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ボールの軌道を変えたり、巨大化したり、相手の視覚を奪ったり、『FAIRY TAIL ビーチバレーをぶっ壊せ』は、とにかくカオスなパーティーゲーム。何でもアリの100種の魔法の前には「ビーチバレー」の常識は通じない

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「このゲームを作った人たち、『FAIRY TAIL』が大好きなんだろうな……」

ゲーム開始数分でそう思わされるのが、今回紹介する『FAIRY TAIL ビーチバレーをぶっ壊せ』です。

『FAIRY TAIL ビーチバレーをぶっ壊せ』レビュー・評価・感想:とにかくカオスなパーティーゲーム_001

本作は、2対2のビーチバレー対戦で、『FAIRY TAIL』のキャラクターたちが魔法を駆使してハチャメチャなバトルを繰り広げるというパーティーゲームです。

総勢32人のキャラクターが、100種類もの魔法を使って対戦するさまは、とにかくハチャメチャのひと言! 「ビーチバレーをぶっ壊せ」というタイトルが物語るようなカオスに溢れています。

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ド派手な魔法を眺めているだけでも楽しい!

また、グラフィック面では、独特のデフォルメが効きつつ、原作キャラの肉体美が存分に表現されています。

一方でサウンド面もぬかりなく、原作っぽい雰囲気を思わせる曲から、ゲームの展開に合わせて小気味よくBGMが切り替わっていき、作品全体のクオリティ水準の高さを感じます。

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本作は、真島ヒロ先生自身が『FAIRY TAIL』原作のオリジナルゲームを募集するという、講談社ゲームクリエイターズラボのコンテストで大賞を獲得した作品。原作者の真島ヒロ先生から1000万円もの出資も受けつつ、めでたく2024年9月17日にリリースすることが発表されています。

インディーゲームという土俵ならではの「尖り」も大切にしつつ、非常に手触りが良く仕上げられている『FAIRY TAIL ビーチバレーをぶっ壊せ』。

「『FAIRY TAIL』を通じて、とにかく楽しいゲームを届けよう」という情熱がギチギチに詰め込まれた本作の魅力を本記事では紹介していきたいと思います。

文/なからい
編集/竹中プレジデント


※この記事は『FAIRY TAIL ビーチバレーをぶっ壊せ』をもっと知ってもらいたい講談社クリエイターズラボさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


個性爆発! 尖っているけど原作キャラの魅力を感じさせるグラフィック

プレイを開始してまず目に飛び込んでくるのは、非常に華やかなキャラ選択画面! 総勢32人のキャラクターがプレイヤーを出迎えてくれます。

まずもって、「32人ってめちゃめちゃ多くない……?」という驚きがありますが、さらに興味深いのが、各キャラの立ち絵がかなりデフォルメされて描かれているということ。

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クレヨンで描かれたような、温かみのあるキャラクターたち。「『FAIRY TAIL』の絵本があったらこんな絵柄かもな」と思わされます。

キャラの一覧画面も「海の家でみんなが集合して楽しんでいる」というような構図。パッと見ただけで、「このゲーム、なんだか賑やかで楽しそうだな」という印象を受ける方も多いのではないでしょうか。

ビーチバレーが題材のゲームということで、登場人物は全員水着。「ルーシィ」や「エルザ」など可愛らしい水着姿に、「エルフマン」のようなムキムキ筋肉が大暴れな姿など、キャラクターの雰囲気をうまく捉えて描かれています。

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キャラ選択画面を眺めるだけでなんだかワクワクしてきます

そして、ビーチバレー対戦中は、ドット絵で描かれたミニキャラたちがちょこまかと動き回ります。

ここでの演出も気合が入っており、変身能力がある「ミラジェーン」や、鎧を換装する能力を持つ「エルザ」なんかは、魔法が使える状態になると、ドット絵の姿も変化します。それぞれのキャラが丁寧に描かれているのは嬉しい要素です。

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ハッピーがジャンプするときはちゃんと羽が生えてカワイイ

もうひとつ、ここまでのスクリーンショットで気になっていた方もいるかもしれませんが、本作の色使いはかなり独特です。

全体的にピンクがかっていてサイケデリックというか…… 配色だけを見ると、ファンタジー冒険作品というよりは、サイバーパンク系のゲームっぽくて、結構攻めている印象です。

