLE LEVEL」が流れています。