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『サイレントヒル』に影響を受けたホラーゲーム『Decarnation』の現実と悪夢の狭間を漂う体験が不気味すぎた。おぞましくもありながら、映画や芸術作品を鑑賞したあとのような満足感が得られる

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「怖いもの見たさ」という言葉が存在するように、人は不思議と恐ろしい物に惹かれてしまう生き物です。それはお世辞にもホラー作品が得意とは言えない筆者も例外ではなく、その欲求には抗うことができないものです。

そんな「見ているだけでどこか不安になりそうな世界」をピクセルアートで見事に表現しきっているのが、今回ご紹介させていただく『Decarnation』という作品です。

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本作の開発者は「シュールレアリズム作品に影響を受けた」と本作の説明文で語っており、最も影響を受けた作品に『サイレントヒル』『不思議の国のアリス』などを挙げています。
ちなみに本作の楽曲は本家「サイレントヒル」の作曲を担当した山岡晃氏をはじめとした多くのアーティストによって制作されているそうです。

実際に本作をプレイしてみて、理解できないからこそ感じる恐怖や突拍子もなく巻き起こる不思議な出来事の数々は、上記の作品たちの影響を色濃く受けているのだと感じました。
しかし、同時に作者の持つ独自の世界観にしっかりとそれらの要素を落とし込んでいるため、本作ならではのプレイヤーの興味を引き付ける展開が巻き起こります。

ちなみに本作のジャンルはアドベンチャーゲームをベースとした中に、アクション要素やパズル要素などが混在する探索型のアドベンチャーゲームとなっており、シナリオだけではなくシステム的にもプレイヤーを飽きさせない工夫が散りばめられています。

それでは前置きはこのくらいにして、ここからは本作の魅力的な要素を一つずつ詳しくお話していければと思います。

文/SINSI

※この記事は『Decarnation』の魅力をもっと知ってもらいたいBeepさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


現実と幻想がひとつになった世界へプレイヤーを引きずり込むシナリオ

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本作の舞台となるのは1990年のパリ。

キャバレーで人気No1のダンサーとして働いている主人公のグロリアが、キャバレーの客として訪れたペトルスという芸術家によって彫像のモデルを依頼されたところから物語の幕が上がります。

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ある日彫像が美術館に展示されたという知らせを受け、グロリアは恋人であるジョイ(画像左の人物)と一緒に自身の彫像を確認しに行くことになりました。

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美術館の展示にはジョン・エヴァレット・ミレー作の「オフィーリア」や
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レンブラント・ファン・レイン作の「テュルプ博士の解剖学講義」など、実在する名画がピクセルアートで再現され並んでいます。どの作品の再現度も高いので、興味のある方はぜひ元ネタとなる絵画も検索してみてください。

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このシーン、謎の男のアニメーションのクォリティが高すぎて筆者は思わず鳥肌が立ちました。本作をプレイする際には、制作者のこだわりが詰まっていそうな謎の男の手つきに注目してみてください。

美術館の最奥の部屋にはお目当てとなるグロリア像が展示されていました。
じっくりと見ようと彫像に近付くグロリアでしたが、ふと何かに気が付き歩みを止めます。

そこにはグロリア像の背後に立ち、彫像をいやらしい手つきで撫でまわす謎の男の姿が……。
グロリアは強い精神的ショックを受けてしまい、一緒に訪れていたジョイにも理由を告げることないまま、美術館から帰宅してしまいます。

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その日の夜、大手の企業であるサン=ルイグループからグロリアのダンスに出資したいという電話がかかってきますが、自分に自信がないためグロリアは返事を保留してしまいました。

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電話を終えてベッドに潜り込むと、グロリアは夢の中で日中訪れた美術館に居ました。
そして夢の中で自身の彫像に近づくと彫像の中からクリーチャーが現れ、この日を境にグロリアは日夜にわたって悪夢に苛まれることになります。

