『神箱 – Mythology of Cube -』(以下、『神箱』)は、町作りのついでに世界を救うRPGである。
私は、本作を遊んでいく中で、この結論に達しました。
本来、『神箱』は世界を “修復して” 救っていくRPGなんですが、「パズル」や「ダンジョン攻略」などメインストーリー以外のお遊び要素も充実しています。「町作り」もそんな遊び要素のひとつです。
そう聞くと、「そんなに熱を入れるほどのものじゃないのかな?」と、オマケ要素的に思ってしまう部分があるかもしれません。
しかし、実際に本作の町作りに向き合ってみると、やれることの多さ、自由度の高さに驚きました。
その驚きとともに町作りを始めてから数時間……。
気がつけば、世界を救うという物語のメインディッシュには一切手を付けず、サイドメニューの町作りに没頭する主人公の姿がそこにありました。
しかし、「このまま、町作りを進めていきたい……!」と思った矢先、資源不足という高い壁が私の眼の前に立ちはだかりました。当然なのですが、町を作るためにはものすごい数の資源とお金が必要なのです。
そして、それら素材を集めるための手っ取り早い手段として思いついたのが、世界を救うこと。世界を救えば、お金と資源がガッポガッポと手に入ります。開拓者として、これを逃す手はないでしょう。
世界を救うのは簡単ではありません。非常に労力もかかるのでとっても大変……。しかし、町を作るという大いなる目的のためには、時に世界を救うという細事に取り組まなければならないこともある。今回はそんなお話です。
※この記事は『神箱 – Mythology of Cube -』の魅力をもっと知ってもらいたいグラビティゲームアライズさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
世界を救う旅よりも「町作り」に興味を惹かれる
さて、『神箱』のメインとなる目的は、女神様から課せられた「魔王の死後、断片化が進んだことにより崩壊しつつある世界を修復する」任務を達成すること。
プレイヤーは “修復者” として、その身を広大な世界へと投げ出します。まぁ、要するに「世界を救え!勇者よ!」って感じのテンションですね。多分。
とあれば、こちらも「世界を救うぞ!修復者よ!」という意気込みで旅立つのが渡世の仁義。
この世界を脅かす憎きモンスターたちを討ち滅ぼさんとすべく、高い志を持って冒険の旅路を歩んでいた……のも束の間、旅の仲間である妖精のイリスから衝撃の事実が告げられ、事態が一変します。
彼女の語るところによると、なんでも、主人公にはこの世界を発展させるために人々を導く力、「町作りの能力がある」らしいんです。
……なんですか、そのおもしろそうな能力は。
そんな話を聞かされてしまっては、いてもたってもいられません。『どうぶつの森』で妹から端末を奪われ、村作りの全権を委任することになった私のデザインセンス、いかんなく発揮してやろうじゃないですか。ちょっとくらいの寄り道なら、女神様も許してくださることでしょう。
町作りを始めて、まずおもしろいと感じたのが、フィールド上の好きな場所に好きな大きさの村や町を作ることができること。
さすがに既に町として発展している場所を再開発するなんて芸当はできませんが、それ以外のほぼすべての場所で、ニュータウンを建設することが可能なのです。
そして、目当ての空き地を村に変える方法は非常にシンプル。柵で囲んで施設を建設する。それだけ。
施設の建設システムもとても分かりやすく、素材さえあれば、好きな場所に好きな数だけ建てられます。これだけシンプルで分かりやすいと、創造性に乏しい私でも、深く考えずに町作りを楽しむことができて良いですね。
……ちなみに、プレイ中に何回かやらかしてしまったんですが、これらの囲いを一部だけでも撤去してしまうと、町の存在そのものが無かったことになり、町が消滅します。つまり、囲いこそが町の本体であり、町そのものなのです。怖え。
それはともかく、町作りの自由度の高さを目の当たりにしたところで、最初にやってみたくなるのは、普通とはちょっと違うところに町を建設すること。たとえば、水上都市。言葉の響きからしてワクワクしてきますよね。
ただ、水上都市に関してはちょっと難しそうだったので今回は断念。身の丈に合った町作りをしていきましょう。
ということで、空中都市「マチュピチュ」(世界遺産)をイメージして作ってみたのが、こちらの山上集落。
雲よりも高い場所に作られたこれらの建築物は、まさに空中都市といった趣。一般的な、自分で町を建設しないタイプのRPGでも、こういうところに町があると自然とテンションが上がってしまうもの。
『神箱』の自由度の高さを伝える一発の花火としては、可もなく不可もなくといった具合の空中都市ですが、残念ながら、町作りをしたという達成感には乏しいものがありました。
そもそも、周囲に上手く囲いを作ることができなかったので、町にすらなっていないんですよね……この場所。
こんな感じで、お試し的に色々な場所で町作りをしてみて率直に感じたのは、「町を作った達成感が欲しい!」ということ。修復者の冒険に必要最低限な施設を建てた村をいくつも作って、冒険をスムーズに進められるようにするというのも魅力的ではありますが、それだけではどこか物足りません。
となると、やることはアレしかないでしょう!