ただ、場面切り替えの演出や、使用されているフォントなど、全体のデザインに統一感があるので、不思議と違和感がないんですよね。

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むしろこの攻めている色使いが、本作の魔法バトルの「そんなわけあるかい!」というハチャメチャさにマッチしているように感じます。

漫画原作のアニメオリジナル回で、海に行って遊んだり、お正月にお参りに行ったり、「本編とは別軸でドタバタ劇が繰り広げられる」回とかってありますよね。本作はそういった「肩の力を抜いて楽しめる番外編」的な雰囲気がたっぷりです。

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原作があるゲームの場合、なるべく原作に寄せたビジュアルに、本作の場合はファンの中にある『FAIRY TAIL』像に近づける……という選択肢もあるじゃないですか。

でも、本作では攻めたビジュアルに仕上がっていて、それって「『FAIRY TAIL』で楽しいパーティーゲームを作る」という視点に向き合った結果として、こういった素敵なデフォルメが施されているんだと思います。

「『FAIRY TAIL』のキャラの魅力を、自分たちなりの表現でつきつめる」。かわいらしいキャラのイラストもそうですが、本作のビジュアルからはそういった意気込みを感じます。

自分の中に確固たる原作の思い出があるが故に、その形をアレンジして表現することができる。これが筆者が「開発チームは相当『FAIRY TAIL』が好きなんだろうな」と思った理由のひとつです。こういった作家性みたいなものがよりストレートに表現できるのも、インディーゲームの良さですよね。

トロピカル×ケルティック! 原作のエッセンスも取り入れた、「お祭り感」を盛り立てるサウンド

パッと見のビジュアルの良さが印象的な本作ですが、BGMや効果音などのサウンド周りにも丁寧な仕事が行われているのも大変素敵です。

基本的なBGMは「南国でのカオスなビーチバレー対決」という、本作にぴったりな雰囲気なんですが、その中に原作っぽいエッセンスを取り入れていて芸が細かいんです。

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ビーチバレー対決の序盤は、比較的シンプルな、音数の少ないテーマが流れます。そこから試合が進むに従って、メインのメロディーはそのままに、だんだんアレンジが加わっていき、徐々にBGMの臨場感が増していくようなつくりになっているんです。

後述するゲーム展開の仕組みとして、ビーチバレー対決は後半に行くに従って加速度的にカオスな展開になっていきます。

ゲーム的な盛り上がりに合わせてシームレスにBGMが豪華になっていく仕組みはかなり丁寧に設計されていて、ぜひ実際に体験してほしいところです。

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BGMのパターンは複数種類用意されているのですが、ニクいのは、メインフレーズの端々に『FAIRY TAIL』っぽさを感じること。

開発チームへのインタビューで「ケルト音楽を現代の音楽に入れ込むアプローチを考えた」という発言があったのですが、まさにその通り。

全体的な曲調としては「南国感たっぷり、アップテンポなエレクトロサウンド」なのですが、使用されているフレーズに、ところどころ原作っぽいケルティックな音階を感じるんですよね。

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こういった点からも「大好きな『FAIRY TAIL』を、自分たちのフィールドで解釈して表現する」という精神を感じます。筆者的にかなり好感度が高いです。

音楽という、聞き手に解釈が大きく委ねられる側面においても、「原作っぽさ」と「自分たちっぽさ」を両立しているのは「素敵すぎる」のひと言

ゲーム中に採用されている曲の一部は、公式PVでも確認することができるので、ぜひ聞いてみてください。非常にご機嫌なサウンドに仕上がっており、ある意味ではこのゲームの雰囲気を象徴するようなBGMになっています。

また、効果音周りにも気合が入っています。

各ラウンドが始まるときには「ラウンドワン、ファイッ!」といった音声が流れるのですが、これが非常にクセのある言い回しで記憶に残る。しかも、パターンも多い。お祭り感が高まる素敵な演出で、プレイしていて楽しくなります

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とにかくハチャメチャな魔法×ビーチバレーバトル。パーティーゲームとしての楽しさに極振りしたカオスさが楽しい

