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『ソニック×シャドウ ジェネレーションズ』は目まぐるしいスピード感をリッチな演出で表現する、懐かしさと新しさが同居するタイトル。ソニックとシャドウのそれぞれの物語が新たなパワーで切り拓かれていく

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セガは、6月25日(火)に発売するカジュアルアクションゲーム『スーパーモンキーボール バナナランブル』と、10月25日(金)に発売する『ソニック×シャドウ ジェネレーションズ』の2タイトルを同時に体験できるメディア向けイベントを6月10日(月)に開催した。

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当日は、午前中に日本メディア向けに『スーパーモンキーボール バナナランブル』の試遊が行われたほか、午後からは海外メディアも参加し『ソニック×シャドウ ジェネレーションズ』の試遊に加えて開発者インタビューも実施された。

こちらの記事ではふたつのタイトルの試遊をピックアップしつつ、本イベントの模様をレポートしていく。また、会場内のあちらこちらにはソニックのグッズが多数並べられていたほか、昼食時にはこのイベントのためだけに用意された特別なメニューも食べることができたので、そちらについてもご紹介したいと思う。

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▲会場内には大量のソニックが!?
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▲ソニックが誕生したハードでもあるメガドライブや、歴代ソニックのタイトルも飾られていた。
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▲こちらは今回のイベントで提供された、「ソニック」「スーパーモンキーボール」メニュー。スパイシーなホットドッグとスイーツ、爽やかなブルーのドリンクガセットになっていた。
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▲『スーパーモンキーボール バナナランブル』のぬいぐるみも展示。

取材・文/高島おしゃむ

ボムが爆発する前に誰かに押しつけて逃げ切る「ボムパニック」など、新たなルールのマルチプレイを体験。おサルを転がすシンプルな遊びをバラエティ豊かなルールでもっと楽しめる

この日最初に行われたのが、Nintendo Switch向けに6月25日(火)に発売される『スーパーモンキーボール バナナランブル』の試遊だ。内容的には以前別の記事で紹介したものとほぼ同様のものであったが、改めて本作の特徴をご紹介しておこう。

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▲『スーパーモンキーボール バナナランブル』の試遊前に、プロデューサーの鈴木信宏氏がゲームの特徴を紹介していた。

『スーパーモンキーボール』シリーズは、ボールの中に入ったおサルを転がしていき、ゴールを目指すシンプルなルールのカジュアルゲームだ。2001年にアーケード版がリリースされたのをきっかけに、家庭用ゲーム機向けにもリリース。これまで発売してきたシリーズ10作品の全世界類型は500万本を突破する人気タイトルである。

今回リリースされる『スーパーモンキーボール バナナランブル』では、自分だけのショートカットを見つけていち早くゴールにたどり着くといった面白さが追加されているほか、最大16人で競えるオンライン対戦モードも用意されている。試遊では、最初にアドベンチャーモードに挑戦。こちらは前回プレイしたということもあってか、比較的スムーズにクリアしていくことができた。

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▲ひとりで遊べるアドベンチャーモードでは、様々なギミックが用意されたステージでおサルを転がしていきながらゴールを目指す。
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▲制限時間内にゴールできればクリア!

続いて、16人で対戦するバトルモードに挑戦。今回は、5つのルールに挑戦することができたが、その中のレースとバナナコレクター、ロボブレイカーについては、以前の記事でご紹介したものと同じだ。それらに加えて今回新たに体験できたのが、「ボムパニック」「ゴールハント」と呼ばれるルールである。

ボムパニックは、ボムが爆発する前に誰かに押しつけて逃げ切るという、爆弾ゲームと鬼ごっこを足したようなルール。最初にボムを持っているプレイヤーはランダムで選ばれるほか、終了ギリギリでボムを押しつけられるなんてこともあるため、最後まで気を抜くことができないのが面白いところだ。

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▲ボムを押しつけ合うボムパニック。残りわずかというタイミングでボムを持たされてしまった!

