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名作サバイバルホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R.』(ストーカー)は令和に遊んでもやっぱり面白い! 弾道の乱れや弾詰まりの危険が付きまとう銃撃戦、NPCが自律的に行動するシステムなど、本当に十数年前のゲームかと二度見してしまう先駆性

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殺(や)るか、殺(や)られるか―

サバイバル系ファーストパーソンシューター(FPS)『S.T.A.L.K.E.R.(ストーカー)』の内容を簡潔に表するなら、そんな感じだ。

軽い気持ちで向き合えば、情け容赦なく殺される。
”過酷”のひと言すら生ぬるい、生き残りをかけた闘争がそこにある……

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……のだが。「もう一回!」「まだ終わっちゃいない!」「なにをぉ!」との気持ちが刺激され、不思議と闘争の場へと戻っては繰り返してしまう。

そして、気付いた頃には長時間が過ぎ去り、いつしか自分自身が闘争の刺激と生き残る快感の虜にされてしまっている。

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カルト的な人気を誇ると同時に、今日展開されている数多くのFPS作品に多大な影響を与えたとも言われている本作。

筆者自身、その名は他のFPS作品の紹介・批評などで時折耳にしたことはあったものの、遊んだのは今回、プレイレポート執筆のお話をいただいたPlayStation 4版『S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy(ストーカー:レジェンズ・オブ・ザ・ゾーン・トリロジー)』が初めてだった。

そして実際に遊んでみて、心の底から実感した。これは確かに刺さった人であれば、延々と遊び続けてしまう魅力を持つFPSだ。カルト的な人気を確立するのも無理はないというか、自然の摂理だとすら思ってしまった。

逆を言えば、メチャクチャに人を選ぶFPSでもあるが、それも含めても本作には他のサバイバル要素を持ったFPSでは味わえない、唯一無二の体験がある。

2024年6月27日にはPlayStation 4限定ながら、パッケージ版も販売される本作。もし、ストーリーに沿って進めていくタイプのFPSやら、対戦特化型のFPSに物足りなさを感じている人がいるなら、ぜひ挑戦していただきたいタイトルである。

だが、大事なことなので繰り返そう。
軽い気持ちで向き合えば、マジで情け容赦なく殺されるぞ。
そもそも、一切殺されずに進めていくことは無理なので、まずはそれを受け入れよ。

文/シェループ

※本稿記載のプレイレポートは、シリーズ第1作『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』を主としていることから、スクショも同作のものが多めとなっています。また、機種はPlayStation 4版となります。

※この記事は『S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy』の魅力をもっと知ってもらいたいセガさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


未曾有の大事故を起こした封鎖区域で、生き残るために戦い続けるサバイバルFPS

詳細な見所を紹介する前に、今回の『S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy』のことを。『S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy』は、2007年から2010年にかけ発売された『S.T.A.L.K.E.R.』のシリーズ3作を1つにまとめたタイトルだ。

パッケージ版は6月27日発売だが、ダウンロード版は3月7日より、PlayStation 4、Xbox(Xbox One)向けに配信中となっている。なお、ダウンロード版は作品ごとの個別購入も可能である。

『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズ3作の共通の舞台となるのは、ウクライナ・チョルノービリ原子力発電所の封鎖区域。

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▲現実にも1986年4月26日に起きた、チョルノービリ原子力発電所の爆発事故(『S.T.A.L.K.E.R.: Call of Prypiat』のオープニングより)

キーウ州プリピャチに構えるチョルノービリ原子力発電所は、1986年4月26日に4号炉が大規模な爆発を起こし、膨大な量の放射性物質が半径50キロ内に汚染および沈着。周辺国にも飛び散るという、未曽有の大事故を引き起こしたことで知られる。2024年現在も爆発事故の影響で住民が退避したことから、現地は廃墟が広がるゴーストタウンと化している。

以降は『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズにおけるフィクションだが、そんな事故の跡地で2006年、謎の大爆発が起き、半径30キロ内が再び放射性物質で汚染されてしまう。それから6年後の2012年、汚染によって立ち入り禁止になった一帯に「ゾーン」と呼ばれる未知の領域が出現。そして、この場で生死に関わる依頼と引き換えに、多額の報酬を得て生計を立てる「ストーカー」なる者たちが住み着くようになった。

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本作でプレイヤーはこの「ゾーン」と称された区域で、一攫千金を狙う悪党たち、放射性物質の影響で突然変異した異形の存在「ミュータント」を相手にしながら生き残ることを目指す。厳密には3作品それぞれ、プレイヤーが扮する固有の主人公とストーリーが存在するのだが、それについては後述する。

遊び方としては、ゾーンの至る所で発生するクエストに挑んで、それを攻略していく形だ。これは3作共通となっている。ゾーン内のフィールドはオープンワールド【※】で構築されており、ゲームスタート間もない頃から、色んな場所へと自由に行き来できる。