ビジュアルやサウンドが非常に丁寧で、手触りが良く作られている本作。肝心のゲームプレイはというと、とにかくハチャメチャでカオスな楽しさが突き詰められています

あらかじめ言っておくと、本作に実装されているのは対戦モードのみ。ひとり用のAI対戦は存在しますが、ストーリーモードなどは用意されていません。

その代わり、メインの対戦モードにとことん「『FAIRY TAIL』のパーティーゲームとしての楽しさ」が詰め込まれているんです。

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「ぶっ壊しマッチ」と称される本作の対戦モードは、2対2のビーチバレー対決。先に4点を取得した方が勝利となります。操作もスティックによる移動と、ジャンプ、パス、アタックのみ。シンプルで、誰でも遊べるようなシステムになっています。

特徴的なのが「魔法システム」。バレーコートにちらばる「エーテル結晶」を集めることでゲージを貯め、最大になるとアタックが魔法攻撃になるという仕組みです。

この魔法がとにかくなんでもアリで、単純にボールの軌道を変えたり、相手に攻撃を飛ばして邪魔をするものから、相手の首から下をマッチョなボディに変身させたり(?)、コート全体を煙で覆ってほとんど何も見えない状態にさせるものまであります。

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何が起きているかわからないと思いますが、プレイ中の筆者もわかっていません

ひとつひとつの演出やエフェクトがとにかく派手。対戦ゲームとしてのバランスや競技性よりも、お祭り感を重視したハチャメチャな画面作りがされていて、プレイしていて非常に楽しいです。

また、本作にはそんな魔法がなんと100種類も用意されていて、原作に登場するものから本作オリジナルのものまで、さまざまなエフェクトで画面を彩ってくれます。

32人の各キャラクターは、試合開始時点でそれぞれの得意な魔法をひとつ所持しています。例えば「ナツ」だったら「火竜の咆哮」、「グレイ」だったら「氷雪砲(アイスキャノン)」といった具合です。

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ちなみにハッピーのデフォルト魔法は「頭突き」です。かわいいですね

魔法はふたつのスロットに最大4個セットすることができ、どちらかのチームが得点を挙げる度に、ランダムな魔法を取得することができます。

ふたつのスロットに4個の魔法をセットできるということはつまり…… 魔法の合成ができるということ!

魔法が揃ってくると、ひとつのボタンでふたつの魔法が同時に発動するようになるんです。相手に無数の剣を飛ばす「天輪・繚乱の剣」+画面を砂嵐で覆う「砂の煙幕」など、組み合わせは自在。

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得点時に魔法が増えるというシステム上、試合が後半に進むにつれて、どんどんと画面のカオスさも増していきます

先行体験した限りでは、後半になればなるほど「星霊召喚」のような、ド派手な魔法が出やすくなっているようでした。

マッチポイント直前にもなれば「カオスを通り越したゲーム画面」が爆誕して、盛り上がること間違いなしです。

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実際にプレイしながら思わず「バカすぎる」と言ってしまった場面。それくらいハチャメチャってことですよ!
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キャラの組み合わせによっては専用の掛け合いがあったりするのも芸が細かい。ちょっとしたことですが、原作再現という意味では嬉しい要素ですよね

丁寧かつこだわりのあるビジュアルやサウンドに下支えされた上で、とんでもない数のキャラや魔法のお祭り感に熱量をつぎ込んだ、とにかく楽しいパーティゲーム。それが『FAIRY TAIL ビーチバレーをぶっ壊せ』です。

原作ファンの方も、『FAIRY TAIL』を知らない方でも楽しく盛り上がれる作品になっています。

シンプルなゲーム性にこれでもかと愛情を詰め込んだ作品として仕上がった『FAIRY TAIL ビーチバレーをぶっ壊せ』は、2024年9月17日にPC(Steam)でリリース予定。ローカルプレイの他、SteamのRemote Play Together機能を使うことで、オンラインでの対戦も可能です。

本作発売を機会に『FAIRY TAIL』の楽しさを全力で浴びてみるのはいかがでしょうか。

ライター
スパイスからカレー作っちゃう系の元バンドマン。占いも覚えたが占いたいことがないのですぐ忘れた。思い出のゲームは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』
サブデスク
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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