9月3日にv1.07がリリースされたばかりの格闘ゲーム『鉄拳8』。9月某日、第8弾アップデートとなるv1.08についてのプレゼンテーションと体験会が、バンダイナムコエンターテインメントにて開催された。
今年の7月に行われた世界最大の格ゲー大会「EVO」にて、シリーズの看板キャラとも言える「三島平八」が復活を遂げるというまさかのアナウンスがされたことも記憶に新しい。そして第8弾アップデートのタイミングで、三島平八が同時にリリースされることが決定した。なお、気になる第8弾アップデートのリリース時期は「2025年秋」となっている。
今回のアップデートでは三島平八の追加に合わせて、新たなストーリーやユーザーから要望のあった新機能も追加。今回のメディア向け体験会では、三島平八の実機プレイと新たなストーリーの体験に加えて、この新機能にも触れることができた。本稿では、体験してわかった本バージョンの特徴などをお伝えしていく。
なお、v1.08の配信、三島平八のアーリーアクセスは10月1日(火)より開始、三島平八一般アクセスは10月3日(木)
『鉄拳8』初心者でも扱いやすくパワフルなプレイが楽しめる三島平八!
エディ・ゴルド、リディア・ソビエスカに続く3人目のDLC追加プレイアブルキャラクターとして登場するのが、「三島平八」、キーワードは「復活の鉄拳王」。三島財閥の創設者であり、いろいろな悪事を重ねてきた暴君として知られるシリーズの看板キャラクターだが、ついに第8弾アップデートで復活を遂げることになる。
ぱっと見のインパクトもかなりグレードアップしており、肉体もパンプアップしているため、迫力が増した印象だ。それだけではなく、胸には『鉄拳7』のラストで一八に付けられた古傷があり、ヒート中などに浮き上がってくるようだ。
もちろん見た目だけではなく、これまでの技に加えて新たな技や構えも習得。パワフルかつ拳で相手をねじ伏せるタイプのキャラクターに仕上がっているのである。
今回の平八の動きは、既存のモーションを利用しつつ、空手家の纐纈氏に協力を依頼して空手の動きもパワーアップ。また、「風神呼法」と「雷神呼法」というふたつの構えを使いこなせるようになり、相手を責め立てるアグレッシブなスタイルになっているのが特徴だ。
「風神呼法」は扱いやすい技が揃った攻撃的な構えだ。一方の「雷神呼法」は、ガードを崩したり強力な中段など、崩しに特化した挑戦的な構えになっている。このふたつを使いこなしながら、新しく生まれ変わった平八を使いこなしていくことになる。
さらに、ヒートが3たまると平八独自のパワーアップ要素である「三島流最終奥義・武の境地」が発動できるようになる。こちらは、特殊な技がパワーアップするだけではなく、空中コンボの耐久可能ゲージがほとんど発生しなくなるという特徴を持っている。そのため、試合の中盤に使うか、あるいは終盤に使うか、プレイヤーによって異なる戦略が選べるようになっているところもポイントだ。
レイジアーツの「三島流奥義・鬼神風雷拳」は、地獄から蘇ってきた平八というキーワードでイメージして作られた技だ。とにかく派手目の演出になっており、相手に対して一気にトドメをさしたいときにも持ってこいである。
実は筆者は『鉄拳8』を未経験であり、今回の体験会で新キャラである三島平八をうまく操作できるかが不安であった。一応コマンドリストなどは渡されたものの、短い時間の中でそれらを使いこなすのは不可能に近い……。そう思っていたものの、そんな心配は杞憂であった。
なんと、対戦中には画面の左側に簡単なコマンドが表示されるのだ。ほとんどの場合、そちらをいくつか組み合わせていくだけで、大技も含めて簡単に繰り出せるようになっていた。これならば三島平八だけではなく、『鉄拳8』や格闘ゲーム自体が初心者という人でも壮快なプレイを楽しむことができるだろう。
また、平八は従来の技の要素も残されているため、以前使い込んでいたというプレイヤーならばすぐに使いこなすこともできそう。初心者も上級者も、「復活の鉄拳王」を思う存分堪能できるよう仕上げられていることがわかった。
四季折々の風景が美しい追加ステージ「GENMAJI TEMPLE」
有料のDLCとして、追加バトルステージの「GENMAJI TEMPLE」も同時に登場する。このステージは、山の奥の秘境にある、謎の修行僧たちが血の滲むような鍛錬を重ねている場所をイメージしたもの。巨大な風神と雷神像があったり、鉄拳僧が様々な修行をしている姿が見られるところが特徴だ。
さらに、時間帯によって雰囲気が大きく変わるのもポイント。昼間は厳かな雰囲気の景色が広がっており、夕方は秋のように紅葉が舞い散り、夜には雪がしんしんと降り注ぐなど、時間だけではなく季節感も演出した作りになっている。ステージを選択するときに、昼または夕方→夜に変化する方のどちらか選ぶことが可能だ。
