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「イャンクックの‟先生”としての人気を再確認」。‟クック先生”へのポジティブな反響の数々に思わず笑みもこぼれる『モンハン ワイルズ』合同インタビュー【TGS2024】

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みんなだいすき「イャンクック」先生が復活!

復活!?

2024年9月26日に配信されたカプコンのオンライン番組「TGS2024 CAPCOM ONLINE PROGRAM | 2024.9.26」で突如として発表された「怪鳥・イャンクック」『モンハンワイルズ』参戦決定。多くの新米ハンターの登竜門として“先生”と呼ばれたモンスターの復活に、ファンの間ではイャンクックの話題でもちきり。

本作の特徴でもある“群れ”で登場した姿に対しユーザーからは「職員室」と形容されるなど、様々な方向性の愛が叫ばれているようです。

筆者の脳内も無事、イャンクックでいっぱいだったのですが……。筆者だけじゃないですよね?

2024年9月26日から9月29日まで開催されている東京ゲームショウでは、ビジネスデイにもかかわらず早急に整理券がなくなりました。イャンクックへの愛がよく伝わってきますね(!?)【※】

※東京ゲームショウで体験できる体験版に「イャンクック」は登場していません。

今回、そんな東京ゲームショウ2024にて『モンスターハンター』シリーズプロデューサーである辻本良三氏、『モンスターハンターワイルズ』のディレクター・徳田優也氏、アートディレクター兼エグゼクティブディレクターの藤岡要にインタビューをする機会をいただきました。

本記事では、開発陣に伺った発表されたばかりの「イャンクック」、『モンスターハンター ワイルズ』の気になる‟あれやこれや”をお伝えさせていただきます。

『モンハン ワイルズ』インタビュー。「イャンクック」はいかにして『モンハンワイルズ』に登場したのか_001
▲インタビュー中ずっと「イャンクック」を持っている徳田氏

また、弊誌では東京ゲームショウに際して行われた先行プレイレポートも公開しています。『モンスターハンターワイルズ』の新情報が気になる方は、こちらもあわせて楽しんで頂ければ幸いです。

文・取材/Squ
編集/りつこ

“先生”の復活と、カラフルなモンスターを『ワイルズ』の世界観へと落としこむ難しさ

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▲左から藤岡要氏辻本良三氏徳田優也氏

──直近に公開されたトレーラーでは、復活モンスターとして「イャンクック」が発表されました。ユーザーさんからの反響はいかがでしたか。

辻本良三氏(以下、辻本氏):
まず、純粋に「人気あるんだな」と僕たち自身が再確認しましたね。日本国内だと“先生”として浸透していたんだなぁと……。

トレイラーからは群れで行動している姿や生態系なんかも垣間見えたと思うのですが、反応としては非常にポジティブなものが多かったです。本作に実装してよかったなと思っています。

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(画像はYouTube – 『モンスターハンターワイルズ』プロモーション映像④より)

──イャンクックというモンスターは、数多くのユーザーの記憶に刻み込まれていると思います。従来の作品ではカラフルなイメージがありましたが、先日公開されたトレイラーではかなり落ち着いた色調になっていた点が印象的でした。

本作の世界観に落とし込む際に、苦労などはありましたか。

藤岡要氏(以下、藤岡氏):
『モンスターハンター』シリーズでは、タイトルごとのコンセプトにあわせて全体の色味を変えていたりします。直近の『モンスターハンター ライズ』ではしっかり色を出している反面、初代『モンスターハンター』はもっと落ち着いた色合いだったりと「どういった空気感を演出したいか」といった部分で意識して変えているんですね。

本作では、自然からモンスターまで全てを緻密に描くというコンセプトのもと、質感や色味を調整しています。とはいえ、イャンクックの特徴的な色味をどう出すかという部分はかなり注意して進めました。

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(画像はカプコンタウン モンスターハンター紹介ページより)

──グラフィカルな要素においては、防具が男女共用になったという点も大きな変化だと感じました。

藤岡氏:
今までは男女別々の装備をデザインしてきたわけですが「この腕装備が好きなのに、なんで着れないの?」みたいな部分はなくしてしまったほうが良いものになるだろうという思いは以前からありました。

従来ではゲーム上で骨格の作りが根本的に違ったために共用が難しかったのですが、本作では企画段階の時点からお互いに着用できるように考えて開発を進めてきました。

どちらの装備を使いたいという発想は、欲求としても選択肢の幅としても存在するものだと思うので、今回ご用意させていただきました。

──企画段階から用意されていたんですねちなみに、本作の開発にはどれくらいの期間がかかっているのでしょうか。

辻本氏:
『アイスボーン』をはじめとした『モンスターハンター ワールド』のタイトルアップデートが終わるころから、本作の構想や検証は始まっていました。実際に大きくプロジェクトが動き出すのは少し先なのですが、企画自体のスタートから数えると5年前後かなと思います。