そう!! 大都市建設です!!!
ゲームの中に登場する大都市よりも発展した都市を自らの手でプロデュースすることができたとしたら、それはとても素敵なことだと思うのです。
大都市建設を目指したところ、資源とお金不足の壁にぶち当たる
……ということで、世界を救う崇高なる任務と、「その心に、救世の意志が宿らんことを。」という女神さまのありがたいご神託は、一旦、頭の片隅に追いやり、大都市建設計画にふさわしい土地が無いか、フィールドを歩き回って入念に視察することに。
今回、私が大都市建設予定地に求める条件は、
・とにかく広い
・鉱山資源豊富な山に囲まれている
・木材が採取できる
・最寄町から徒歩数秒
このあたり。
各地を歩き回って探索した結果、これらの条件を概ね満たす良い感じの空き地を見つけることができました。「もうちょっと広い場所を探してもよかったかなー。」と感じる部分はあるものの、これで、夢の大都市建設計画への第一歩を踏み出すことができました。早速囲って施設を建てていきましょう。
最初は何もない殺風景な村からのスタートですが、いつか、「私が町長です。」と名乗っても恥ずかしくないようなくらいの街並みを作ってやろうじゃありませんか。
そして、このタイミングでもうひとつ決めておきたいのが、作り上げる町のコンセプト。『神箱』で建設できる施設は、その種類も豊富で、教会から賭博場までさまざま。プレイヤーの多様なニーズに対応しているのです。
たとえば、神に祈りをささげる教会の裏で、賭博場や闘技場が異様な熱気を放つ……そんな怪しげな空気感の漂うディープな町を作るのもおもしろそうです。
しかし、賭博場や闘技場といった荒れた空気感の漂う施設たちは、建設するだけでその町の治安を悪化させてしまうんだとか。
しかも、治安が悪くなった町では、建築物を破壊するモンスターが出現する確率が高くなるらしいです。せっかく作った町を無残に壊されてしまってはたまったもんじゃありません。
世間のルールに縛られないフロンティアスピリッツを持つ、ルール無き者たちの憩いの町建設計画については、今後とも前向きに検討させていただくことにしましょう。
ひとまず今回は、クリーンな町作りを目標に掲げることにしたいと思います。
目指すは真逆の教会とアカデミアに溢れた学園都市!
勉強が嫌いでゲームばっかりやってる私がこんな目標を立てるのもきまりが悪いですけど!!
ともかく、これで町作りの場所と方向性も決まりました。いよいよ本格的な町作りのスタートです!
