スクウェア・エニックス新作の『エンバーストーリア』は、いわゆる「村ゲー(城ゲー)」と呼ばれるジャンルに属している。
しかし、村ゲーにありがちな「理不尽な略奪」に悩まされず、自分のペースで楽しめる作品だった。
一般的に村ゲーと呼ばれるジャンルは「村を拡大していくおもしろさ」や「強くなっていく楽しさ」が特徴として挙げられる。プレイサイクルとしては以下のような流れが定番だ。
1.村を建築で拡大
2.食料や金属など資源を村で収穫
3.その資源で軍を強くする
4.強くした軍で対人戦を行う
5.(ガチ勢は)所属サーバーで1位を目指す
ここで曲者なのが、「他プレイヤーの拠点を襲い、資源を略奪することでさらに強くなる」というシステム。要は、効率よく強くなるには「他人から奪う」のが手っ取り早いのだ。
そのため、
「せっかく作った私の村が! 他のプレイヤーによって蹂躙されて略奪された……!」
なんてことはよくある話である。寝ている間に自分たちの村が蹂躙され、朝起きたらすべてを失ってしまうことも日常茶飯事だ。
しかし、『エンバーストーリア』は違った。自分の拠点が安全地帯にある限り、他プレイヤーに襲われることはないのである。
上の画像の茶色い場所が「禁域」と呼ばれるエリアで、この中にいなければ襲われる心配はない。つまり、村ゲーにしては珍しく「のびのびと自分のペースで楽しむ」ことができるのだ。
もちろん「同盟」(ギルド)の力を結集して世界の頂点を目指す対人戦もこのジャンルのおもしろさだ。
しかし、『エンバーストーリア』では、驚くほど滑らかに動くLive2Dとフルボイスで描かれるストーリーやソロプレイの戦闘&レイドなど、対人戦以外のコンテンツも充実している。
「村ゲーだから……」という理由で敬遠するのはもったいない作品になっているので、この記事ではリリースから1週間ほどプレイして感じた本作の楽しみについて触れていこうと思う。
※この記事は『エンバーストーリア』の魅力をもっと知ってもらいたいスクウェア・エニックス さんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
徐々に拠点が発展してパワーがあがっていく楽しさ。しかも安全地帯にいれば略奪されずに安心して遊べる
『エンバーストーリア』では、拠点となる「独立行動艦 アニマ・アルカ」の上に居住区や生産区……いわゆる村の施設を作り、発展させていく。
兵士を増やす「訓練所」や、木材が手に入る「製材所」などの施設をレベルアップして拡充していくことで食料や金属、兵士といった資産の獲得速度が上がっていく。
レベルの高い施設が作れるようになると、より強い兵士を作れるようになる……といった流れで、「拠点の増築」を通して強くなっていくわけだ。
そして、その強さは「パワー」という指標で表される。施設を増やしたり、レベルをあげたり、兵士を増やしたり。そのたびにパワーは上がる。最初は「2万」程度だったパワーも「100万」「300万」と、どんどん増えていく。
この数字が増えていく感覚が純粋に楽しい。「今週は200万パワー増やせたぞ!」と自分の目標や達成感のモチベーションとなり、成長を実感でき、喜びへと繋がっていく。
パワーを上げるのに重要になってくるのが「同盟」(ギルド)の存在。お互いに支援して建設にかかる時間を短縮したり、共闘して魔獣を狩ってアイテムを集めたり、仲間と協力すると加速度的にパワーを上げることができる。仲間と一緒に協力プレイする体験も楽しい。
しかし、このゲームは「ただ拠点を強化していく」だけが目的ではない。その先にあるのは他プレイヤーとの争いだ。他のプレイヤーの拠点を襲って資源を奪うこともできれば、逆に襲われて奪われることもある。
「せっかくコツコツ集めた資源が奪われた……」
「ガチ課金のプレイヤーに蹂躙されて歯が立たない……」
村ゲー経験者なら、このような悲しい経験に出会った方は少なくないのではないだろうか。奪い、奪われ合うのはこのジャンルのおもしろさではあるが、どうしてもモチベーションが下がるきっかけになりがちだ。
本作でも略奪システムは実装されている。しかし、他プレイヤーから攻撃されない安全地帯があったり、襲われても奪われる量を減らすことができる「倉庫」という施設があったり、略奪に対する予防策がとれるようになっている。
対人戦を極めて世界の頂点を目指す際には、拠点を「禁域」エリアにうつす必要がある。奪い、奪い合いのヒリつく争いを完全に排除しているわけではないのだ。
ただ、略奪が起こらない安全なエリアで、自分のペースで拠点を発展させていく楽しみもできる。
安全エリアでも一定の対人コンテンツを楽しむことができるので、無課金、微課金でも続けやすいし、村ゲー初心者でも心安らかに楽しめる作りになっている。この遊びかたを許容してくれているところが、個人的に素晴らしいと感じた。
ちなみに、本作ではチュートリアルも非常に充実している。このゲームで初めて村ゲーに触れる人でも、スムーズに遊べるようにガイドしてくれる。この点も村ゲー初心者におすすめしたいポイントのひとつである。
驚くべき技術で動くLive2Dとフルボイスで惹き込まれるストーリー。見ないのはもったいない!?