もうひとつのゴールハントは、点数が書かれたゴールをくぐってポイントを稼いでいくというルール。一斉にスタートを切り、いくつものゴールが設置されたフィールドを駆け抜ける。ゴールによって点数が異なっており、一番奥まで行ってしまうと10点しか手に入らないのもポイント。一度ゴールするとふたたびスタート地点に戻り、また新たにゴールを目指す。

これをチームに分かれて行い、最終的により多くのポイントを獲得したほうが勝ちとなる。実は今回の対戦ではほとんどビリから数えたほうが多いという成績だったのだが、唯一筆者が輝きを見せたのがこのルールで、チーム内ではトップだった。勝負では負けてしまったものの、操作の楽しさにくわえてルールを「掴んだ」感覚がとてもエキサイティングなものであった。

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▲ゴールハントでは、ステージ上にあるどこかのゴールに入れば、繰り返し挑戦することができる。

完全新作の『シャドウ ジェネレーションズ』も収録の『ソニック×シャドウ ジェネレーションズ』。ソニックとシャドウ、ふたつの物語が描かれる

午後からは、『ソニック×シャドウ ジェネレーションズ』プロデューサーの中村俊氏とディレクターの鴫原克幸氏が登壇し、ゲームの紹介が行われた。本作は、クラシックソニックとモダンソニックの両方が楽しめる『ソニック ジェネレーションズ』と、シャドウを主人公にした『シャドウ ジェネレーションズ』のふたつのソフトがひとつにまとまったタイトルだ。

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▲写真左から、『ソニック×シャドウ ジェネレーションズ』プロデューサー 中村俊氏とディレクター 鴫原克幸氏。

『ソニック ジェネレーションズ』は2011年にニンテンドー3DS向けに発売された、「ソニック」20周年記念タイトルのリメイク版だ。リメイク元の発売当時からさらにソニックの人気が広まったことから、新たにさまざまなプレイヤーに本作を遊んでもらうため制作されたという。

本作のディレクターを務めている鴫原氏は、2011年にデザイナーとして『ソニック ジェネレーションズ』に参加。今回の『ソニック ジェネレーションズ』はリマスター版というだけではなく、新しい要素として各地に散りばめられている可愛らしい生命体のチャオを助ける「チャオレスキュー」や、ここ最近のソニックシリーズに実装されている「ドロップダッシュ」という要素も追加されている。これにより、攻略の幅も大きく広がっているところも特徴だ。

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また、オリジナル版ではダウンロードコンテンツとして提供されていた「カジノナイト・ピンボール」も本作に収録されている。盛りだくさんの要素で、これまで『ソニック ジェネレーションズ』を全く遊んだことがない人でも楽しめる内容になっている。

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もうひとつの『シャドウ ジェネレーションズ』は、リマスターではなく完全新作として作られたタイトルだ。シャドウは『ソニックアドベンチャー2』で初めて登場したキャラクターで、これまで様々な作品に登場し、ソニックに次ぐ人気を誇る。今回の『シャドウ ジェネレーションズ』では、すこしダーク、そしてスタイリッシュな魅力を活かしたタイトルに仕上げられているのだ。

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『シャドウ ジェネレーションズ』は、ソニックとは異なりさまざまな能力を使える点が特徴となっている。大きなポイントは、時間を止めることができる必殺技の「カオスコントロール」。それにくわえて新たな力「ドゥームパワー」が追加されている。これは敵の大群を蹴散らすことができるだけではなく、行動範囲を広げることができるという能力で、これにより3Dマップの「ホワイトスペース」内に隠されているアイテムを集めることも可能となっている。

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懐かしさと新しさを併せ持つ『ソニック ジェネレーションズ』。カメラアングルの違いで更なるスピード感を演出

中村プロデューサーと鴫原ディレクターによるゲーム紹介が終わった後、いよいよ本作の試遊に挑戦することができた。まずは、『ソニック ジェネレーションズ』の方からご紹介していこう。

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▲『ソニック ジェネレーションズ』には、PS3やXbox 360版と同じ「白の時空」というサブタイトルが付けられていた。ここからメニューを切り替えることで、『シャドウ ジェネレーションズ』も選べるようになっている。

今回『ソニック ジェネレーションズ』で試遊できたのは、「グリーンヒル ACT1」と「グリーンヒル ACT2」だ。とくに前者のほうは、ソニックをプレイしたことがある人ならば、すっかりおなじみのステージである。構成自体は似ているが、グラフィックが3Dになることでプレイする感覚も新鮮に感じられた。