さて、町を作るためには、敷地内に建物を並べていけばいいわけですが、これらの建物を建てるためには、資材とお金がメチャクチャ大量に必要です。
資材を入手するための方法もまたシンプルなのが『神箱』の嬉しいところで、資材確保に必要な施設を建てれば資源が生産され、プレイヤーはその一部を分けてもらうことができます。
ただ、問題なのは、生産される資材の中から私に分けてもらえる量は雀の涙であるということ。建物をいくつか建てたらすぐに枯渇してしまうレベルの少なさなので、住民たちに働かせど働かせど、町作りの効率は上がっていきません。
そこで町作りの効率アップのために使ったのが、“特産品” のシステム。『神箱』では、作った町ごとに3つずつ特産品を設定することができ、特産品に指定された資材は、道でつながった近隣の町へ流通し、その町のお店で販売されるようになるのです。
つまり、無料で分けてもらうのではなく、正規の値段で購入して入手することで町作りの効率をあげるという方法。流通が生まれれば、資材が入手しやすくなる。この特産品の概念は、おもしろいなと思いました。
手元に資材が増えると、施設の建築も進み、町の発展レベルが上がっていきます。
そうなると、町の住人も増えてきて、すれ違う人すれ違う人が「修復者様!」と声をかけてくれます。何もない山の上で住民が歩き回っている光景はシュールではありますが、住民が増えて町に活気が訪れるのは良いことですね。
資材を収集し、流通させ、町の発展を進める。順調に進んでいく大都市計画ですが、ここで問題になってくるのが素材の収集スピード。『神箱』には日付の概念があり、資材が採集される日が6の倍数の日と決まっているのです。
もちろん、特産品が流通して近隣の町の店に並ぶまでにも時間がかかりますから、待ち時間がどうしても発生してしまいます。
宿屋に泊まったりキャンプで休んだりと、日付を簡単に進める方法はいくつかありますが、それをやってしまうのはモラル的にどうなんだろうという気持ちもあります。
それに、もう一つ気になっているのがお金の問題。基礎素材は比較的安い値段で買うことができるものの、今後必要な数を考えると、資金不足への不安がつのります。
……よし、困っている人たちを助けて、お金や素材を分けてもらおう。
町作りのついでに、困っている人たちを助ける
ということで、手っ取り早く資材やお金を集めるため、近くにいる人たちを助けることにしました。
クエストには、世界の各所にいる人々から受けられるものと、酒場で受けられるものがあり、達成することでお金や素材を入手することができます。
アルコールと情報のるつぼ、酒場も建設可能な施設。いずれは、あの町にも建てていきたいですね。
酒場で受けられるクエストには、特定のモンスターを倒すものもあるので、こちらを積極的に受けていきます。モンスターたちは、倒すと素材を落としてくれることもあるので、一石二鳥なんですよね。
ちなみに、『神箱』の戦闘はちょっと独特。なんと、主人公は一切敵を攻撃することができないのです。
戦闘中にプレイヤーにできることは、主人公の代わりに戦ってくれる仲間をアシストすることと、スキルを使うタイミングや使う武器の切り替えを指示することだけ。基本的に戦闘はオートで進んでいくため、仲間の無事を祈りつつ、戦闘の行く末を見守ります。
与えられた仕事こそ少ない主人公ですが、その仕事をミスなく進めることがとても大事。
使うスキルやそのタイミングを間違えると、一気に窮地に追い込まれることもあるので、油断していたり、適当にやっていると、わりとすぐに全滅します。
……さて、何度か全滅を経験しつつモンスターを倒し、世界の平和保全活動に明け暮れていたのですが、比較的簡単に達成できるクエストということもあってか、中々に素材の集まりは悪く、思うような町作りの効率アップにはつながりませんでした。
簡単に倒せる雑魚を相手にしていても得られる経験値はわずか。何か、もっともっと大きいことをやらないと、得られる報酬も少ないままという可能性は大いにあります。
それに、今までの行動範囲は狭すぎたようにも思えます。最初のエリアのあたりをウロウロしていただけなのですから。この世界を更に広げていけば、新たな素材を入手でき、町作りの幅が更に広がるかもしれません。
そして何より、資材が流通するまでの時間を全く稼げていないという、由々しき事態……!!