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生きがいであったダンサーとしての仕事や恋人との急な別れ。初めて美術館を訪れたあの日を境にグロリアの日常は崩壊していきます。

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一度に大切なものを失ってしまったグロリアは、一度は保留にしたサン=ルイからのオファーを受けることに。

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約束の場所にやってきたグロリアですが、急にどこからともなく発砲されてしまい、痛みのあまり地に伏せるグロリア。
画像手前の人物に注目していただけるとお分かりいただけるかと思いますが、椅子に腰かけていたのはサン=ルイその人ではなく衣装を着せたマネキンのようなものでした……。

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そして目を覚ますとグロリアは見知らぬ場所に監禁されていました。
突如として現実、夢と共に逃げ場を失ってしまった彼女は一体どうなってしまうのか……。

見入るほど美しく、同時に精神的な嫌悪感を覚える。本作の世界観が表現された秀逸なピクセルアートの数々

本作をプレイしている間、プレイヤーの没入感を増すことに一役買ってくれるのが芸術的といっても過言ではない本作のピクセルアートの数々です。
静止画としての美しさはもちろんのこと、本作はキャラクターを動かすアニメーション部分に関しても非常にこだわりぬいて描かれていると感じました。

こちらの項目ではそんな本作のワンシーンをいくつかご紹介させていただきます。

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こちらはグロリアの悪夢の中でのワンシーン。
奥の扉には彼女が務めているお店「ブラック・スワン」を模した彫刻のようなものが飾られており、椅子に腰かけているのはダンサー衣装を身にまとった夢の中のグロリアです。

観客を模したマネキンたちは全て鉄パイプのようなものが体を貫通しており、首のないものも多く見受けられます。一体この場面がどんなメッセージ性を含んでいるのか、プレイヤーは物語を進めていくうちに理解していくことになるでしょう。

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画像二枚目のポーマルシェ大通りなど、本作には美術品だけではなく実際の地名なども登場します。

変わり果ててしまった悪夢の世界のパリ。
グロリアは「パリはいつだってパリね」と言っていますが……本当に?

建物の寂れてしまった感じや、壁を這う配管のひとつひとつまでが繊細に表現されていて非常に美しいですね。
変わり果ててしまった姿のパリの街には人を模した巨大な石像がそこかしこに落ちており、クトゥルフ神話を彷彿とさせる目玉の生えた触手のようなものが至るところに生えています。

街に居る生物(?)たちは大人しく友好的なためゆっくりとパリの街を観光することが出来ますが、果たして心が休まるのかは怪しいところ……。

肉肉しい……という形容が正しいのか分かりませんが、上の映像は肉肉しい巨大な目玉に飲み込まれるシーンです。
初見ではグロテスクな光景のインパクトに目を奪われてしまいますが、瞳孔の開き方や血走った瞳の表現などがかなり細かく表現されています。

瞳が開閉するたびに周囲も合わせてビクビク動くのが本物の生物感があって中々に気持ちが悪い(誉め言葉)ですね……。

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本作には様々なクリーチャーが登場しますが、筆者が特にお気に入りなのは上の画像のキャラクターです。
本作のPVを初めて見た時から気になっていたキャラクターなのですが、見た目のインパクトもさることながら、その特徴的なキャラクター性が強く印象に残っています。

アドベンチャーゲームという性質上、多くを語るとネタバレになってしまうので深く言及することができないのが残念ですが、本稿を読んで彼のビジュアルが気に入ったのであればきっとお気に入りのキャラクターのひとりになると思います。

多種多様な要素の存在により、プレイヤーを飽きさせない

本稿の冒頭で記載した通り、本作はアドベンチャーをベースとした中にアクションゲームやパズルゲームの要素が随所に散りばめられています。

しかし、本作の操作方法は非常にシンプルとなっています。
ちなみに今回、筆者はNintendo Switch版で遊ばせていただいたのですが、基本的に操作に使用するのはキャラクターの移動のための左スティック(もしくは十字キー)と、いずれかのアクションボタン一つのみでした。