村ゲーで対人戦をしないで何をするの? と疑問に思う方もいるかもしれない。言うまでなく対人戦がメインコンテンツなのは間違いないが、
・実際のプレイと連動しながら所属同盟で目標を達成していく「グランドスケジュール」
・ぬるぬる動くLive2Dとフルボイスが織りなす「ストーリー」や「スペシャルクエスト」
・1体1で兵力を競う対人コンテンツの「アリーナ」
・最大4人で協力する「レイドバトル」
などなど、『エンバーストーリア』では他のコンテンツも充実している。
筆者個人的にはストーリーがとくによかった。「村ゲーでストーリー?」となるかもしれないが、これがじつによくできている。
ストーリーの概要を説明すると以下のようになる。
舞台は限られた資源を取り合う過酷な環境である試練の大地「レンゴク」。人類を統べる「エレジーア帝国」は、この資産を多く集めるため、ゲーム中の自分の拠点でもある「独立行動艦アニマ・アルカ」を建造した。
この「アニマ・アルカ」にはもうひとつの狙いもある。それは『世界のルールを上書きすることができる』という伝承を持つ「キザハシ」へ最初に辿り着くこと。
主人公であるあなたは、「エンバース」(ゲーム上で戦う部隊長キャラクター)を従える「アルカ・マスター」であり、新型艦「アニマ・アルカ」の候補生である。「アニマ・アルカ」の主として、あなたは選抜試験で認められるのか……?
これが第一章の始まりである。
ここで触れておきたいのが、本作のガチャで排出される仲間である「エンバース」は、かつて滅んだ世界で生まれ、強い悔恨を残して、一度死んだ人たちである。ということ。
つまり、「エンバース」たちは、もともとの世界では敵同士だったり、部隊長と隊員の関係だったり、はたまた、全く別の世界出身であったりとそれぞれのしっかりとしたバックボーンが存在する。
一方で「エンバース」は、この世に存在するためには呼び出した「アルカ・マスター」の命に従う必要がある。そのため、マスター同士の立場が敵対関係ならば、かつての仲間が敵になったりなど、愛憎が入り乱れた奥深い物語となっている。
また、ストーリーを読んでいて目を見張るのがLive2Dの秀逸さである。
【#エバスト ゲーム内ドラマパート公開③】
— 【公式】エンバーストーリア|11月27日(水)正式サービス開始! (@Emberstoria_PR) November 16, 2024
プレイヤーであるマスター不在時に展開される、
エンバース達だけの一幕をご覧ください。
◆キャラクター
・ニュクス(CV:#髙橋ミナミ)
・アリア=ディス(CV:#竹達彩奈)
・シグルドリーヴァ(CV:#伊瀬茉莉也)
・ジュード(CV:#中村悠一)… pic.twitter.com/nozHP24vcm
どうだろうか! この動きのバリエーション、この表情の豊かさ!