※実際には複数の箱庭フィールドを繋げた感じの構造となっており、境界線に到達すると移動メッセージと同時にフィールドの読み込み(ロード)が発生する。

だが、曲がりなりにも原子力発電所の事故があった一帯。あちこちに放射性物質で汚染された場所が存在し、近づいて長居すれば被ばくしてしまう。被ばくすれば当然、プレイヤーの体力はみるみる削られていき、最終的にはゲームオーバーとなる。そういう危険極まりない場所が舞台になっていることはお忘れなく。

ちなみに本作は体力ゲージによる消費制が採用されており、回復は専用のアイテムを用いて実施する。被ばくも特定のアイテムを使えば回復可能だが、体力も含め、アイテムそのものが無いと打つ手なしなことに要注意である。無くてはどうにもならないのだ。

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▲よく見ると、歪んでいるような場所が……

汚染区域と関連するもので、「アノマリー」と呼ばれる謎の歪みが生じている場所も。ここも近づけばダメージを受けてしまうが、「アーティファクト」なるプレイヤーのステータス強化を図れるアイテムが隠されているケースもある。そのため、時には意を決して調べてみることも必要になってくる。

システム面では被ばくと同じ状態異常として「出血」、武器を含むアイテムの重量制限といったものも。前者は敵との戦闘時にダメージを受けると発生し、程度が大きければ、放置しておくだけで体力がどんどん減ってしまう。減った末に待つ運命は……言うまでもない。そのため、「包帯」を用いた止血も適時求められてくる。

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後者もアイテム、武器などはバックパックに収納するのだが、一定の重量を超えるとプレイヤーが疲れやすくなったり、酷いと動けなくなる問題が生じる。

このことから、本編では持ち運ぶアイテムを減らしたり、制限する管理も必要。なんでもかんでも持ち運べるわけではなく、そんなことをすれば自らが戦いにくくなるデメリットが生じるので、これまた要注意である。

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▲L1ボタンを押せば、装備の切り替えを迅速に行えるホイールも表示。

他にアクション周りに関しては銃火器やナイフなどの近接武器による攻撃、高速移動(ダッシュ)、銃弾の装填(リロード)、相手に狙いを付けるエイム、しゃがみなど、FPSの定番を網羅。(※DUAL SHOCK 4、DualSense操作の例になるが)ボタン配置もL2ボタンでエイム、R2ボタンで射撃と、FPSを幅広く遊ばれている人ならすぐに馴染めるだろう。

オリジナル版は2007年から2010年にかけて発売。ストーリーが順番に繋がっているので、1作目からのプレイを推奨。

前述したが、『S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy』には2007年から2010年に発売されたシリーズ3作を収録している。

それぞれの作品のストーリー、特徴は以下にまとめた通りとなる。

S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl

2007年に発売されたシリーズ第1作。この時点でステータス異常、重量制限、アノマリーなどの要素およびシステムが登場している。また「派閥」なる概念があり、それぞれの勢力に対してプレイヤーがどんな行動を取ったかで、その関係性が友好か中立、あるいは敵対に変化するようになっている。

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▲プレイヤーが扮する記憶喪失の主人公「マークド・ワン」

ストーリーは記憶喪失の主人公が唯一残された手がかり「ストレロクを殺せ」のメッセージを手がかりに、真相を求めてゾーン内を探索していくという内容。

S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky

2008年発売のシリーズ第2作。ストーリーは第1作の前日譚で、ゾーンの解明に向けた調査を行う「クリアスカイ」なるグループの戦いに焦点を当てたストーリーが描かれる。そのためか、前作にも増して銃撃戦のクエストが多め。

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また、舞台となるフィールドは一部が前作と共通している。

S.T.A.L.K.E.R.: Call of Prypiat

2010年発売のシリーズ第3作。第1作のエンディングの後を描いた後日談で、ゾーン中心部へと向かいながら謎の失踪を遂げた軍事遠征隊の行方を探るため、主人公のアレクサンダー・デグチャレフ少佐が現地調査に挑むというストーリー。

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サブクエストの充実、新種ミュータントの追加などが行われている。また、フィールドは前2作から一新された独自のものになっている。

基本的にトリロジーであれば3作どれからでも始められるが、ストーリーが地続きになっており、特に3作目のオープニングでは1作目のエンディングのネタバレが語られるため、最初は『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』から始めるのがおススメだ。

システム面でも3作目の『S.T.A.L.K.E.R.: Call of Prypiat』が最も洗練されていることから、1作目から順番に進め、その進化の過程を確かめながら楽しむのがいいだろう。

数多くの独自仕様が、生存闘争としての本質と真理を叩きつける!