ソニックと言えばスピードが代名詞にもなっているが、「ACT1」はオリジナルに忠実な横スクロール画面ではあるものの、3Dで作られているという特性を活かして微妙にカメラアングルが変わるところが出てくる。そうしたことも相まってか、よりスピードを感じられるようになった印象だ。

もちろんバックに流れているBGMも、オリジナルのメロディを活かしたものになっているので、久々にソニックシリーズをプレイするという人にとっては、かなり懐かしく感じるのではないだろうか。

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▲懐かしい雰囲気が満載の「グリーンヒル ACT1」。
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▲基本は横スクロールだが、ステージ構成やカメラアングルなども微妙に変化するため立体的に感じられる。

「グリーンヒル ACT2」では「ACT1」とは打って変わって、レースゲームのような視点でソニックを操っていくことになる。横スクロールのソニックもかなりのスピード感がある作りになっているのだが、そちらとはひと味違った疾走感が味わえるところが魅力である。

ときおりソニックが空中に舞い上がったり、あるいは横スクロール風になったり、さらには邪魔する敵を蹴散らしたりといっためまぐるしいアクションが連続で楽しめるところもポイントだ。

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▲突き進んでいく先に、いったい何が待ち受けているのかわからない楽しさがある。
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▲カメラの位置も場面に合わせて切り替わっていく。

『シャドウ ジェネレーションズ』は目まぐるしく入れ替わるステージとボス戦がアツい。新たなパワーを使って道を切り拓こう

完全新作として作られた『シャドウ ジェネレーションズ』のデモ版では、用意されていたステージすべてをクリアすることができた。

『シャドウ ジェネレーションズ』でプレイ出来たのは、「スペースコロニーアーク ACT1」とボス戦の「バイオリザード」だ。最初に簡単なゲームの説明は聞いてはいたものの、実際にどのような形でプレイしていくのかは知らないまま、実際に挑戦することに。しかし、れによって本作の楽しさをより理解することができた

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「スペースコロニーアーク ACT1」では、『ソニック ジェネレーションズ』の「グリーンヒル ACT2」のように、横スクロールではなく手前に向かって画面内を移動していくようなステージとなっていた。面白いのは、初見プレイでゲームの操作方法もよくわかってない状態であったにも関わらず、必要な場面である程度ラフにボタンを押していっても遊べるようになっていたところだ。

なんというか、「習うより慣れよ」といった感じなのだが、決してスパルタ感はなくゲームを遊んでいくうちに身についていくような感覚に近い。最初は困惑しながらゲームをプレイしていったのだが、徐々にそれが楽しくなっていき、後半はむしろ快感に変わってしまうほどであった。

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ローラースケートで疾走していくようなアクションのシャドウだが、とにかく視点がめまぐるしく入れ変わり、プレイヤーが没入できるようなステージ構成になっていた。登場するアクションも豊富で、レールの上を疾走していくような場面があったかと思えば、ジャンプ台のようなもので高台に移動していくといったこともできる。

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また、「カオスコントロール」や「ドゥームパワー」を使って困難を乗り切るといった場面も登場する。ステージのいくつかのポイントには「?」が書かれた場所がある。そこには攻略するためのヒントが書かれているので、慣れないうちはチェックしておくのもいいだろう。

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▲手前から迫り来る巨大なオブジェ。「カオスコントロール」で時間を止めて切りぬけよう。
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▲こちらはボス戦のときに表示されたヒントだが、このような形でステージ中のヒントを見ることができる。

特に驚いた演出が、ヒトデのようなブラックドゥームが現れた場面だ。まるで映画の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場した演出のように、世界が崩壊していくような感覚に襲われる。そして、その中で先を目指して突き進んでいく面白さがあるのだ。

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もうひとつ『シャドウ ジェネレーションズ』で体験出来たのが、ボスキャラ「バイオリザード」とのバトルである。体も大きいが、その攻撃もかなり強く、ちょっとでも油断してしまうとすぐにこちらが倒されてしまうという、なかなかの強敵であった。しかし、攻撃を避けているとときおりここを狙えといわんばかりの表示が出る。そこに攻撃を当てていくことで、徐々にダメージを与えることができるのだ。