こちらもどんなものが存在しているのかを少しだけご紹介させていただきます。

ダンサーとしてお客さんを楽しませるグロリア。
こちらはリズムゲームパートとなっており、辛い現実や悪夢の世界で沈み切ったプレイヤーのメンタルを回復してくれる癒しパートです。

本作のBGMには良曲が多く揃っており、特にリズムパートで流れるボーカル入りのBGMは必聴となっています。

こちらは悪夢の世界のパリに到着した時に行うことになるQTEです。
失敗すると杭の上にグロリアの分身が倒れ込み、前回詰まったところだけはアクションが自動成功になるという救済措置も用意されています。

参考動画の最後に筆者が目押しを失敗していることには目を瞑って動画をご覧ください。

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そして、謎解きパートはチェスの駒のようなものを正しく配置するものや……

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今までに登場した台詞を誰が言ったのかを照らし合わせるものなど、様々なものがあります。
出題される中には会話シーンが短いキャラクターも含まれているものの、本作はメイン・サブキャラクター共に印象的な台詞が多かったため、いきなり登場するクイズ要素に理不尽を感じることはありませんでした。

※10秒あたりに大きな音が鳴るので、苦手な方は注意してください。

もちろん本作にはホラーゲームではお馴染みのクリーチャーに襲われながら謎解きをするパートも。
簡単操作は本作の売りのひとつであると筆者は解釈していますが、それ故にダッシュのような移動速度を向上させるアクションは用意されておらず、追いかけっこパートは純粋に難しさを感じました。

特に後半では障害物として利用できるギミックを上手く活用しつつ、作動させるギミックの順番を考える必要が存在したりと、一筋縄ではいかない場面も存在していました。

本作のミニゲーム【※】要素には救済措置が用意されているものが存在したりと、普段あまりゲームを遊ばない方でも安心して遊ぶことができます。ですが、基本的には謎解きやアクションなどはノーヒントのものが多数のため、一部のギミックでは「現在、プレイヤーが行っていることのゴールはどこなのか?」ということを理解するために戸惑うものもありました。

しかし、辺りをよく観察すれば自ずと解答が見えてくるものが大半なので、もし本作の謎解きなどで行き詰ってしまった際には落ち着いて辺りを観察したり、改めて考え直してみるのが良いでしょう。

※ここではアクションやリズム、QTEなどをまとめてミニゲーム要素と呼称させていただきます。


冒頭で記載した通り、筆者はどちらかといえばホラー作品を積極的に好むタイプではありません。

その大きな理由の一つとしては、大きな音で驚かせてくるジャンプスケア系統があまり好みではないという理由があるのですが、本作のようにじわじわとプレイヤーを追い詰め、精神的に嫌な気持ち(恐怖を感じる)になれるタイプの作品はやはり面白いなと改めて感じました。

本作で感じたのは一般的なホラー作品で感じるような不気味さや、恐怖心のようなものだけではなく、人間らしい嫌らしさや恐怖も同時に描かれているため、プレイしていて冷や汗をかく場面もありました。
そして本作では「何気ない道を歩いているだけでも不安になる」ような要素が随所に散りばめられており、シナリオへの没入感を最後まで維持したまま遊ぶことができました。

『Decarnation』はPC(Steam)とNintendo Switchでリリースされており、その両方で日本語訳が実装されています。
気になる日本語ローカライズ部分の完成度は高く、重要な場面で不自然なローカライズによって気分が盛り下げられてしまうということはありませんでした。その点が気になる方も、安心して本作をお手に取っていただければと思います。

ライター
幼少期にスーパーファミコンと出会い、それ以来ゲームの虜となる。 気になったタイトルはジャンルや年代を問わずに遊ぶことが多いが、特に好きなジャンルはRPG、ACT、ローグライク、メトロイドヴァニアなど。

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