……しゃーない、町作りのために、世界を救ってきますか。
町作りのついでに、世界を救うRPG
そもそもという話になりますが、主人公がこの世界で達成すべきミッションは、「断片化した世界を修復する」こと。
具体的には、断片化を進行させているモンスターを倒したり、断片化した土地で直接修復作業をしたりして、断片化を修復していきます。
モンスターの倒し方は先ほど説明したとおりですが、直接断片化した土地を修復するには、その土地でパズルをクリアする必要があります。
このパズルのシステムもかなりシンプルで、色のついたブロックを動かして同じ色を並べるという「2マッチパズル」ライクなもの。指定された手数の間に目標スコアを達成すればクリアとなります。
序盤だからかもしれないですが、難易度も低めで詰まってしまうということはありませんでした。ブロックを一気に消せる爽快感もさることながら、サクサクとクリアできるのが良いですね。
町作り、戦闘、パズル。『神箱』は様々な顔を見せてくれるゲームです。
そして、メインストーリーの主な目的は、世界各地の断片化を解決し、その根本原因を探ること。進めていけば、自然と新規エリアを開拓していくことができます。
道中、賭博場や闘技場が似合う広大な砂漠に辿り着けたのは嬉しかったですね。あの時町に建てようとしなくてよかった。いずれここにも町を作ることにしましょう。
……まぁ、一番嬉しいのは、歩いていれば時間が経つってことなんですけどね。
世界を救う冒険の中でも、強敵と戦っていても、常に頭のどこかで考えてしまうのは、あの町のこと。素材が集まった報せが入れば、世界を救う大命は一時放念して町へ舞い戻り、町作りを粛々と進めます。開拓者合格、修復者失格。
メインストーリーを進行し、新たなエリアを開拓する。当然、エリアの開拓に合わせて敵の強さも増していくのですが、『神箱』はその上がり幅、ジャンプの具合が凄まじい。その直前よりもレベルが10近く上がったモンスターが平気で出現します。
本作はシンボルエンカウントな上に敵避けもしやすいゲーム性。そのため、「フロンティアスピリッツ、ガンガンいこうぜ! 」の精神を胸に開拓を進めていたのですが、ちょっと進んだだけで敵が一気に強くなるのには面食らいました。
まぁ、レベルアップ作業をサボったツケが回ったというだけの話ではあるので、この世界を救うため、パーティ全滅の勢いに身を任せて、レベルアップに励みます。
ここで重要なのは、レベルアップをするためにはモンスターを倒す必要があり、モンスターを倒すためにはフィールドを歩き回ってモンスターのシンボルを見つける必要があるということ。
……つまり!頑張ってレベルアップに励んでさえいれば!!資材が流通するまでの時間を稼ぐことができるんです!!!
そう!!
町を作るついでに世界を救うこともできるのが、『神箱』なのです!!!
この悟りに至ったタイミングで、「その心に、救世の意志が宿らんことを」と言って、私を救世の旅に送り出してくれた女神さまの顔が浮かびます。
女神様、遅くなりましたが、ようやくこの私にも救世の意志が宿ったようです。結果的に。
そんな感じで、世界を救う副業を合間合間でこなしつつ町作りに勤しんだ結果、今回完成させられた町並みがこちらになります。
この画像を見ると、ちょっと発展してきているようにも見えますが……
上空から見下ろしてみると、この有り様。殺風景に毛が生えた程度しか発展していません。
いや……果てしねぇ……。果てしねえよこのゲーム……。
決してサボっていたわけではなく、町作りとオマケの世界平和のために身を粉にして働いたんですが、力及ばずでした。
武器のクラフトに時間をかけてしまったり、
ダンジョンに足を踏み入れてしまったり、
ついついマップの踏破に時間をかけてしまったり、
これもそれも、町作り以外にもやれることが多すぎる『神箱』が原因なんです。さすがは、「プレイ時間100時間超えのやりこみ要素満載のPR」を謡っているだけあります。
『神箱 』は、Nintendo Switch版・PlayStation版が8月29日より日本先行発売。価格は6380円(税込)。PC(Steam)版についてはグローバルリリースと合わせての発売となります。
みなさまもぜひ、自由度の高い本作で遊び、大都市を作るついでに世界を救ってみてはいかがでしょうか。