全体としては、プレイヤーに大きめの制限のかけられたFPSとの印象が前述の概略などから掴めるかもしれない。とは言え、アクションや操作感がFPSの定番を踏襲。「制限周りに気を付ければ、普通に遊べるFPSなのでしょう?」と考えやすい。

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現に筆者も最初に選んだ『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』のスタート直後は、そんな考えだった。オープンワールドでサバイバル要素のあるFPSとして、ユービーアイソフトから発売されている『ファークライ』シリーズの経験もある。

なので、ほぼあれに近い感覚で遊べるのだろうと、そんな思いのまま、最初のクエストである悪党たちとの銃撃戦に仲間のサポートも得る形で挑んだ。その結果……

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闘争はあっけなく終わりを迎えた。

……いや、ちょっと待て。なんで悪党を倒せない? クエスト受領時に提供された拳銃を装備して、相手に向かって発砲したのにどうして倒せない? というか、なんか命中していないように見えるのは気のせいでしょうか。

など、戸惑いながら最後のセーブからコンティニューしてみると、なんと本編スタート地点にまで戻された!思わず変な声が出ると同時に、「オートセーブのはずなのにどうして!?」と激しく動揺した。

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▲実は2度目のオープニング。(手動セーブを実施しないと、本当にここまで戻される)

どうやら本作、オートセーブはあるものの、適用範囲はかなり絞られている模様。察するに次のオートセーブ適用範囲は、悪党たちとの銃撃戦に勝利した時らしい。

だが、それとは別に手動型のセーブがあり、これがかなり細かく記録できることが判明。これで疑似的なチェックポイントを作りつつ、再び悪党たちの銃撃戦に挑むもまたもや敗北。しかも、サポートの仲間まで全滅してしまった。それどころか、銃撃戦開始と同時に身を乗り出したら、一撃で仕留められた。攻撃すらできていない。やる前にやられた。

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「いや、体力満タンなのに!?なんでや!」と、再開して今度はそれを防ぐも、やはり負ける。そうこうしている内にコンティニュー回数は2桁を超過し、次第にこのゲームのヤバさを理解していった。

何がヤバいのかと言えば銃火器だ。最初に抱いた「命中してないんじゃね、これ?」という感覚は間違っていなかった。実際、当たっていない!特に遠距離から撃った時がそうなりやすく、時々、サイトで狙いを付けている所とは見当違いな壁などに命中してしまう。

じゃあ、近づいて撃ち込めばいいのかと言えば、確かに当たりやすくはなる。しかし、まれに相手の一撃で屠られる。ならばサバイバルホラーの某金字塔よろしく、近接武器のナイフ縛り……をする前に撃ち殺されました。

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他にプレイしていく内に、「銃火器にもステータスが存在して低品質なものなら弾詰まり(ジャム)を起こす」「体力の消耗が激しいと疲弊してほぼ動けなくなる」「装備切り替えのメニュー(インベントリ)を開いている時にもゲームは進行している」といった、ヤバい情報の数々が分かると同時に知識として蓄積されていった。また、実はもう少し性能のよい銃火器(サプレッサー付き)が周辺に隠されていることも、コンティニューを繰り返すにつれて気づかされたりした。

そんな数々の失敗と学びを経験した末、ついに銃撃戦に勝利。やっとストーリーが進んだのだった。

あくまでも1つのケースだが、いかに本作が軽い気持ちで向かえば、容赦なく殺されるFPSなのかが察せたかと思われる。のっけからこれなのである。

しかも、セーブの仕組み、弾詰まり、時間経過などを教えてくれるチュートリアルはない。チュートリアル自体はあるが、教えてくれるのは基本操作だけで、細かい仕組みは数多くの敗北を得て知っていくしかないのだ。色んな意味でお察しいただけたかと思う。

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▲背後から突然のミュータント!(おまけに周囲は真っ暗)

ちなみに序盤を越えた後も「殺るか、殺られるか」の連続である。何気なしに廃墟に足を踏み入れたら、潜伏していた悪党たちにハチの巣にされる、迂回しようとしたら汚染区域に飛び込んだ挙句アノマリーに突っ込んで自滅、新たな仲間かと思って近づいたら銃を向けられて一斉射撃を喰らって排除、犬の鳴き声が近いと思ったら急にミュータントの大群が現れて貪り食われるなどなど……。

それでも、経験の浅い序盤に比べるとやられにくくはなり、オートセーブ頼り過ぎによる巻き戻しは生じなくなったが、それでも意図しない時に殺られる瞬間が訪れる。だからこちらも、全力で殺る構えを取り続け、殺ったら殺ったで相手の装備をはぎ取って、対抗するための手段を強化しなくてはならない。

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▲ミュータントの群れが襲い来る!(『S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky』より)

まさに生存するための闘争である。これこそが『S.T.A.L.K.E.R.』なるFPSの正体にして、サバイバルたる所以だったのである。尖り過ぎとも言う。今日のFPS作品にも滅多にないぐらいゴリゴリである。

「そうは言っても、見た感じは普通のFPSと変わりないが……」と未だ思うならば、第1作の最序盤で戦う悪党たちに正面からぶつかってみればいい。本作の戦いが正真正銘の闘争であることを思い知らされるはずだ。

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ちなみに難易度を最も低い「ルーキー」にしても「殺るか、殺られるか」は、3作どれも変わらない。実際、途中で難易度を下げて再チャレンジしても変わらなかった。ただ、多少ながらアイテムは手に入りやすい感じにはなるので、まずはゲームに慣れる目的で「ルーキー」から始めることを強く推奨する。

その後、標準の「ストーカー」に上げるか、そのままで行くかはお好みでどうぞ。

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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