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▲ボスキャラである「バイオリザード」とのバトル! 敵の攻撃を避けて隙を狙おう。
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▲背中にあるコアのような部分に攻撃を加えると、次の形態に進化していく。

「バイオリザード」背中にある巨大なコアのような部分に攻撃を加えることで、次の形態に進化していく。最終的には宙に舞い上がり、シューティングゲームのように敵の攻撃を撃ち返していくという場面も登場する。そしてシャドウの能力である「カオスコントロール」で時間を止めてダメージを与えることで、一気に倒すことができた。

「過去の冒険をもう一回思い出してみよう」というテーマで制作された『ソニック ジェネレーション』と、挑戦の『シャドウ ジェネレーション』。『ソニック×シャドウ ジェネレーションズ』開発者インタビュー

──本作の開発経緯を教えていただけますか?

中村氏:
今年はシャドウの年ということで、2作目の映画の最後にシャドウが出てきました。やはり映画の効果はすごく大きいです。映画を観られた方に「シャドウがどんなものなのか知っていただきたい」という気持ちがベースにありました。

『ソニック ジェネレーションズ』は20周年作品として評価をいただいていると同時に、「ソニック」の周辺知識もいろいろと知ることができるタイトルです。ですが、同作の内容はすでにプレイされた方もいますし、当時のハードではリッチな部分は出しきれていませんでした。

「シャドウもゲーム内に入れたいな」という話をしている中で、『シャドウ ジェネレーションズ』でシャドウの遊びを作ってみたらどう?という提案があり、そこからスタートしています。

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──シャドウのタイトルを作るにあたって難しかった点はありますか?

鴫原氏:
シャドウは新しく「カオスコントロール」を使えます。ですがそれだけでは以前と同じなので、追加の要素として「ドゥームパワー」を追加しています。

「既存のソニックユーザーにどうやったらシャドウを受け入れてもらえるのか?」と悩みましたし、速さがなければ「ソニック」作品ではありません。その両立が難しいところでした。

──今作は『ソニック ジェネレーションズ』と『シャドウ ジェネレーションズ』という、リマスターと完全新作のセットとなっています。なぜこのセットになったのでしょうか?

中村氏:
ソニックとシャドウすべてを1から作るとなると、すごく時間がかかってしまいます。再定義するというのも難しい中で、今回は映画公開のタイミングがありました。映画をご覧になった方に本作を届けることで、IPとして広がりがあるかなと考え、新しいことはシャドウでチャレンジすることにしました。

最初はまったく別物のタイトルにすることも考えていました。ですがそれでは統一感がなくなってしまいます。ジェネレーション形式にすることでタイトルの統一感もありつつ、映画をご覧になった方にお届けすることもできるのでこの形になりました。

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──2本のストーリー的な関連性について、言える範囲で教えていただけますか?

中村氏:
あんまり言えないんですけど(笑)。シャドウは『ソニック ジェネレーションズ』の裏の話が描かれています。

鴫原氏:
『ソニック ジェネレーションズ』の中に出てくるシャドウというのは、ソニックがカオスエメラルドを集めていく過程で戦うライバルのひとりとして登場します。シャドウはそこにしか出てきませんが、ソニックが活躍する間、シャドウは裏で何をしていたのか?という部分が描かれています。

──リメイク版で変わった部分はなんですか?

鴫原氏:
ハードの性能も変わっているので、よりリッチな表現ができるようになりました。スピード感は周りの背景の表現で変わります。その背景がリッチに作れるというのが、変わったところだと思います。

中村氏:
今作でいうと、いつものソニックではひとつの絵面で最初から最後まで完結しますが、途中で絵が大きく変わるような表現があります。以前までは工夫すればできましたが、大変でした。

今回も工夫はしていますが、行ったり来たり、入ったり出たりが自然にできるようになっています。それがーム内の設定でも重要な役割を果たしているのが、今作ならではのポイントです。

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──元々『ソニック ジェネレーションズ』という作品がある中で、『シャドウ ジェネレーションズ』を作るときに気を付けた部分はありますか?

