『太鼓の達人』って、いいよね……。
初めてプレイする方でもわかりやすいゲーム性、どれだけ久しぶりにプレイしても体が覚えていて勝手に動く。まさに日本人の本能である「和」に訴えかけてくるゲームだと、筆者は思う。
そんな本シリーズの最新作である『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』において、PS5版をプレイする機会に恵まれた。
本作は家庭用シリーズ初の「120fps」対応ということもあり、8月27日(火)の発表時からX(旧Twitter)を中心としたSNS上で大きな話題を呼んでいた。実際に遊んでみた印象は、やはり「譜面がめっちゃヌルヌル動く」。
本稿では、プレイしたことで感じた『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』の魅力について紹介、あわせて家庭用版『太鼓の達人』シリーズプロデューサー・上田彩乃氏へのインタビューを掲載している。本作の特徴や今後の『太鼓の達人』の展望についてなどの貴重なお話を伺うことができたので、そちらもあわせてチェックしていただきたい。
※画面はPlayStation®5版の開発中のものです。
新たなプラットフォームで展開される『太鼓の達人』シリーズ最新作
『太鼓の達人』シリーズは、2001年より初代アーケード版の稼働が開始して以降、時代と共に家庭用版・スマホ版と様々なプラットフォームで展開され、現在も多くの人に親しまれている人気音楽ゲームだ。ゲームセンターなどで、大きな太鼓の「あの筐体」を見た経験のある方が多いだろう。
そんな長寿タイトルの本シリーズだが、先述のとおり最新作『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』のPS5、Xbox Series X|S、Windows PC、Steam版が11月14日(木)に発売される。本作はすでに2022年にNintendo Switch向けに発売されており、今回プラットフォームが拡大する形となる。
さらに家庭用シリーズとしては初のPC(Steam)での発売、最大120fpsへの対応など注目したい点が多くある。
筆者は今回の試遊で久しぶりに『太鼓の達人』をプレイしたのだが、時間を忘れてしまうほど夢中になった。
「基本的には赤い譜面の「ドン」と青い譜面の「カッ」を叩いてコンボを伸ばしていく」という、バチを持てばすぐに思い出せるシンプルなゲーム性だからこそ、初めてプレイする方も、一度『太鼓の達人』を離れてしまった方も安心してプレイすることができる。そういった意味で、20年以上前の初代から変わらない、いつ遊んでも楽しめる完成された作品と言えるだろう。
譜面がヌルヌル動く!家庭用初の120fps対応
そう、上述の通り本作は最大で「120fps」出る。家庭用をプレイしたことがある方は特にその差に驚くだろう。譜面がとにかくヌルヌル動いている。120fpsに慣れていない筆者は逆に「可」判定が多くなってしまったが、しばらく遊んでいるうちに次第に慣れてきて、もう以前のフレームレートには戻れなくなってしまいそうだった。
もともとゲームセンターなどに設置されている『太鼓の達人』は120fpsに対応している。つまり本作では、ゲームセンター版と同じフレームレートでのプレイが可能となっているので、ゲームセンター版のプレイヤーも満足できるのではないだろうか。
テンポよく譜面を叩く『太鼓の達人』において、120fps対応はシリーズファンにとっても待望の要素であることは間違いないだろう。
初めてプレイする方も久しぶりの方も安心!「上達サポート機能」でどんどん高みへ
『太鼓の達人』の楽曲には基本的に4つの難易度が設定されており、プレイヤーは自分に合った難易度を選択することができる。プレイ中にギリギリクリアできなかった時、譜面に対応できなかった時など、何度も同じ楽曲をプレイするという経験がある方も多いのではないだろうか。
そんな時に活用できるのが「上達サポート機能」だ。筆者も最後の1ヶ所だけをミスしてフルコンボを逃してしまうという、とても悔しい思いをしてしまった。
しかし、「上達サポート機能」があれば心配無用。本機能では楽曲を区分ごとに分けて、好きなだけ練習することができるのだ。さっそく筆者も楽曲のミスした箇所をプレイし、見事に克服することができた。