また、この「GENMAJI TEMPLE」ではステージで流れる楽曲もこだわって作られている。和の楽器をベースに和太鼓のリズムや三味線のメロディラインに加えて、『鉄拳2』に出てくる平八ステージのフレーズなども盛り込まれているので、バックに流れるBGMにも注目してみよう。
無料でエディやリディア、平八をお試しできる新ストーリー「Unforgotten Echoes」も実装
第8弾アップデートで、平八と並ぶ目玉コンテンツとなっているのが、無料で楽しめる追加ストーリーの「Unforgotten Echoes」だ。こちらは、メインストーリー「The Dark Awakens」の裏側でのエディとリディア、吉光たちを描いている。そもそも平八がどのような形で復活することになったのかという部分や、『鉄拳1』から『鉄拳8』までの流れについてもこのストーリーをプレイすることでわかるようになっているのである。
もうひとつのポイントは、エディやリディア、そして新たに追加される平八など有料DLCのキャラクターを所持していない人でも遊べるというところである。今回の体験会では、こちらの「Unforgotten Echoes」のチャプター1から5までプレイすることができた。
チャプター1でプレイヤーが操ることになるキャラクターは、エディ・ゴルドだ。悪夢から目が覚めたエディは、命の恩人であるリディアのために反乱軍の飛行艇に乗りこむ。そこで、エディはリーダーのラースや風間仁たちと出会うこととなるのだ。
エディの物語がひと段落付いたところで、次にプレイアブルになるのがリディア・ソビエスカだ。なぜか彼女が三島平八からの書状を読んだことを知る麗奈とバトルを繰り広げたあと、それを見ていた鉄拳僧に腕を認められ、エディと吉光とともに彼らの本拠地に向かうことになる。
そして、自らの力を示したリディアがその場所で目にしたのは、死んだはずの三島平八であった。ここからプレイアブルなキャラクターが平八に切り替わり、これまでどんなことが起きていたのかが明らかになっていく。この続きは、ぜひv1.08リリース後にご自身の目で確かめてみてほしい。
待望の機能「メインメニューの表示キャラを自由に変更」が追加
また、v1.08で追加される新機能についてもご紹介していこう。以前からユーザーからの要望が多かった機能として、メインメニューに表示するキャラクターを自分の好きなものに変更できるようになる。さらに、プリセットで用意されている4種類の衣装を切り替えることも可能だ。
『鉄拳8』でここまで大きくキャラクターが表示される場所はほかにないため、細部へのこだわりをまじまじと見つめることができるのもポイントだ。自分のお気に入りのキャラクターを、その日の気分に合わせて変更するのもありだろう。
もうひとつ、今回は体験できなかったが、「オンラインプラクティス」もv1.08のタイミングで実装されることが決定した。こちらは、「TEKKEN FIGHT LOUNGE」内にある「TEKKEN DOJO」で、ふたりのプレイヤーがオンラインで一緒に練習ができるという機能。他にも新機能が追加される予定で、詳しい情報については近日配信される「TEKKEN Talk Live」で紹介されるとのことだ。
さらに、EVOでも発表された鉄拳コラボスニーカーがv1.08のリリースとともにスタートする「TEKKEN FIGHT PASS ROUND 3」の無料ティアで入手可能。それにくわえて、韓国のアイウェアブランド「GENTLE MONSTER」と一八のコラボサングラスもゲーム内に登場する。こちらは無料となっており、v1.08のリリース日からTEKKEN SHOPで入手可能だ。
ただし、入手できるのは期間限定となっているので注意が必要だ。ちなみに、サングラス自体は一八以外のキャラクターも身に付けることができる。
三島平八はスピードや力強さの両方を味わいたい人に使ってほしい──『鉄拳8』開発陣インタビュー
新たなキャラクターの三島平八と追加バトルステージ「GENMAJI TEMPLE」、そして追加ストーリーの「Unforgotten Echoes」をプレイした後、『鉄拳』シリーズマーケティングプロデューサーの安田イースポーツ氏と、ゲームディレクター兼開発プロデューサーの池田幸平氏にインタビューを実施することができた。
──新しいストーリーが追加されましたが。こちらは物語の続きではなくこれまでの物語の行間を埋めるものでした。こちらは元々も決まっていたものでしょうか?また、変則的なマッチも体験することができますがこの意図はなんでしょうか?