鴫原氏:
『ソニック ジェネレーションズ』はスピードランとして評価いただいているので、その方針を変えないようにしています。なおかつ、シャドウの能力も使って楽しめるという点に注力しています。

中村氏:
『ソニック ジェネレーションズ』は、ソニックに新たな力は足さずに「過去の冒険をもう一回思い出してみよう」というテーマで作られています。ですが、今作にあたってはちょっと新しいことを入れています。

今回遊んでいただいたバイオリザードというボスも、今までは最初のフェーズで尻尾に追いかけられて、そこから登って攻撃する……というような流れが主でした。今作ではこの戦いでなぜか手が生えてきますが、これは今までの『ジェネレーションズ』だと思っていたお客さんに対して、ひとつの驚きを与えたくて入れています。

『ジェネレーションズ』という体をとりながらも、遊びとしては新しいものを提供することで違和感がなく、かつ両方のタイトルを楽しんでもらえるようにチームとしては苦労しながら作りました。

──『シャドウ ジェネレーションズ』では「ドゥームパワー」が新しい要素として入ってきました。これをホワイトスペースで使うというのはどのようなイメージになるのでしょうか?

鴫原氏:
いくつか「ドゥームパワー」を用意しており、それを使ってホワイトスペースの中を移動することもできます。もちろん得た能力はACTの中でも使えるので、通過済みのACTも能力を得てからやり直すことも可能です。

中村氏:
「ドゥームパワー」としてわかりやすくお見せしているものは「羽が生える」というものだけなので、実際に遊びとしてどのように機能するのかという点に関しては、まだお伝えしていません。そういった遊びの広がりが今回の新しいチャレンジになりますし、次回の機会にお伝えできればと思います。

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──今回試遊できたものではシャドウは3Dオンリーでした。こちらは全編3Dオンリーになるのでしょうか?

鴫原氏:
『ソニック ジェネレーションズ』では、クラシックソニックが2Dオンリーのステージ、モダンソニックが2Dと3Dが入子構造のステージになっています。

『シャドウ ジェネレーションズ』は、今回見ていただいたものは3Dオンリーですが、別途2Dの遊びも用意しています。

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──ボス戦のバイオリザードですが、すこし難易度が高く感じました。初めてプレイされる人たちに対して、難易度の変更などはできるのでしょうか?

鴫原氏:
難易度を調整することはできません。ですが、今回の試遊ではACTをプレイしたあと、すぐにボス戦に挑戦することとなりましたが、実際はその間にプレイを積み重ねた状態で戦うことができます。難易度曲線的にはそこまで急に難しくなることはないと考えています。

バイオリザードは過去作のラスボスでもありますので、あの難易度になっています。

──シャドウがメインになるのは久しぶりですが、シャドウの魅力について教えていただけますか?

鴫原氏:
暗いというか、黒ってかっこいいなって思いました(笑)。それとの対比で、ソニックは爽やかで清々しい。改めてその両方の魅力に気付きました。

中村氏:
シャドウを好きな人は、開発陣の中でもかなり多いんです。なので、コレクターズエディションに関しても、「何が欲しい?」というようなアンケートをとったりもしています。

シャドウがメインに活躍したのは結構前なので、思い出を胸に本作の開発者になった方もいます。そういった方の意見を参考にしたり、クオリティを上げていく中で「シャドウの魅力に沿っているか?」という視点をバラメーターとしてうまく取り入れたりして作ってきました。

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──最後に、本作を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。

鴫原氏:
本作は、『ソニック ジェネレーションズ』がスピードランとしてお客様に受け入れていただいたことを基に、シャドウならではのスピードランを作りました。ぜひプレイしていただきたいです。

中村氏:
ソニックに関しては、今まで知っていただいていた方もいらっしゃると思います。映画などさまざまなシャドウの試みを通して、ぜひシャドウも知っていただきたいです。本当にすごく魅力的なキャラクターなので、みんな気に入ってくださるんです。

本作をどんどん盛り上げて、ソニックとして最高のゲームを作っていきたいと思っていますし、ぜひ両方遊んでいただけると嬉しいなと思います。昔遊んだ方も、ぜひもう一度ソニックをプレイしていただきたいです。

ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。

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