めちゃくちゃよくできている。底知れない技術力を感じる動き。どう作られているのか気になる。この滑らかに動くLive2Dの動きとともに、豪華声優陣による迫真の演技によるフルボイスで物語が進行していく。シナリオの没入感も高い。
恐らく、メインコンテンツの村ゲー要素を遊んでいると、ついついスキップに手が伸びそうになることもあるだろう。その気持ちもわかる。ただ、相当に気合が入って作られているので、既プレイヤーでまだ見ていない方はぜひ見てほしい。
何度も述べている通り自分のペースで遊ぶことができるゲームなので、ストーリー目当てでこのゲームを触ってみるのもおすすめである。
また、期間限定で開催されるレイドも非常に楽しいコンテンツである。
4人チームでレイドボスの体力を削っていく形式で、相手の攻撃予兆の赤い範囲などを操作して避けながら皆で協力して倒していく。育てたキャラ同士で協力して強敵を仲間とともに倒しきるのは思わずガッツポーズが出てしまう。
なんだかんだ対人は楽しい。世界で一番の同盟を目指せ!
ここまで対人要素以外を押してきたが、同盟同士で頂点を目指す対人戦は村ゲーの醍醐味のひとつ。『エンバーストーリア』においても、その点はしっかりと味わえる。
しかも、最前線のガチガチの戦闘民族はもちろんのこと、マイペースで遊ぶプレイヤーも同盟同士の大規模戦闘が楽しめる工夫がこらされている。
本作プレイ前、これまでの経験から「無課金、微課金が村ゲーに手を出しても、ガチ課金者に蹂躙されるだけでは?」という印象を持っていた。恐らくこんな印象を抱いている人は筆者以外にも少なくないはず。しかし、本作では工夫が見られる。
『エンバーストーリア』では「泉」や「ゲート」といった重要施設を抑え、最終目的地である「キザハシ」に近づき、これを最初に制圧した同盟が世界の覇者となる。
大規模な同盟同士の対人戦で具体的に何をするのか?
それは重要施設の争奪戦だ。そして、これらの重要施設を攻撃できるのが「集結攻撃」と呼ばれる攻撃方法となっている。
招集したリーダーに対して、同盟員が兵士を出して集結。大規模な戦力で一気に攻撃するといった形となっているが、ここでポイントなのは「エンバース」(ガチャキャラクター)の能力を参照するのは集結リーダーのキャラのみということ。
つまり、自分がマイペースでゆるふわに遊ぶスタイルであっても、同盟内にエースが数人いればその人に集結攻撃して貰って協力すれば、結果がどう転ぶか分からない戦闘になるのである。
「泉」や「禁域内の敵同盟の拠点」を攻めるには、自分の拠点を茶色の部分「禁域」内におく必要がある。しかし、集結攻撃に参加するのは「禁域」外の安全地帯からも可能なのである。そのため、ライトユーザーでも気軽に本格的な対人戦に参加することもできる。
もちろん頂点を目指すなり、同盟のエースになりたいあなたは、自分も「禁域」内に入ってバチバチに戦おう。
特定の強い同盟を倒すために他同盟と結託したり、他の同盟から傭兵をお願いしたり、政治外交もこのジャンルにおける楽しみのひとつだ。あの手この手を尽くして戦うのは非常に燃える。
略奪を心配することなくマイペースに強くなっていけるし、大規模戦闘以外のコンテンツも充実している。無論のことバチバチの対人戦を楽しむこともできる。『エンバーストーリア』は村ゲー初心者にもおすすめできる作品だ。
村の拡大を頑張るもよし、ストーリーを見入るもよし、同じワールド(サーバー)で友達と遊ぶのもよし。ガチで頂点を目指すもよし。定期的に新ワールドが追加されているため「プレイ時間の格差」を感じにくいので、いつ始めてもよしだ。
引き直し可能なチュートリアルガチャも存在するので、お気に入りのキャラクターがいればいきなり一緒に旅を始めることもでき、ゲームを始める敷居も低い。
戦略ストラテジーゲームの猛者はもちろん、この手のジャンルに触れてみたことのないあなたも、さまざまな遊びかたを許容してくれる本作品をぜひ遊んでみよう。
コザキユースケ氏など豪華イラストレーター陣による美しいビジュアルと『サガフロンティア2』の浜渦正志氏による素晴らしい音楽で、村をポチポチ成長させてるだけでも楽しい。ハマるぞ!
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