さらに本機能では過去の最高記録と現在の記録を見比べて、その上達の過程やスコアの違いなども一目でわかる。演奏中も下画面に“過去の自分”が演奏しているリプレイが流れているので、過去の自分と対決しているような感覚で上達を目指すことができる。
さらに譜面には、叩くのが遅かった箇所と早かった箇所を“ウサギとカメ”マークで視覚的に知らせてくれる親切なシステムも搭載。同じミスが繰り返し発生しないよう、丁寧に上達をサポートしてくれる。
ちなみに、本作の発売と同時にPS5・Xbox Series X|S・PCそれぞれに対応した『太鼓の達人』専用コントローラー「太鼓とバチ」が発売される。コントローラーでプレイするもよし、より太鼓をたたく感覚が楽しめる「太鼓とバチ」でプレイするもよし。自分のお好みのスタイルで楽しく遊ぼう。
上田彩乃氏インタビュー:進化した本作と今後の『太鼓の達人』の展望
さらに取材中では株式会社バンダイナムコエンターテインメント、家庭用ゲーム『太鼓の達人』シリーズプロデューサー・上田彩乃氏(以下、上田氏)へのインタビューを実施し、本作の特徴や今後の『太鼓の達人』の展望についてなどの貴重なお話を伺うことができた。
──『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』をPS5・Xbox Series X|S・Windows・PCにて発売するにあたって、新たに「120fps」に対応するという点に大きな反響があったように感じました。120fpsになったことでの触り心地やプレイフィールの変化についてお聞かせください。
上田氏:
今回のマルチプラットフォームでの発売に合わせて120fpsに対応したのですが、流れてくる譜面がより滑らかになっていますので、プレイしやすさを感じられるのではないかなと思っています。
ゲームセンター版も120fpsなので、ゲームセンター版のプレイヤーにも満足いただけるのではと思います。
──楽曲が追加される「太鼓ミュージックパス」についてもお聞かせいただけますか?
上田氏:
毎月毎月新しい曲をどんどん追加していっているので、今後も続けていこうと思っています。
追加楽曲については、いろいろな情報を見て集めて毎週打ち合わせをして決めています。太鼓の達人は、年齢も遊び方も色々な方がプレイしてくださっているので、子供も大人も、流行りの曲が好きな人も、難しい曲に挑戦したい人も、皆さんが楽しめるように、幅広い楽曲の収録を目指しています。
──「太鼓ミュージックパス」の楽曲の追加はどれくらいの期間を想定しているのでしょうか?
上田氏:
『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』の運営を長く長く続けていって、購入してくれたお客さんに長く遊んでほしいと考えています。ですので、今後もまだまだ追加していく予定です。
ゲームセンター版の「ナムコオリジナル」の難しい曲を定期的に家庭用に収録したり、家庭用向けに新しいナムコオリジナル曲を作っていたりもしています。なのでコアな『太鼓の達人』プレイヤーの方も楽しみにしていただければと思います。
──楽曲について基本はゲームセンター版先行で、人気になったら家庭用に追加する。という流れなのでしょうか。
上田氏:
両方ですね。お互いに相談してタイミングを合わせてゲームセンター版と家庭用同時に収録するパターンもあります。最近だと、「WADIVE RECORD」という太鼓の達人音楽レーベルの曲は同時に収録しています。
──ちなみに、ゲームセンター用に作る楽曲と家庭用に作る楽曲には違いがあったりするのでしょうか?
上田氏:
家庭用版でサブスクを購入してくれる方は難しい曲が好きな方も多いので、わりと難しめの曲も多数追加しています。でもコアな人だけではなくて、もうすこしライトに「練習中!」な方もいるので、その“真ん中”くらいの曲も用意して幅広く遊んでいただけるようにしています。
ポップスやアニメ、ボカロ曲はそういうポジションとして考えていて、そこで練習して「難しい曲に挑戦してね!」みたいな感じで段階を踏んで上達してもらえるように考えています。ゲームセンター版もそうだと思います。コアな人だけ見ているというより、幅広くいろんな方に向けて作っています。
──たしかに、ゲームセンターになかなか足を運びづらい方でも家庭用ならコツコツ練習することもできますね。家庭用で練習していざ実際にゲームセンターに行って遊んでみようという方もいると思います。
上田氏:
そうですね。家庭用で好きなだけ練習していただき、そしてゲームセンターでも楽しんでいただければ!