池田幸平氏:(以下、池田氏)
もともと、メインストーリーをしっかり完結させようと考えていました。その裏で、今回登場するエディやリディアが何をしていたのか?平八がどのように復活を遂げるのか?というところが追加ストーリーの基本になっています。
安田イースポーツ氏:(以下、安田氏)リディアとエディと平八はすべてDLCキャラですから、購入しないとプレイすることができません。ですので、今回の追加ストーリーでトライアル的にプレイしてもらいたいと考えました。作りとしては、3人のキャラクターを触ることができるというところにも主眼を置いています。
──『鉄拳8』の平八ということで、目指したコンセプトなどがあれば教えていただけますか?
池田氏:
目指したものは明確で、これまでの『鉄拳』シリーズの平八であるとパッと見てわかるようにしています。それは黒い道着にも現れていますが、本編でも協力していただいたイラストレーターのヒロアキさんにデザインしてもらいました。
道着の中に、今回追加する拳磨寺のマークや鉄拳僧について一緒に話しながらデザインを進めていきました。その中で、新鮮な道着で片方の肩を出しましょうとか、道着の後ろにマークを入れるなどナラティブ面の要素もふんだんに盛り込んでいます。
シルエット的にもヒロアキさんのこだわりがあり、下半身がダボっとしています。下半身をどっしりとすることで力強く見えるようにするなど、デザインの見た目やディテールを含めて平八に感じる力強さを話し会いながら決めていきました。
──前作では平八は死にましたが、『鉄拳8』で出てくる予定はあったのでしょうか?
池田氏:
『鉄拳8』で出すということ自体は以前から決めていました。『鉄拳7』のストーリーは、一八と平八親子のケンカを描いてしっかりと決着を見せており、一八が平八にトドメをさして最後は溶岩の中に落としたところで終わっています。そこで一八の勝利を見せたかったのはもちろん、平八が死んでしまったことも感じてほしいと考えていました。
そこから平八を復活させるということに関しては、いろいろな議論と検討を重ねています。『鉄拳』の30周年に仁と一八……「そこに平八がいないとさみしい」という意見もありましたし、『鉄拳8』リリース後に平八を望む声も多くありました。
しかし、ストーリーの兼ね合いもあることから、復活させるにはそのためのストーリーも必要になります。今回追加するものでそこをしっかりと描くことで、みんなに納得してもらえる形で鉄拳王が帰ってくるぞと見せようと考えています。
──今回はDLCのキャラクターに焦点を当てた追加ストーリーになっていますが、今後のDLCで追加されるキャラクターについてもまとまった段階でストーリーが製作されることはあるでしょうか?
池田氏:
今回はメインで麗奈という存在があり、それを補間する上でのエディ、リディア、平八というラインナップがストーリー的に必要だったため、シーズン1のキャラクターを決めました。
しかし、あまりそちらに引っぱられてしまうと、ストーリーに関係の無い新キャラクターが出しにくくなってしまいます。すごく評判が良ければ考えたいところですが、あまりストーリーばかりに縛られてキャラクターのラインアップを決めるということは、個人的にしたくありません。
もっと新しい挑戦もしてみたいですし、まだ出てきていないキャラクターについても、『鉄拳8』で新しくして登場させたいと考えています。今回は、30周年で平八の復活ということで必要になったので、ストーリーが機能したという形です。
──三島の中では平八は使いやすい印象でしたが、それが麗奈に変わったので構えをふたつ入れるなどちょっと変わったアイデア入れるようにしたのでしょうか?