試作だけでも1年半から2年くらいかかっているのですが、今回の『ワイルズ』が目指すものが感じ取れるようなものを作り出すのに、多くの時間を要したかなと思います。

──今作の新要素に関しては、ベースキャンプのほかに複数設置できる「簡易キャンプ」という機能も非常に気になりました。マルチプレイヤーモードでの簡易キャンプの仕様について教えていただきたいです。

徳田優也氏(以下、徳田氏):
まず、キャンプをおける権利を持っているのは、ホスト権限を持つハンターだけになります。

ホストの裁量にはよってある程度の数設置できるのですが、設置可能な数に上限があります。ですので、適宜撤去などをしていただいて、キャンプの位置を更新していただくという形になりますね。

とはいえ、撤去時に現地に赴く必要はなく、ベースキャンプから簡易キャンプの削除といった操作が行えるようになっています。

「難しさ」と「遊びやすさ」は両立できる。難しくて達成感のある“遊びやすい”ゲームを作るためには

──『モンハンワイルズ』の初プレイ時、ドシャグマにボコボコにされ、昔ながらの難しい『モンスターハンター』を想起しました。本作におけるアクション性はどのようにして生まれたのでしょうか。

徳田氏:
『モンスターハンター』というゲームは、巨大で強大なモンスターの状況を見極めながら、適切に攻撃して狩猟し、達成感を得るという部分がキーポイントだと思っています。ですので、難しさと達成感を分析して実装する必要がありました。

たとえば「集中モード」では、操作すべき軸が減るのでアクションゲームをはじめてプレイする方でも当てやすく、上級者は傷破壊に対して積極的なアプローチができるというような機能になっています。

基本的に「遊びやすさ」と「難しさ」は全く別のものだと考えているので、遊びやすさは気をつけつつも、難しくて達成感のあるゲームプレイを目指して調整を進めてきました。

なので、ストーリー序盤からゲーム進めていくことで、いずれは狩猟をマスターできるような設計になっているかなと思います。

──個人的にあまり部位破壊が得意ではないので、集中モードの存在は非常に有難いと感じました。複数人で重ね掛けすることで、いきなり無傷のモンスターを弱らせたりすることは可能でしょうか。

徳田氏:
本作には、傷がたくさん入っている状態で傷破壊を行うと、傷破壊ボーナスと呼ばれるダメージが増加する要素が用意されています。

なので、ちまちまと傷破壊をすることもできますし、複数の傷を一気に壊すといったプレイも可能なわけですね。

くわえて、「部位破壊」は概念として引き続き用意していますので、尻尾を切ったり、角を破壊するといった部分もあわせてお楽しみいただけるかなと思います。

傷破壊を実装することで、部位破壊とは違って短いサイクルで爽快感を得られることによる、よりドラマチックでダイナミックな狩猟体験を実現していきたいですね。

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──一度に複数のモンスターを狩猟するというのは、従来作品では好みが激しく分かれる要素だったと思います。

そういった中であえて、大型モンスターの群れとの戦いを特徴として押し出す狙いであったり、魅力的にするために込められた工夫などがあれば教えてください。

徳田氏:
本作ではゲーム全般のコンセプトとして、自然の脅威や豊かさ、そして「人間がどのように自然と関わっていくか」といったテーマを描きたいという想いがありました。


では、厳しさや危険性とはなにかと考えたときに「群れ」というものがアイディアとして浮かんだわけです。しかし、「群れ」を実現するために必要なものが多く存在しましたし、意味のある挙動をさせるためにAIを大きく見直す必要も多々あったかなと思います。

とはいえ、肥やし玉や流砂などを利用して群れを分断する選択肢以外にも、あえて群れのまま戦ってみるような遊び方も選択できます。ですから、環境の変化を表現するためのいち要素として「群れ」を描いたのは効果的だったと考えています。

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──なるほど。戦闘における脅威だけでなく「群れ」によってプレイスタイルそのものが拡張されているんですね。

徳田氏:
やはり、ユーザーさんが上手くプレイできるようになってきたときに、どれだけの多くの選択肢を提案できるかという部分が重要だと考えています。

そのため、群れから引き離すだけでなく「別の大型モンスターをけしかける」といったアプローチも選べる設計としています。(了)


気になった新要素について開発陣に質問すれば、必ず何を目指しているのか、なぜ実装したのか、といった明確な理由を答えていただくことができました。

すぐさま明確な答えを述べる開発陣の姿からは、開発陣がいかに『モンスターハンター』シリーズについて考えているのかが窺えます。ストイックに作品と向き合う誠実な姿勢こそが、『モンスターハンター』シリーズが20周年を迎えてもなお新作が発表され、ファンから愛されている理由なのかもしれません。

そして、実際に本作で「イャンクック」先生からの実直な指導が受けられるのか、といった興味をそそられる要素はまだまだ沢山ありますよね!今後の情報展開に注意して発売を待ちましょう。

『モンスターハンターワイルズ』の対応プラットフォームはPS5Xbox Series X|SSteam。発売日は2025年2月28日となっています。

ライター
最近ゲーム業界にサメ映画ブームが来ている気が・・・え? 『スター・ウォーズ』のゲームが出すぎて手が回らない毎日。1日36時間欲しい。
編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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