──今回さまざまな機種で発売されますが、Steam版は初めてですよね。
上田氏:
はい、Steam版は初めてとなります。WindowsPCでは少し前に発売した『太鼓の達人 The Drum Master!』【※】があります。
※2022年にXbox One / Xbox Series X|S /Windows PCにて発売。
──Steam版も発売するということでかなり反響があったと思います。さまざまなプラットフォームで展開される『太鼓の達人』の今後の展望についてお聞かせください。
上田氏:
『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』をより多くの方に遊んでもらうために、今回様々なプラットフォームに展開を行いました。
ひとりでコツコツプレイしたい方や、家族や友達と一緒にワイワイ楽しみたい方など、それぞれが楽しめるようなバラエティ豊かなモードがドンフェスには入っています。ひとりで遊びたい人は「演奏モード」や「ランクマッチ」、みんなで遊びたい人は「パーティーモード」で、ふたりで対戦したり協力したりして遊ぶことができます。
楽曲も、「太鼓ミュージックパス」で700曲以上追加されるので、きっと好きな曲が見つかると思います。『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』は長く運営が続けられて色んな人が楽しめるように制作していますので、今のところは本作を長く運営していきたいなと思っております。
なので“ドンフェス”持ってれば安心ということで(笑)。
──本作と「ミュージックパス」入っていれば、もうめちゃめちゃ遊べちゃうってことですね。
上田氏:
そうですね。これまでの『太鼓の達人』って、本編は70曲ほど入っていて、しっかりそれだけでも遊べるように頑張って考えて開発していたんですけど、やっぱり70曲だともっといろいろな曲を遊んでみたいと感じる方もいると思います。DLCで曲は増やしてはいたのですが、やっぱり最初は少ないので「この曲無いよ〜」という声もありました。
今回はサブスク形式なので、「最初から700曲遊べるならきっと好きな曲が見つかるだろう」というのがひとつのポイントになっています。この楽曲数であれば、どなたにも楽しんでいただけるかなと思います。
サブスクと聞くと、少し敷居が高いように感じる方もいるかもしれないですけど、PS5などでは初回は7日間無料のお試し期間があるので、まずはそれで感触を確かめてみて良さを感じてもらえたら嬉しく思います。
──最後に、『太鼓の達人』シリーズを応援して下さっている方々に向けてコメントお願いいたします。
上田氏:
『太鼓の達人』も最初のゲームセンター版が出てから23年も経って……。みなさまが長く愛して下さっている作品だと思います。サブスクを始めてみたり、家庭用で120fpsに対応したり、どんどん進化しているのでこれからも長く愛していただけると嬉しいですし、そうなるように引き続き頑張っていきます!
今回初めて出すハードもあるので、ぜひこれをきっかけに手に取って遊んでみていただけたらと思うので、よろしくお願いいたします!
今回の上田氏のお話にもあったように、家庭用シリーズというモデルだからこそ、「太鼓ミュージックパス」での新曲の追加や、「演奏モード」のほかにも「パーティーモード」といった複数人で楽しめるモードなどの要素を加え、アーケード版とはまた違ったアプローチでプレイヤーに楽しんでもらいたいという作品への想いを感じることができた。
「太鼓ミュージックパス」の曲の追加も、日本国内だけではなく海外の反響も視野に入れているなど、今回新たにプラットフォームを拡大して発売されることでより幅広い層に向けて展開していきたいという考えにも納得だ。
今後更なる展開が予想される『太鼓の達人』にも期待が高まる。一度プレイしたら忘れないあのゲーム体験が、よりさまざまな機種に対応して11月7日に発売される。心の奥底に眠っている“太鼓魂”のゲージを、本作を遊んで再び満タンにしてみてはいかがだろうか。
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