池田氏:
今回は新しい平八を表現したいと考えました。新しく平八に興味を持った人でも、「風神呼法」と「雷神呼法」という、ステップを使わなくても平八独自の操作の入り口として用意したものがあります。往年の平八使いの人たちにとっては、構えが入ることによって攻めの展開を作ることができたり、新しさを感じることができたりします。
──ストーリー的には、平八がお寺に行ったことから新しい技を覚えたということでしょうか?
池田氏:
はい。鉄拳僧と修行をする中で、鉄拳僧に伝わる技を習得していき、自分のものにしたので使っています。
──構えが増えると難易度が上がりそうですが、難易度自体はそれほど上がらずにバリエーションが増えたという印象でした。
池田氏:
昔から平八を使っている人にとっては、別に構えがなくても昔の平八のままでプレイすることが出来ます。そこに、構えを使うことで攻めの幅やコンボのバリエーションが広がります。風神ステップなどがうまくできない人にとっては、構えが入ることで攻めの起点や流れを作ることができます。楽しく三島キャラクターを動かせる入り口になっているので、いいバランスになっていると思います。
──追加ステージの演出がトリッキーですごかったです。ステージ自体はスタンダードな感じでしょうか?
池田氏:
基本的にはスタンダードな戦いやすいステージです。ギミックを盛り込んだステージではないですね。注目してほしいのは、後ろにいる鉄拳僧たちのコミカルな動きです。なぜか風神ステップを火渡で練習しているけど、あまりうまくないという(笑)。
──平八はどんなスタイルを好むプレイヤーにオススメのキャラクターなのでしょうか?
池田氏:
見た目はともかくパワフルで派手な攻撃が多いので、一撃一撃の思いを感じたい人にはオススメですね。一撃一撃の重みを持ったキャラクターは、結構スピーディーな展開ができないことがありますが、『鉄拳8』の平八は「風神呼法」と「雷神呼法」を使うことで、スピーディーな攻めを展開しながら力強いアクションを味わうことができます。スピードや力強さの両方を味わいたい人向けのキャラクターだと思います。
安田氏:
かつての主人公のひとりでフランチャイズのキャラクターでもあるので、知名度は一番高いです。知っているという理由で使ってもらっても、大丈夫なキャラクターだと思います。
池田氏:
ワルそうなおじいさんが好きとかでもいいんですけどね(笑)。
──メインメニューのキャラクター表示についてですが、このタイミングでの実装となったのはなぜでしょうか?
池田氏:
メインメニュー専用に、1からライティングやカメラワークをアートディレクターが結構な時間掛けて作っています。それらを、プリセットにあるコスチューム4着分をきっちり表示させています。キャラクターによっては基本的に目線を合わせてくれません。でも、じっと見ていると瞬きして、チラリとこちらを見るような、キャラクター性も入っています。
それらを35キャラクター×4着分×ライティングとカメラワーク、メニューの切り替えごとにやっているので、時間が掛かっています。
──元々一八から始まって、追加キャラクターをメインメニューに表示させようとしていたのでしょうか?
池田氏:
『鉄拳8』では仁と一八の戦いを描くストーリーが主軸でしたが、『鉄拳7』の時は平八が出ていました。『鉄拳8』になったときに、仁を出すか一八を出すべきかで、やはり悪役中心のゲームで一八を見せたいと思ったのと、赤目が光るというのをやりたかったので、一八にしました。
そこから、追加キャラクターを見せることで興味や愛着を持ってもらいたいというのが狙いでしたが……エディが毎日睨んできて怖いですとか、リディアになったら嬉しいですみたいな(笑)。結構色々な反応があるので、いろいろなキャラクターに変更できるようにすれば、みんな楽しんでもらえるかなと思って今の形になっています。
──メインメニューのキャラクターはランダムで変更できますか?
池田氏:
ランダムを実装するという話も出ましたが、まずはデフォルトで表示されるのと自分の好きなキャラクターを見られるということを優先しています。ランダムは欲張り仕様だったので。今後要望が多ければ、実装してもいいかなと思います。